旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

ああ長崎 思案橋ブルース 長崎電気軌道を完乗!

2017-05-31 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

「行こか戻ろか」と思案橋、今では欄干の跡を残すのみだ。この時点で22:00。
結構時間がかかった路面電車の乗りつぶし旅なのだ。

長崎港を見下ろす南山手の丘には、花々に囲まれて異国情緒あふれるグラバー邸。

旧三菱重工造船所第2ドックハウスのベランダから長崎港が見える

 

大浦天主堂から坂の住宅街を抜けると石橋電停。
5系統の蛍茶屋行き電車に乗車して築町電停までが大浦支線だ。

 

築町電停は鎖国の約200年間、日本で唯一開かれていた窓「出島」東側にあたる。

 

思案橋方面から4系統の蛍茶屋行き電車がやって来る。
西浜町電停から終点の蛍茶屋電停までが蛍茶屋支線になる。

 

“おすわさん” と親しまれる諏訪神社前を右手にカーブして、R34を東へと向きを変える。
秋の大祭「長崎くんち」は、豪華絢爛・異国情緒たっぷり、日本三大まつりに数えられる。

諏訪神社前電停から3つ先、蛍茶屋電停は2、3、4、5系統の起終点。もう日が暮れていく。 

 

長崎駅前電停に戻って公会堂前電停までの2区間を3系統の電車に乗る。桜町支線だ。
日本初のアーチ式石橋の眼鏡橋、川面に映った影が双円を描き「メガネ」に見える。

 

最後に赤迫電停から正覚寺下行きに乗車する。1系統が走る路線が最長の本線だ。
途中、浦上天主堂、平和公園など見どころを通るのだけど、この時間なのでパス。 

 

ガタゴト揺られて30分、本線は正覚寺下電停に終着、思案橋横丁はひとつ手前の電停だ。
運転手は慌ただしく反対側の運転台に移動して、電車は早々に折り返して行った。 

 

思案橋横丁の「立ち呑みたたんば」、威勢のいい声に迎えられる。
10人も立てばいっぱいのカウンター、先客は奥へ詰めて新しい客のためにスペースを空ける。

 

長崎ではラインナップは焼酎が中心、地酒は冷蔵庫に冷やしたワンカップでいただく。
平戸は福田酒造の「福鶴」を1杯目、2杯目は今里酒造の「六十餘洲」、波佐見の酒。
午前中の肥前浜から飲み続けの1日、ほっとひと息、思案橋横丁で〆の1杯なのだ。 

長崎電気軌道 大浦支線 石橋~築町 1.2km
      蛍茶屋支線 西浜町~蛍茶屋 2.2km
       桜町支線 長崎駅前~公会堂前 0.9km
         本線 赤迫~正覚寺下 7.3km 完乗

 

中之島ブルース / 内山田洋とクール・ファイブ 


肥前浜で祐徳稲荷詣と酒蔵巡り 長崎本線を完乗!

2017-05-29 | 呑み鉄放浪記

 世界最大規模・最高権威と評価されるインターナショナル・ワイン・チャレンジ。
2011年、日本酒部門の最優秀賞を獲得してブランドを上げた『鍋島』をご存じだろうか。
醸す富久千代酒造は、江戸時代の宿場の雰囲気を残す肥前浜、土蔵造りの町並みに在る。

 

 長崎本線はここ鳥栖で鹿児島本線から分岐して港町長崎へ向かう。
5・6番ホームに立つと、J1サガン鳥栖のベストアメニティスタジアムが視界を占める
07:24発、長崎+早岐行きの6両編成は県都佐賀へ向かうサラリーマンと高校生で満員だ。

 

佐賀を過ぎると15分ほどで肥前山口に到着する。佐世保線との分岐駅だ。
前寄り4両の早岐行きを見送る。佐世保線は昨秋、武雄の湯を堪能して完乗している。

 

観光地の賑やかな駅かと想像していたけれど、肥前浜は小さな無人駅だった。
駅舎の空きスペースには鹿島市観光協会の案内所が入っている。
丁寧に祐徳稲荷神社行きバス停を教えていただいた上、荷物もを預かってもらった。 

