旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

帯広で十勝の恵を味わう 根室本線を往く!

2018-08-31 | 呑み鉄放浪記

 過ぎ去る夏とともに根室本線を東進中。息子を引っ張りだして北海道男旅。 

8月26日。根室本線の起点は滝川駅、函館本線から分岐する駅前広場にはグライダー。
上昇気流が発生しやすい滝川市には、日本中からグライダー愛好者が集まる。 

15:28発の東鹿越行きは単行ディーゼルカー、1番線から身震いひとつ動き出す。 

ぐい呑みに注ぐ "金滴 杜氏の夢呑" はサラリとした喉ごしでキレが良い。
「吟風」など空知産の好適米を使った純米吟醸は、新戸津川町の金滴酒造の酒だ。 

東鹿越までの根室本線は空知川の流れを遡り、赤平、芦別、富良野と抜ける。

車窓に夕日に照らされた金山ダム湖(かなやま湖)が広がると間もなく東鹿越駅に到着。 

 

東鹿越から新得間は平成28年台風10号の被害で不通になっている。
本当は復旧してから訪ねたかったが、JR北海道の姿勢からそれは適いそうにない。 

日に5往復の代行バスで1時間10分、140キロ、暮れた新得駅に辿りつく。 

第3走者は池田行きのやはり単行ディーゼルカー、僅かな乗客を乗せて十勝平野へと下る。 

 

 行く夏を惜しんで?日曜日の晩、帯広の中心街には意外と若い人の姿が多い。
「北のいっぴん・正次郎」で先ずはサッポロ・クラッシック、ジンジャエールと乾杯。
肴は十勝の恵みにこだわって。"中札内枝豆" に "自家製タレのジンギスカン"。
"じゃがバター塩辛添え" は新じゃが、ホクホクにバターのキューブをのせて絶品。 

 

2杯目から "トカップワイン" の赤、池田町で生産するお手頃ワインだ。
ロース肉を炭火で焼いて甘辛ダレに潜らせる、熱々のご飯にのせた "豚丼" は十勝の名物。
押さえないといけない名物丼、息子から一枚味見させてもらって今宵の〆なのだ。
明日は東の果て、納沙布岬をめざす。 

 

季節の中で / 松山千春 1978


一酒一肴 和歌山・多田屋「太平洋」

2018-08-27 | 津々浦々酒場探訪

 

 和歌山の名酒場「多田屋」には、何時ぞやか酒場詩人も訪ねてた。
壁一面の短冊、コの字カウンター、割烹着のオバちゃん、んっいい感じだね。
まずは定番 "ポテトサラダ" を当てに生ビールを呷る。今日の刺身は "カンパチ"。
和歌山ならではの肴 "鯨ベーコン" を酢味噌でいただく。辛口の酒は "太平洋 原酒" だ。
荒々しい酒が鯨にマッチして、美味しい和歌山の夜は更けゆく。

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天空の花畑 "千畳敷カール" で涼 飯田線を完乗!

2018-08-25 | 呑み鉄放浪記

 天竜川に寄り添って飯田線を北上中。幾つか秘境駅も通りながら。
全長196km、東にも西にも逃げられない。呑み潰しにはかなりハードなローカル線だ。 

起点の豊橋、路面電車も走っているんだね。豊橋鉄道はまた別の機会に。 

ワンマン運転の2両編成で、細かく刻んで、まずは豊川をめざす。 

キツネも踊る豊川駅前広場。豊川稲荷の最寄り駅だからね。 

 

 豊川稲荷って神社ではないんですね。圓福山妙嚴寺、曹洞宗の寺院です。
お祀りするのは見目麗しき霊神、吒枳尼眞天(だきにしんてん)。
この霊神が白い狐に跨って真言を唱えていることから「稲荷」と通称されたそうだ。

圧巻なのは霊狐塚。祈願成就の御礼に信者が奉納したお狐様が、大小800体ほど祀られる。 

 

 参道の「曽我の軒」はもともと鰻屋、"鰻まぶしいなり寿司" が絶品。
ふっくらやわらか絶妙に焼き上げた鰻と、軽めに味つけた油揚げとよく合うのだ。 

第2走者は天竜峡行きの2両編成。首都圏では見かけなくなった一世代前の湘南電車。 

JR東海のローカル列車はクロスシート、テーブルは無いものの窓枠は幅広だ。
よって、沿線は設楽町の "蓬莱泉・生酒" のスクリューキャップを切る。
軽やかな味わいなので、チーズとわさび風味の柿ピーを抓みながら、天竜川を眺める。 

