旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

大人のたしなみ 立呑えびすけ@仙台

2020-12-31 | 大人のたしなみ

 会津若松からの帰路、郡山から思わず下りのやまびこに飛び乗ってしまった。
もう一軒行ける時間だし、仙台までは30分だし、これで今年最後の遠征呑みにしよう。

駅前のバスターミナルに面したこの店、帰り際の一杯には最高の立地にある。
「せんべろセット」ってのがあって、ドリンク2品、アテ2品で1,100円(込み)とお得。

給食みたいなアルマイトっぽい皿に択んだふた皿 "ハムカツ" と "冷奴" が出てきた。
でもハムカツはチーズが絡んでるし、冷奴にはしらすがのって、ちょっと贅沢。

ドリンクは2品ともホッピーを択ぶと、おかわりにナカ2杯が提供され、さらにお得感。
これ本当に「せんべろ」が成立するなぁ。

でも地酒も飲みたし、"豚バラ" と "笹かま" を焼いてもらって、あと "山芋短冊" を追加。  
そして "浦霞" を一杯ゆっくり愉しむ。〆て千円札2枚で足りるからパフォーマンス良し。

ほろ酔いで仙台駅、っと初めてJR北海道仕様のH5系、ラベンダーのラインがいいね。

 さて2020年、皆さまの晩酌ライフは如何でしたでしょうか。家呑みが増えましたか?
奔放に吞み歩いてるかのように綴ってきましたが、マナーと対策にこころがけて、
覗いた店の雰囲気で時には勇気ある撤退を敢行しながらレポートした1年でした。
強烈な寒波が迫っているそうですね。ご自愛いただき、穏やかな新年をお迎えください。
それでは、どうか酔いお年を。

<40年前に街で流れたJ-POP>
眠れぬ夜 / 西城秀樹 1980


あいづわかまつ漫ろ歩記「ソースかつ丼」

2020-12-29 | 旅行記

 快速あいづに揺られて会津若松へ、残念ながらも磐梯山はまたしても雲の中だった。
会津に美味いものは数ほどあれど、今日はB級、ソースかつ丼を食べにきたのだ。
というわけで、会津若松を漫ろ歩き。

一度訪ねたかった「さざえ堂」は寛政8年(1796年)建立の六角三層のお堂。
二重螺旋のスロープは上り下りが連続の一方通行構造になっていて、参拝者がすれ違う
ことなく西国三十三観音像にお参りできたという。日本の建築技術の高さを実感。

 言わずと知れた酒どころ会津だから、市内に幾つかの酒蔵が点在している。
城へ向かう北出丸大通りには "冩樂" の宮泉名醸、白壁の蔵に煉瓦の煙突が誇らしい。

 会津若松のシンボル鶴ヶ城、豊臣秀吉の命で入城した蒲生氏郷が七層の天守を築いた。
慶長16年(1611年)の大地震で被害を受け傾いた天守は改修され五層となったという。
赤瓦に葺き替えられたのは、会津松平藩の藩祖保科正の慶安元年(1648年)だそうだ。
復元とは云え、赤瓦をのせて肥沃な会津盆地に睨みを利かす姿は威風堂々としている。

 数ある酒蔵から末廣酒造嘉永蔵を訪ねた。この時期にも関わらず蔵見学を受けてくれる。
木戸を抜けたエントランスは3階分の高い吹き抜けがあって、その重厚感に目を奪われる。

仕込み蔵、釜場、煉瓦造りの煙突を眺めて古酒蔵を巡ったらショップでちょっぴり試飲。
いつかイベントで飲んだ純米大吟醸 "ゆめのかおり" を求める。これ年越し用だね。

 戦利品をリュックに収めたら、上町の元祖煮込みソースカツ丼の店「なかじま」へ。
注文したのは "キャベツソースカツ丼(ヒレ)"、生ビールを呷って着丼が待ち遠しい。 

 丼の蓋を開けると甘い香りがる。あったか会津米にシャキシャキのキャベツをしき、
揚げたてアツアツに甘辛いソースをたっぷり絡ませたカツをのせて、これぞ会津の丼。
目的の美味いソースかつ丼にありついて至福なのだ。
鶴ヶ城の走長屋を模したような会津若松駅で赤べこに見送られる午後4時過ぎ。
んっ、まだ時間が早いな、仙台にでも足を延ばそうか。それではもう一軒。

