旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

休日はローカル線で ふなぐち菊水と荒川峡と米沢牛

2013-12-28 | にいがた単身赴任始末記

新潟始発の "快速べにばな" は意外にも満席。どうも本物の「鉄」たちが大勢乗っている。
気後れしないよう「吞み鉄」の本領を発揮しよう。新潟県北では “菊水” がお奨めだ。
旅ものカレンダーに紅葉風景がしばしば登場する荒川峡を眺めながら雪見酒を愉しむ。

米坂線は羽越本線の坂町から分岐して米沢に向かう。
坂町駅はあまりにも寂しい駅だ。客待ちのタクシーも動く気配がない。
せめて今日明日の午後ぐらいは故郷に降り立つ人と迎える家族で賑わうだろうか。

ピークの宇津峠をトンネルで越えると最上川水系となって米沢盆地へ下っていく。
米坂線は2時間ほどの旅で米沢に到着する。ホームでは伝承米沢牛が迎えてくれる。 
やはり食べておかないといけない米沢牛、駅弁の新杵屋で "すきやき膳" をいただく。

米沢城址と上杉神社を訪ねる。人集は若き歴女たちが武将隊を囲んでの写真撮影待ち。
上杉景勝、直江兼続、前田慶次郎あたりが居るのだろうけど見分けがつかない。
米沢の健闘に比べ、謙信・景勝創業の春日山を有する上越はもっと頑張らないといけない。

東光酒造さんで帰路の地酒を仕込んだら、東京行きのつばさ号でも一杯なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
心もよう / 井上陽水 1973


休日はローカル線で 懐古園と亀の海と千曲川

2013-12-21 | にいがた単身赴任始末記

キハE200形の爽やかなスカイブルーのラインは、浅間山や千曲川それに八ヶ岳といった背景に映えるだろう。
小海線 “高原列車の旅” はここ小諸から始まる。

仙石秀久が完成させた小諸城は、城下町より低い穴城として有名だ。
懐古園は『破戒』や『千曲川スケッチ』を起稿した頃の藤村が歩いたことだろう。

11:00小諸発の列車は中込止まり、途中下車して「旧中込学校」を訪ねる。
駅への戻り道に土屋酒造店、千曲川の伏流水で仕込んだ『亀の海』の新酒を買った。

後続の小淵沢行で早速キャップを切る。車中で楽しんだのは別に求めた300mlだ。

小海線は千曲川に沿って進み、信濃川上を過ぎると大きなUの字カーブを切って河岸段丘を駆け上がる。
視界が開けると雪化粧した高原とその先に八ヶ岳の峰々が聳える。野辺山駅は日本最高標高駅(1345.7m)だ。

野辺山を出ると間もなく県境を越えて山梨県へ。清里、大泉、小泉に短く停車して列車は小淵沢に到着する。
まだ15:00過ぎというのにかなり薄暗い。富士山だけが夕陽に照らされ輝いていた。

千曲川 / 五木ひろし 1975


休日はローカル線で にしん親子弁当と青海川海岸と萬代橋

2013-12-18 | にいがた単身赴任始末記

"にしん親子弁当" は、脂が乗った甘露煮、数の子、昆布巻などを並べてニシンずくめの一品。
ロング缶を傍に、これはいい酒の肴になるでしょう。

信越本線の旅、後半は直江津から新潟までのいわゆる「海線」をゆく。
新潟行きの "快速くびきの号" は特急車両、大きなテーブルを降ろして呑む旅には絶好の環境なのだ。

柿崎~柏崎間の車窓は日本海を間近にする。遠く佐渡を臨む冬の日本海は荒れることが多い。
波がホームを洗う青海川は、確かドラマ「高校教師」のエピローグに登場した駅だ。

長岡のソウルフードは "洋風カツ丼"、皿盛りのゴハンにカツを載せ、ケチャップかデミグラスをかける。
ケッチャップベースのレトロな味は、ちょっと甘いけど後をひく味わいだ。

豊野で別れてから150km、鉄路は信濃川(長野県内では千曲川)と再会する。
信越本線の終点新潟で、日本最長の信濃川(367km)も旅を終える。ゴールテープは万代橋か。
旅を終えたボクはご当地料理 “のっぺい” をアテに、佐渡の酒 “真野鶴” ぼっちの打ち上げだ。

新潟ブルース / ロス・プリモス


休日はローカル線で 峠の釜飯と浅間山と門前の蕎麦

2013-12-14 | にいがた単身赴任始末記

鶏肉、ささがき牛蒡、椎茸、筍と “峠の釜めし” はビールのアテに良い。
信州へ越後へと鉄路が分岐する旧くからの交通の要衝高崎駅を起点に信越本線をゆく。

 

1998年の長野新幹線開業を期に、かつての大幹線も並行在来線へ移管、分断されてしまった。
僅か2両で横川をめざす各駅停車、主な乗客はご多分に漏れず高校生とご年配の方だ。

かつて補助機関車に押されて登った横軽の碓氷峠区間は廃止となった。往く手を阻む車止めが寂しい。
学生時代、上京に帰省に何度も乗車した区間を、今はJRバスが僅かに1日8往復連絡している。

妙義山を眺めながら35分、JRバスで碓氷バイパスを登ると "風立ちぬ" 軽井沢。
軽井沢〜篠ノ井は「しなの鉄道」に移管された。ガンメタリックとレッドに化粧を直した115系が斬新だ。

浅間山の雄姿が見えてくる。個人的には信濃追分から御代田の間が一番美しいと思う。
かつての信越本線の特急は、長野新幹線に「あさま」の名称を引き継いでいる。

善光寺に参ったら門前で信州の酒と蕎麦。"西之門 純米吟醸" でそばが茹るのを待つ。
お約束の "ざるそば" を一枚ズズッといただく。ふるさとの蕎麦処で満悦の真冬のひとときなのだ。 