暮れかる天竜峡駅に終着。県境の秘境駅など停車しながら、いつの間にか信州なのだ。 

乗り継ぎの岡谷行きをやり過ごして天竜峡を散策してみる。
通学の便か、この時間帯の飯田方面は30分に1本走っているからね。 

 

天龍川の清流によって侵蝕された景勝地・天竜峡、健脚なら30分ほどで散策路を巡れる。
展望台から見下ろす吊り橋、吊り橋からの芙蓉峒、龍角峯が見どころだろうか。 

第3走者は岡谷行きの3両編成。このまま乗車すると今日中に呑み潰せる。
でも折角なので沿線の中心都市・飯田に投宿、酒場で地酒を愉しむことにしよう。 

 

「いざかや縁」のカウンターで、常連さんに交じる。
"明鏡止水・垂氷" は厳寒期に醸す旨みとキレを兼ねそろえた槽しぼりの純米酒。
肴は名産の "長芋の千切り"、山葵と海苔で美味しい。
 

 

信州と云えば "馬刺し"、まっ旅先だから、ネギやらニンニクやらふんだんに絡めるのだ。
"喜久水" は南信州唯一の蔵元、飯田の地酒だ。きりりと冷えた生貯蔵酒が美味い。 

第4走者は05:45発 "快速みすず"、長野まで走る3両編成。
スカイブルーとエメラルドグリーンのラインは信州のイメージにぴったりだ。が......
このJR東日本の車両はオールロングシート、ローカル線にあって旅情より機能は寂しい。 

駒ヶ根06:44着、ここで長めの途中下車。始発バスで駒ケ岳ロープウェイをめざす。 

麓のわらび平駅から7.5分、パノラマを眺めながら2,612mの千畳敷駅まで駆けのぼる。
ちょうど霧が晴れて宝剣岳(2,931m)が、その凛々しい姿を見せてくれた。 

  
  

荒々しい岩峰の直下に、氷河によって削り出された "千畳敷カール" は、天空の花畑。
ヨツバシオガマ、コバイケイソウ、ハクサンイチゲ、ミヤマアキノリンソウ、ミヤマリンドウと。
んっと、覚えきれないけど、ひとつひとつが可憐で美しい。 

 駒ヶ根から乗車した第5走者は上諏訪行きの2両編成。これもJR東海の車両。 
辰野11:44着。ここで飯田線の旅は終わる。この分岐はどちらへ行っても中央本線だ。
列車はこのまま中央本線に乗り入れる。釜口水門まで天竜川の旅に付き合うそうだ。 

"ほたるの町" 辰野も中心街は寂しいことになっている。
冷房もない神田食堂、金足農業の吉田くんの力投、職人さんが焼酎の水割りを呷る。 
それでは遠慮なく、辰野の地酒 "夜明け前" を燗でいただく。肴は瓜の浅漬けだ。
程よいところでこの地方の名物ソースカツ丼を味わって、ボクの飯田線の旅が終わる。

飯田線 豊橋~辰野 195.7km 完乗 

 

Mr・サマータイム / サーカス 1978
 


一酒一肴 入谷・三富「澤乃井」

2018-08-23 | 津々浦々酒場探訪

 

『睦み合ふ 秋茄子つとに 味の濃し』って何年か前に酒場放浪人が此の店で詠んでいた。
「三富」で飲んでたのは上野在勤時代だから10年も前、その後は同窓会的に何度か。
あの頃はビールばかりだったけど。今宵は "澤乃井・本醸大辛口"、東京は青梅の酒だね。
キリリと辛口の酒だから、肴は "冷やしおでん" が良い。煮こごりが絶品なのだ。

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一酒一肴 入谷・三富「日髙見」

2018-08-21 | 津々浦々酒場探訪

 

 上野在勤時代にたびたびお邪魔した入谷交差点の桜なべ・馬刺し「三富」を訪ねる。
提灯には爽やかに朝顔の花が描かれている。入谷鬼子母神と「朝顔市」の町だからね。 
名物の "馬刺し" は道産のロース。明日は休みだから、たっぷりとネギとニンニクのせて。
日本酒度+11、すっきりとキレのある淡麗辛口、"日髙見 超辛口純米酒" が旨いのだ。 

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一酒一肴 浜松町・室MURO「菊姫」

2018-08-19 | 津々浦々酒場探訪

 

