旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

旅先のひと皿 気仙沼「あさひ鮨」

2020-06-30 | 旅のアクセント

 親潮と黒潮が交わる三陸沖に臨む港町・気仙沼に来たからにはスシ食いねェ!
大将の十貫が端正な黒の大皿に並ぶと、なかなかキレイな絵になる。

創業50余年、地元で人気の寿司処「あさひ鮨」を訪ねて、先ずはお約束の生ビール。
お通しの "マグロ角煮" が絶品、本来ならば日本酒でじっくり吞みたいところだ。

否、やはり頼んでしまった。地酒は "金紋両国 別格"、飲み飽きしない端麗辛口だ。
アテは良いところを切ってもらってね。
鮨処の鼻先には気仙沼港、新鮮な魚を水揚げした漁船たちが湊に係留されている。
三陸海岸の美味しい旅は始まったばかりだ。

2019/06

file-008


一酒一肴 川崎・酒道場陣屋「ひと夏の恋」

2020-06-25 | 津々浦々酒場探訪

 夏、海岸・高原のリゾート、出会い、ドキドキする季節がそこまで来ている。
そして僕は「ひと夏の恋」に酒場で出会う。"あたごのまつ" の新澤醸造店(宮城)の酒。
アテは "豚バラとオクラの梅和え"、熱い夜にも食欲をそそる夏の肴でしょう。
グレープフルーツorメロン?爽やかな酸味とちょっぴり甘味、辛口でキレある純米吟醸。
ひと夏の恋だけに後には引きずらない。今宵、川崎?でひと足早いアバンチュールなのだ。

 
file-076

蜃気楼 / クリスタルキング 1980
     


一酒一肴 浦和・ニ乃宮「OCEANオーシャン99凪」

2020-06-23 | 津々浦々酒場探訪

 "OCEANオーシャン99凪"、しぼりたてのフレッシュな純米吟醸生酒は九十九里の酒。
なるほどってネーミング。微かに炭酸があるかな、これ、白身の魚に合いそうだ。
何時もは、握りまでたどりつかない鮨処だけど、今日はいいところをお願いしよう。
"総乃寒菊" って銘柄の蔵元だけど、知りませんでした。
これからちょっと注目、そんな気にさせる美味い酒に出会った夜なのです。


file-075


港ヨコハマから桑都・八王子まで 横浜線を完乗!

2020-06-20 | 呑み鉄放浪記

 横浜鉄道の開通は明治41年と云うから、当時の国鉄の延伸と比べてかなり早い。
当時、日本の主たる輸出品「生糸」を甲信から
横浜港へ運搬することを目的としていた。
なるほど地図を開くと納得なのだ。ちなみに中央本線は明治39年に塩尻まで延びている。

起点の東神奈川駅前から真直ぐ1キロ進むと瑞穂埠頭、横浜港が見渡せる。
新港ふ頭に停泊しているのは "にっぽん丸"、大さん橋は "飛鳥Ⅱ" だ。
この辺りの再開発地区を COTTON HARBOR と云う、SILK HARBOR じゃないと話が繋がらんなぁ。

今日は東神奈川から横浜線に揺られ、生糸と逆走して八王子辺りの酒場を訪ねてみたい。

京浜東北線の複線を切り裂いて、2・3番線に横浜線のE233系が並ぶ。
爽やかな緑と黄緑のラインを纏い、サイドには YOKOHAMA LINE と白抜きされている。

東神奈川を発った8両編成は、高架に上がって東海道本線を跨いで北に転進する。

 4つ目の小机は思いがけず長閑な駅、畑の土の匂いがするね。
ネギ畑を左手に5~6分歩くと日産スタジアムの大きなスタンドが見えてくる。
J1リーグの再開も決まり、7月にはスタンドにトリコロールが揺れることだろう。

 旅程の中ほど、町田から橋本の10.9kmは長い長い直線区間になっている。

 意外にも町田は結構な都会であった。JRと小田急の駅を結ぶパークアベニューは人の波。
ちなみに横浜線の場合、町田駅の乗車人数は、2位の新横浜に大きく水を開けての第1位。
郊外にあっては、JR線と私鉄線は駅が連絡しない方が、地域経済は潤いそうだ。

