旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

一酒一肴 水天宮・ゴチ「楚々」

2020-03-31 | 津々浦々酒場探訪

 人形町の「ゴチ」へ。信州料理の店にしたのは中学校時代の旧友と飲むから。
互いの記憶を辿ると、学生時代に渋谷で飲んで以来になる。すでに30年も前のこと。
諏訪の舞姫酒造の "楚々 純米吟醸" は、霧ヶ峰の伏流水で美山錦を醸した酒。
うすにごり、フルーティーでやさしい味わいで "信州サーモン" を抓む。
無口なオジサンふたり、故郷の酒で30年ぶりの旧交を温めた人形町の宵。

2019/03

file-066


桜花爛漫 上野恩賜公園

2020-03-29 | 日記・エッセイ・コラム

 夕焼けがあまりに綺麗だったので、上野駅に途中下車してみた。
正面玄関口に車寄せの痕跡が残る昭和モダンな駅舎がアップライトに浮かび上がって美しい。

西郷さんが見下ろす京成電鉄脇の石段を上ると、そこに国立博物館へと続くソメイヨシノの回廊が延びている。

日没直後、まだ天空に明るさがのこる時間、ソメイヨシノは薄桜色の可憐な姿を見せている。
西の空に宵の明星が輝きを増してくると、ぼんぼりに照らされた花弁は次第に妖艶な薄紅色に染まっていく。

とっぷりと宵が訪れると、その花弁は静粛につつまれた清水観音堂の朱色に競っている様にも見える。
時々刻々と様々な表情を見せるソメイヨシノを眺めて、心穏やかな今日の寄り道なのです。

Modern Girl / Sheena Easton 1980
     


梅の香漂うときわ路を往く 常磐線を完乗!

2020-03-28 | 呑み鉄放浪記

 東北地方太平洋沖地震から9年の歳月を経て、3月14日、常磐線が全線開通した。祝。
復旧の翌週、梅の香にも誘われて、ときわ路いわき路を吞み抜けることにした。

早朝のちょっと肌寒い上野駅、霞がかかったような青空が春を実感させます。

常磐線の起点は日暮里、東北本線から分岐して岩沼で再び合流するまでの343kmを往く。
07:02発の331Mはガラガラ、休日だからか、昨今の事情によるものだろうか。

グリーン車のテーブルを下ろして朝の "一番搾り" を愉しむ。
"えちご舞茸の彩り弁当" って名前だったかな?重いっぱいの野菜たちが肴に良さそうだ。

 徳川斉昭によって創建された「偕楽園」はご存知のとおり梅の庭園として知られる。
なんと100種、3,000本の梅が少しづつ時期をずらしながら訪れる人の目を楽しませます。

何が云いたいかって、映した梅花の種類がまったく分かっていないってこと。
それでも可憐な花弁を点けた枝を眺めながら歩くだけで、なんだか心洗われる様だ。

 梅まつり期間の土日祝日、下り電車だけが停車する偕楽園駅からひとつ先の水戸へ。

短い乗り換え時間だけれど、水戸の御老公にはご挨拶しなければと途中下車してみる。
それにしても、ペデストリアンデッキから見渡す水戸駅前は寂しいことになっている。

 水戸からいわきへ向かう2番手ランナーはなんと10編成、こんなに需要があるのか。
この間約1時間30分、車窓に太平洋が広がるのかと思いきや、意外と野の中山の中。

 県境を挟んで磯原海岸と勿来海岸を眺め、常磐炭鉱後を擦り抜けたらほどなくいわき。
駅前から真っすぐ南へ4ブロック進むと、築150年の古民家に卯建が上がっている。
今日は天井を支える梁が見事な「旬菜厨房だんだん」の掘りこたつ席で一杯です。

天栄村は松崎酒造の "特別純米廣戸川" は、福島県産の酒造好適米・夢の香で醸す。
ふんわり優しいバナナのような香り、すっきりした飲み口は食中酒に最適だね。
海鮮丼にのった新鮮な刺身と、天ぷらを肴にゆっくりと愉しみたい。

〆に程よく冷えたコシのある蕎麦をズズっと啜った頃、いわき行き675Mの発車10分前。

小走りに駅に戻って、上野東京ラインでもお目に掛かれるタイプの5両編成に乗車。
いよいよこの先、故郷を離れていた方々や関係者が待望していた復旧区間になる。

富岡駅からは太平洋が望める。そして忙しく動き回る大型ダンプと重機たち。
今も槌音響く防潮堤が完成すると、ここから海は見えなくなるかもしれない。
大野、双葉辺りでは、車窓から見える人の気配がしない家々に心が痛む。

