旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

水曜日は家呑み派 「奥丹波 冷やおろし」

2022-11-30 | 日記・エッセイ・コラム

 デパ地下で買ってきた鮨をガラスの器に並べたら、完熟の秋酒を開けよう。
“奥丹波 冷やおろし” は福知山線を呑み潰した旅の戦利品、ほぼ半年蔵で熟成した濃醇旨口の酒だ。
こんな重厚でコクのある酒には鍋が良いだろうか。豚肉と白菜、焼き豆腐にキノコとあぶらげも放り込む。
お手軽な鍋がぐつぐつ煮えたら旨酒の杯もすすむね。過ぎゆく秋の余韻を感じながら家呑みが愉しい。

<40年前に街で流れたJ-POP>
Invitation / 河合奈保子 1982


臥龍城と宝塚だんじりと奥丹波と  福知山線を完乗!

2022-11-26 | 呑み鉄放浪記

 秋の乗り放題パス(連続する3日間)を握りしめて呑み鉄の旅、二日目は福知山から大阪方面に抜けようと思う。
駅の西にある車両所から223系が入ってきた。新しい形式なのだけど寸詰まりの2両編成なんだね。
10年ほど前に乗った時は堂々の編成だった気がする。JR線もローカルになるとほぼワンマン運転になっている。

由良川と土師川の合流点から福知山城を見上げる。二つの川が天然の堀であったことは想像に難くない。
明智光秀が修築した福知山城は野面積みを用いた石垣が残り、中世の姿に思い巡らせることになる。

山陰本線に福知山線、宮福線(京都丹後鉄道)が乗り入れる福知山駅は鉄道の要衝だ。
高架化された近代的な駅は南北に広場を持ち、新しくできた南口にはC11が転車台に載って保存されている。

09:01、福知山駅を発った2530Mは緩いカーブを描いて山陰本線に別れを告げると、土師川(竹田川)に沿って
田園地帯を往く。そして最初の停車駅丹波竹田を待たずに京都府から兵庫県へと入っていくのだ。

市島駅では列車交換の長い停車となる。ボクがこの駅で途中下車するのは長い停車時間に焦れた訳ではない。

“奥丹波” を醸す山名酒造、1716年(享保元年)創業は丹波で最も古い蔵になるらしい。後続の列車までは1時間、
石造の蔵を訪ねたら、山廃止込みのシェリー樽貯蔵酒、木桶仕込みの純米大吟醸を仕込んで満足の呑み人だ。

福知山から山中を1時間10分駆けて篠山口、2両編成の223系は長い長いホームの中ほどにちょこんと終着する。

向かい側4番線に襷をつなぐ堂々7両編成の321系、大阪行きの快速2752Mが乗客を引き取って滑り出す。

7両編成になったからって、三田、宝塚辺りまではそうは需要がある訳ではない。後部車両は貸切状態なのだ。
然らば遠慮は要らない。大きな窓の広い枠に特別純米と猪口を並べたら、待ちきれずの一杯をいただきます。

阪急の駅ほどではないにせよ、宝塚駅はレンガ造り風の瀟洒な駅だ。初めましての街にちょっと途中下車。
宝塚大劇場に向かって「花のみち」を歩いてみる。ショッピングモールもホテルも立ち並ぶマンションも、
洗練されたデザインでオシャレ、そしてちょっぴりフェミニン。ステキな街並みだけど住むには擽ったい。

呑み人は行く先々で、結構な頻度でお祭りやイベントに当たる。なにか持っているのか?
花のみちでは「宝塚だんじり」と遭遇。川面神社の山車が3台、勇壮な掛け声とともに曳かれていく。
南欧風の大劇場と山車と法被姿の若衆、この洋と和の組み合わせがなかなかシュールな光景と思うのだ。

城崎温泉へ行く特急こうのとり9号が1番線に滑り込む。ボクの乗り込むアンカー1154Cは2番線に停車中。
宝塚始発の各駅停車は、東海道本線を高槻まで走ったり、学研都市線を同志社前まで走ったり、
勝手を知らない関東人からするとその走りはかなりトリッキー、JR西日本のアーバンネットワークが見事だ。

宇宙船のようなペデストリアンデッキから尼崎駅を望む。
福知山線の起点尼崎は鉄路がX字に交わり、神戸・宝塚・京都・同志社前方面を相互に結ぶ結節点の駅だ。

キリンビール尼崎工場の移転で生まれ変わった尼崎北口、高層住宅が立ち並ぶアミング潮江に紛れ込む。
ハロウィンのイベントで賑わうモールの一角、いかにも昭和な大衆居酒屋がポッカリと口を開けている。