     

路線バスに揺られて5分、門前の小さなバスターミナルに到着。乗客は唯一人。
「祐徳稲荷神社」は日本三大稲荷の一つに数えられる。
本殿、神楽殿、樓門など総漆塗極彩色の華麗な様故に鎮西日光と称される。
実際鮮やかな「朱」が五月晴れの青空に映えて美しい。

お祀りするのは倉稲魂大神、大宮売大神、そして猿田彦大神。
商売繁昌、家運繁栄、大漁満足、交通安全などを祈願して多くの参詣者を迎えている。
 

 

祐徳稲荷神社にほど近い場所にある幸姫酒造は蔵見学が可能だ。
留守居の奥さんに蔵を案内いただき、純米、吟醸、大吟醸とたっぷり試飲を愉しんだ。
土産には無濾過生原酒「笑酒」を求める。山田錦で醸したまろやかな辛口の酒だ。 

 

長崎街道の脇街道「多良往還」の宿場町、漁師町として賑わった肥前浜。
江戸時代から多良岳を源流とする豊富な水を使った酒造業が栄えている。
「酒蔵通り」には、煉瓦の煙突が立派な飯盛酒造、白壁の蔵が並ぶ中島酒造場と続く。

 

さらに「金波」の光武酒造場、街道を駅方向に外れると「鍋島」の富久千代酒造がある。

 

「菊王将」の峰松一清酒造場は観光酒造・肥前屋をオープンしている。
車中酒に「菊王将 純米酒」と肴に「くりいむちーずの粕漬」を仕込む。 

  肥前浜駅の前には昔ながらの大衆食堂「金時食堂」がぽつんとある。
1930年創業と云うから駅と同い年
。所長さんのお奨めてくれた「ちゃんぽん」を食す。
地元の食材をふんだんに使ったボリューム満点の一皿に満足なのです。

 肥前浜を出た長崎本線は有明海を舐めるように海岸線を走る。
左手車窓に干潟が広がると、早速「菊王将 純米酒」のスクリューキャップを切る。
肴に求めた「くりいむちーずの粕漬」これ絶品。午前中から飲みっ放しなのに杯が進む。 

 

いつの間にやら下車支度にざわつく車内に終点の長崎を告げる車内放送。
穏やかな有明海と雲仙普賢岳を眺めるうちにうとうとしたようだ。
全ての線路が車止めで行く手を遮られる長崎駅で、ほろ酔いの長崎本線の旅は終わる。
否、喜々津から長与を経て浦上に至る旧線を乗らないといけない。

 

明治時代に開通した旧線は非電化区間なので気動車が走っている。
15:26の喜々津発は年季が入った国鉄時代の車両だけど、鮮やかなマリンブルーが眩しい。
旧線が喜々津を出ると直ぐ大村湾が広がる。入江が連続する車窓は新線より断然美しい。
2両編成の気動車が浦上駅に滑り込んで、今度こそ長崎本線の旅を終える。
今宵は思案橋界隈に出没する心算なのだ。

長崎本線 鳥栖~長崎 125.3km
     諫早~浦上   23.5km 完乗 

長崎小夜曲 / さだまさし


「お好み酒蔵」看板娘のお奨めは "國菊" 甘木鉄道を完乗!

2017-05-27 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 年季の入った店構えに赤い提灯、漂ってくる焼物の匂い、通りまで溢れてくる語らい。
引戸を開けた瞬間、アウェイ感に打ちのめされそうな予感。20:00って佳境だしね。
週末はなぜか朝倉市甘木に降り立っている。

 

   甘木鉄道は国鉄民営化の前年、沿線市町とキリンビールが出資して開業。
JR鹿児島本線の基山駅を起点として甘木までの11駅を繋いでいる。
基山で福岡方面からの、小郡で福岡天神方面からの乗換客を拾ってレールバスは満員。
第三セクター鉄道の中では優等生の様だ。

 