さらばシベリア鉄道 / 太田裕美 1980
     


煌めく花々につつまれて

2020-12-26 | 日記・エッセイ・コラム

 樹齢150年、1,000㎡に広がる藤棚から季節外れに紫の枝を垂らしてなんとも美しい。

クリスマスを迎えるこの季節、大宮からフラワーパークまで臨時快速が走っている。

 エキナカで求めたオードブルを並べたら、よく冷えたCAVAを開ける。
ポンっと小さな音をたてると華やかな香りが広がった。土曜日の小さな旅はむしろこれがメインだ。

 冬の日が上信の山々に足早に沈むと、フラワーパークの駅で臨時快速を見送る。
エントランスをくぐる頃には、いい感じで暮れたパークに花々が煌めきだす。

 水辺を睡蓮が鮮やかに彩り、ブルーのツリーが輝いて、そこは恋人たちの世界だね。

水に浮かぶ光のピラミッドは、四角錐が水面に映るとダイアモンド型に煌めいて美しい。
ギザの風景というより、むしろラスベガスのルクソールホテルを思い浮かべるな。

 子どもたちが歓声を上げるのは、花と光に彩られたおとぎ話の城、シャッターを押すパパママも嬉しそう。

天の川の夜空を背景に赤屋根のチャペル、ここにも写真待ちの長い列が続いている。

光のローズガーデンは、~ブルー~パープル~レッドと煌めきが変化していく。落ち着いたブルーがいい。
決して冷たい色ではないな。このデッキからロックグラスを掌で遊びながら飽かず眺めていたい。
最後に紫に枝垂れる光の藤を眺めたら、そろそろ復路の臨時快速がやってくる時間だ。
快速あしかがイルミネーション号は、26日、27日も大宮~足利間を結ぶ。お奨めのショートトリップです。

MY SUGAR BABE / 山下達郎 1980
     


甲州道中四十四次 街道めし12 上諏訪宿「いずみ屋」

2020-12-24 | 旅のアクセント

 蔵元ショップ Cella Masumi でテイスティングを楽しんで、いい気分で上諏訪駅前。
甲州道中を歩く旅、最後の街道めしは "みそ天丼" を食す。
「信州諏訪 みそ天丼」って橙色の幟がはためくのは、れすとらん割烹いずみ屋。
全国有数の産地である諏訪の味噌をベースにした「みそダレ」をかけた丼なのだ。
投網をイメージした蕎麦の素揚げ、ワカサギ、川海老、野沢菜のかき揚、しめじ等々。
たっぷりの地産の具材に、甘辛に味付けたコクある味噌ダレをかけて美味しい。
さて、お腹を満たしたらゴールの下社秋宮まではあと5キロだ。

2016/12
 


甲州道中四十四次 街道めし11 金沢宿「勝山そば店」

2020-12-22 | 旅のアクセント

 甲州道中を歩く旅の第11日目、八ヶ岳を眺めながら、いよいよ信州に入る。
今日は金沢宿にゴールしてからの街道めし。先ずは日帰り天然温泉「金鵄の湯」に浸かる。
温泉の前に信州本手打ちそば「勝山そば店」があった。男は黙ってキリンラガーを呷る。
黒くて太い "信州田舎そば" を愉しむ。と云うかメインはボリューミーな "かつ丼" なのだ。 
下諏訪宿まではあと18.8km、この旅の終わりも近い。

2016/11


大人のたしなみ 天ぷらと寿司18坪@長野

2020-12-19 | 大人のたしなみ

 午後5時、1.8kmの善光寺表参道の並木に次々にイルミネーションが灯っていく。
すると七味唐辛子や栗菓子やら土蔵造りの街並みがシャンパンゴールドに滲む。

金文字で「定額山」の扁額が掛かる仁王門は赤紫にライトアップされている。
浮かび上がった阿形吽形の仁王像が門を潜る善男善女に圧倒的な迫力で迫ってくる。

訪れたこの日は、偶々 "善光寺イルミネーション" の開催前夜の金曜日だった。
善光寺本堂を舞台に獅子舞、和太鼓と二胡の演奏会が模様されていて暫し鑑賞。
この後、本堂裏手の地附山で(勇気と希望の光を届ける)花火の打ち上げがあるようだ。

