旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

人生のそばから 長沢茶屋@妙高市

2024-05-14 | 旅のアクセント

群馬県長野原町を起点に、R292は志賀草津道路として日本国道最高地点(標高2,172 m)を通過する。
そのまま辿ると新潟県妙高市に至るわけだが、新潟長野県境は富倉峠を越える。

雪深いこの辺りは小麦が採れないから、そばのつなぎにオヤマボクチ(ヤマゴボウ)の葉っぱの繊維を使う。
コシが強くみずみずしい食感の “富倉そば” は、幻のそばなんて言われたりする。

新潟方面に所用があったGWの終盤、軽井沢ICを降りて新緑の上信越高原に車を走らせた。
この富倉峠を越えてまもなく「山菜そばまつり」の赤い幟旗を目にする。っと、慌てて車を減速するのだ。

件の「長沢茶屋」の前では、運動会に登場するようなテントを張っている。
地元の親父さんたちが採りたての山菜を販売している。おっと、“たけのこ汁” を振舞っている。
ボクたちは、蕎麦のチケットと “笹寿司” を求めて店内に入る。親父さんがトレーでたけのこ汁を運んでくれた。

笹の葉に酢飯をよそり山菜、椎茸、胡桃などの山の幸や、大根の味噌をのせた笹寿司は上杉謙信の野戦食。
子どもにころは、確か妙高高原の駅弁として売られていた。海水浴の思い出と重ねてボクには懐かしい。

嬉しいのはたけのこ汁、姫竹(ねまがりたけ)が入っている。
姫竹の水煮、玉ねぎ、じゃがいも、溶き卵、味の決め手はサバの水煮、これっ北信濃のソールフードだ。

懐かしい味を堪能するうちに、せいろが山菜の天ぷらを従えて登場する。
コシが強くて、喉越し、香りの高さともに申し分ない “富倉そば” が美味しい 。

取り立てて予定のなかった今年のGWだけど、思いがけず美味しいロングドライブが楽しい。

 

*長沢茶屋さんは新潟県側のお店なので、本来「長沢そば」と書かないといけないかも知れませんね。
関係者の皆さん、ひろい心でお許しください。

<40年前に街で流れたJ-POP>
青春のいじわる / 菊池桃子 1984


ご当地旨ラーメン事情 富山「まるたかや」

2023-10-18 | 旅のアクセント

醤油をベースにした真っ黒なスープは想像以上の黒、勧められた太麺を択ぶ。
レンゲで真っ黒をひと口、こっこれは辛いというか塩っぱい。
しょっぱいスープを絡めた太麺をズズッと啜って、美味い、いやビミョーだな。
いや、食べるにしたがって「これは美味い」の暗示にかかってくる。きっと遠からずまた食べたくなる。

戦後復興期におにぎりやドカ弁を持ち込む労働者たち、そのおかずになるようなラーメンなのだそうだ。
この手の話はよく聞く。三条のカレーラーメン、太田の焼きそば、みな高度成長期の産物だ。

ご機嫌な時間を過ごした酒場を後にして、電車通りを渡って城址大通りに出る。
賑やかな交差点の角に「富山ブラックラーメン」の幟がはためいている。入ってみようか。
地酒が並んでいるし洋酒のボトルも逆立ちしている。おでんが煮えているし、かき氷のメニューもある。
いったい何屋さん?でも厨房を囲むカウンターはラーメン屋のそれだなぁ。
なんだか混沌としていて、それでも昭和27年創業の老舗ラーメン屋での一杯なのだ。


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<40年前に街で流れたJ-POP>
月夜に気をつけて! / 中原めいこ 1983


駅そば日記 福井•今庄そば「冷やし梅昆布そば」

2023-10-04 | 旅のアクセント

ぶっかけタイプのいわゆる “越前そば” に梅肉ととろろ昆布をのせて、んっ暑い日には堪らんね。
殻まで挽いた田舎そばは黒っぽい色合い、やや太い歯応えのある蕎麦は、啜るというより噛んで食べる。
おかか、昆布、梅肉と、箸で掴むとところで味変を楽しんで、冷たいぶっかけそばが美味しい。

コンコースに構える立喰の店には老若男女が列して、首都圏の駅そば店とは趣がちがう。
そんな立喰いスタイルは、今や福井駅と武生駅にに残るのみだとか。
来春には “かがやき” がここまで伸びるから、手軽に “越前そば” を試したい。
おっとなにやら外では恐竜が吠えているね。

