旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

Kyoto メトロに乗って 上賀茂神社と枝垂れ梅と玉乃光と 烏丸線を完乗!

2024-03-09 | 呑み鉄放浪記 地下鉄編

国際会館行きの10系電車と近鉄線から乗り入れる3200系電車がツーショットで竹田駅。
満開の知らせが届いて、城南宮の「しだれ梅と椿まつり」を訪ねた。

城南宮を訪ねる烏丸線の旅は国際会館駅から始まる。
八瀬の山々を背景にして、静かな朝の宝ヶ池と京都国際会館はまだ冬の装いだね。

始発の時点ではまだガラガラの竹田行き、席が温まるまもなく2つ目の北山に途中下車。
カフェやブティックが並ぶ北山通りは、なかなかモダンでおしゃれな街並みだ。

開店時間を狙った洋食カフェ「和蘭芹(パセリ)」に、幸運にも空席があった。
せっかくの京都だから、美味しいブランチを楽しみたい。っと地元の人気店を訪ねる。

“ベーコンとモッツァレラチーズのトマトソース オムライス” ってちょっと長い。
とろりとチーズがのびてトマトソースが美味しい。

賀茂別雷神社(上賀茂神社)は山城国一ノ宮、平安京以前から栄えている京都で最も古い神社らしい。
一礼をして二の鳥居をくぐると、細殿の前に二杯の立砂が美しい。立砂は神様が降り立つ際の目印だ。

結構な列に並んで朱塗りの楼門を抜けると、流造りの本殿と権殿が現れる。
厳かに二礼二拍手一礼、今宵も美味しいお酒が呑めますように。

北山駅に戻って烏丸線の旅を続ける。10系電車の先頭車両には伝統産業素材の展示をしている。
 呑み人が乗った編成には京扇子の展示が。紅葉に流水、寒牡丹と秋冬の繊細優美な飾扇子が美しい。

3つ進めて今出川で途中下車。御所の北側に境内を広げる相国寺は京都五山第二位に列せられる名刹。
この日、承天閣美術館では「若冲と応挙」が会期延長中で、とても幸運な訪問になった。

美しいレンガ造の建物「有終館」は1887年に竣工した国の重要文化財。
今出川のランドマークは同志社大学であることに異論はないでしょう。

烏丸線は北大路駅から先、文字通り烏丸通の下を真っ直ぐに南下していく。
御池、三条、四条と頭の上を繁華街が流れていくけれど、この界隈を訪ねるのは暗くなってから。

冬の澄んだ青空を突く京都タワー(131m)、町家の瓦葺きを波に見立て、街を照らす灯台のイメージだそうだ。
烏丸線は京都駅でごっそり乗客を入れ替えて、今しばらく南下を続ける。

京都から駅を3つ数えると、突然に右手から西陽に射られて、3200系は終点の竹田駅に滑り込む。
多分2本に1本はこのまま近鉄京都線に乗り入れてさらに南へと走るのだ。

方除けの大社 城南宮は、雅やかな平安時代の歌会「曲水の宴」を再現することで知られる。
今頃は「梅が枝神楽」の季節、梅の花を冠にさした巫女が梅の枝を手に神楽を舞う。

「しだれ梅と椿まつり」を迎えた春の山で、150本の薄紅や紅や白が枝垂れて春の訪れを告げる。
今回のボクは、枝垂れた梅より苔むした庭に注目、真紅の “落ち椿” や薄紅を散らした梅の花弁がキレイだ。

夜の帳が下りる頃に四条駅を降りて高辻東入ルると酒粕レストランがある。
箪笥製造卸を営んだ京町家をリノベーションした店は、伏見の玉乃光酒造が営む酒粕おでんと一品料理の店だ。

結論から言うと、どの料理も美味しいご機嫌な店だった。次の機会にも必ず訪ねたい。
一杯目は “CLASSIC” と名付けた生酛系の純米吟醸酒、酸味と旨味がいい。
“酒粕ポテトサラダ” と “トマトとツナの丸ごとサラダ” を並べてご機嫌なのだ。

金継ぎを施した洒落た片口にフレッシュな “なまざけ” を注いでもらう。
“プルーンと酒粕クリームチーズの生ハム巻き” に、ワインの様なフルーティーな味わいを合わせる。
一転して “鯛の酒粕なめろう”、これは次の一杯に合わせようか。これは旨い肴だ。