レールバスは27分で甘木に終着する。
ホームの反対側に停車していたレールバスの国鉄急行型の塗装が懐かしい。
駅の案内板がJR九州と同じデザインなのは国鉄時代のままと云うことだろうか。

   夕闇の甘木駅を背に小さな町を酒肴を求めて彷徨う。
当たりをつけていた店のひとつ「お好み酒蔵」は昭和22年創業の老舗居酒屋。
引戸を開けると小上がりも含めて満員の盛況。
ひとりを告げると、女将さんがカウンターの常連さんの間に席を奨めてくれた。

先ずは沿線のキリンビール福岡工場に敬意を評して生ビールを呷る。
福岡らしい肴と云うことで「焼き明太子」を注文する。
周りカリカリ、中はレアが大将のこだわりだそうで、美味しい一品だ。

 

地元の「國菊」を奨めてくれたのは、カウンターに入って来た笑顔のステキな女性。
女将さんとの会話からすると、どうやらお嬢さんの様。さながら看板娘ってことですね。

 

以前で云う2級酒に当たるのだろうか、こうした酒を、まして常温で飲む機会は少ない。
でも、やや甘口の頑固な味は、この店の雰囲気や肴によく馴染んで旨い。
二品目も渋く「銀だらミリン」、当たりの一品だ。

   蛇足だけど、〆に「大将のチャポリタン」を注文する。
ちゃんぽんのナポリタン風ってことだろうけど、日本酒の〆には合わなかったかな。
看板娘に気持ちを残しつつ、ほろ酔いで甘木駅に戻る。明日は長崎本線で呑みます。

甘木鉄道(旧甘木線)  基山〜甘木   13.7km   完乗

The Stranger / Billy Joel 1977


旧東海道・品川宿でBiz-Lunch「加希川」

2017-05-23 | Biz-Lunch60分1本勝負

 おでんの店らしい。旧東海道の北品川商店街は脇に入ると隠れ家的な店が点在する。
「加希川」はカウンター7席、2人掛けテーブル3卓、清潔感と高級感あふれる店内だけど、
日変りの鳥天丼は850円とリーズナブル。ジューシーな鶏肉と薄味のタレが絶品だ。
3種の小鉢も嬉しい。再来店意向大の美味しいお店なのだ。

     
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山陰の小京都・津和野を訪ねる 山口線を完乗!

2017-05-21 | 呑み鉄放浪記

 山の緑にひときわ鮮やかに浮かび上がる太皷谷稲成神社(たいこだにいなりじんじゃ)。
津和野藩主が藩の安穏鎮護と領民の安寧を祈願して津和野城の鬼門に祀ったと云う。

      

表参道は、263段の石段に約1,000本もの鳥居、まるで朱塗りのトンネルを上って行く。

 

益田発20:59、最終の津和野行きに乗車する。
本当は津和野で呑むつもりだったのだが、思いがけず石見銀山に寄れたのでこの時間だ。
山陰の小京都・津和野の夜は早く、地酒で一杯やれる小料理屋や居酒屋は仕舞っていた。 

 

早朝、津和野温泉観光ホテルわた屋の露天風呂から町を眺める。
赤茶色の甍の波が朝日にきらめいて美しい。 

 

太皷谷稲成神社から下って小京都の町並みを歩く。 
石畳の通りが続く殿町は、かつて家老屋敷が隣接していたところ。
なまこ塀と掘割りに泳ぐ鯉、津和野の象徴的な情景だ。

 

清純な水と地元の酒米、そして気候に恵まれた津和野。
石畳の通りには華泉酒造、古橋酒造と2軒の酒蔵が並んでいる。
"初陣" の古橋酒造では大女将?にたっぷり試飲をさせていただいて良い気分。
土産に
 "特選大吟醸・津和野" 車中のお供に "初陣ひや生酒" を求めた。

 

津和野は「つわの栗の里」としても売り出そうとしている。
キャッチフレーズは "津和野はイガイにビックリ、栗どころ!" だそうだ。
酒蔵の向かい竹風軒本店で、甘露煮の栗とつぶ餡をカステラで包んだ "栗御門" を仕込む。
出張延泊のエクスキューズに家族への土産も用意しないとね。