 壮大な「相馬野馬追」が繰り広げられる原ノ町には、仙台から2両編成が迎えに来た。
馴染みのない、緑と赤のラインが鮮やかな車両がこの旅のアンカーを担ってくれる。

快適に飛ばして1時間、岩沼で東北本線と合流し、梅香に誘われた常磐線の旅は終わる。
吞み人をホームに残し、列車はこのまま杜の都仙台までもうひと走り旅を続ける。

常磐線 日暮里~岩沼 343.1km 完乗

ビューティフル エネルギー / 甲斐バンド 1980


町の中華屋・洋食屋 浦和「洋食屋」

2020-03-26 | 日記・エッセイ・コラム

 近頃の諸事情で隔週テレワーク中、そこで今日のランチも旧中山道・浦和宿にて。
流通系の女性、商店主、奥さま連れ、県庁職員、いつもと違うランチ事情を眺めてる。
「洋食屋」という名の昔ながらの洋食屋さんはこの界隈で評判の繁盛店。
"ポークロースの網焼き粒マスタード添え" を注文、ドリンクが付いて950円。
ロースにしては柔らかな肉、焼き目にソースをからませ、マスタードをのせて美味しい。
暫くこの辺りを開拓することになるのかな。初めてのお店のドアを開けるのは楽しい。


Biz-Lunch 浦和「料理処 石屋」

2020-03-24 | Biz-Lunch60分1本勝負

 見ごろを迎えた玉蔵院の「しだれ桜」は樹齢100年。
そして山門脇にある「料理処 石屋」は、こちらも創業80年の老舗割烹です。
リニューアルした和モダン空間のカウンターが落ち着いた雰囲気で居心地上々。
今日のランチ、ここで "あなご天丼定食" をいただきます。
丼を渡る大きな "あなご天" に、海老天、茄子天、薩摩芋天が脇を固めます。
これに茶碗蒸し、白だし味噌汁、香の物が付いて900円、良いパフォーマンスでしょう。
さあっ、午後も気張っていきますか。


file-010


桜花爛漫 浦和・玉蔵院

2020-03-22 | 日記・エッセイ・コラム

 弘法大師により創建されたと伝わる真言宗の古刹・宝珠山 玉蔵院 延命寺です。
旧中山道から石畳の参道を西に入る。左右に料理屋が並び、正面に山門が見えてきます。

玉蔵院は桜の名所としても名高く、本堂前の樹齢100年を越える "しだれ桜" は見事です。
遠目には、枯山水の白砂に降り注ぐような桜色がキレイでしょう。

仄かに匂うほどに近づくと、黒灰の甍にも、青く透けた空にも、桜色が映えますね。
玉蔵院の "しだれ桜" はすでに7~8分咲き。まもなく例年より早い満開を迎えます。

Call Me / Blondie 1980


大都会を単行ディーゼルカーでのんびりと 城北線を完乗!

2020-03-21 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 枇杷島駅から岐阜行きの普通が出発すると、隣りのホームに1両の気動車が見える。
メタリックシルバーにオレンジのライン、見た目にはJR東海の車両と同じだ。
わずかな乗客を乗せた単行気動車は、大袈裟な唸りを上げて東海道本線をオーバーパス。

名古屋中心部の北辺を東海道本線と中央本線を東西に結ぶ東海交通事業城北線は、
全線複線そして高架。でもこの立派な構造物に単行気動車が1時間に1本走るだけ。

ずっと寄り添ってきた名二環高速が単行気動車から右に離れると終点の勝川。

えって云うか、単行気動車は勝川駅のずいぶん手前で停車してしまう。
否、正確なところ城北線の勝川駅はJR中央本線と連絡していない別個の駅であった。

JR線に乗り継ぐには約500m、この通路を歩かなくてはならないのだ。
ところでJR勝川駅にはすでに城北線が入るべきホームそして路盤ができているのに。
このあたりの不合理は国鉄民営化に伴う、資産と賃料ルールの副産物らしい。

JR勝川駅まで移動したら「きしめん茶屋」で一杯、お約束の生ビールをグイッと呷る。
お得な "名古屋めしセット" は、きしめんにミニ味噌カツ丼、手羽先それに小鉢が付く。
其々気の利いたアテとなり、生ビールを愉しんだ後、きしめんをズズっと啜る。美味い。
早朝からの空腹を名古屋の味で腹を満たして、小さな城北線の旅を終えるのだ。