先ずはお約束の “生ビール” から、アテに択んだ “ポテトサラダ” はオリーブオイル仕立ての変化球が来た。
それにしてもご同輩ばかりの昼呑み酒場(12時開店)の情景かと思いきや、ベビーカーを押してのママ友呑み、
小さな子どもを連れて家族呑み、紫煙をものともせず話に花が咲く。関西の文化・習俗は興味深い。

ちょい懐かしいBLACK NIKKAの “ハイボール” を飲んでると、おかかを踊らせ “つゆだく明石風たこ焼き” 登場。
これがなかなか面白い。酒を選ばずにいいアテになるぞ。

“蒸し豚のたっぷりネギ塩” も絶品、柔らかなモチモチの豚肉にたっぷりネギ塩ダレを絡めて美味しい。
控えておいた日本酒に手が伸びる。辛口純米 “族” は和歌山の九重雑賀の酒、名前だけで盛り上がりそうだね。
清涼感のあるスッキリとした辛口が蒸し豚の旨味をリセットするなかなかいい相性だと思う。いいね。

2時間と少々で丹波・摂津を駆け抜けた福知山線の旅、尼崎の大衆酒場で美味しく〆る呑み人なのだ。

福知山線 福知山〜尼崎 114.2km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
哀しみの黒い瞳 / 郷ひろみ 1982


風を感じて! わたらせ渓谷紅葉とZと十割蕎麦と

2022-11-23 | 単車でGO!

 快晴の土曜日、ちょっと寝坊して8時前にZのシートカバーを剥がす。久しぶりだね。
単車で走るなら断然高速よりも一般道の方が楽しい。R 17を北上してバイパス上部道路をクルージング。
世良田インターを降りたら、あとは県道69号線でわたらせ渓谷までまっしぐらだ。

大間々の高津戸峡、狭隘な渓谷に両岸から覆いかぶさるような紅葉の紅や朱そして黄色が美しい。

渓谷をさらに遡る。右へ左へ緩やかに登るワインディングが楽しい。いつしかボクらは草木ダムの堤頂へ。

ダム底へと続く細道を降りてみた。堤高140mの巨大コンクリート構造物はさすがに迫力があるね。
左右から迫る山々の紅や黄色に囲まれて、白い壁がずいぶんと弱々しくなった陽を反射している。

草木橋の袂の蕎麦処も錦秋の中、真っ赤なモミジに隠れた古民家に「新そば」の札が掛かっている。

ぼそぼそっと十割蕎麦、さっと汁に浸してズズッと一気に啜る。濃密な香りとともに新そばが美味しい。
モミジ、ぎんなん、まいたけ、天盛りの中にも秋が散りばめられて、ちょっと遅めのランチが楽しいのだ。

わたらせ渓谷鐵道(旧足尾線)の沢入駅付近にやってきた。撮り鉄氏が三脚を構えている。何か来るのかな。
甲高い警笛一声、ディーゼル機関車が牽くトロッコ列車がおっとりやってきた。なるほど車両も錦秋だ。

見頃を終えた山々が枯れるのを待っている。渇水期の低い湖面と相まってなんだか寂しげだ。
もう少し走ると峠を越えて日光に抜けるのだけれどすでに時間を費やした。この辺で踵をめぐらす。
帰る頃には真っ暗だなぁ。ジャケットのジッパーをいっぱいに引き上げて、西陽に向かう駆り人なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
On My Way / 安全地帯 1982


舞鶴旬魚と万願寺とうがらしと池雲祝と 舞鶴線を完乗!

2022-11-19 | 呑み鉄放浪記

 1889年(明治22年)、旧海軍の舞鶴鎮守府が設置された。舞鶴線の歴史はこの軍港とともにあったと云える。
出征者や引揚者の様々な想いを乗せて舞鶴線は走ってきたことだろう。今宵この舞鶴線の短い旅をする。

近代的な高架駅に島式ホームが一つ、1番線に舞鶴線、2番線に小浜線の電車がホームを挟んで停車する。
18:51発の350Mは新しい223系の2両編成、小浜線からの乗継ぎ客を飲み込むと、定刻に闇を突いて走り出す。

30分の旅を簡単に乗り通してしまったら呑み鉄にはならない。呑み人はひとつ目の西舞鶴に降り立つのだ。
道中目星を付けておいた地魚が食べられる居酒屋を、赤れんが倉庫辺りで電話して席を確保しておいたのだ。