都県境を越えると長さ1キロ弱の新相原トンネルを潜る。なんだか遠くへ旅している様だ。

夕やみ迫る中、緑と黄緑のラインの8両編成が大きく左カーブを切ると終点の八王子。
42.6Kmの旅を終えた5番線の線路は、往く手を車止めで塞がれている。

 

 北口の「酒蔵一平」は昭和風情の大衆酒場、なんと9:00AM開店で朝酒も楽しめる。
隣はスナック、手前はお風呂屋さん、かなり混沌とした界隈にあかちょうちんが灯る。
甲州街道八王子宿の頃から、この辺りは花街だったと云う。

「丸くなるな星になれ!」まずは黒生をジョッキーで呷る。
こんな大衆酒場だから、アテはオーソドックスに択ぶ。まずは "ポテトサラダ" これ基本。

地元青梅の "澤乃井 大辛口"、すっきりした香りにキレある本醸造を一杯。
"マグロ山かけ" は山葵をたっぷり溶いて、つんとくるけどさっぱりと美味しい。

二杯目は "純米吟醸 高尾の天狗"、天狗を彷彿させるラベルの「紅」が鮮やかだ。
やや辛、スッキリした喉ごしの純米吟醸のアテは、濃厚な味噌ダレの "ナス田楽" を。
この酒、八王子の好適米を諏訪の蔵元に送って醸す、飲食店や農家によるプロジェクトだ。
昔は生糸、今宵は酒と味噌?、思いがけずふるさと信州を感じた八王子での一杯。
横浜線の旅は終わるけど、鉄路は甲州そして信州にむかって緩やかに勾配を上って行く。

横浜線 東神奈川~八王子 42.6km 完乗 

Yes-No / オフコース 1980
     


人生のそばから 神田「やぶそば」

2020-06-18 | 旅のアクセント

 神田淡路町のビル街に小さな杜がある。緑が濃い。
明治13年創業の老舗そば屋、実は「初めまして」の私、丸善を冷やかした足で訪ねた。
良く冷えたヱビスビールを開けて、"鴨ロース" と "刺身湯葉" をアテにキュッと流し込む。

人心地ついた頃に、年季が入った漆塗りのせいろが運ばれてきた。
私は "冷とろ" 息子は "かも南"、ズズっとすする九割がとろろをたっぷり絡めて美味い。
こんなまったりした午後もまたいい。


file-031

ドゥー・ユー・リメンバー・ミー / 岡崎友紀 1980


人生のそばから 柳屋@武蔵五日市「黒八そば」

2020-06-16 | 旅のアクセント

 レンガ調の外壁にステンドグラスが埋め込またレトロモダンな武蔵五日市駅。
電車が到着すると、乗客の大半のハイカーたちを、各登山口へ向かうバスが攫った。
バスには乗らない呑み人は蕎麦処「柳屋」へ。昼前だけど "おつまみセット" を注文する。
"柚子巻き大根" と "牛蒡の唐揚" を肴に、ほどよく冷えた地酒 "喜正(きしょう)" をぐびり。
酒が終わりそうな絶好のタイミングで女将さんがそばを運んできた。
名物 "黒八そば" をズズっといただく。竹炭を練り込んだ黒い二八蕎麦が楽しい。


file-030

<40年前に街で流れたJ-POP>
人生の空から / 松山千春 1980


多摩丘陵から臨海コンビナートへ 南武線を完乗!