こんな時期だから、旧友にも妹にも連絡をとらなかったふるさと探訪だから、
駅前の立ち飲み「天ぷらと寿司18坪」でひとり故郷の酒を愉しむ新幹線の待ち合わせ。

この店、こだわりの旬の食材を味わえる一風変わったラグジュアリーな立ち飲み屋です。
とはいえ、生ビールに酒菜二種、お造り、天ぷら二種が付いた晩酌セット(1,580円)ってお得なメニューもある。

今宵は北信濃の酒にこだわって、先ずは戸狩の北光正宗(角口酒造店)が枡から零れる。
華やかな香りと淡麗な味わいに "雪明り" のネーミングが似合う純米吟醸酒が美味しい。

続いて小布施(松葉屋本店)の北信流、信の字を代えた "北進流" は、この店と蔵が
タイアップするオリジナル、スッキリ辛口の本醸造にごり酒を "天ぷら" に合わせる。
アテの天ぷらは "ブリのほほ肉" が絶品、美味しくいただいて束の間の帰省を〆る。
ほろ酔いで飛び乗る新幹線、大宮までは1時間。ふるさとで晩酌ができる時代だ。



<40年前に街で流れたJ-POP>
Catch Your Way / 杉 真理 1980
     


まつもと漫ろ歩記「山賊焼き」

2020-12-17 | 旅行記

 8時ちょうどに新宿を発ったあずさ5号を見送る。ここは松本、信州路。
今回は美味い "山賊焼き" を食べようとここまでやってきた。っでまつもと漫ろ歩き。

夏から秋にかけてアルピニストで賑わう岳都の玄関口も、この季節は落ち着いている。
まずは駅前通りを真東に歩きだす。この大通りが行きつく先は旧制松本高校の跡地、
あがたの森公園の先に見える山塊は、美ヶ原の王ヶ鼻(2,008m)だと思う。

 駅前通りがあがたの森通りと名前を変えると、奇想天外なオブジェが見えてくる。
子どもに付き合って遊んだ super mario bros の食人チューリップが生えているのだ。
松本市美術館は当地出身のアーティスト草間彌生氏の作品をメインに収蔵展示している。

 駅前通りの300mほど北を並行する中町通りは、なまこ壁の蔵が並ぶモノトーンの世界。
スイーツの店やカフェが多いレトロな町並み、女子旅やカップルならここを目指したい。
男ひとりの吞み人は雰囲気だけ焼き付けたら、早々に町並みを抜けて女鳥羽川を渡る。

 女鳥羽川の北側、四柱神社から始まる縄手通りにも昔ながらの店が立ち並んでいる。
この辺りには美味いそば処が多い。がっ寄りたかった「弁天本店」には当面休業の札、
残念。流行り病のせいか?確か老夫婦が営んでおられたから、ちょっと心配。

 太鼓門を鉤状に潜って二の丸御殿跡、内濠をまわり込むと五重六階の天守が現れる。
北アルプスの峰々が白く輝くこの頃、城内の松には冬の風物詩「雪吊り」がかかる。

三方に朱色の勾欄を巡らせた月見櫓が美しい。戦時の要塞としての無骨な大天守・乾小天守と、
泰平の世に造られた優雅な辰巳櫓・月見櫓の取り合わせもこの城郭の魅力だと思う。

 濠端から北へ500mほど歩くと、擬洋風建築の旧開智学校が見えてくる。
正面の車寄せの上には青竜、そして雲が沸き立ち、八角の太鼓楼が聳えている。
「開智学校」の旗を掲げているのは二人の天使たち。二つ目の国宝も市民の誇りだろう。

 正午になると「しづか」に暖簾がかかる。民芸調の店の前には道祖神まである。
創業昭和20年、"おでん" と "やきとり" の老舗居酒屋に "山賊焼き" を求めてやってきた。

山賊焼きは、鶏もも肉をニンニクとタマネギをたっぷり効かせた醤油だれに漬け込み、
片栗粉をまぶして揚げる中信地方(主に松本・塩尻)の郷土料理なのだ。
ちなみに吞み人が育った北信地方(長野など)では食べない。食べた覚えはない。
サクサクでジューシーな食感、ニンニクの香り、これビールに合わない訳ないでしょう。
冷やし過ぎってくらいキンキンの中ジョッキーを2杯、至福のまつもと漫ろ歩きなのでした。

恋のハッピー・デート / 石野真子 1980
      


JY02 山手線立ち呑み事情 立ち飲み大松@神田

2020-12-15 | 大人のたしなみ

 いい感じに暮れて午後5時前、ここは山手線と中山道(国道17号)がクロスする神田駅。
学生街、古書街、そばの名店の街、吞み人が学生の頃はスキー用品店も多かったかな、
神田はサラリーマンの街でもある。そんな神田のガード下に立ち飲みの名店を訪ねる。
えっ、すでに14~15席の粗方が埋まっている開店時間、お馴染みさんのフライングか?