先ずはともあれ “生ビール” を一杯、突き出しには “あんきもポン酢” が出てきた。今宵は散財になるかな。
重厚な陶器に氷を敷き詰めて、盛り合わせの6種が美しく共演する。本まぐろ、さわら、真鯛、ぶり、サーモン、
それに舞鶴ならではの “土えび”、歯応えのある美味しいエビだ。量が少なく足が早いので都会では出会えない。

舞鶴の地酒 “池雲 祝” は京都の酒米「祝」で醸す純米吟醸、シャンパーニュグラスでいただく。
柔らかな口当たりとほのかな吟醸香の優しい酒は、ちょっぴり辛口で刺身と良い感じだね。
次なる一皿は “茄子と万願寺の揚げ出し”、万願寺とうがらしはここ舞鶴が発祥の京野菜、ひとつ利口になった。
ほんのり甘い揚げびたしも、純米吟醸のいいアテになる。

二杯目はおとなり福井の “黒龍秋あがり”、熟成してふくよかになった純米吟醸は、山田錦らしい吟醸香だ。
土瓶の熱い出汁をかけると、ふわっと海苔の香りが広がって、〆は大好きな “へしこ出汁茶漬け” の準備完了。
列車の時間が迫ってるからササっと掻き込むのだけれど、なんだかとっても幸せな気分だ。

ひとくち残しておいた “秋あがり” を喉に流して駅へ急ぐ。ガラス張りの西舞鶴駅がキラキラしているね。
福知山まで乗り入れる354Mは濃緑色に塗られた113系。綾部まではあと20分、鼻腔には吟醸香が残っている。

舞鶴線 東舞鶴〜綾部 26.4km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
今夜だけ Dance・Dance・Dance / 中原めいこ 1982


旅するどんぶり 銚子「トロいくら丼」

2022-11-16 | 旅のアクセント

 わさび醤油をたっぷり垂らして “トロいくら丼”、美味いものってビジュアル的には茶系が多いけど、
これだけ美味くて華やかなどんぶりって嬉しいね。半分は肴に、半分はあったかご飯と一緒にいただいた。

本当はいわしづくしを楽しみに来ただけれど、今朝は揚がっていないらしい。代わりに “サンマ刺し”で一杯。
地酒は九十九里山武の “梅一輪”、スッキリとした酒を味わううちに、華やかなどんぶりが着丼するのだ。 


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化粧なんて似合わない / 岩崎良美 1982


気比そばと早瀬浦と舞鶴赤れんが倉庫と 小浜線を完乗!

2022-11-12 | 呑み鉄放浪記

 風の音しかしない静かな駅、列車交換のために2両の125系が少々長めの停車をしている。
南から延びてきた尾根が何本かそのまま海に落ち込んでいて、その合間から青い日本海が覗いているね。

秋の乗り放題パス(連続する3日間)を握りしめて、北陸新幹線工事の槌音響く敦賀までやってきた。
小一時間の待ち合わせ、先ずは佐渡酒造先生に手を合わせる。今回も美味しいお酒と巡り会えますように。

かつてはホームにあったのかな?気比そばあまので “おろしそば” をいただく。ちょっと辛味が美味しい。
「これは “越前そば” ですか?」と呑み人、「いいえ、ここは “若狭” ですからね」と笑顔でお姐さん。
やっ、やっちまった。でも旅人の無知は時としてなごみを生むね。

漸く1番線に932Mが入線してきた。このブルーフェイスの2両編成で小浜線をゆく。
ローカル専用の125系は単行できるように両側に運転台、後から無理やり設置した感じのトイレがあって、
そのせいか座席と窓の位置が合ってなかったり、なんだか中途半端な作りなのだ。

河口が近いというのに川の流れが急だ。美浜駅に到着する前に海が覗いた。秋の日本海が青く穏やかだ。

列車交換する十村駅、ボックスをシェアしていた高校生がたった一人降りていった。静かに時間が流れている。
背景の山並みは福井と滋賀の県境の山、鯖街道もこの山の連なりを越えてゆくのだ。

カポっとワンカップを開ける。独りになったからね。“早瀬浦” は美浜の三宅彦右衛門酒造の酒だ。
しっかりした味わいは、漁師たちの酒って感じだろうか。呑みごたえがあるね。

沿線の中心駅小浜に途中下車してみる。
八ヶ寺をめぐるか、蘇洞門めぐりの遊覧船に乗るか、いずれかが小浜観光の常道だろうがその時間はない。
次の電車までは1時間半、小浜の古い町並みを歩いてみようと思う。

小浜には、人魚の肉を口にして、若く美しいまま不老不死になった八百比丘尼の伝承が伝わる。
マーメイドテラスは、美と長寿を願うモニュメントとして、二人の人魚が小浜湾に臨んでいる。 

