旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

蔵の街で “じゃがいも入り焼きそば” を 東武・宇都宮線を完乗!

2016-07-30 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 東武宇都宮線は新栃木で日光線と分岐する。支線ではあるが宇都宮の都市近郊路線としての性格が強く、
通勤通学客を中心に利用客が多い。東武百貨店と一体化したターミナルビルの駅から新栃木をめざす。

駅近くの臼ヶ峰(標高約135m)の山頂には二荒山神社が鎮座している。御祭神は豊城入彦命、古事記には
上毛野君・下毛野君の始祖とある。武将の信仰が篤く、藤原秀郷、源頼朝、徳川家康が戦勝祈願したという。

宇都宮線は単線だけど全ての駅に交換設備がある。日中は30分に1本のダイヤで各駅停車が走り、
宇都宮から新栃木までは所要40分、途中2度の交換がある。終点手前の野州平川では下り電車を交換待ち。

4両編成ワンマン電車は新栃木駅の3番線に終着した。
でも起点の新栃木駅を始発し終着する列車は少数派で、殆どの列車が日光線に乗り入れ栃木駅まで向かう。

 蔵の街・栃木は江戸時代より宿場町として、また舟運を利用した問屋町として栄えて来た。
倉賀野宿から日光に至る例幣使街道は、東照宮に参拝する西国大名が通りまた宿泊して賑わったに違いない。
通りには黒塗りの重厚な見世蔵や白壁の土蔵群が残り、美しい町並みを見せている。
 

市内中央を静かに流れているのは巴波川(うずまがわ)、清流には多くの鯉が優雅に泳いでいる。
川の両岸は重要伝統的建造物群保存地域になっていて、特に蔵の街美術館、横山郷土館が美しい。

     

“じゃがいも入り焼きそば” は栃木のB級グルメ、地元では昔から親しまれている一般的な焼きそばだ。
人気の大豆生田商店で自慢のひと皿をいただく。並皿380円、安くて美味くてさらにボリュームがある。
お持ち帰りのお客さんがひっきりなしに訪れて、この辺の食文化にちょっぴり触れた「呑み鉄」の旅なのだ。

東武鉄道・宇都宮線 東武宇都宮~新栃木 24.3km 完乗 

<40年前に街で流れたJ-POP>
LA-LA-LA / 研ナオコ 1976
     


旧東海道・品川宿でBiz-Lunch「カジュアル割烹 よこむろ」

2016-07-27 | Biz-Lunch60分1本勝負

 お昼の気温は26度ほど、久しぶりに過ごしやすい日は北品川商店街にランチ遠征。
「カジュアル割烹 よこむろ」は、遠征仲間の間では評価No1。
なにが良いのかって、多分、素朴な味付けなんだと思う。今日は “鯖の塩焼き” をいただいた。
家庭料理そのものって感じだろうか、単身赴任者や地方出身者にはどこか懐かしい味かな。

      

ここのご主人、熱心に少年野球の指導をしているらしい。店内は写真やメダルが...
学校が休みの時期は思わぬ臨時休業が結構多くて肩透かしを喰らう。
定番は “若鶏の唐揚げ”、これなんか田舎のおふくろの味そのものだ。
久しぶりの美味しいランチ遠征なのだ。


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山あげ祭と八溝そばと東力士と 烏山線を完乗!

2016-07-23 | 呑み鉄放浪記

 キハ40系は、津軽線や江差線、札沼線、そして三角線でも乗った全国区の気動車だ。
懐かしい国鉄色にリバイバル塗装されて、前面には “毘沙門天” のキャラクターが描かれている。

烏山線は東北本線の宝積寺から分岐して那珂川河岸の烏山まで走るローカル線。
宝積寺、大金(おおがね)なんて縁起のいい駅もあって、沿線7駅に七福神をキャラクターとして割り当てている。
起点の宝積寺駅は隈研吾氏のデザイン。天井に貼った針葉樹合板のレリーフが暖かさと軽やかさを表現する。

     

2両編成は超満員、浴衣姿のお嬢さんが乗り合わせたりして、今日が「山あげ祭」であることに気付く。
車内に冷房の設備はなく、扇風機がせっせと首を振って涼風を届けてくれる。

終点手前の滝駅で2両編成を見送る。この駅のキャラクターは “弁財天” 、近くに「龍門の滝」が落ちている。
ここで途中下車するのは、北に1キロほど、清酒 “東力士” 島崎酒造の洞窟酒蔵を訪れるためだ。