<40年前に街で流れたJ-POP>
Lucky Lips / 早見優 1983


Go!Go!West! 6 駅そば日記・保土ヶ谷「ねぎだくごまだれそば」

2023-09-20 | 旅のアクセント

冷水に晒したそばを盛ったら、白髪ネギをたっぷりのせる。
大匙でぶっかけたあげ玉が、ごまダレでほどよく流れて、見た目も涼しげな “ねぎだくごまだれそば”。

割り箸で大掴みにズズッとまずはサラダ麺風に、んっと胡麻の風味が爽やかだ。
そば汁にワサビを溶いたら安定の冷やしたぬきが美味しいね。
小母さんに勧められるままに辣油を数滴落とすと、あら不思議とサッパリと味変してこれまた美味。

朝のラッシュが引いた保土ヶ谷駅、東海道本線の駅ながら横須賀線の電車しか停まらない。
階段下ではありながら、案外と十分なスペースをとって、クーラーが効いた「駅そば」が健在だ。
涼しい店内で夏限定メニューゆったりとをいただく平日のお昼前なのだ。

保土ヶ谷駅ホーム「濱そば」: ねぎだくごまだれそば 500円

<40年前に街で流れたJ-POP>
UNバランス / 河合奈保子 1983


駅そば日記 麺処新白河「白河ラーメン」

2023-08-02 | 旅のアクセント

日の高いうちから宵の口までよく呑んだから、どうも汁物が欲しくなりますね。
ようやく辿り着いた新白河、乗り継ぐ黒磯ゆきは40分待ち、っでコンコースの「麺処 新白河」へ。

駅そばと侮ることなかれ。ご当地 “白河ラーメン” 特有のちぢれ麺に濃いめの醤油ベースが絡んで美味い。
ナルト、叉焼、メンマ、海苔、ほうれん草、それに刻みネギ、良き時代の中華そばの再現だね。

閉店時間が近いのにお客様は引も切らず、おかあさんと若いバイトさんが頑張っている。
“白河ラーメン” のブランドは、400円単価の駅そばを700〜800円単価に引き上げて、
なかなか繁盛している現代の関所(乗り換え駅)新白河の駅そばなのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
半分少女 / 小泉今日子 1983


駅そば日記 湯沢庵「山菜そば」

2023-04-19 | 旅のアクセント

 大掴みした太麺をズズッと啜る。甘塩っぱい汁が絡んで美味。染み渡るとはこのことだなぁ。
それにしても、黒味がかった太さが不揃いな田舎そばは、もしかして生麺?手打ち?と思わせるくらいだ。
今採れたものではないことは分かっていても、麺をおおう山菜たちには春を感じずにはいられない。

賑わうCoCoLo湯沢の「がんぎどおり」には、越後の味を堪能できる飲食店が軒を並べているのだけれど、
中々どうして、コンコースの中ほどにある立ち喰いスタンドの蕎麦は、まったく引けを取らないと思うのだ。
高田城址公園観桜からの帰り道、ホッとする午後の一杯なのだ。

越後湯沢駅コンコース「湯沢庵」: 山菜そば 500円

<40年前に街で流れたJ-POP>
夏色のダイアリー / 堀ちえみ 1983


駅そば日記 秋葉原•新田毎「春菊天そば」

2023-03-08 | 旅のアクセント

 手のひらのような大ぶりな “春菊天” が、丼から青々とした葉を広げるように飛び出している。
ちょっとやそっとじゃ箸が通らないくらいカリカリっと揚がっているいるね。少し放っておくのが良い。
そばを大掴みにしてズズッと啜る。美味しい。つゆを吸って春菊天の腰が折れてきたら、ひと口齧ってみる。
口の中に芳醇な苦味が広がる。甘じょっぱいコクのあるつゆと春菊の苦味が絶妙だね。

久しぶりに総武線ホームの新田毎までやって来た。
前回は “ステーキカレー” に目移りしてしまったから、今度こそはと名物の “春菊天そば” のボタンを押した。
噂に違わずというか、期待を裏切らずというか、ほんと美味しい一杯でした。ごちそうさまです。
寒の戻りの冷たい風に、コートの襟を立てる。マスクの中にはつゆの甘みと春菊の苦味が残っている。

秋葉原駅3階 6番ホーム「新田毎」: 春菊天そば 500円


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<40年前に街で流れたJ-POP>
ストロー・タッチの恋 / 河合奈保子 1983


Go!Go!West! 5 駅そば日記・横浜「豚肉白菜そば」

2023-02-22 | 旅のアクセント

 トレイにのった丼を受け取ると柚子が香る。なるほど食欲をそそる。
先ずは汁をひと口、んっなかなかいい。そばを大掴みにしてズズっと啜る。豚肉と一緒にね。美味しい。
豚と白菜と柚子、寒い日の鍋の終わりに麺を入れたような。いや茹で蕎麦は入れないか。だいいち出汁が違う。