 まずは "プレモル" を一杯。木枯らしの季節になっても一杯目の生ビールは譲れない。
狭いカウンターは親父さんのワンオペ、出刃やら雪平やらを駆使して手際あざやかに
美味いものをカウンターに届けてくれる。
一方、オーダーが集中する時間は手のかかるアテは注文しないのが客側のお作法らしい。
ところでこの店の名物はいわし料理、10以上のメニューが短冊になっている。
でっ吞み人は "梅しそたたき" を注文。脂がのったイワシとさっぱり梅しそが絶妙、
これは最初から日本酒でいくべきだったか。

 飲み物の担当は元気のいい兄さん、なかなか目配り気配りが行き届いて好感。
カウンターに並ぶのは、デパート店員らしき姐さん二人、大店の社長か番頭って感じの
カジュアルなジャケット姿が数人、会話の感じから皆さんご常連だね。
他にカップル二組は立ち飲み愛好家?土曜の夕方だからスーツ姿は皆無だ。
"ホッピー白" のナカを追加したころに "生・青のり豆腐" が湯気をたて、磯の香りが漂う。

 日本酒は黒部(富山県)の "純米吟醸 幻の瀧"、しっかりとした酸味と米の旨みを味わう。
なんでも「ワイングラスでおいしい日本酒」と評価されるスッキリした一杯だ。
アテは名物からもう一品 "いわし唐揚ポン酢"、スダチをたっぷり絞って、ポン酢に
もみじおろしでさっぱりと美味しい。この純米吟醸とよく合うね。
 さて会計は3,000円と少々、アテの出がゆっくりだったから一寸飲み過ぎただろうか。
ほんとはサクッと短時間で、2,000円を越えず、粋に席をゆずる、って美学でいきたい。
それにしてもアテのクオリティーは立ち飲みのレベルではない「立ち飲み 大松」さん、
神田の途中下車が増えるかもしれないなぁ。

それでは次回、秋葉原で。

街が泣いてた / 伊丹哲也 & Side By Side 1980
     


九十九里の浪切不動院と舞桜と 成東線を完乗!

2020-12-12 | 呑み鉄放浪記

 大網08:26発、1635Mで東金線を成東に向かう。
外房線の大網と総武本線の成東を短絡する東金線へは千葉から直通する6両編成が走ってくる。

大網駅は外房線と東金線が二又になった線路の間にロータリーが在り、白子海岸方面へのバスが発着する。

沿線の北側は段丘になっているから、中世にはこの辺りまで海が入り込んでいたらしい。
わずか5駅を20分弱でシャトルする東金線は、まん中の東金駅で上下線が交換する。

そして飲み切れないのを分かっていてスクリューキャップを切る "総乃九十九里" は爽やかな純米酒。
先日訪ねた九十九里は山武、寒菊銘醸の酒だから、今回を逃すと出番を失うのだ。

 南国風の成東駅、6両編成は車止めがある0番ホームに終着する。
1番線には銚子行き特急が、3番線には千葉行きの鈍行が停車中で、ローカルな駅も一時の賑わいを見せる。

 徒歩10分ほどの段丘の上には、行基が海難除けを祈願して開基した懸崖造りの「浪切不動院」がある。
浪切という名は、どうやら此処がかつての海岸線であったことを物語っている。

古来より遭難しそうになった船が不動院の常夜灯の灯りによって救われたという逸話があり、
30mの崖上にある不動明王は、漁師さん達にとって海難除けのパワースポットになっている。
本堂の舞台からは今や遠く離れた海岸線に向かって広がる町並みを見渡せるのだ。

 駅前のお世辞にもきれいとは云えないそば屋さん、人の良い大将の笑顔に迎えられて真っ昼間の一杯。
ちょっと飲みたいと告げると、"冷奴" と "お新香" がテーブルにトントンと置かれる。どうやらサービスらしい。
これだけでアテになりそうだけれど、申し訳ないので "アジフライ" を注文、カラッとボリューミーなひと皿だ。
地元九十九里は山武の "舞桜"、冷やでよし燗でなおよし、しっかりとしたのみくちは、漁師の酒って感じか?
これ飲んでご覧と "甲子正宗" の大吟醸をご馳走になって、よいよいの昼下り。