 太平洋戦争末期に戦車を製造するために建造された地下工場跡の洞窟は、日本酒を瓶内熟成させるのに
適した自然の貯蔵庫なのだ。延べ延長600m、稀少古酒やオーナーズボトルを貯蔵した洞窟を見学した後は、
試飲スペースで吟醸酒・大吟醸酒の飲み比べ、そして古酒の試飲を楽しむ。

終点の烏山駅前は、あちらこちらからお囃子が聞こえて大賑わい。永禄3年(1560年)、烏山城主が疫病防除、
五穀豊穣、天下泰平を祈願した祭礼の奉納余興「山あげ祭」は、絢爛豪華な野外歌舞伎として今に伝わる。

     

ところで烏山を含めた栃木県東部は、八溝山系の豊かな水と、寒暖の差ができる山間地域で栽培される
香り高い「八溝そば」として評判だ。昭和レトロな老舗「つね屋」さんで “大ざるそば” をいただく。

 先ほど洞窟酒蔵を拝見した島崎酒造さんは嘉永2年(1849)の創業。清流那珂川の伏流水を仕込み水として、
丹精込めた酒造りをされている。“東力士” は二代目が無類の相撲好きであったことから名付けたそうだ。
店内には爽快純吟 “酔夏” なんて、スイカがラベルに描かれた季節のお酒も並んでいる。
っでボクはと云うと、涼しげなマリンブルーのボトル、大吟醸 “吟” 生酒を車中酒に仕込むのだ。

 烏山線には日本初の蓄電池駆動電車EV-E301系が走ってる。愛称はACCUM(アキュム)。
でも室内は全てロングシート、それに「山あげ祭」の人出で発車30分前からつり革につかまるほどの満員だ。
これでは大吟醸酒のスクリューキャップを切れない。定刻、ACCUMはお囃子に見送られて音もなく滑り出した。

烏山線 宝積寺~烏山 20.4km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
明日に向って走れ / 吉田拓郎 1976
     


ブラジル煮込料理と新田貞義と赤城山と  東武・小泉線と桐生線を完乗!

2016-07-16 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 連休中2度目の館林は、熊谷、四万十、多治見と暑さ日本一を競う。今日も真夏日になりそうな気配だ。
館林までの複線は佐野線・伊勢崎線・小泉線と三股に分岐し、小泉線は4番ホームから西小泉をめざす。

2両編成のワンマンカーが田圃地帯をガタゴト往く。日中は1時間に1本なので、途中上り電車との交換もない。
長閑な小泉線だが、終点に富士重工業と三洋電機の巨大な工場があるから、朝夕は別の顔を見せるのだろう。

 大泉町は人口1割以上がブラジルなど南米出身の日系人、当然に町中にポルトガル語の看板が溢れている。
ブラジル人向けのレストランや雑貨屋等も点在し、日本でも一番の老舗「レストラン・ブラジル」もその一つ。

     

“ボリーニョ・デ・バカリャウ”(干しタラのポテトコロッケ)をアテに、よく冷えた “クスケーニャー” を味う。
人心地つくころに、牛テール、ポテト、ニンジンをトマトベースで煮込んだ家庭料理 “ハバータ” が登場する。

 館林方面へ2駅戻った東小泉駅から太田へ向かう支線がある。この支線を走る2両編成のワンマンカーは、
太田駅を結節点として桐生線と一体運用されているから、反対側のホームで待っていたのは赤城行だ。

 鎌倉時代末期から南北朝時代の武将新田義貞は、上野国新田荘(太田市)の出身。太田駅には新田義貞像が立つ。
背景には富士重工業の群馬製作所本工場が立ち並んでいる。太田市は企業城下町なのだ。

 桐生線は本線の伊勢崎線からここ太田で分岐する。東小泉で乗車した電車がそのまま桐生線の終点まで走る。
思わず途中下車してしまったのだけど、時刻表を見ると桐生線も1時間に1本、然らば後続の特急に乗車しよう。
浅草からの「特急りょうもう」は1往復を除いて、本線を伊勢崎へ走らず、支線の桐生線を赤城へ向かう。

「特急りょうもう」は、新桐生で殆どの乗客を降ろし、相老でわたらせ渓谷鐵道に接続し、終点赤城では
上毛電鉄線に連絡をしてその旅を終える。太田からは20キロを25分で駆け抜ける短い旅だ。

 赤城駅から北へ1kmほど歩くと、淡麗辛口の酒 “赤城山” の近藤酒造が在る。煙突がその存在感を示す。
暑い中、緩やかな坂道を上ってきたのに、なっなんと本日休業。失意のうちに浅草行に乗車する呑み人だ。 

東武小泉線 館林~西小泉 12.0km
      東小泉~太田   6.4km
東武桐生線 太田~赤城  20.3km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
あなただけを / あおい輝彦 1976
     


シャルドネ片手に We are REDS! 埼玉高速鉄道線を完乗!