東海交通事業・城北線 枇杷島~勝川 11.2km 完乗

謝肉祭 / 山口百恵 1980


一酒一肴 和歌山・おぎん「南方」

2020-03-19 | 津々浦々酒場探訪

 

 世界一統酒造の "南方 純米吟醸 無濾過生原酒" はとろりとしたフルーティーな酒。
肴は "地鶏の温玉とり団子"、半分は和がらしで味わい、後半は温玉を割って絡ませる。
玉子の甘みと刻み海苔の風味が相まって美味しい。これまた絶品。
美味しい和歌山の夜は更けて、明日からは紀勢本線で南紀を巡るのだ。 

2017/03
      
file-065


一酒一肴 和歌山・おぎん「紀土」

2020-03-17 | 津々浦々酒場探訪

 

 貴志川線で "たま電車" に乗って、夜は和歌山の雑賀町を彷徨う。
白い暖簾に紀州・地魚・地酒と染め抜かれた「地魚・和食キッチン おぎん」を訪ねた。
名産のしらすを使った "じゃこサラダ" を肴に "紀土 カラクチキッド" をいただく。
斬新なネーミング通りキレのある酒は、海南市の平和酒造の特別純米酒なのです。
お酒をなみなみと注いでくれた "あみちゃん" はこの日がアルバイト最終日。
透明感のある素敵なお嬢さんは4月からは社会人だそうだ。1年生頑張って! 

2017/03

file-064


名古屋鉄道の旅終える 犬山線・各務原線を完乗!

2020-03-14 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 深紅の6両編成が、かつての鉄道道路併用橋・犬山橋を渡る。流れるのは木曽川だ。

 名古屋から各駅停車に乗って2つ目、東枇杷島は犬山線の起点。
電車が東枇杷島を発ち、庄内川を渡ると、名古屋本線と犬山線は左右に振り分かれる。

全線複線、ときおり高架、快速特急も空港特急も走る犬山線は輸送容量が大きい。

6両編成の急行で、小牧線、広見線を集めて犬山駅、さらに1つ先の犬山遊園で途中下車。
犬山城、モンキーパーク、木曽川うかい、観光地最寄り駅には全ての列車が停車する。

 木曽川河岸の小高い山上の犬山城天守に登城、一望する濃尾平野の眺めが素晴らしい。

木曽川上流方向に目を転じると、たっぷりと雪を抱いた御嶽山が望める。
信州から見ると山々の連なりの中のひとつだけれど、濃尾平野から見ると雄大な独立峰、
なるほど厚い信仰と畏怖の念の対象であることが頷ける美しい山容だ。

犬山城を降りて、最後の1区間は豊橋から走って来た特急に乗車する。

新鵜沼駅は犬山線の終点であり、各務原線の起点でもある。
2001年まではJR線に直通し、名鉄名古屋から高山まで走る特急列車が運行されていた。
故に隣接するJR鵜沼駅との間に連絡線があったのだが、今は撤去されている。

各務原線の区間は新鵜沼~名鉄岐阜であるが、全ての列車は犬山線から乗り入れる。
岐阜行きに乗車して1つめが鵜沼宿駅、その名の通り中山道の宿場町だ。

鵜沼宿は中山道のうち、日本橋から52番目の宿場町。
脇本陣など景観建造物の保存改修、水路の復元がなされ、宿場町の雰囲気を味わえる。

新鵜沼から岐阜までは、急行で25分、各駅停車で30分のいずれにしても短い旅になる。
名鉄岐阜駅では名古屋本線と線路は結ばれず、5・6番線は車止めで行く手を塞がれる。

岐阜駅周辺には、昼から飲めそうな店が点在している。
東海道本線を延々帰る前に「大衆酒場ホームラン」で軽く一杯。

"かつおたたき" にレモンを絞ったら、先ずは、神泡ザ・プレミアム・モルツ生を呷る。 
地酒は美濃太田の "御代櫻"、冷でよしぬる燗でよし、キレ味の鋭い辛口の純米酒。
アテに択んだ "こうや豆腐玉子炒め" は美味いというほどではないが腹は膨れるね。

 旅の終わりに岐阜駅前で見かけた名鉄の岐阜市内電車、モ510形と云うらしい。
大正ロマン香る「丸窓電車」は、空襲を乗り越え2005年まで走っていたそうだ。
キレイにお色直しを終えたモ513は、ここ岐阜駅前広場に昨秋から展示されている。
旧い名鉄の路面電車に対面して、名古屋鉄道全線444.2kmの呑み潰しを終えるのだ。