     

〆の "卵とじうどん" はカツオ節ベースのコクがあるこれぞ関東風の一杯、しょっぱけど実に美味い。
わずか20分の東金線も思いがけない歓待にあって愉しい旅となった。大将、ごちそうさまでした。

東金線 大網~成東 13.8km 完乗

スニーカーぶるーす / 近藤真彦 1980
     


人生のそばから 山形「そば処庄司屋」

2020-12-10 | 旅のアクセント

 はらはらと時雨が振る山形の町、駅から歩くこと10分「そば処 庄司屋」を訪ねる。
山形そば屋の隠し酒 "特別純米 五薫" は、男山酒造がそば屋だけに卸す特別な酒。
ふわっふわの "厚焼き玉子" はおろし醤油で美味しいアテなのだ。
上品に揚がった地の野菜天は塩かおろしをお好みで、これまた絶好のアテになる。
〆は山形産「でわかおり」を石臼挽きした手打ち "といちそば" をいただく。
そばの香りと深い甘みを愉しみながらズズっと啜る。いやはや至福の時間なのだ。

2019/12


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人生のそばから 常滑「古窯庵」

2020-12-08 | 旅のアクセント

 壁面に明治期の土管と昭和初期の焼酎瓶が埋められた土管坂を登る。
この坂を上った丘の頂に「手打ち蕎麦 古窯庵」がある。眼下に伊勢湾が望める。
蕎麦前は地元常滑の "白老純米"、濃醇でコクがある地元オヤジの晩酌の酒だ。
粗挽き細打ちの "辛味大根せいろ" を啜る。濃厚になった喉にさっぱり辛味そばが美味しい。
古民家風の小上がり、使い込んだ卓袱台、品のある酒器と皿、心地よいひと時なのだ。

2019/11


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I THINK SO / 岩崎良美 1980


新勝寺と赤星と寂しげなターミナルと 成田線を完乗!

2020-12-05 | 呑み鉄放浪記

 橋桁をガタガタ鳴らしてエメラルドグリーンの帯を纏ったE231が長門川橋りょうを渡ってきた。
東京に乗り入れる通勤電車がこうして田園地帯の単線区間を往く姿はなかなかシュールだ。

時刻表を調べると成田線は成田駅を中心にX字に延びている。乗り潰すには手強い路線だ。
先週、佐倉から松岸の本線を潰したから、今回は残した我孫子支線と空港支線で吞む。

我孫子駅で発車を待つのは堂々の10両編成、常磐快速のがそのまま入るので、車内はガラガラに空いている。

手賀川を渡る頃には車窓は稲刈りを終えた田圃の風景、駅でドアが開くたびに土の匂いがする。悪くない。

我孫子から40分、エメラルドグリーンの10両編成は成田駅6番ホームいっぱいいっぱいに停車して旅を終える。

 成田に来たからには成田山新勝寺に詣でないわけにはいかない。
大きな寺社の参道を歩くのは楽しい。早速左右から名物の鰻を焼く香ばしい匂いが流れてくる。

仁王門の大提灯の「紅」が鮮やか。「魚がし」の文字は魚河岸講の奉納、訪日外国人に大人気だ。
七五三の参詣で賑やかな聖徳太子堂、そして「十六羅漢」の彫刻を抱えた三重塔の「朱」が映える。

 駅近の大衆酒場の赤提灯に誘われる。真中に細長いコの字カウンターを配して昭和レトロな雰囲気が良い。
一方、地元の常連さんが通う店だけに、ビジターとしては店独特のお作法に気を使うことになる。これ大切。

先ずは渋くサッポロラガー "赤星" でスタート。アテは定番の "ポテサラ"、それに "鶏ごぼう煮" を注文する。
ほぼ家庭の味と言っていいアテは小皿に盛られる適量だから、品数を重ねると美味しく楽しい。 

"ホッピー" は凍らせたジョッキーで氷を入れないのがこの店のスタイル。焼酎が薄まらないのがいい。
昼抜きだったから、めずらしく "茄子ミートグラタン" なんてのを注文してみる。ごはんものメニューも豊富だ。 