狭い路地にベンガラ格子や出格子の家が軒を連ねるのは、小浜西組の三丁町(さんちょうまち)だ。
まるで京都の路地に迷い込んだような気分になるね。家々に灯がともる時刻に歩いてみたいものだ。

この町並みを少々外れるとフォトジェニックな庚申堂がある。
ひっそりとしたお堂に色とりどりの「身代わり猿」が吊り下げられている。飛騨地方のさるぼぼに似ているね。

後続の934Mは16:55発、当然に高校生中学生でいっぱいになる。この状態は首都圏の通勤時間帯と変わらない。

小浜湾に夜が訪れる。マジックアワーが過ぎて半島や小さな島々が漆黒に沈んでいく。もう少し見ていたい。

ブルーフェイスの2両編成は敦賀から2時間、若狭湾とともに緩やかに弧を描いて舞鶴に到着する。
一本の鉄路ではあるけれど、ここから西は舞鶴線として別の運用となる。ここが小浜線の旅の終わりだ。
真っ暗なのを承知で舞鶴港まで足を伸ばす。夜の闇に浮かび上がった「赤れんが倉庫」が美しく幻想的だ。

小浜線 敦賀〜東舞鶴 84.3km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
miss you / Hi Fi Set 1982


風を感じて! 名栗湖紅葉とZと肉汁そばと

2022-11-09 | 単車でGO!

真新しいライディングジャケットを羽織って名栗湖まで走った。見上げる空には澄んだ「青」が広がる。
入間川を遡る県道はご機嫌なワインディングだ。大きなカーブから立ち上がるごとに黄や橙が濃くなっていく。

名栗湖と上流の有間渓谷沿いは見頃まであと少し?それでも所々でモミジが湖面に朱を映している。

名栗渓谷の「鳥居観音」も紅葉のビューポイント、北野武監督の「Dolls」のロケ地でもある。
白雲山に点在する白亜の建造物と真紅に染まった紅葉のコラボレーションはなかなかの見応えだ。

最奥の救世大観音までの山道は、モミジやらカエデやらが色付き、緑から黄・橙・紅へのグラデーション。

玄奘三蔵塔とモミジ、フレームの中に白亜と真紅がピタリと収まって、なかなか美しいのだ。

渓谷のせせらぎを見下ろす「花廼家」さんに立ち寄る。同年輩のバイク乗りが3人偶然に居合わせる。
連んで走るのは好みではないけれど、ライダー同士の情報交換は楽しい。そばを待つ間も退屈することはない。
ひと足先にボクの “肉汁そば” が登場、太さがまばらな田舎そばを温かい旨汁に浸してズズッと美味しい。

色づく渓谷をクルージングしてワインディングを緩やかに下りていく。ビックバイクのトルクを楽しむ瞬間だ。
2年ぶりの「飯能まつり」に熱く湧く市街地をpassして東へと帰る。次の週末は?、秋のツーリングが愉しい。

<40年前に街で流れたJ-POP>
スターダスト・キッズ / 佐野元春 1982


かくれんぼ

2022-11-08 | 日記・エッセイ・コラム

凛とした空気の中
中空に赤い月がぽっかり浮かんでいた
そうまるでウサギの目のようだね
いままさに隠れようとする小さな光点ひとつ
天王星もなかまに入れてほしいと
かくれんぼ

FLY ME TO THE MOON / Nat King Cole


鼓門と内灘砂丘と加賀鳶と 浅野川線を完乗!

2022-11-05 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 シルバーにオレンジのラインを引いた8900系、そろりそろりと大野川橋梁を渡ると終点の内灘駅は近い。
学生時代に浜田山に住んでいた呑み人だから、この車両にも乗ったことがあると思う。とても懐かしい。

同じくオレンジに浮かび上がるのは金沢駅鼓門、浅野川線が発着するのはこの地下空間になる。
えちぜん鉄道を旅して金沢入りしたのはとっぷり暮れてから、北陸鉄道の呑み潰しは明日にして酒場を探そう。

駅にほど近い堀川町、鈍角に交わる2本の県道を繋いで三角形に飲み屋街を切り取る路地に入る。
三角形の頂点あたりの立ち呑み「串酒場 大笑」に若者が溢れている。でもオヤジも果敢に飛び込んでみる。
オリジナルのジョッキがいい感じに冷えて一気に呷る “生ビール” が美味い。あては渋く“タコわさ” を突っつく。