“鰤の酒粕味噌柚庵焼き” に “京都ポークの酒粕味噌柚庵焼き” と柚で攻める。これ酒粕に合うね。
“杜氏しか飲めない•••” と謳った雄町の純米吟醸酒は、賞味期限1週間の搾りたての無濾過生原酒。
つまり、ここに来ないと飲めないってことね。これは飲んでおかないと。

最後に “酒粕おでん” を盛り合わせてもらう。味噌と酒粕を合わせた出汁がとろりと美味しい。
この華やかなラベルは京都産の酒米「祝」で醸した純米吟醸、酸味と旨みがバランスした優しい酒だ。

そしてボクはこの “純米吟醸 祝” を土産に抱えて三条烏丸辺りのホテルへほろ酔いで戻る。
さすがは京都、烏丸線の旅は美味しい旅なのだ。

京都市交通局 烏丸線 国際会館〜竹田 13.7km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
くちびるヌード / 高見千佳 1984


Biz-Lunch 明治軒@心斎橋筋「エビフライ&ポークカツ」

2024-03-06 | Biz-Lunch60分1本勝負

大阪に出張したら、一度この店を訪ねたいと思い、雨の中を長堀通を越えて心斎橋筋を歩きて来た。
磨き抜かれたテーブルと長椅子が老舗を物語る。創業は昭和元年なのだと云う。

当然ながら名物オムライスを食べに来たのだけれど、急遽、ホワイトボードの “サービスランチ” に変更。
熱々の “ポークカツ” がケチャップソースで美味しい。どこか懐かしい感じがする。
大阪の “エビフライ” って、エビを開くの?アジフライの形をしているね。
このホクホクをタルタルソースをたっぷり付けて頬張る。これもいいね。

引も切らない席待ちの列を年嵩の姐さんがテキパキと捌いて、地元の方も観光客も美味しい洋食を楽しむのです。

<40年前に街で流れたJ-POP>
微風のメロディー / 尾崎亜美 1984


Osaka メトロに乗って 東成しんみちロードの串揚げ居酒屋で 今里筋線を完乗!

2024-03-02 | 呑み鉄放浪記 地下鉄編

今里筋線の路線図を見ると興味深い。大阪市街の東端を舐めるように南下し都心部に向かうことはない。
さてと今宵の一杯はどこでやるのか考えものだけど、まずは考えるより先に旅に出たい。

市営住宅が立ち並ぶ雨上がりの井高野に、ど派手な柑子色のゲートが口を開けている。
革靴をコツコツ鳴らして長い階段を降りていくと、これまた柑子色のラインを引いた80系が待っている。

なんと可愛らしい。15m×4両のミニ地下鉄は、まるで遊園地の乗り物か?と言ったら言い過ぎか。
たぶん都営大江戸線や仙台市地下鉄東西線と同じようなサイズだと思う。

都心に入らない今里筋線の沿線いは観るべきランドマークは少ない。
関目成育駅から徒歩10分、訪ねた野江水神社は水火除難の守護神、淀川の氾濫に悩まされた土地柄か?
旧京街道に絡む太子橋今市から関目成育の間は、じっくり歩いてみると楽しいかも知れない。

柑子色の4両編成は23分かけて今里駅に終着し、ここで千日前線と接続する。
今里筋線は都心に乗り入れない代わりに「いまざとライナー」というBRTシステムが阿部野橋へと走る。

そして呑み人は、東成しんみちロードへと紛れ込む。
訪れたのは午後8時過ぎだから、果たしてこの商店街が賑やかなのか廃れているのか分からない。
ふらふらとシャッターが降りた狭いアーケードを進むと、串揚げと描かれた白い提灯が揺れている。

髭の大将と笑顔の素敵なお嬢さんに迎えられて、「のすけ」は15〜16席のコの字カウンター。
ご常連で埋まるこのローカルな居酒屋の暖簾を潜るには、少なからず勇気を振り絞る。
先ずは生ビールと “刺身盛り合わせ” で。ワサビたっぷりに “水たこ” が美味しかったなぁ。

ご自慢の串揚げも “おまかせ五本盛り”、タラ白子から始まって、黒毛和牛ハネシタ、豚肉ヘレ、
下仁田ネギ、それに燻製合鴨ロース粒マスタード。どれも美味しい。
大将が勧めてくれたのは “日日 山田錦”、優しく甘い香りの伏見の生酛が串揚げにも相性がいいね。

“浪の音” は大津の酒、これも大将に勧められた超辛口の生原酒、旨味とキレがいい感じだ。
“おでん” は、これは珍しい春菊、それに厚揚げとこんにゃく。冷たい雨の夜に温まるね。