 ドラマ「半沢直樹」で主人公の宿敵大和田常務が金沢在勤時代に愛した酒が "鳶姫"。
多分、"菊姫" と "加賀鳶" から一文字ずつ採ったのではないかと推測できる。
一方の "菊姫" は白山市の酒、蔵元は北陸鉄道の終点鶴来だから何れ訪ねてみよう。
山廃純米生原酒は荒々しさとフレッシュ感がある冬の酒、"オイルサーディン" が合う。

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人生のそばから 信濃町「そば処たかさわ」

2018-08-17 | 旅のアクセント

 "そば処の たんを切りつつ 月見哉"、一茶の句を刻んだ「そば処たかさわ」を訪ねた。
名爆・苗名滝にほどちかい新潟県境まで、旨い蕎麦と涼を求めて車を走らせた。
蕪の酢漬け、昆布の煮物、きゃらぶき、で義弟と瓶ビールの栓を抜く。
そばが運ばれる。わかさぎ甘露煮、ユリ根、夏野菜と山菜の天ぷら、ビール追加だね。
最後は黒姫高原の "霧下そば" をズズっと美味しい。ハンドルを代わる妹に感謝。


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水曜日は家呑み派 「純米大吟醸・鳥海山」

2018-08-15 | 日記・エッセイ・コラム

 妻は留守。冷蔵庫には小鉢が三品ほど作り置いてある。こりゃ日本酒ですな。
由利高原鉄道を呑み潰した折、立ち寄ったのは終点矢島駅前の天寿酒造さん。 
土産に求めた "純米大吟醸・鳥海山" は華やかな香りと穏やかな口あたりの酒。
まだまだ外は暑いから、花冷えの生酒が喉をスッと通って旨いね。 


一酒一肴 浜松町・室MURO「満寿泉」

2018-08-13 | 津々浦々酒場探訪

 

 "満寿泉" は富山の酒、蔵は北前船で栄えた湊町・岩瀬浜にある。訪ねたのは2014年正月。
富山ライトレールのアテンダント嬢のキュートな笑顔、そんなことばかり覚えている。
今宵、浜松町で爽やかな旨味と酸味が調和する純米生酒を "エイヒレ" を肴に愉しむのだ。

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一酒一肴 浜松町・室MURO「花垣」

2018-08-11 | 津々浦々酒場探訪

 

 浜松町に北陸の酒が飲める立ち呑みがある。軒先に杉玉を提げた「室」がそれだ。
大好きな "花垣" は福井・越前大野の酒、2013年夏、越美北線に乗って訪ねている。
純米無濾過生原酒は清冽でフレッシュな味わいだけど、アルコール分18度と強めの酒だ。
ここはポテサラではなく "マカロニサラダ" なのだ。ブラックペッパーをふって美味い。

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ご当地B級グルメ 長岡・洋風カツ丼「つかさ」

2018-08-09 | 旅のアクセント

 大花火大会から一夜明けた長岡、この町のソールフード「洋風カツ丼」を食す。
ご飯の上にトンカツをのせ、とろみがある洋風ソースがかかるのが特徴だ。
「居酒屋つかさ」で味わうのは、正統派ケチャップベースの昭和レトロな一皿です。 


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"だだちゃ豆" と "岩がき" と 羽越本線を完乗!

2018-08-07 | 呑み鉄放浪記

 羽越本線を北上中。村上駅での交換列車は懐かしい急行色に塗装されているね。
冷凍みかんとチョコボールを買ってもらい祖父母を訪ねた旧盆の列車旅が思い出される。 

起点の新津駅、信越本線からバトンを受けて日本海側を縦貫するのが羽越本線だ。

最初のランナーな比較的新しい形式の気動車2両編成。まずは城下町新発田をめざす。

ほどなく阿賀野川を渡る。会津盆地、越後平野で旨い米を育む大河の旅の終わりも近い。

どこまでも続く緑の水田地帯、その向こうに見えるのは五頭連峰か。
山際には五頭温泉郷や月岡など温泉が点在する。 

黒い瓦になまこ壁、新発田城を模した白壁の駅舎が夏日に眩しい。
新発田で新潟から走ってきた白新線と合流する。旅客の主流はむしろ白新線になる。 

新発田の見どころ「清水園」は新発田藩の下屋敷。清水谷御殿とも呼ばれていたそうだ。

川を隔てた「足軽長屋」は天保13年(1842年)に建てられた。下級武士の生活が窺える。

 

「王紋」の市島酒造に伺う。資料館を拝見して自慢の蔵出しの試飲を愉しむ。 

 