常連さんで埋まってきたから、頃合を見て席を立つ。これもある意味ビジターのマナーかも知れない。
夕暮れの成田駅に戻ったら、空港支線の11km2駅を潰す。

成田空港へ向かうのは横須賀線からやってくる快速ばかりかと思っていたら、ローカル列車もあるんだね。
成田16:58発、1461Mは所謂房総色の8両編成、途中でスカイライナーに抜かれながらも生真面目に走って行く。

すっかり夜の帳が降りた成田空港駅、本来出発便が多い時間帯だけれど現下の状況で閑散としている。
空港ビルディングのグリーンサインもなんだか寂しげな成田線で吞む旅の終わりなのだ。

成田線 我孫子支線 我孫子~成田 32.9km
    空港支線 成田~成田空港 10.8km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
ひとり上手 / 中島みゆき 1982


JY01 山手線立ち呑み事情 吞うてんき@東京

2020-12-03 | 大人のたしなみ

 午後5時の八重洲口、冬至前の弱い陽は既に没し、東京駅周辺に夜の帳は降りる。
サラリーマン同輩諸氏の機先を制して、人気店での立ち位置を確保しようと急いで来た。
春以来の時差出勤で16:30終業の吞み人、なるほどこの時間この場所に立てるって訳だ。
「立ち飲み」だけを吞み継いで、はたして山手線を一周できるだろうか。
またしょうもない事をって云わないで欲しい。これでも大真面目、渾身の新企画なのだ。

 さくら通りに入って一本目の路地は異空間への入口、どんより赤い看板が手招きしてる。
先ずは給食の椀(みたいな)に千円札を2枚投込む。ここはキャッシュオンスタイルなのだ。
お気に入りの "マグロ中落ち" が無くて、代わりに "タコぶつ" と生ビールでスタート。
柱時計に日めくり、赤提灯が提がって、店内にはどこか懐かしい雰囲気が漂っている。

 隣に立つスーツがはち切れそうな体育会系の兄さん、店主と大声で掛け合っている。
どうも酒販卸しかメーカーのセールス担当らしい。盛んに新発売のジャパニーズジン、
(最近桜井ユキさんのCMが流れている)の取り扱いを勧めている。
とうとう半ダースの納品を勝ち取った兄さんは「明日、ポスター持って来まぁす」って
満面の笑顔で帰って行った。得意先に通って飲んで食べて店主の心を掴むんだね。
黄色と黒は勇気のしるし♪って、24時間戦うことを問われた時代のセールスが懐かしい。

 二杯目は "角ハイボール" を。ここのはダブル、レモンも入ってハッピーな一杯。
タモリ倶楽部でも取り上げられた "ハムカツ" は薄からず厚からず、サクサクした食感が
ソースとたっぷり和がらしをつけて美味しい。
この店、6~8人が立てるテーブルが4卓、こんどは奥で人事評価会議が始まった様だ。
背中越しに繰り広げられる人間模様もなんだか昭和っぽい、でひとり飲みも退屈しない。

 常連さんから次から次にオーダーされる "温どうふ" が気になる。メニューにはない。
だいたい察しはついたが、鍋から掬われた半丁の絹ごしの上で削り節が悶えている。
こうなりゃ日本酒を一杯、新発田の "辛口菊水" が安っぽい薬缶に入って提供される。
新潟らしい淡麗辛口とポン酢醬油の "温どうふ" でさっぱりしたところで〆にしよう。
お会計は三杯三品で2,150円也、家路の寄り道にはまずまずのパフォーマンスだろうか。
なにしろ八重洲北口改札から5分にこんな異空間を見つけた喜びが大きい。満足なのだ。
それでは、立ち飲みを継いだ山手線一周の旅、次は神田ぁ!

DOWN TOWN / EPO 1980
     


一酒一肴 根津・鮪の生姜煮と大倉秋上がり

2020-12-01 | 津々浦々酒場探訪

 谷中銀座をはじめ谷根千(やねせん)は、昔ながらの東京の下町風情が味わえる。
日が傾いたら、根津神社近くの「坂ノ下ノオリゼ」 をたずねる。ここ、呑み人に不釣り合いな日本酒バル。
秋のラインナップから択んだのは香芝の "大倉 山廃特別純米秋上がり"、今宵は奈良の酒でいくと決めた。
前菜の "和の三点盛り"、今日は "鮪の生姜煮"、"白和え"、"ローストビーフ" と気が利いたラインナップ。 
秋の夜長のバーカウンター、洒落たグラスで日本酒を愉しむのもまたいい。

2019/12


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Suddenly / Olivia Newton John & Cliff Richard 1980