2016-07-13 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 観客54,000名を飲み込んだ埼玉スタジアム、浦和レッズと大宮アルディージャの “さいたまダービー” は点の取り合いとなり、シーソーゲームとなった試合は2-2の引き分けに終わった。

 

 埼玉スタジアムへは都心からは、東京メトロ南北線から乗り入れる埼玉高速鉄道線で向かう。両線の結節点赤羽岩淵駅が埼玉高速鉄道線の起点だ。車内の半分を “赤” に染めて、浦和美園行きが1番ホームを滑り出す。埼玉高速鉄道線はそのほとんどが地下鉄となっていて、川幅のある荒川でさえ潜って埼玉県へと入る。

東川口でJR武蔵野線から乗り換えのサポーターを乗せた東急電鉄の車両は、終点の300メートル手前あたりから地上に出て、夏の夕陽に照らされながら浦和美園駅に終着する。

 

浦和美園のホームでは、柏木陽介をはじめ主力選手が出迎えてくれる。駅の延長線上には車両基地があって、その先に埼玉スタジアムがその巨大な姿を横たえている。

車輌基地沿いの歩行者専用道路を行く。ユニホームなどの応援グッズや飲食の露店が連なって賑やかだ。正面に見える埼玉スタジアムが視界に大きくなるにつれ、テンションが高まっていく。20分ほど歩くと南口ゲート前広場だ。

 

観戦はVIEW BOX席、今日の「呑み」は良く冷えたシャルドネを片手に、我らがREDSに声援を送るのだ。

埼玉高速鉄道線 赤羽岩淵~浦和美園 14.6km 完乗

Jolene / Olivia Newton John 1976


分福茶釜と開華と青ねぎラーメンと 東武・佐野線を完乗!

2016-07-09 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 茂林寺前駅以北がフリー区間になった「ふらっと両毛・東武フリーパス」は、浅草発着3日間有効で2,400円。
今日はこのフリーパスで東武佐野線を遊ぶ。起点の館林から3両編成が、1時間に1本葛生に向けて発車する。

     

ここは信楽ではない。 館林にはお伽噺「分福茶釜」の舞台となった曹洞宗茂林寺があるのだ。

3両編成がガタゴトと渡良瀬川に架かる鉄橋を渡ったら栃木県、最初の田島駅で途中下車しよう。
田圃を横目に歩いてとぼとぼ10分、創業延宝元年(1673年)、栃木県下で最も歴史のある酒蔵を訪ねる。
"開華" を醸す第一酒造は、酒米を田植えから収穫まで社員さんが行う、農業と酒造りが一体となった蔵元だ。

蔵を改装した「ギャラリー酒蔵楽」で、純米生酒、山廃純米吟醸、特別純米原酒を試飲させていただいた。
土産に甘やかでフルーティーな吟醸香の純米生酒 "開華" を仕込んで、帰ったら「花冷え」位で楽しもう。

車中酒にと純米酒と蛇の目盃も求めた。でも佐野線の3両編成は生憎のロングシート、っで高校生がいっぱい。
ここは我慢するしかない。スクリューキャップを切ったのは、復路の特急りょうもう号のシートに収まってから。 
JR両毛線と連絡する佐野駅で交換のための少々長めに停車したら、その一つ先の堀米駅で2度目の途中下車。

『佐野ラーメン食べて来た。太七の青ねぎラーメン、超人気、今売れています』って随分と強い看板。
暑い中、20分も歩いて訪ねた佐野ラーメンの人気店「ラーメン太七」の看板メニューは "青ねぎラーメン" だ。

薄めのさっぱりスープ、麺に腰、ツルツル啜れる長い麺、そしてシャキシャキの青ねぎを一面に散らしている。
穴あきのレンゲでシャキシャキを楽しむと麺と具が現れて、太麺にスープを絡めズズッと啜って美味しい。

 

 かつては石灰石を都心まで輸送していた東武鉄道。石灰石の集積地であった葛生駅は広いヤードを持っている。
この先、会沢線・大叶線・日鉄鉱業羽鶴専用鉄道が延びていた往時は、さぞかし賑やかだったことだろう。

今では静かな終着駅に幼い姉妹、心細げな幼い妹を小学生のお姉ちゃんが世話をして。
やがて祖父母の車がやってきて笑顔、お迎えが遅れたのだろう。微笑ましい光景を眺めて佐野線の旅を終える。

東武鉄道・佐野線 館林~葛生 22.1km 完乗 

<40年前に街で流れたJ-POP>
夏にご用心 / 桜田淳子 1976年
     


奥鬼怒温泉「加仁湯」にて

2016-07-03 | そうだ温泉にいこう!