 

益田で山陰本線から分岐した山口線、ここ津和野駅までは島根県だ。
10:04発の山口行きは単行ディーゼルカー、エンジンを唸らせてグイグイと勾配を上る。
ピークの白井トンネルを抜けると山口県だ。 

田植えが終わった田圃風景を眺めながら、"初陣ひや生酒" のスクリューキャップを切る。
ようやく冷房が効き始めた車内で冷酒が旨い。車窓にはたくさんの青鷺が遊んでいる。 

単行ディーゼルカーは終点の山口駅にガクンと停車する。
反対ホームで津和野へと向かう "貴婦人" C57-1号機が汽笛一声、出発して行った。

山口で乗り継ぐのは、やはり旧国鉄時代からの朱を纏った2両編成のディーゼルカー。
部活の高校生やら家族連れで賑やかな2両編成は新山口までの20分ほどを軽快に走る。
山口線は起点新山口(旧小郡)で山陽本線と合流してその旅を終える。
駅前ではこの地に「其中庵」を結んだ山頭火が迎えてくれた。

山口線 益田~新山口 93.9km 完乗

 

Saturday Night Fever / The Bee Gees 1977


江の川と石見銀山と白蘭吟生と 三江線を完乗! 

2017-05-19 | 呑み鉄放浪記

 石見川本駅でラッピング車両「三江線神楽号」と交換した。三江線沿線に点在する
大元神楽、阿須那系石見神楽、高宮系神楽、備後系神楽などをテーマに描いたものだそうだ。
JR西日本は国土交通大臣に三江線の鉄道事業廃止届出書を提出している。
廃止予定日は平成30年4月1日、今年中に呑み潰さなくてはならない路線だ。 

馬洗川に架かる巴橋は三次市のシンボル。
江の川本流に西城川、馬洗川が流れ込む合流点、3本の川が合流する様から巴峡と呼ばれる。
今日は三江線に乗って江の川とともに日本海をめざす。 

三次の旧い町並みに白蘭酒造を訪ねる。
米どころ三次にあって昔から地域密着型のお酒を作り続けてきた小さな酒蔵だ。
江の川を下る三江線の旅の友に純米吟醸生貯蔵酒 "吟生" を求める。
吟醸特有の香りと純米の味わいを愉しめる酒だ。

 三江線は芸備線の三次から分岐している。
3番ホームの石見川本行きレールバスは2両編成はバスツアーご一行様が乗り合わせて満員。
とても廃止へのカウントダウンをしているとは思えない賑やかな車内だ。 

身震いひとつ、列車は三次を定刻に発車する。
かつて城があった尾関山をトンネルで潜ると初めて江の川を鉄橋で渡る。
これから3時間半、江の川とは日本海に出会うまでの長いお付き合いだ。
川沿いの狭隘な区間は時速25kmの最徐行、対岸を走るサイクリストが追い抜いていく。

宇都井駅は高架橋に停車場を作った「天空の駅」でホームと待合室が地上21mの高さにある。
列車に乗るには116段の階段を上る必要がある。ある意味「日本で一番高い駅」なのだ。 
石州瓦がのった赤茶色屋根の集落を見下ろしながら "吟生" のスクリューキャップを切る。 

観光バス1台分のツアー客が降りた口羽から先は1975年に開通した新線区間。
新幹線と比べても遜色ないと云ったら大袈裟だけど、緩やかなカーブと
トンネルと鉄橋を繋いだ直線をレールバスは快適なスピードで駆け抜けて行く。
この先にはダムがあるのだろうか、江の川が満々の水を湛えている。

終点の石見川本に降り立つと石見銀山を経由する路線バスが停まっている。
本来は乗り継げないダイヤ(列車到着の3分前にバスが始発する)なのだが、
実際にはバスは列車からの乗客を待ってる?まったく訝しい。
が、予定変更を即決してこのバスに乗り込む。乗客はわずか2人だ。 

