旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

妖怪ウォッチと金太郎と水と緑のビール工場と 大雄山線を完乗!

2015-07-25 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 伊豆箱根鉄道大雄山線に乗ってアサヒビール神奈川工場をめざす。
小田原駅2Fコンコース、巨大な小田原提灯の下に「←大雄山線」のサインを見つける。
地味な通路を抜け、階段を中2階まで降りると、突然見るものを圧倒する天狗の面。
沿線のパワースポット大雄山最乗寺のものだ。

大雄山線は、12分間隔できっちりと小田原と大雄山の間をシャトルしている。
「妖怪ウォッチ」のヘッドマークを付けた電車が夏休みの子どもたちの乗車を誘う。
3両編成は、終始緩やかな勾配を20分上り続けて大雄山駅に終着する。

終着駅の引込線には何やら曰くのありそうな黄色の車両、「コデ165」と記されている。
現役なのか運用外なのかは解らない。

鉄路の行先を塞ぐような駅舎を出ると、熊に跨りお馬の稽古をしている金太郎に出会う。
猿やタヌキを従えた姿は、最近見慣れた通信会社のCMに登場する彼とは雰囲気が違う。

路線バスに揺られて約15分、丹沢の山々を背景に水と緑が溢れる美しいビール工場。
敷地内のビオ・ガーデンには様々な生き物が生息し、初夏にはホタル鑑賞会が催される。
夏休みは子ども連れで賑やか、ラインに缶ビールが流れていく様子に歓声が上がる。
朝の天気予報は関東内陸部では40度を超え、小まめな水分補給を呼びかけていた。
涼しげな山々の緑を眺めながら良く冷えたドライプレミアムを呷る。これ、なんと美味しい熱中症対策だろう。

伊豆箱根鉄道・大雄山線 小田原~大雄山 9.6km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
兄貴のブギ / 萩原健一 1975


握りまでたどりつかない鮨処で「楯野川」

2015-07-22 | 日記・エッセイ・コラム

 地元に "獺祭" が飲める鮨処がある。これを楽しみに出掛けたのだけれど、
「旬の酒 いと涼し 夏の冷酒」の品書きに、小海線の旅で訪ねた信州・佐久の酒を発見。
こういう再会は嬉しい。迷わず "亀の海 蝉しぐれ 夏吟醸"、淡麗辛口の酒を一杯。肴はお奨めを切ってもらおう。

続いて鮪のしぐれ煮。
魚が続いたので夏野菜など。 "なすの田楽" と "とうもろこしのかき揚げ" を。
甘みのある夏野菜には、山形の "楯野川にごり生" がよく合った。淡麗旨口の酒だ。

再びの淡麗辛口は会社の同僚が絶賛していた佐賀の "鍋島" を択ぶ。肴は "蛤の酒蒸し"。
終に "獺祭" には届かず。肴にも逸品を並べ、握ってもらうことのない鮨処の夜なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
人恋しくて / 南沙織 1975


工場できたての "ドライプレミアム" を つくばエクスプレス線を完乗!

2015-07-18 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

快速に乗車する。御徒町、浅草と地下を走り、北千住ではスカイツリーラインと並ぶ。
荒川を渡ると再び地下に潜り、南流山からは直線主体の高架橋となって、田園地帯を
130kmの高速運転で飛ばして行く。関東鉄道線と接続する守谷までは僅かに32分だ。

つくばエクスプレス線の起点は秋葉原。大型量販店が並ぶ中央通りを跨ぐ総武線、
高架橋下や周辺にはラジオや無線機の部品を扱う小さい店が並んでいる。
学生時代のイメージで降り立った秋葉原、メイド喫茶やAKB48劇場には少々ドギマギする。

喧騒を離れた西口ロータリー、学園都市へ向かう地下駅への階段が口を開けている。
電車は快速、区間快速、各駅停車と機械的な間隔のダイヤで発車していく。

ところでコンコースにヤマザキの「ランチパックSHOP」を見つけた。
これ今日一番の発見、ここTX秋葉原駅改札と池袋駅北口改札にあるそうだ。

2005年開業のつくばエクスプレス線、都心と学園都市をダイレクトに結ぶ沿線に酒蔵は無い。
そこで守谷にアサヒビールの主力工場を訪ねてみる。

アサヒビール茨城工場は最大の生産量を誇る主力工場、栃木県と神奈川県を除く関東一円に出荷している。
つまり仕事帰りの一杯も、家呑みの一杯も、この工場で生産されるスーパードライを飲んでいることになる。

60分の工場見学後、筑波山やスカイツリーを臨める地上60mのタワーで試飲タイム。
スーパードライ、ドライプレミアム、スーパードライ・ブラック、冷えたビールが最高。

 守谷から終点のつくばまでは15分の乗車、都合45分で都心から学園都市を疾走している。
つくば駅前は商業ビル、オフィスビル、都市公園が囲み、整然で無機質な未来都市だ。
そう言えば中央公園入口のベンチで、江崎玲於奈博士が街並みを眺めていたっけ。

つくばエクスプレス線 秋葉原~つくば 58.3km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
「いちご白書」をもう一度 / バンバン 1975


世界遺産旧富岡製糸場と刺身蒟蒻と鶏重と 上信電鉄線を完乗!