2番手は国鉄時代からの旧い気動車、新潟色って云う塗装だね。やはり2両編成。
少々おかんむり。この車両、せっかくのクロスシートなのにテーブルを撤去している。
冷酒を開けるに適わず缶ビール。鉄道離れが進むのに旅情を取り去って良いのだろうか。 

村上から先は車窓に広がる「笹川流れ」は羽越本線の旅のハイライト。
荒波の浸食による奇岩・怪石などの岩礁や洞窟など、変化に飛んだ風景が観られる。
夕陽が沈んだ日本海に浮かびあがっているのは粟島だ。 

 18:46、鶴岡着。庄内地方の中心都市と思っていたが、降り立ったのは私を含めて6名。 

人口13万、出羽三山のゲートウェー、それにしては寂しいな。
旧盆を迎える来週あたり、若者や家族連れが帰省して賑わうだろうか。 

 

 地酒・旬菜「味鈴」で一杯。まずは生ビールで本場の "だだちゃ豆" をいただく。
風味も甘味も申し分なく美味い。でも旬はお盆過ぎ、まだまだ甘くなるそうだ。

 

今が旬の "岩がき" は鼠ヶ関や由良で揚がる。肉厚の生ガキにレモンを絞って美味しい。
鶴岡の地酒で攻める。"大山・夏純米銀河"、なにしろラベルが涼やかで格好良い。
山形県産「はえぬき」を使用した、キレ良く喉越し良い爽やかな純米酒だ。 

 

"栄光富士・煌凛" は、爽やかな吟醸香で豊潤な無濾過生原酒。春の限定酒だけどね。
庄内豚は天ぷらで。からっと揚がったロースに、レモンを絞って岩塩まぶして美味しい。

 庄内の食を堪能した翌朝、始発の酒田行きに乗車する。やはり2両の気動車だ。
米どころ庄内平野はひろがる緑が鮮やかだ。大雨警報が発令されて雲行きが怪しい。

庄内平野を潤す最上川を渡るとまもなく終点の酒田駅だ。
酒田まで運んでくれた車両もまた塗装が違う。様々な顔を見せてくれる旧型車両だ。

地方都市の日曜日、路線バスは9時過ぎから動き出す。レンタサイクルも9時開店。
やむなく徒歩で見どころを巡る。雨が降る出す前に駅まで戻りたい。

米どころ庄内のシンボル「山居倉庫」は明治26年に建てられた米保管倉庫。
白壁・土蔵づくり9棟からなる倉庫と、夏の高温防止のためのケヤキ並木の風景が美しい。

北前船交易で栄華を誇り「西の堺、東の酒田」と称された湊町、その面影を相馬樓に見る。
明治27年の震災・大火後に建て直された木造の主屋は、酒田舞娘のけいこ場となっている。

酒田から秋田の区間は電車が走る。JR東日本のローカル線を走る車両はロングシート。
なんとかならないものだろうか。そこに旅情は無い。呑み鉄にならない。
身体を捩って眺めるはずの日本海も、象潟の九十九島も豪雨で見ることができなかった。 

 

終点秋田駅に子ども連れに狙いを定めたナマハゲ出没。お約束通り幼児を泣かせている。
今は「竿灯まつり」の最中だね。どうりで賑やかなわけだ。雨が止むと良いね。
日本海縦貫線の役割は奥羽本線に譲って、羽越本線の旅はここに終わる。

羽越本線 新津~秋田 271.7km 完乗

君のひとみは10000ボルト / 堀内孝雄 1978


一酒一肴 稚内・酖竹林「國稀」

2018-08-05 | 津々浦々酒場探訪

 

 北の果て稚内の居酒屋「酖竹林」で飲んでいます。
二杯目の酒は "上撰 國稀"、増毛を訪ねた時に呑んだ淡麗辛口の酒です。
今日の白身は "そい"、赤味は "まぐろの山かけ" をいただきます。 
北の酒場で旨い酒と肴に巡りあった「北の旅人(吞み人?)」なのです。 

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一酒一肴 稚内・酖竹林「北の勝」

2018-08-03 | 津々浦々酒場探訪

 

  北緯45度25分03秒、やって来ました北の果て稚内。
居酒屋 酖竹林(ちんちくりん)は、美味しく居心地の良いお店でした。
まずはお通しからしていい。ほっけつみれ揚げ、北海しま海老、サザエと並ぶ。
味も彩りも申し分ないでしょう。これだけで2~3合いけそうです。
道北に酒はないから、代わりに "北の勝"、東の果て根室の芳醇な酒です。旨いね。 

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