名古屋鉄道・犬山線 東枇杷島~新鵜沼 27.4km
     各務原線 新鵜沼~名鉄岐阜 17.6km 完乗

不思議なピーチパイ / 竹内まりや 1980


人生のそばから 善光寺「十割そば 大善」

2020-03-12 | 旅のアクセント

 善光寺を訪れたのは1年振りだろうか。
その時には季節を感じさる雪が散らついていたけれど、今日は気配もない。
今朝、別所温泉は北向観音堂の千手観音菩薩を詣でてから長野にやってきた。
これから阿弥陀如来を詣でると「両詣り」と云って古来良しとされる両尊参詣となる。

長野駅までの2キロほどをぶらり、久しぶりの故郷を感じて歩こう。
参道(中央通り)は旧北国街道、加賀百万石の大名行列や佐渡の御用金が通った道。
立ち寄り必須の「八幡屋礒五郎」で七味唐がらしを補充調達、これでしばらく安心だ。

さらに大門交差点を下って「十割そば 大善」で霧下の十割そばをいただく。
「霧下そば」は、霧が立ち込める高原の冷涼な気候下で穫れる良質な蕎麦の代名詞だ。

"十割そば" を大盛り、とろろ付きを注文。10分ほどで艶やかなそばが運ばれてきた。
のど越よし香りよしの蕎麦を、先ずは鰹節風味のやや甘の汁でズズっと、香りが広がる。
中ほどで、山葵を溶いたとろろをたっぷり絡めて美味しい。最後はシンプルに汁で啜る。

大庇と列柱の長野駅にもどって、次の "あさま" までは30分と少々。
信州の酒蔵とワイナリーから日本酒とワインを集めた「信州くらうど」で列車待ちの一杯。
択んだのは"松尾 純米手造り"、槽口からの搾りたての生原酒は「霧下」信濃町の酒。
この馥郁たる香りを愉しんで信州の旅を終えるのだ。


file-026

Love Song / ツイスト 1980


信州・別所温泉「かしわや本店」にて

2020-03-10 | そうだ温泉にいこう!

 柔らかな朝のひかりに包まれて、総檜の吹き抜けの風呂に浸かる。
優しいひのきの香りを独占して至福。早起きはするものだ。心までときほぐされていく。

かしわや本店は、北向観音のとなりに100余年、文人墨客に愛された和の風情の宿。
実際、あらゆる面に行き届いたもてなしは満足度が高く、定宿にしたい湯宿でした。

 食事処「旬季亭」に案内いただく。
先ずは利き酒スタンドで塩田の地酒「月吉野」の純米酒、本醸造、原酒を飲み比べ。
楽しい趣向だね。本醸造 "かくし酒" をいただこう。
先付は季節柄お雛様。お内裏様は "信州和牛ロース"、お雛様に "ホタテ酒盗" が。

造里は "海と川の幸" だって、信州サーモン、岩魚、真鯛が盛られてなるほどね。
一緒に小鉢は "鮎白玉饅頭"、吸い物は "えごま豆腐白味噌仕立て" が供された。
煮物は "筍、鰊、海老、ふき"、なかなか上品な酒肴だ。焼物は "銀ダラ西京焼き" だ。 

蒸し物に "鰻蕪蒸し"、揚げ物に "白魚と芹かき揚" が運ばれて、二本目の酒を択ぶ。
丸子の "明峰㐂久盛" は、淡麗でバナナのような香りの純米酒、コクのある料理に合う。
台の物は "信州和牛朴葉みそ焼"、ジューシーな霜降りをリンゴ味噌に絡めて美味しい。
まったりした口を "龍飛昆布巻" で中和したら、まだまだ吞めそうだ。

お食事は "蛤吸" に "雛寿司"、デザートは "三段菱ムース" って、最後もお雛様にこだわる。
春の到来を感じる信州のご馳走と地酒を堪能して満足の宴。

 日の出の刻に響く北向観音の鐘で起床する。なんたって「観音様となりの宿」だから。
お蔭で総檜吹き抜けの風呂を独占って贅沢をさせていただく。
さて、北向観音堂は名前の通り北を向いてる。善光寺のご本尊と向き合ってるってこと。
現世利益にご利益がある千手観音菩薩(北向観音)を詣でた後、来世にご利益がある
阿弥陀如来(善光寺)を詣でる。これを「両詣り」と云って古来両尊参詣が良いとされる。
当然、この後帰省がてら善光寺を訪ねるのだ。

道化師のソネット / さだまさし 1980
      


やきものの町 瀬戸を巡る 名鉄・瀬戸線を完乗!