横浜駅のコンコースってキレイになりましたか?なんだか雰囲気が変わったような気がするなぁ。
赤レンガの壁面にぽっかりと石造り風に「濱そば」が埋め込まれていた。メニューのラインナップは
他のJR-Crossの店舗と変わらないようだけど、季節限定メニューはそれなりに美味しく楽しいのだ。

温まった身体を寒風が吹き抜けるホームに運ぶと、ちょうど上品な濃紺色のサフィールが入ってきた。
さてと、次の保土ヶ谷駅はホームに蕎麦スタンドがあるらしい。嬉しいね。
でも横須賀線の電車しか停まらないのでホームを変えないとね。それでは次回、保土ヶ谷で。

横浜駅南口コンコース「濱そば」: 豚肉白菜そば 540円

<40年前に街で流れたJ-POP>
1/2の神話 / 中森明菜 1983


Go!Go!West! 4 駅そば日記・川崎「舞茸と長芋かき揚げそば」

2023-02-01 | 旅のアクセント

凍えた手に丼の温もりを感じて汁を一口、割り箸で大掴みしてズズッと啜る。なんだかホッとする。
季節メニューの “舞茸と長芋かき揚げそば” を択ぶ。舞茸の香りと長芋の食感が楽しい。
実際、かき揚げの出来栄えは申し分ない。サクサクを一口、徐々に出し汁が滲みたのがまた美味しいのだ。

東海道本線を進めて3駅目の川崎、3面6線を有するにホーム上にそばスタンドはない。
エキナカにある「いろり庵きらく」は、今ではJR東日本管内にあって一大勢力になっている。
清潔でカラフルな店内はチェーンのコーヒーショップを思わせる。すでに所謂「駅そば」とは別物か。
手前勝手に駅そばに旅情を求めている呑み人、この先西に進めたら、そんな蕎麦スタンドに会えるだろうか。

川崎駅中央南改札内「いろり庵きらく」: 舞茸と長芋かき揚げそば 560円

<40年前に街で流れたJ-POP>
さよならの物語 / 堀ちえみ 1983 


Go!Go!West! 3 駅そば日記・品川「品川丼」

2023-01-18 | 旅のアクセント

 甘辛のかつおだしのつゆが染みわたった “かき揚げ” がホカホカのご飯を覆って「品川丼」が登場した。
ゲソ・タコ・桜エビが入った “かき揚げ” を頬張ると、この濃い味がなかなか香ばしくて美味しい。
今やちょっとした名物となった「品川丼」はスープと香の物が付いて、けっこう満足のいく量なのだ。

かつてはホームに6店舗を構えた「常盤軒」は、山手線ホームの22号店と横須賀線ホームの26号店を残す。
山手線、京浜東北線、東海道本線に横須賀線が乗り入れるターミナルは、多様な車両が顔を出すので飽きない。
26号店の若草色の暖簾を揺らしてNEXが滑り出した。なお「品川丼」が食べられるのは山手線の22号店だ。

品川駅1番線ホーム「常盤軒」: 品川丼 500円

<40年前に街で流れたJ-POP>
春なのに / 柏原芳恵 1983


Biz-Lunch 札幌「新洋食KAZU」

2023-01-04 | 旅のアクセント

 北海道の美味しい食材を楽しめる人気店、空港から直行したけれど、開店時間を少しすぎて40分待ち。
午後のミーティングに間に合うだろうか?でも過去2回袖にされているから、この機会は逃したくない。

というわけで “KAZU風エスカロップライス” が登場、っと根室で食べたのとなんだかビジュアルが違うぞ。
ライスの上にメンチカツとオムレツ、ご自慢のデミグラスソースをたっぷりかけて、いただきます。

ジュワッと肉汁溢れるメンチに、ふわふわオムレツ、濃厚なデミグラスソースがマッチして無敵に美味い。

ランチにはちょっと高めと思いきや、先ずはミネストローネ(これが絶品!)、創作的な前菜が付いてコース風。
食後にはストロベリーソースのアイスクリーム(これにも唸ってしまった)で大満足。時間にして小1時間。

ちょっと不味いな。地味な雑居ビルの地下から階段を駆け上がると、電車通りは横殴りの雪が飛んでいく。
歩いて10分の距離だけど、信号待ちの空車の赤いランプを追いかけて、ミーティングの20分前滑り込み。

ちょっとヒヤッとしたけれど、美味しい札幌出張のスタートなのだ。ご馳走様でした。


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<40年前に街で流れたJ-POP>
涙のペーパームーン / 石川秀美 1983