はじめましての街角のローカルな居酒屋で、ひとり旅情に浸る呑み人なのです。

大阪市高速電気軌道 今里筋線 井高野〜今里 11.9km 完乗

ふたり大阪 / 松浦亜弥


Biz-Lunch 味万本店@心斎橋筋「きつねうどん」

2024-02-28 | Biz-Lunch60分1本勝負

本町から心斎橋筋商店街を下って、ちょっとレトロな「味万本店」を訪ねる。
なにがレトロって、店内の有線放送は、なぜか童謡が流れている。

実は一昨日、大阪オフィスの社員に案内されて、とにかく “カレーうどん” が美味しかった。
っで、大阪らしい “きつねうどん” を食べようと、この出張で二度目の訪問、開店時間の11:00に飛び込む。

着丼した “きつね”、真昆布やら鯖節やら出汁を利かせた澄んだつゆ、甘辛く煮たふんわりと油揚げが旨い。
パリッと海苔で巻いた “天むす” が、塩の加減も絶妙に、これまた美味しい。

さすがに食い倒れの街は、ランチは安くて美味しい。午後への活力も湧く大阪の Biz-Lunch だ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
つぐない / テレサ・テン 1984


Alta Velocidad Española

2024-02-24 | 呑み鉄放浪記 番外編

バルセロナ・サンツ駅、07:00発、AVE3270に乗車してマドリードへ向かう。
"Alta Velocidad Española" は、バルセロナ〜マドリードを2時間30分で結ぶ、スペイン国鉄が誇る新幹線だ。

サグラダ・ファミリア聖堂、グエル公園、カサ・ミラ、と世界遺産となったガウディ建築を訪ねる。

午後はサン・ジョセップ市場を冷やかす。世界遺産よりむしろこちらが興味深い。
果物や野菜、ハムにソーセージ、魚介類、あるいはチーズやナッツの店を覗いたら
市場内のバルでタパスをアテにCavaを愉しむ。っと漸くスペインにやってきた実感を味わう。

ホテルはバルセロ・サンツ、宇宙船をイメージしたモノトーンな客室がクールだ。
ターミナル・サンツ駅真上のホテルは、明日の便が早いから絶好のチョイスだった。

改札と荷物のX線検査を通ったら、ラウンジでプシュッとセルベッサ。
横に2+1席と並んだ1等車の革張りシートに身体を沈めたらオムレツのサービス。白ワインの小瓶を開ける。

市街地を抜けたAVE3270は徐々に速度を増して、やがて300km/hに達する。揺れもなく、すこぶる快適だ。
荒涼とした丘、オリーブの林、牧草地と羊たち、ときおりひまわり畑を眺めながら2時間30分、
やかて列車は音もなくアトーチャ・セルカニアス駅に滑り込む。文化と芸術の都マドリードに到着。
午後はプラド美術館へ、着衣のマハ、裸のマハに会いにいくつもりだ。

Barcelona-Sants 〜 Estación de Cercanías de Atocha 完乗

Just a Joke / 国分友里恵 1983


Biz-Lunch 兆峰@大塚「ポークソテー」

2024-02-21 | Biz-Lunch60分1本勝負

池袋のランチ漫遊もとうとう北大塚の住宅街まで出掛ける。池袋オフィスの仲間に教えてもらった。
都電の巣鴨新田停留所が近いかな。今は山手線を跨ぐ西巣鴨橋が架け替え中で、車も通らず静かな佇まい。

初めましてのメニューは “ポークソテー定食” を択ぶ。
ボリューミーで肉厚な豚肉は、よく火が通っているけれどジューシーだ。なかなかの腕前とお見受けした。
そして惜しげもなくかかるデミグラスが絶品、柔らかなポークにたっぷりつけて口に放り込む。これは美味い。

看板には Restaurant とあるけど町中華の趣、洋食も中華も和食もあってカオスな世界。
でも美味しいから、この節操のないラインナップも歓迎なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
Tendernessを抱きしめて / サーカス 1984


亥鼻城と千葉寺とモツ焼きの大衆酒場と 京成千葉線・千原線を完乗! 