 日光国立公園の奥鬼怒源流地帯。
人里を遠く離れ、豊かな温泉と自然が静寂に包まれた秘湯「加仁湯」を訪ねた。
どれ位人里を離れるかと云うと、まずは市営バスで女夫渕(めおとぶち)まで、1時間40分。

 

所要時間が長いので、途中の「栗山ふる里物産センター」でトイレ休憩。
物産センターの店先では鴨の串焼きが香ばしい香りをたてている。

五十里ダム、川治ダムは、報道のとおり貯水率はかなり厳しい状況。川俣ダムもこの通り。

 

一般車が入れるのは女夫渕温泉駐車場まで。
この先の奥鬼怒スーパー林道は一般車進入禁止なので宿のマイクロが迎えに来る。

      

県境を越えて尾瀬の大清水小屋に至るスーパー林道の未舗装道路をガタゴト走ること30分。
ようやく到着した「加仁湯」は、囲炉裏から薪が燃える匂いがなんとも云えない。

 5本の源泉を持つ加仁湯は、男女別の内湯、3つの露天風呂、貸切露天風呂がある。
早朝の露天風呂、小雨が初夏の濃い緑を一層鮮やかにする。
熱く白濁した湯に浸かり、渓流のせせらぎ、鳥の声、揺れる木々の音に包まれて至福です。

 さてお膳はと云うと、地元で採れた山菜や川魚がメインになる。
別注文で、鹿や熊の刺身、ステーキ、サンショウウオの天ぷら等特別料理が楽しめる。
まずは岩魚の塩焼きで一杯、冷酒は市貝町の惣誉酒造、吟醸仕込生貯蔵酒をいただく。

鱒の刺身に湯葉刺し、蕗、わらび、竹の子等山菜のお浸しに天ぷら。
酒の肴には申し分ない一品一品だけど、子どもにはどうかなと思いきや完食。
おとこ同士、自然に包まれて、注いでもらって語らって、愉しい一夜なのだ。


白美人と鴨せいろと清開と 東武・鬼怒川線を完乗!

2016-07-02 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 特急スペーシアに乗って下今市までやってきた。今回は息子とふたり、東武・鬼怒川線を往く男旅だ。
下今市駅は日光線から分岐する鬼怒川線の起点、浅草からは会津田島まで直通する区間快速が運転されている。
この列車は特急券不要でかなりお得感がある。旧国鉄急行型のような2つ扉のクロスシートは旅情満載なのだ

 

渡邊佐平商店は、天保13年(1842年)の創業。日光山麓の清冽な名水を汲み、吹き下ろす寒気の中で酒を醸す。
土産に純米吟醸 "日光誉"、車中酒に特別純米 "清開" 生を求めると、特急の車中で手にしたフリーペーパーの
クーポンで「ぐい呑」をいただきご機嫌なのだ。

 日光街道と例幣使街道の追分に並木そば本店がある。正午前に飛び込んだので待ち時間なく席に座れた。
ここでもクーポンで「味噌おでん」のプレゼントがある。車中のフリーペーパー「るるぶ」は侮り難い。

明治創業の老舗のお奨めは十割そばと鴨せいろ。っで、ふたり揃って "白美人の鴨せいろ" を注文する。
仏産のマグレ・ド・カナール鴨、那須の白美人ねぎ、それに日光産舞茸を添えた特製鴨せいろだそうだ。
白美人を絡めたそばを鴨汁にさっと浸してズズッと啜る。これは美味い。途中で柚子胡椒を加えてさらに美味。

区間快速の6両編成は後ろ2両の日光行きを切り離し、ゴトゴトとガータを鳴らして大谷川鉄橋を渡る。
クロスシートにはもちろん窓枠から張り出したテーブルが付いている。早速 "清開" の300mlを開けよう。
「ぐい呑」に程良く冷えた純米酒を注いで、左手車窓に鬼怒川渓谷美を眺めながらの車中酒を愉しむのだ。

下今市から新藤原までは30分、鬼怒川温泉で多くの乗客を降ろし、閑散とした4両編成が新藤原に到着する。
手際よく切り離された前寄りの2両が会津路に向かうのを見送ると鬼怒川線の短い旅は終わる。
今日はここからバスに90分揺られて、奥鬼怒川温泉の秘湯「加仁湯」をめざすのだ。

東武鉄道・鬼怒川線 下今市~新藤原 16.2km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
赤いハイヒール / 太田裕美 1976