石見銀山へ行くのなら、まず石見銀山世界遺産センターを訪ねると良い。
世界に影響を与えた石見銀山の歴史と鉱山技術を頭に刷り込んだら大森代官所跡へ向かう。
情緒ある町並みを抜けて約3km、緩やかな坂を上ると龍源寺間歩がぽっかりと口を開けている。

間歩(まぶ)とは銀鉱石を採掘するための坑道で石見銀山には大小600余りが点在している。
龍源寺間歩は唯一、常時一般公開している間歩なのだ。
ボランティアガイドが引率する一行にくっついて坑道に入る、
ひんやりした空気に3kmの上りで噴き出した汗が引いて(なんせスーツに革靴だから)心地よい。 

石見川本に戻ると列車までの40分で遅い昼食。
土曜の午後の田舎町に唯一「かんちゃんお好み鉄板焼き」が店を開けていた。
もうここは島根県だけど、食すのは広島風お好み焼き、当然に生ビールを呷る。

夕方の石見川本駅には他に乗客の姿は無い。
タクシーの1台も停まっていない駅前広場は子ども達の格好の遊び場だ。
17:48発の江津行きのレールバスはたった1両で充分な僅かな乗客を乗せて日本海をめざす。

やがて日没の時間を迎えた江の川のゆったりした流れを右手に眺めながら走る。
終点の江津を目前にしながら人家もまばらだ。 
ところで「中国太郎」の異名を持つ江の川は中国地方最大の河川。
でも河口に肥沃な平野部を作らなかったために「無能な川」とも呼ばれたそうだ。

石見川本から約1時間、満々と水を湛えた江の川の河口が見えてくる。
国道9号線の橋と日本製紙ケミカル工場の先は日本海だ。
大きく左にカーブすると山陰本線が近づいて、寄り添うように江津駅3番ホームに終着する。 

廃止まで1年を切った三江線、この夏は沢山の鉄道ファンで賑わうだろうか。
豊な自然の中を走るローカル線の車窓がまたひとつ消えてしまうのを惜しみつつ
江の川の風景と "吟生" を供に愉しんだ三江線の旅なのだ。

三江線 三次~江津 108.1km 完乗

2017/05/19


ナイス☆ユカリで「美和桜」を一杯 可部線を完乗!

2017-05-17 | 呑み鉄放浪記

   金曜日の広島はジャイアンツ戦を中止にする溜息混じりの雨が降っていた。
広島から西へ2駅、私はなぜか横川本通り商店街にいる。
ちょっと気になる立ち呑みがあるからだ。"のぞみの最終便まではまだ少し時間がある。

 

可部線は山陽本線の横川から分岐して、あき亀山までの15.6kmを走る。
起点の横川駅前には、7系統・8系統の電停もあって、なかなか賑やかだ。
予報通り雨がぽつぽつ落ち始めている。

可部線は地方交通線だけど、広島市街とそのベットタウンを繋ぐので乗客が多い。
輸送密度は18,000人を超えて、地方交通線の中にあってダントツだそうだ。
17:00過ぎという時間帯もあって3両編成の緑井行き新型車両は満員だ。
緑井までは日中で20分に1本、朝夕は10分に1本だから幹線並の頻度である。

緑井で後続のあき亀山行きを待つこと15分、濃黄色の電車がやって来た。
可部線は2003年に非電化区間の可部〜三段峡間が廃止になってしまった。
ところが今春、廃止区間の一部、可部〜あき亀山間が復活開業している。
廃止路線の復活は全国で初めてのケースだそうだ。

終点のあき亀山駅周辺には何もなく、一緒に降り立った女子高生がぽつんと迎えを待つ。
復活延伸はこれからの宅地開発を見込んでのことだろう。
赤ちょうちんの一軒もあると思いきや当てが外れた。やはり横川に戻らないと。

      

   本降りになった雨、ドラックストアで買ったビニール傘をさして店を探す。
めざす「ナイス☆ユカリ」を、横川本通りに入ってひと辻目右手に見つける。
中華の家庭料理を美味しくつまんで一杯。これがこの店の魅力とWebに口コミが多い。
でもそれ以上に店主の人柄に由るところが大きいとお見受けした。