2024-02-17 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

前照灯を煌めかせて、外房線と並走して3500系の4両編成がやってきた。
京成線は千葉中央駅を境に千葉線と千原線が走っている。この駅を降りたら昼呑みを楽しみたい。

日暮里で成田空港行き快速特急に飛び乗って30分、京成津田沼までやって来た。千葉線はここから分岐する。
歴史的には成田へ向かう本線より先に開通し、戦前は海水浴や潮干狩りの行楽客で賑わったという。

行き先表示に「千葉中央」を光らせて、5番ホームに新京成の8800形電車が入ってきた。
日中は新京成線の車両が千葉線に乗り入れて、松戸〜千葉中央間を直通運転している。

千葉にお城があった?
県庁東側の猪鼻山は北側を都川が洗い、西側は断崖となった天険の要害、平安時代に千葉氏が居館を構えた。
ここを亥鼻城(いのはなじょう)というが、歴史的にはあまり意味のない模擬天守と千葉常胤像が建っている。

亥鼻公園の最寄りは千葉中央駅、千葉線の終点であり、新京成の車両が乗り入れるのもここまで。

かつて千葉の花街であった蓮池から西に外れた辺りに昼飲みの大衆酒場が暖簾を揚げている。
どうやらキンミヤ焼酎が飲めるらしい。もつ煮・モツ焼きの「まるは」に、もつNGの呑み人が突入する。

なんだか遠慮がちに光量を落とした店内なのだが、すでにご同輩たちで8割方の席が埋まっている。
カウンターの最奥に席を占めて見回すと、いやいや結構若いカップルも杯を重ねているね。
まずはキリンラガーを、それからお急ぎの “マカロニサラダ” と “まぐろ納豆” で始める。

揚げ物は “とうもろこしかき揚げ天” と “紅しょうが天” を択んだ。
この色合いの対称と、甘さと酸っぱさの対称が楽しい。そして推しの “徳島産生すだちサワー” が爽やかだ。

三杯目は徳島から紀淡海峡を渡って “紀州梅サワー” をいただく。あと “ねぎま” を2本ね。
昼下がりの街で一杯を楽しんで小3枚、いい感じだね。立体マスクを耳に掛けたら千原線に乗ろう。

千原線はもともと第三セクターの千葉急行電鉄の路線を京成電鉄が引き継いでいる。

Z世代の3000形電車が6両編成で入って来た。
京成津田沼から10分毎の電車の半分は千葉中央止まりだから、この先は20分に1本と少しだけ寂しくなる。

近代的な装いの千葉寺駅に降りてみる。千葉寺って?ちょっとした好奇心なのだ。

千葉寺(せんようじ)と読む。駅からは徒歩10分、緩やかに坂を登っていくと、突如として仁王門が現れた。
709年(和銅2年)、この地を訪れた行基が十一面観音を安置したのに始まり、その後千葉氏の勅願所となった。

千葉寺には、江戸時代に「千葉笑」という奇習があった。
面や頬かむりで仮装した民衆が大晦日に集い、権力者の不正などを罵り合い、笑って年を越すのだと言う。

千葉寺や 隅に子どもも むり笑い とは小林一茶。 

鉄路は、おゆみ野・ちはら台のニュータウンの端をかすめて、終着駅にわずかな乗客を降ろす。
その先、小湊鉄道の海士有木まで至ると言ういつ叶うとも分からない夢に向かって、少しだけ南に延びている。

京成電鉄 千葉線 京成津田沼〜千葉中央 12.9km 完乗
京成電鉄 千原線 千葉中央〜ちはら台  10.9km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
星空のディスタンス / THE ALFEE 1984


Biz-Lunch きょうの登龍@旧東海道・品川宿「味噌ラーメン」

2024-02-14 | 日記・エッセイ・コラム

旧東海道の荏原神社に寒緋桜が満開になっている。紅色の花弁を揺らしてメジロが遊んでいる。

そしていつもの登龍、今日は “ミソラーメン”、そう言えば初めて択ぶメニューかも知れない。
炒めたモヤシや野菜をたっぷり載せて着丼、思い切って豆板醤をトッピングする。
レンゲでスープをひと口、旨いねぇ。
決してキレイに割れたためしがない安っぽい割り箸を駆使して、麺を大掴みにズズッと、悪くない。
縮れた細麺にスープが絡んで美味しい。豆板醤が溶け出して味が微妙に変わっていくのも楽しい。

いつも大盛り御免のご飯ものばかりだったけど、約10年の時を超えてラーメン系が美味いことを知った。
メニューの麺類を上から上から試してみようか。くだららない独り言を呟いて、午後のオフィスに戻るのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
涙のリクエスト / チェッカーズ 1984


木根川橋とせんべろの聖地とトマトのおでんと 京成押上線を完乗!