篠ノ井以北は再び信越本線、車窓から見る妙高山は関山とスイッチバックの二本木の間が美しい。
日本海と出会う直江津は、信越本線が北陸本線と合流し北越急行が分岐する交通の要衝だ。

佐渡航路と連絡する湊町の駅舎は客船を模し、電柱はマストをイメージしてできている。
浅間を望む高原の駅から、千曲の流れと戯れ、妙高山を眺めて直江津に至る山線の旅だ。

コスモス街道 / 狩人


休日はローカル線で 烏城と信濃ワインと善光寺平夕景

2013-12-11 | にいがた単身赴任始末記

塩尻はワインの産地。桔梗ヶ原には葡萄畑が広がりワイナリーが点在する。
観光センターで信濃ワインの新作 “秋薫る ナイアガラ” を仕込んだら長野行きに乗り込もう。

篠ノ井線の起点は塩尻、ここで中央本線から分岐して篠ノ井で信越本線と結ぶ。
東京から中央東線、名古屋から中央西線を束ねて松本・長野へ送る篠ノ井線は賑やかだ。

黒と白のコントラストがアルプスの山々に映えて松本城(別名烏城)が美しい。
これから篠ノ井線に乗車して、安曇野から善光寺平へと抜けようと思う。 
タイミングが良ければ、姨捨駅で善光寺平らの夕景を楽しむことができそうだ。 

明科駅を過ぎると電車は犀川を離れて山中に分け入って行く。
30分ほどで冠着(かむりき)トンネルを潜ると松本盆地から善光寺平に抜ける。

スイッチバックの姨捨駅は日本三大車窓のひとつ。折角なので途中下車する。
田毎の月と呼ばれる棚田、夕陽を浴びて鈍く光る千曲川、善光寺平の夕景がキレイだ。

後続の電車で善光寺平へと駆け下りると。2駅20分ほどで終点の篠ノ井に滑り込む。
篠ノ井駅は信越本線、篠ノ井線、しなの鉄道の結節点。列車の発着は頻繁だ。
66.7km、所要90分、篠ノ井線の旅はハーフボトル1本分の旅なのだ。

おひさま~大切なあなたへ / 平原綾香


休日はローカル線で 碌山美術館と道祖神と信州蕎麦

2013-12-07 | にいがた単身赴任始末記

2015年3月の北陸新幹線延伸開業を控えて、真新しい橋上駅舎が姿を現して、
先日も新幹線試験車両(イースト・アイ)入線のニュースが流れていた糸魚川駅だ。
単行気動車は2・3番ホームの端っこに設えた4番ホームからひっそりと出発する。

"笹寿司" と "謙信" のワンカップを買い込んで朝から車中酒の大糸線の旅。
この甘口の本醸造が思いのほか笹寿しと相性が良くて美味しい。
笹寿司は信越県境地域で作られる家庭料理、川中島合戦当時は上杉軍の野戦食だった。

35kmの非電化区間を姫川にそってゆっくりと遡ると1時間ほどで南小谷に到着した。
スキー場開きを待つ冬のはじめの駅周辺は閑散として、やがて来る賑わいを待っている。
鉄路はここからJR東日本の管轄、反対側のホームに控える松本ゆきの電車に乗り換える。

少し青空が覗いてきたので穂高に途中下車。
安曇野には美術館が点在するから、それらを巡って芸術に触れるのも楽しい。
代表的存在が穂高町の碌山美術館だ。

穂高神社近くのそば処一休庵で "なごり雪" って品書きのぶっかけそばをいただく。
千切り大根の上に冷たいそばをのせ、わさびの茎漬け、揚げ玉、きのこを散りばめる。
見た目もキレイな一品は、この地方名産の山葵が香る美味いそばだった。

穂高駅は長閑な田舎の駅だけど、結構な乗客がホームで電車を待っている。
松本へ買い物に出かけるご婦人、遊びに出かける中高生たちで騒めいているね。
安曇野の風景になくてはならない「道祖神」が駅名表示版を飾る。

穂高駅で座席を埋めた2両編成は、ふたつ先の豊科でさらに乗客を増やしていく。
通路までいっぱいにした2両編成は穂高から30分で松本駅6番線に滑り込む。
上高地線の7番線とひとつ島になっていて、まさにアルピニストのホームだ。

いつしか冬晴れが広がって、白い常念岳を見上げた大糸線の呑み旅なのだ。

安曇野 / 原田悠里


上越妙高駅にイースト・アイがやってきた

2013-12-04 | にいがた単身赴任始末記

AM06:10、大学生のブラスバンドが「天地人のテーマ」を奏でている。
警笛を鳴らすこともなく静かに下り本線に入線する検査車両「イースト・アイ」。
長野駅から60kmほどを5時間かけて走ってきた。

来賓席で新幹線車両を迎える機会に恵まれ、早朝から歓迎セレモニーに出席した。
今日は同様の式典が飯山駅・糸魚川駅・黒部宇奈月温泉駅でも行われている。

検査車両は3月末日までかけて線路や架線、信号設備などの検査を繰り返す。
降雪積雪環境のデータを取りながら時速260km運転まで達するそうだ。
その後E2系やお待ちかねE7系の登場となる。

金沢延伸開業まで1年3ヶ月。
新幹線がやってきて地域が活性するか、沿線の競合に飲み込まれて埋没するのか。
これは行政や地元企業そして住民の取り組み次第。やるべき事はまだまだ沢山ある。