 

サッポロ赤星を見つけて迷わずオーダー、"ピリ辛冷奴" を肴に呷る。この冷奴は絶品。
"野菜のマリネ" と "たくあんの燻製" を肴に「純米酒 美和桜」を常温で愉しむ。旨い。
この濃厚な味わいの酒は三次の酒。ちょっと良い具合になって来た。泊まっちゃうか。

可部線 横川~あき亀山 15.6km 完乗

 

雨の物語 / イルカ 1977


Moss Pink

2017-05-07 | 日記・エッセイ・コラム

 秩父のシンボル武甲山(1,304m)を背景に、羊山公園の「芝桜のパッチワーク」が美しい。
05:00スタート、久しぶりの運転。いつも独り遊び、独り酒なので、たまには家族に還元しないとね。

 

「芝桜の丘」では、9種類約40万株以上の色鮮やかな芝桜を愉しめます。
白の芝桜を代表する "モンブラン"、淡い紫色の花びらの "エメラルドクッション"。

 

藤色に近い薄いブルーの花びらは "オーキントンブルー"、コスモスに似た淡いピンクの "オータムローズ"。
そして目にも鮮やかな "スカーレットフレーム"。可憐な花たちに癒された休日の朝です。 

Dancing Queen / Abba 1977


日光道中・奥州道中紀行3 杉戸宿~幸手宿~栗橋宿・中田宿~古河宿

2017-05-05 | 日光道中・奥州道中紀行

 

09:30 「杉戸宿」
 日光道中・奥州道中紀行、第3日目は杉戸宿から歩きだす。 江戸日本橋からは43.5km。
町中心部の交差点は「本陣跡地前」、実際にはここは問屋場跡、明治14年(1881年)には、
奥州・北海道巡幸に向かう明治天皇が休憩している。

 

日光方の入口に残る商家の屋号は「角穀」、桝方(曲がり角)にある穀物問屋だからだ。
傍らの道標は新しいもの。街道は角穀前を右にカーブして杉戸宿を出て幸手へと向かう。

ところで杉戸宿には旅籠が48軒、旅人だけでなく近郷から泊まりに来る客も多かった。
それと云うのも旅籠の多くは飯盛旅籠、つまり飯盛女(遊女)を抱えていたからだ。 

Navi15. ホンダカーズ埼玉中・杉戸店(斜め左) → <国道4号線> → 上高野小入口交差点 2.6km

 

10:00 「厳島神社」
 見どころの少ない国道を往く。左手に朱塗りの社が目立つのは厳島神社。
山田うどんの駐車場には茨島一里塚の案内板がある。

Navi16. 上高野小入口交差点(斜め左) → <市道> → ベルク幸手南店 1.3km

 

Navi17. ベルク幸手南店(右折) → <県道65号線> → 内国府間交差点 2.8km

10:40 「神宮寺」
 神宮寺の山号の「鷹尾山」は源頼朝が贈ったと云う物語がある。
奥州征伐に向かう頼朝が愛鷹を見失ったが、寺の薬師如来に祈って発見したことに由る。

 

11:00 「幸手宿」
 幸手宿は日光御成街道との合流点、筑波道の分岐点として栄えた。
天保年間におけるその規模は、本陣1、脇本陣、旅籠27軒である。
問屋場跡は小さな公園になっていて絵地図と明治初期の写真を見ることができて興味深い。 

 

問屋と名主を兼ねた幸手本陣・知久家は、鰻割烹の「義語家」になっている。
案内板に知久家は信州伊那の出身、幸手宿の繁栄、久喜町の開拓に尽力したと記される。

 

本陣の先に「名物・太郎焼」のサインが目に留まる。
普段甘いものは食さないのだけれど2つ求めてみる。粒餡いっぱいの大判焼きだ。
疲れた時には身体が甘いものを欲する。往く旅人も団子などを頬張ったのだろうか。

 

幸手宿には旧い商家も残っているが、それでも明治・大正期のもの。
唯一、日光東照宮に参詣する将軍の休憩所・聖福寺の勅使門は400年近い歴史を持つ。
勅使門は将軍一行あるいは例幣使(天皇の使者)が来たときにしか開かない門だ。