2024-02-10 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

精悍なマスクの3700系がホーンを響かせて疾走する。都営浅草線を越えて長駆久里浜まで駆け抜ける。
晴れ渡った連休初日は、先週に引き続き、京成電鉄の短い旅を楽しみたい。

北十間川にその姿を映して銀の尖塔が空を突く。
押上線は東京ソラマチの地下から、住宅や町工場が密集する下町を掻き分け、青砥で京成本線に連絡する。

羽田空港と成田空港を結ぶルートを担う押上線、多くの特急・快速が途中駅に止まらずに爆走する。
成田空港行きのアクセス特急を1本やり過ごして、ボクは青砥行き各駅停車に乗り込むのだ。

ひとつ目の京成曳舟駅を越えたあたりで擦れ違った羽田空港行きは、京浜急行の紅い1000系電車だ。

木根川橋から 水道路抜けた 白髭神社の 縁日は🎵って、さだまさしが歌っていた。
昭和な呑み人にはストライクゾーンの曲、歌詞の情景を探し求めて四ツ木駅に途中下車してみた。

白髭神社、区立中川中学校、木根川薬師、銭湯を巡って下町散歩。
歌詞が描かれた頃にはなかった東京スカイツリーと木根川橋の夕景を切り取る。

その木根川橋を下流に見て、赤と青のラインを引いた8両編成が、轟音を立てて荒川を渡る。
やがて各駅停車は “せんべろの聖地” 京成立石に滑り込む。

宇ち多゛栄寿司、ミツワと名店が並ぶ仲見世通りだけど、“もつ” が食べられないボクはすごすごと退却。
線路脇の小道を四ツ木方面に戻ると、橙の暖簾が揺れているのが目的のおでんの店「二毛作」なのだ。

ちょっと立石っぽくないムードの店は、コの字カウンターに選りすぐりの日本酒を並べて午後2時に開く。
暖簾を潜って人差し指を示すと、端からふたつ目の席を案内される。隣は韓国から留学してきた男の子。
なんでこんなに詰めさせられるの?と思ったけれど、10分もしなういちに18席がぎっしりと埋まるのだ。

最近のCMは芳根京子さんに代わりましたね、まずはマルエフを一杯。
高知県は宿毛に揚がったウスバハギ、ミズダコ、ぶり、かつお、を並べて “刺盛” が美味しい。

隣の男の子に倣って、白身魚のすり身を揚げた “下町フライ” にレモンを絞る。
9号酵母で醸した “るみ子の酒” は、すっきりとした特別純米酒、三重県は伊賀の酒だね。

おでんは “とまと” と “ロールきゃべつ”。お店の代名詞的な “とまと” が、いい味を出している。
青ラベルの “いずみ橋” は山田錦の純米吟醸酒、口当たりの良い辛旨口は、出汁が利いたおでんによく合う。

“せんべろの聖地” 京成立石を後にした各駅停車は、住宅や町工場を見下ろす高架を駆け上がる。
夕暮れの茜の中、左から京成本線が近づいて来ると、短い押上線の旅は終わるのだ。

京成電鉄 押上線 押上〜青砥 5.7km 完乗

木根川橋 / さだまさし 1979


Biz-Lunch 長寿庵@大塚「かつ丼そばセット」

2024-02-07 | Biz-Lunch60分1本勝負

スーツの前を合わせて大塚駅前まで歩いてきた。シャーベット状の雪に足を取られないよう慎重に。
赤い看板のその店はこんな日でも盛況だ。それに客層は案外と若者も御婦人も多いのだ。

今週のランチから “かつ丼そばセット” を択んだら、熱いお茶で一息ついて着丼を待つ。
角盆にフルサイズの “かつ丼” と小丼の “かけそば” が登場って、なんだか想像していたのと逆だなぁ。

七味を振ったら、ワカメと一緒にそばを大掴みにズズっと啜る。美味い。
そしてこの小丼、そばがぎっしり。何というかトランジスターグラマー。なるほど若者も通うわけだ。
蕎麦つゆを傍に、三つ葉の風味とともに、この “かつ丼” も出汁が効いて旨いね。

満腹を抱えてオフィスに戻る。大塚にまた一枚手札ができて、ちょっと満足のランチタイムだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
白いハンカチーフ / 堀ちえみ 1984


帝釈天と老舗の葛餅と剣菱の小瓶と 京成金町線を完乗!