Go!Go!West! 2 駅そば日記・新橋「かのやそば」

2022-12-21 | 旅のアクセント

 店の名前を冠した “かのやそば” を択ぶ。ワカメにたぬき、めかぶをのせて、たっぷりのとろろ昆布。
関東のそばにしては澄んだ本ガツオ出汁を絡めてズズッと啜る。次第に昆布のとろみも効いてきてまた美味い。

新橋駅構内にあるけれどJR-Cross系ではないね。こういうお店には頑張ってほしいな。選択肢が多いと楽しい。
1番線に滑り込んできた小田原行きに乗って、次は品川で一杯ですね。ご馳走様でした。

新橋駅構内「かのや」: かのやそば 550円

<40年前に街で流れたJ-POP>
アンサーソングは哀愁 / 早見優 1982


Go!Go!West! 1 駅そば日記・東京「むじなそば」 

2022-12-07 | 旅のアクセント

 タヌキとキツネが同居しているから “むじなそば” ?、おかかが踊っているね。大葉のみどりも嬉しい。
麺を大掴みにしてズズッと啜る。カリカリっとタヌキさん、じゅわっと甘いおキツネ様、美味しい。

6番・7番ホームの下あたりの「二◯そば」は、なかなかいいお値段だけど味とサービスはそれを補って余りある。
新しい旅の始まりだから小瓶を開ける。冷えたタンブラーに注いだらぐっと呷る。んっ生きているなぁ。

今までアトランダムに紹介してきた「駅そば日記」だけど、そろそろテーマを持たせようと思うのだ。
OnでもOffでも余計なことに拘るのは、ボクの長所でもあり(いやむしろ)短所でもあるが、性だから仕様がない。
Go!Go!West!、駅そばで綴って東海道本線を西進しようと思う。これ、けっこう面倒だなぁ。

実は東京駅にもホームの立ち喰いそばがあった。18・19番線の「東京グル麺」なのだが去る9月30日に閉店。
こんなことなら最後に “かつ煮そば” でも食べに行っておけば良かったなぁ。今となっては後の祭りなのだ。
そうこうしているうちに9番線に踊り子号が入ってきた。さぁ新しい東海道本線の旅が始まる。

東京駅構内「二◯そば」: むじなそば 800円  

<40年前に街で流れたJ-POP>
セカンド・ラブ / 中森明菜 1982  


旅するどんぶり 銚子「トロいくら丼」

2022-11-16 | 旅のアクセント

 わさび醤油をたっぷり垂らして “トロいくら丼”、美味いものってビジュアル的には茶系が多いけど、
これだけ美味くて華やかなどんぶりって嬉しいね。半分は肴に、半分はあったかご飯と一緒にいただいた。

本当はいわしづくしを楽しみに来ただけれど、今朝は揚がっていないらしい。代わりに “サンマ刺し”で一杯。
地酒は九十九里山武の “梅一輪”、スッキリとした酒を味わううちに、華やかなどんぶりが着丼するのだ。 


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化粧なんて似合わない / 岩崎良美 1982


ご当地旨ラーメン事情 京都「新福菜館」

2022-10-26 | 旅のアクセント

 ちがうタイプの麺(Men)を 好きになってしまう 揺れる乙女心 よくあるでしょ?
高倉跨線橋の北詰に人気のラーメン屋が軒を連ねている。京都にはOnOffかなり足を運んでいる呑み人だけど、
この二軒はどちらも「初めまして」だから何方でもいい。やや順番が早そうな「新福菜館」の列に紛れ込む。

先行して “ヤキメシ” 着丼、醤油を焦がしたような香ばしい匂いが漂う。この茶色って絶対美味いやつだ。
でも長い目で見ると体に良くないんだろうな。古めかしい薄いスプーンで大きなひと口を放り込む。
予想通りの濃ぉい醤油味が口っぱいに広がる。やっぱり美味い。癖になりそうな味ではある。

続いて“中華そば” 登場、山盛りのネギで麺はおろかチャーシューすら見えない。ネギ増しにしたからね。
辛うじて覗くスープ、これはもう茶というより黒か、レンゲでおっかなびっくりひと口、案外まろやか。
もういいペースで中太麺をズズッと啜っていく。時々トロっとチャーシュー、シャキっとネギを絡めて美味い。

ホントは先斗町まで呑みにいく心算だったけど、尼崎で昼呑みが過ぎたから今宵はラーメン紀行になった。
それでも期待以上のしょうゆ味に満足、今更ながらの旨ラーメンを発見。やはり京都は食に関しても奥が深い。
肌寒さを感じる風に吹かれながら、投宿先へ向かう足取りに、靴裏のベタつきも苦にはならないのだ。


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<40年前に街で流れたJ-POP>
けんかをやめて / 河合奈保子 1982