2020-03-07 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 瀬戸線は名古屋中心部の栄町とやきものの町瀬戸市を結ぶ。
他の路線と接続しない孤立路線は、年配の方からは瀬戸電(せとぜん)と愛称される。

テレビ塔を見上げるオアシス21(栄バスターミナル)、この地下に栄町駅がある。
日曜日とは云え、名古屋一の繁華街栄がこの静けさ、大丈夫なんだろうか。

09:10、尾張瀬戸行き急行に乗車する、っと云っても先行列車を追い越すことはない。
市街地を走る瀬戸線は、東大手までは地下を、その先大曽根までは高架線を走る。
さらに矢田川鉄橋を渡ると、いつしか車窓は静かな住宅街へと変わっていく。

車両基地を隣接し、多くの普通列車が折り返す尾張旭から先は急行も各駅に停車する。
なんとなく上り勾配を感じ始め、やがて右手に瀬戸川が寄り添うと終点の尾張瀬戸だ。

 古い窯道具を使用して築かれた塀や壁が400mも続く「窯垣の小径」は趣のある散歩道。
雑誌やガイドブックにも紹介されるフォトスポットでもある。
季節外れの小径は訪れる人なく、荷車や担ぎ手が往来した昔を想像しながら散策する。

小径を抜けると瀬戸本業窯の登り窯が姿を現す。
傍らには雰囲気のいいカフェがる。時間があればランチをめざして訪ねると良い。

やきものの町を散策した呑み人は、「みそかつレスト サカエ」で冷たいビールを一杯。
アテは "ネギみそかつ"、甘い味噌ダレを山盛の刻みネギが中和して、最後まで美味しい。
栄町から30分、窯元や工房を巡る瀬戸への小さな旅は大人の散歩コースなのだ。

名古屋鉄道・瀬戸線 栄町~尾張瀬戸 20.6km 完乗

Hey Lady 優しくなれるかい / 庄野真代 1980


旅するどんぶり 別所温泉「馬肉うどん」

2020-03-05 | 旅のアクセント

 別所線に乗ってガタゴトと、緩やかな勾配を上ってレトロな別所温泉駅に到着する。
遠くに見える四阿山(あずまやさん)を除いて、沿線にはまったく雪は見られない。
こりゃ車でこれたかな。軽井沢にも雪がなかったからね。

     

 ここ塩田平一帯は、鎌倉幕府の重職であった塩田北条氏が約60年統治したことから
「信州の鎌倉」と呼ばれ、このころ建てられた神社仏閣など多くの文化財が残ってる。
鎌倉の建長寺などと並んで、日本で最も古い臨済禅宗寺院のひとつが安楽寺。
木造八角三重塔は、全国で一つしかないという貴重な建築で、国宝に指定されいる。

 温泉街に戻って日野出食堂、昭和風情の店の引き戸がガラガラとノスタルジック。
ラーメン、蕎麦、うどん、そして丼物類、品書きの木札には不動のラインナップが並ぶ。
小上がりには外湯を浴びた地元のご主人たち、三々五々集まって一杯やっている。

今回はこの店が元祖と云う "馬肉うどん" を注文する。600円とリーズナブル。
柔らかなうどん、甘じょっぱい出汁が染みたたっぷりの馬肉、これなかなかの美味。
サイドメニューに "玉子丼" を3人で分ける。椎茸と蒲鉾が入って、こちらも懐かしい味。
お腹を満たした頃、ちょうどチェックインタイム。今日は心ゆくまで別所の湯に浸ります。


file-034


人生のそばから 浦和「梅玉」

2020-03-03 | 旅のアクセント

 梅玉(ばいぎょく)、歌舞伎ではない、浦和の旧中山道に80年続く老舗そば処だ。
有休を取って人間ドックを受けてきた。15~6時間ぶりに口にするのは冷えた生が良い。
上品に、でも厚く切られた "板わさ" を供に、ビールが五臓六腑にしみわたる。美味いね。
梅紋が描かれた年季が入ったせいろで、手打ちそばが運ばれてきた。野菜天を添えて。
濃いめの汁で、コシあるそばをズズっと啜る。云うことなし。
トロトロのそば湯を含みながらメニューを眺める。一品料理に地酒も充実しているなぁ。
これは夜も訪れてみましょうか。


file-025