2015-07-11 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 呑み鉄番外編、上信電鉄線で高崎から富岡を経て下仁田へと上州路を走る。
駅ビルの階段下から200mほど進むと改札口、プラットフォームは0番線の表示だ。
佇んでいる2両編成の電車はどこかでお会いした顔、たぶん西武鉄道ではないだろうか。

電車は2つめの佐野のわたし駅で烏川を渡ると、進行方向を西に転じて下仁田をめざす。
ローカル私鉄ならではの細く継ぎ目の多いレールに、電車はガタガタと大袈裟に揺れる。

旧富岡製糸場では40分のガイドツアーに参加した。ガイド氏の詳細かつユーモア
溢れる説明に、明治初頭に国の近代化、殖産興業に努めた人材の想いに触れた。
教科書だけでは解らないことは沢山ある。本物を見て聞いて触れ合うことは貴重な体験だ。

 再び車中の人となって終点をめざす。上州富岡から下仁田までは20分少々の旅だ。
終点の二つ手前の南蛇井(なんじゃい)までは、鏑川に沿ってほぼ直線的に緩やかな
勾配を上がってきたのだが、様子が少し変わってきた。
千平にかけてかなりの勾配になり、さらに鏑川に合わせて線路大きく蛇行を始める。

短めのトンネルを2つ潜ると、最後の直線をモーターを唸らせてラストスパート、
やがて電車は見頃の終わった紫陽花が咲く下仁田のプラットフォームに終着する。

上信電鉄の名に込めた信州への夢は、県境まで10kmほどを残して下仁田駅で潰える。
恐慌、戦争、モータリーゼーション、理由は様々だけど峠を越えなかった鉄道は多い。

 真昼間から焼き鳥屋とも鰻屋ともつかない香ばしい空気が流れてくる。
旅館常盤館に下がった「こんにゃく料理」の暖簾を潜る。香りの主は「とり重」だ。

この辺りは生糸、製材、こんにゃくで潤い、芸妓さんの置屋もあって賑わったそうだ。
通された部屋に飾られた写真を見ながら和風美人(それも結構な)の若女将が話してくれた。

まずは名物の "刺身こんにゃく" をアテに、息子に注いでもらったスーパードライで一杯。
そして香ばしい "とり重" をいただく。とても美味しい日曜日となった。

上信電鉄・上信線 高崎~下仁田 33.7km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
ただお前がいい / 小椋佳 1975年


旅の途中 ぐんまワンデー世界遺産パスとリゾートやまどり号と軽井沢ビール 高崎線で呑む!

2015-07-04 | 日記・エッセイ・コラム

 わざわざ梅雨時の日曜日に乗るのは、「快速リゾートやまどり号」 が走っているから。
この厳ついフェイスと地味目の塗装は群馬県の鳥「ヤマドリ」をイメージしているのだ。
でっ、車内は横3列のゆったりとしたグリーン車仕様のリクライニングシートで快適。

雨上がりの大宮駅、乗降客数やエキナカの賑わいに比べて相変わらず地味な東口。
学生時代の上京・帰省、シュプール号、出張など、乗りつくした(通過した)高崎線で飲む。

息子に「富岡製糸場」を見せる社会科見学も兼ねているので、控えめに缶ビールで我慢。
用意したキップはその名も「ぐんまワンデー世界遺産パス」と大層なネーミング。
群馬県内のJR線・私鉄線が乗り放題で2,100円は結構使える。

快適な「リゾートやまどり」 で寛ぎたいけれど、幹線の高崎線では待合せ停車もなく70分ほどで走り抜る。
列車は長野原行き。伊香保、四万、草津、万座etc、上州の温泉をめざすのなら特急よりこの快速がお奨めだ。
残念ながら、私たちは高崎で下車して上信電鉄線に乗り換えて富岡を訪ねる。

「快速リゾートやまどり号」は、静かに高崎駅の2番線に滑り込んだ。
別のホームにはD51が牽引するブルートレイン、週末の高崎駅はなかなか賑やかだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
面影 / しまざき由理 1975年