表面張力に耐えられなくなった “加賀鳶 山廃純米” が一合枡に溢れ出る。この瞬間が嬉しい。
鶏、茄子、エリンギ、南瓜、アスパラと、バイトのお嬢さんが揚げた “串天盛合せ” はちょっと不恰好、
でも熱々ホクホクで美味しいよ。塩でいただく串天に、コクありキレありの辛口が旨い。

期待して注文した “おでん” は所謂金沢おでんではなかった。それでもたっぷり “とろろ昆布” が嬉しいね。
“福政宗 加能山河” は県内の酒販店だけに卸される『冷でよし燗でなおよし』のコクある純米酒だ。
和がらしたっぷりの厚揚げにツンときたら、ごくりと旨酒をひと口、この掛け合いが愉しいんだよね。

翌日の午すぎに鼓門まで戻ってきた。地下ホームに降りるとほどなく03系の2両編成がホームに入って来る。
日比谷線から譲られた電車はグレーをオレンジに化粧直し、スノープラウを履いたらすっかり雪国の顔だね。

03系が地下区間を抜けると七ッ屋駅、この先の車窓右手には常に線名である浅野川の堤防が視界を遮る。

行程半ばの三ツ屋駅に進入すると出発信号は赤、一拍置いて進行方向から金沢行きの8900系がやって来た。

今にも止まりそうな速度で慎重に大野川橋梁を渡る。この川を3kmほど下ると河北潟に出るのだ。

オレンジラインの2両編成が1面1線単式ホームの内灘駅に終着する。行手を塞ぐ車止めの先は住宅街だ。
やはり駅前の観光案内所にレンタサイクルがある。電動アシストが3時間で500円だから迷わず借りるべし。
滞在時間を告げると、親切な昔のお嬢さんが、ガイドマップに見どころをマークしてくれた。では行って来ます。

広大な砂丘が広がる内灘海岸、若いグループがBBQのテントを張り、水上バイクや三輪バギーに興じている。

河北潟の放水路にかかるサンセットブリッジ(内灘大橋)から金沢市街を望む。高い。
内灘海岸と河北潟を隔てる幅1km、南北に約10kmの内灘市街は、標高60mにも達する砂丘上にある。

この砂丘上から眺める “日本海に沈む夕日” は絶景だろうなぁ、っと思いを残しつつ金沢行きの電車に乗車する。
大阪から乗車券を北陸回りに変更して福井・金沢を呑み潰す週末は、浅野川線を最後にその旅を終えるのだ。

北陸鉄道浅野川線 北鉄金沢〜内灘 6.8km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
バカンスはいつも雨 / 杉真理 1982


風を感じて! 榛名富士紅葉とZと水沢うどんと

2022-11-02 | 単車でGO!

一陣の風が吹いて、さっきまで湖面に映っていた榛名富士もすっかりさざなみに揺れている。
いい感じに色づいてきたね。榛名湖の湖面標高は1,084m、日本で2番目に高いそうだ。まもなく見頃を迎える。

この週末は快晴の予報、北の空に雲がないのを確かめて、zを走らせてきた。
関越自動車道のスマートインターを降りると、迫る榛名の外輪山がほんのり色づいている。期待ができるね。

単車の旅は何かとランチのタイミングを外しがちなので、10:00開店をめざして目当ての店に飛び込む。
榛名山や伊香保温泉を訪ねたら “水沢うどん” 押さえておきたい。っと古民家風の一軒にウインカーを出す。

オーダーは “ざるうどん” の一択、コシの強いうどんを先ずは “なめこ汁” でズズッと啜る。いい感じだね。
甘いカボチャの天ぷらを岩塩で口に放り込んだら、次は “胡麻汁” かな。4種類のつけ汁で美味い楽しい。

伊香保温泉からの県道を右に左にzを内倒させてアクセルを開ける。スキーをやっていた頃を思い出す。
葛折りを登り切ると黒髪山神社の鳥居を合図に、カルデラ湖へ飛び込むように延びる一直線の下り坂になる。
左右はすすきの原となり、特徴ある二ッ岳は黄色や茶そして橙に染まっている。

湖畔の周遊道路を走る。結構な数の手漕ぎボート、白やゴールドのスワンが湖面を賑やかしている。
それにしても彼女のオレンジのトップスは、コスモスやら紅葉やら、秋の風景によく映えると思う。

モミジにカラマツ、サクラが色付きつつある。湖畔のカエデが真紅に染まって青い湖面に映える。
風はあっという間に冷たくなったこの頃だけど、もうしばらくは風を感じる単車の旅を愉しめそうだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
ドラマティック・レイン / 稲垣 潤一 1982