 

聖福寺の前は日光方の桝方で、榎を塚木にした幸手一里塚がこの位置にあったそうだ。
「右ごんげんどうがし、左日光道中」の道標が正福寺の境内にある。 

Navi18. 内国府間交差点(斜め左) → <国道4号線> → ライブシアター栗橋 4.7km

 

Navi18-2. 行幸橋北詰(左折すぐ右折) 雷電社まで市道を1.0km

 

安永4年(1775年)に建立された道標「右つくば道、左日光道」が筑波道との分岐点にある。

 

Navi18-3. 雷電社(左折) 国道4号線(側道)に戻る

12:15 「小右衛門一里塚」
 日本橋から13番目の小右衛門一里塚には、宇堤外から移築された弁財天堂が建つ。 

Navi19. ライブシアター栗橋(斜め左) → <市道~県道60号> → 利根川橋南詰交差点 2.4km

 

Navi19-2. 会津見送り稲荷(斜め左) 八坂神社前交差点まで1.6km

12:50 「炮烙(ほうらく)地蔵」
 「関所破りで火あぶりの刑にされた者を供養するために建立された」と説明書にある。
しかし江戸時代の関所破りの刑罰は磔(はりつけ)と定められていた。
栗橋関所や宿場で火あぶりが執行されたという記録は見つかっていない。

 

12:55 「栗橋宿」
 栗橋は利根川の渡河地点で、日光道中から江戸への出入りを監視する関所が置かれた。
栗橋宿の規模は天保年間において、本陣1、脇本陣1、旅籠27軒である。
池田本陣跡、栗橋関所跡は発掘調査が進行中だ。

栗橋宿は利根川対岸の中田宿とは合宿になる。
したがって、荷物や人夫の継ぎ立てを行う問屋業務は半月毎の交代制で担っていた。

 

宿場の外れには八坂神社の祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)。
拝殿前には狛犬ならぬ狛鯉(こまこい)が鎮座する。
口を大きく開いた鯉は招福乃鯉、口をぎゅっと結んだ鯉は除災乃鯉だそうだ。

 

Navi19-3. 八坂神社前交差点(斜め右後方) 200mでR4に戻る

Navi20. 利根川橋南詰交差点(左折) → <国道4号線> → 利根川橋東詰 0.7km

Navi21. 利根川橋東詰(左折) → <市道~県道228号線> → 中の台交差点 4.2km

13:20 「中田宿」
 中田宿の規模は天保年間において、本陣1、脇本陣1、旅籠6軒。
宿並みは大正元年(1912年)の利根川改修工事により河川敷となった。
中田宿北の入口と推定される利根川堤交差点に火の見櫓が立っている。
中田宿の鎮守、鶴峯八幡宮は養和元年(1181年)に源頼朝が鶴岡八幡宮の分霊を勧請した。

13:50 「中田の松原」
 鶴峯八幡宮の先には「中田一里塚」があったのだが場所を特定できるものは無い。
ところで中田宿を出てから古河宿の入口までは、約6kmのウンザリするような直線が続く。
日光道中分間延絵図によると1里半延々と続く松並木を「中田の松原」と記している。
『東海道にもこれほどきれいな松並木はない』とされた。

Navi22. 中の台交差点(直進) → <県道261号線> → 野木交差点 4.1km

14:20 「古河宿」
 「原町一里塚」は県立古河第二高校のグランドに片塚がある。
ネット越しに覗くとややこんもりとした上に塚木の榎が繁り、一里塚の面影が残る。
古河宿の江戸方入口は台町三叉路、街道は鈍角に右手に折れて古河宿に入って行く。

 

城下町古河の藩主は目まぐるしく代わったが、土井勝利など大老職格が入城している。
古河城は将軍の日光参詣の宿城として重要視され、街道筋に城内への入口が設けられた。
御茶屋口に設けられたのが御成道で史蹟碑が建っている。

 