2024-02-03 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

旧水戸街道の高架道路をくぐって、赤いラインの4両編成が京成金町駅に入ってきた。
節分の休日は真っ青な冬晴れ、それではと、金町線の短い旅をしようと下町の駅に降り立った。

京成金町駅は雑居ビルの1階にぽっかりと改札口の穴を開けている。
JR金町駅を背にして駅前広場を見渡しても、案内表示なしでは容易に見つかりそうにない。

わずか2.5kmの路線の唯一の中間駅だけが複線になっていて、上り下りの電車が交換する。
この短い金町線ではあるけれど、4両編成で車掌が乗務しているから、相当の乗降客があるのだろう。

その賑わいの背景の一つがこの中間駅にあるのは間違いがない。
柴又駅の案内板にはお馴染みのシルエットが描かれている。そう、柴又駅はフーテンの寅さんのふるさとだ。

帝釈天参道で上下姿の一団に出会す。ここで初めて今日が節分であることに気づいた。
ちょうど二回目の節分会の時間に当たって、参道は初詣のような人出になっている。

 唐破風と千鳥破風を飾った楼門(二天門)が見えてきた。
寺男の源公(佐藤蛾次郎)が掃き掃除をする静謐な帝釈天の雰囲気はなく、今日の境内は善男善女が埋め尽くす。
やがて豆まきが始まると老いも若きも歓声をあげる。一際大きなまき手は、元関脇旭天鵬だ。

帰りの参道で髙木屋老舗に潜り込む。雰囲気だけは味わいたい。
熱いお茶にホッとひと息ついたら、黒蜜と黄な粉をたっぷりかけて “くずもち” を味わう。
っと柱の振り子時計が鐘を四つ鳴らした。そろそろ飲みに行っても良い頃だろうか。

夕暮れの柴又駅、“寅さん” と一緒に旅に出る。とは言っても京成高砂駅まではわずかに2分。
寅さんの視線の先には、エプロン姿の “さくら” が弱々しい冬の夕陽を浴びて立っているね。

測ったように上り下りの電車が交換する。やや高砂方面からの入線が早い。
家路に向かう降客と、帝釈天を訪ねた乗客を入れ替えて、4両編成はそれぞれ高砂と金町をめざす。

鉄路の東側では江戸川が音もなく東京湾へと流れていく。
呑み人が土手に登った頃、泥だらけのユニホーム姿の野球少年たちが、自転車で流れを描いていた。

赤いラインの4両編成は、左手に電車庫が見えると、するすると高架に上って行き止まりの5番線に終着する。
吐き出された4両たっぷりの乗客は、整然と京成本線ホームへのスロープを下っていった。

カンカンカンと警報音を響かせる開かずの踏切をやり過ごして、暖簾が掛かったばかりの高砂家へ。
魚や野菜が並ぶ奥行きのあるカウンターに丸イスを並べて、なかなか趣のある店なのだ。

やっぱり “生ビール” で始める。“まぐろ納豆” はブツではなく切り身でちょっとびっくり。
トンカツのように揚げた “ハムカツ” はボリュームたっぷり、辛子とマヨネーズをブレンドして美味しい。
二杯目からは “ホッピー黒” を。この店はカウンターのお母さんが作ってくれる。

小鍋で煮てくれる “肉豆腐” は、胡麻油が効いてなかなかの逸品、汁まで美味しい。
お酒は “剣菱” の一択、サンデシ瓶なのは店の女の子が注いでくれるから、ちょっとご機嫌だね。

ローカル線の雰囲気たっぷりに金町線に乗って、柴又を訪ねるのは、ちょっと遠出をした気分になる。
ガタゴトと行き交う電車の音を聞きながら、下町情緒の酒場で杯を重ねて、金町線の旅が楽しい。

京成電鉄 金町線 京成金町〜京成高砂 2.5km 完乗

男はつらいよ / 渥美清


休日は町の蕎麦屋さんで 常盤食堂@浦和

2024-01-31 | 日記・エッセイ・コラム

よく冷えたキリンラガーを注いで、ささやかな幸せを感じている休日の午前11:00。
カリカリに揚がった大ぶりな “あじフライ”、おじちゃん、アテになるように包丁を入れてくれた。
たっぷり中濃をかけた一片を口に放り込む。辛子にツンときて、思わず鼻をつまむ。

時代を流れて大衆食堂に進化した蕎麦屋さんは、丼もの、フライもの、中華風のヒトサラもラインナップ。
邪道な蕎麦前かも知れないけど、いや、昼から開いている居酒屋みたいで楽しい。

新潟は長岡の “吉乃川” の一合瓶を燗してもらったら、ガラスの猪口でキュっと一杯。
そば丼に入って “おでん” が登場して燗酒のお供をする。

〆の “ざる” はたっぷりの刻み海苔が嬉しい。サッとそばつゆにつけてズズっと啜る。美味しい。
午後は本を読もうかな。どこにも行かない、働かない、怠惰な休日を愉しみたい。

<40年前に街で流れたJ-POP>
クライマックス御一緒に / あんみつ姫 1984


真紅のトーチと灘五郷と福寿の酒と 阪神電鉄本線を完乗!

2024-01-27 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

出張が明けた週末は、冷たい風が吹き荒ぶものの、雲ひとつない青空が広がっている。
今日は阪神電車に乗って、灘五郷のいずれかを訪ねて一杯飲りたい。

特急専用の2番線に停車しているのは「阪神甲子園球場100周年記念ラッピングトレイン」だって。
名作野球マンガのキャラクターや、甲子園球場の歴史を辿る数々の写真で電車を彩る。

水島新司氏の「ドカベン」が彩るのが1号車、岩城が吠え、殿馬が舞っている。
11:10、幸運にもこの希少な列車に遭遇して、ボクの阪神電車の旅は始まる。

特急の最初の停車駅は尼崎。速度を落とした車窓には、車両基地越しに天守閣が見えてくる。
尼崎城は大坂の役後、戸田氏によって築城され、明治の廃城令まで大阪湾に浮かぶようにあった。
現在の復元天守は2018年に落成した。まだ新たしい白壁が冬の陽を浴びて眩しい。

急行に乗り換えて3つ目、武庫川橋りょう上に設置された武庫川駅のホームは底冷えがする。
川の土手を降りたところに武庫川線が発着する1面2線の島式ホームがある。

わずか1.7kmの武庫川線は1944年、紫電改など海軍の航空機を製造した川西航空機への輸送を目的に建設された。
武庫川西岸の築堤沿いに走る深緑の「甲子園号」は、武庫川団地の通勤通学を担っている。

武庫川に戻ったら再び急行電車に飛び乗って、2つ目の特急停車駅、甲子園へと駒を進める。
呑み人の母校は在学中に春の選抜大会に出場している。応援に行った頃は蔦に覆われていたのだが。

甲子園駅に滑り込んできたのは「日本一特別ラッピングトレイン」って、これまたラッキーな邂逅なのだ。

大阪難波方面から神戸三宮まで走るこの車両はそろそろ運行終了かも、関心のある方はお早めにどうぞ。

芦屋から住吉にかけて、鉄路は神戸市の都市計画事業によって高架化が成った。
急行用の1000系電車はスラブ軌道を、それこそ滑るように快適に飛ばして行くのだ。

6つ目の特急停車駅は御影。日本一の酒どころ灘は五つの郷から成っている。
なかでも御影郷は菊正宗だの白鶴だのコマーシャルでもお馴染みの大きな蔵が並ぶのだ。

“福寿” という、なんとも縁起のいい酒蔵、神戸酒心館も御影郷に杉玉を吊るしている。
門をくぐって左手、木造の酒蔵に「蔵の料亭 さかばやし」がある。

フレッシュな純米吟醸をワイングラスに注いでもらったら、旬魚の四種盛りをアテに一杯。
お姐さんにわがままを言って、ランチの膳を小出しにして貰うのだ。

煮物にお浸し、それに自家製豆腐の小鉢を並べて、緑のラベルは純米酒。
すっきりとした切れ味の辛口は、出汁がきいた料理には相性がいいね。

8000系の特急電車が岩屋駅から地下区間に潜り込むと旅の終わりも近い。

神戸の中心市街地のターミナルは三宮、JRと阪急は高架駅、阪神電車の神戸三宮は地下駅になっている。
5社6路線の駅は互いに「さんちか」で繋がる。イメージのせいか、街ゆく人たちはお洒落な人が多いような。

この旅のアンカーは山陽電鉄5000系、特急は大阪梅田から山陽姫路まで直通運転をしている。
阪神電鉄本線の終点は元町、その先山陽電鉄の起点西代まで繋ぐのは神戸高速線になる。

元町を降りたらビル風が吹く街並みを潮の香りがする方へ足を進める。
お色直しを終えた真紅のトーチが、夕陽を浴びて輝いている。旅の終わりの西代まではあと少しだ。

 阪神電鉄本線 大阪梅田〜元町 32.1km 完乗
      神戸高速線 元町〜西代 5.0km 完乗
武庫川線 武庫川〜武庫川団地前 1.7km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
誘惑 / 井上陽水 1983