古河宿の規模は天保年間において、本陣1、脇本陣1、旅籠31軒だ。
本陣、脇本陣、問屋場、高札場など宿場の中枢は本町2丁目交差点に集中している。
街道は本町2丁目交差点の更に2つ先の辻で、左、右と鉤状に折れて宇都宮へ向かう。
この辻には常夜燈式の道標が在って、正面に「左日光道」と刻んでいる。
さらに、左側面には「右江戸道」、右側面には「東筑波道」とある。

 

次回は古河城下も巡ろう、などと手打そば処で "きのこ汁そば" を啜りながら思案する。
杉戸宿から幸手宿、坂東太郎を隔てた栗橋宿・中田宿を経て古河宿まで22.2km、4時間50分。
日光道中・奥州道中の旅第3日目は、田植えの風景を見ながらの「立夏」の1日となった。

 


丸窓電車で塩田平を往く 上田電鉄・別所線を完乗!

2017-05-03 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 電車はゆるりと高架を下ると、春の千曲川に架かる赤い鉄橋をガタゴトと渡る。
上田盆地のうち千曲川左岸の河岸段丘は塩田平、"信州の鎌倉" とよばれる。
国宝の安楽寺三重塔をはじめ古い神社仏閣が点在していて散策が愉しい。

上田電鉄別所線の起点は上田駅、北陸新幹線、しなの鉄道と3線が乗り入れる。
駅前広場では真田幸村騎馬像が迎えてくれる。六文銭の幟も誇らしげだ。
今回の「呑み鉄」番外編は塩田平を丸窓電車に揺られて別所の湯をめざす。 

 

別所線の電車は、車両の戸袋窓が楕円形だったことから「丸窓電車」と愛称された。
東急の譲渡車両も、そのイメージに改装され「まるまどりーむ号」として塩田平を走る。
丸窓に流れる風景を眺めつつ、沿線の若林酒造の "つきよしの" をちびりちびり愉しむ。 

アイドルグループのPVロケ地となった八木沢駅を過ぎると、やや急な上り勾配になる。
小さな終着駅・別所温泉は信州最古の温泉地・別所温泉、北向観音や安楽寺の玄関口だ。
大正時代の面影を残すレトロな駅舎は、嘗て寅さんや裸の大将も訪れている。
女性駅長さんが駅舎の雰囲気にあわせて "ハイカラさん" の装いで迎えてくれた。

平安時代初期に建立された北向観音堂は、数十キロを隔てて善光寺と向き合う。
北向の千手観音は現世利益を願い、南向きの阿弥陀如来は未来往生を願う。
向き合う両方をお詣りすると良いとされ、善光寺詣りとあわせ訪れる善男善女は多い。

別所温泉には石湯、大師湯、大湯と3つの外湯が源泉かけ流しで湯を溢れさせている。
真田幸村隠しの湯「石湯」に浸かったら、その向かい側にある昔ながらの日野出食堂へ。
お通しの野沢菜炒めと、おろしキノコを肴に湯上りのビールを呷る。
名物の「馬肉うどん」はパスして手打ち蕎麦をいただく。素朴な田舎蕎麦が美味しい。 

 
 

別所温泉駅には元祖「丸窓電車」モハ5250が保存されている。見るからに愛らしい。
別所の湯と信州蕎麦を堪能して再び別所線に揺られる。GW前半の小さな旅なのだ。 

上田電鉄・別所線 上田~別所温泉 11.6km 完乗

真田丸


妙高温泉「山里の湯宿 香風館」にて

2017-05-01 | 日記・エッセイ・コラム

 久しぶりの妙高温泉、「山里の湯宿 香風館」を訪ねる。
温泉棟の木と石とモザイクタイルのレトロな廊下を進むと小粋な湯上り処がある。
奥信濃の山々を眺めながら浸かる露天風呂で至福の時を過ごす。満足。

      

 朝食はバイキングで、と云う温泉旅館が多くなった近頃にあって、
地の旬菜でしっかり並べてくれる朝食が嬉しい。
小鉢の "蕗味噌" と "醤油豆" をアツアツの "こしひかり" にのせて美味しいのだ。