Biz-Lunch 幸龍軒@大塚「天津飯」

2024-01-24 | Biz-Lunch60分1本勝負

昨晩の玉袋筋太郎の番組に感化されて、今日のお昼は町中華、もちろん飲める訳ではないけれど。
この黄色いテントをくぐって、レンゲを手にするのはこれが2度目になる。

チョイスは “幸龍飯” って店の名を冠しているから、きっと自慢の一品に違いない。
ご飯をフワトロのニラ玉で包んだら、アツアツの餡をかけて、大判のとろとろチャーシューをのせた天津飯。

レンゲでホロっと崩れるチャーシュー、口の中にジュワッと旨味が広がる。
たっぷり餡を絡めてニラ玉ご飯を頬張る。凍えた身体が溶けるように温まる。美味しい。

次は仕事上がりに訪ねて、生ビールでやりたい。あれっ台湾ビールもいいかな。
アフター6の「町中華で飲ろうぜ」を妄想する Biz-Lunch なのだ。

風の谷のナウシカ / 安田成美 1984


Osaka メトロに乗って 法善寺横丁と道頓堀となんばの立ち呑み処と 千日前線を完乗!

2024-01-20 | 呑み鉄放浪記 地下鉄編

南巽駅に到着した25系電車はチェリーローズのライン、ちょっと可愛らしい4両編成で走っている。
今回は千日前線に乗って、なんば界隈で昼呑みをしようと思っている。

終着駅の近くには応神天皇を祀る巽神社、大阪の巽(辰巳)の地を守る氏神様だ。
そのお名前から、今年の初詣は例年以上の参詣客が訪れたのではないだろうか。

交差点の標識に「南巽駅前」となければ、見過ごしてしまうほどメトロの入り口はひっそりと口を開ける。
人気の少ない階段をコツンコツンと降り切ると、ちょうどチェリーローズが入線したところだ。

前照灯が消え尾灯が赤く点った運転室に車掌の姿はない。
どうやら短い4両編成の千日前線はワンマン運転をしているらしい。

南巽から15分ほどで日本橋そしてなんば、日本最大級の繁華街「ミナミ」を歩いてみる。

先ずは繁華街にありながら情緒たっぷりの法善寺横丁、お線香の香りが漂ってくる。
石畳を鳴らして歩く横丁には割烹やバーが並ぶ。ほんとは日が暮れてから「月の法善寺横丁」を訪ねたい。

戎橋を中心とした道頓堀は、まんまテーマパークというかワンダーランドの様相だ。
ここを訪ねたのは2年ぶりだろうか、たこ焼きや串カツの大看板は前は無かったような。進化しているね。

それでも「カールおじさん」や「かに道楽」を見上げるとホッとする。
どこからか聞こえてくるトントコトンの音、太鼓をたたく人もお元気そうだね。

とにかく凄まじい人の波、そしてやはり半数は外国人と云っても大袈裟ではない。
とりあえずこの界隈から離脱しよう。人波に酔ってしまったら、この旅のテーマとは違ってしまう。

最寄りの入口から地下街なんばウォークに逃げ込む。ここも賑やかだけれどいくらかマシなのだ。
なんばから先、チェリーローズの4編成は、ひと駅先の桜川で転針して新なにわ筋を北上する。

っとその前にアーケードの難波センター街商店街に紛れ込んで、ご同輩ひしめき合う赤垣屋の暖簾をくぐった。
入口で立ち尽くすボクにカウンターの中のお兄さんが手招きでわずかなスペースに誘導してくれる。
右肩をズイっと捻って斜め45°にカウンターに立つ。先ずはジョッキーで生ビールを呷るのはいつものとおり

今日のおすすめは “うに” なんだと、お兄さん、半ば強引にオーダーを通す。まあ悪くはない。
漂ってくる紫煙を躱わしながら、ホッピーを注いだジョッキーを軽くステアする。
奥の調理場から冷蔵ショーケースに運ばれてきた小鉢を呼び止めて、次なるアテは “マグロぶつ”。

店の名物から “スーパーなんばビーフカツ”、ミルフィーユ風の豚バラにチーズを挟んで美味しい。
ナカをお代わりして濃いめの三杯めを楽しむ。これで小2枚でお釣りが出るから良いパフォーマンスだね。

昼呑みの余韻をマスクで隠してチェリーローズに飛び乗ると、終点の野田阪神までは凡そ10分の乗車。
千日前線は一度も地上を走らずにその旅を終える。エスカレーターで這い出るとまだ早い午後の陽が眩しい。
出張後の週末居残りで Osaka Metro を3路線、ミッションコンプリートまで先は長そうだ。

大阪市高速電気軌道 千日前線 南巽〜野田阪神 13.1km 完乗

大阪エレジー / シャ乱Q