2020-06-13 | 呑み鉄放浪記

 橋脚の袂で青年がサックスを吹いている休日の昼下り。
正確に4~5分毎、電車が軽快に鉄橋を叩く、でも両者がスウィングすることはなかった。

南武線の6両編成は、立川駅の7・8番ホームから川崎へと抜けて行く。3本に1本は快速運転だ。
帯の色はカナリアイエロー+オレンジ+茶色、なんだか夕陽をイメージするね。

 府中本町で武蔵野線とクロスすると、70年代の歌詞の風景が展開する。
“右に見える競馬場、左にビール工場” って、鉄路を跨ぐ高速道路は “夜空につづく滑走路” になる。

さて、一方の競馬場は無観客競馬を開催中、空のスタンドにTV中継の実況だけが響く不思議。
それでもイヤホンをしたファンがちらほら、西口のプレハブの居酒屋も開いて、ちょっと感心してしまう。

府中本町から多摩川を渡って矢野口までの東京都区間、連続立体交差事業が終了し車窓の眺めが良くなった。

 旅程の半ばは登戸駅、小田急線と交差するこの駅に途中下車する。
南武線沿線に蔵元はないけれど、駅から徒歩10分、地ビールのブルワリー「ムーンライト」がある。

サインボードに描かれた中から、先ずはPoter “登戸の渡し” を択んだ。
バルっぽいカウンターの片隅、“自家製スモーク盛合せ” を抓みながら、ローストモルトのフレイバーを愉しむ。
二杯目はPilsner “スピカ”、ホップの苦みが効いて爽快感のあるビールだ。地元専修大学との共同開発らしい。 

 終点手前の尻手駅2・3番線、立川行きと浜川崎行きの電車が同時に入線してきた。
南武線には尻手から浜川崎を結ぶ支線があり、グリーン+イエローの帯を纏った2両編成がシャトルしている。

3番線の立川方向は車止めで塞がれ、傍らにこの支線の起点を表す0キロポストが打ち込まれている。
この支線の主役は臨海部へ向かう貨物列車、青い電気機関車に牽かれ、重そうな長大編成が追い抜いていった。

浜川崎までの4区間はわずかに7分の旅、週末の日中はあくまでも閑散とした路線なのだ。

グリーン+イエローの2両編成は浜川崎でも車止めに行く手を塞がれる。まるで籠の鳥のような境遇に同情。

夕陽を浴びた6両編成が終点川崎に向かって走り去る。赤い鉄塔と煙突の背景が川崎のイメージにマッチする。

終着の川崎駅、京急と向かい合う近代的な商業ビルは150万都市の玄関として申し分ない。
夏至が近い日もようやく没して、酒場へと仲見世通りを分け入る足取りに、いささかの後ろめたさもない。

 今宵の「酒道場 陣屋」は駅前から4ブロック、数多の客引きや風俗店の煌めきを越えてきた。
赤提灯に縄暖簾を潜ると、コの字カウンターと桜材の四人掛けが並ぶ昭和感たっぷりの空間が広がっている。

地酒は東北の蔵をラインナップ、先ずは “出羽桜”、柔らかな旨味と上品な酸、出羽燦々を醸した純米吟醸酒だ。
この店は肉自慢、煮込・スタミナ・チキンカツなどボリュームと安さが評判なようだ。
でも御免なさい。“焼きそら豆”、“ナス一本漬け”、“きびなご唐揚げ” と禁欲的かつあっさりした肴を所望です。

二杯目は “日高見 超辛口純米酒”、ひとめぼれを醸したコクと旨みの有る石巻の酒は、魚料理に相いそうだ。
吞み人的には “かつお酒盗” と “スルメイカ肝和え” を突っついて杯を進める。

上品に揚がった “ポテトコロッケ” で腹を満たす。
中味はクリーム状、ほんとはじゃが芋がゴロっとしたのが好みだけど、これも美味しい一品だ。

最後は “からくち浦霞”、さっぱりとした後味の辛口の本醸造は、たいていの肴に馴染んでくれる。 
街の酒場にも活気が戻りつつ、今宵、友人と合流して大衆酒場で酌み交わす酒が愉しい。

南武線 立川~川崎 35.5km
    尻手~浜川崎  4.1km 完乗

哀愁でいと / 田原俊彦 1980
     


握りまでたどりつかない鮨処 「明鏡止水」

2020-06-11 | 日記・エッセイ・コラム

 久しぶりに握りまでたどりつかない鮨処へ。今日は初夏らしく「生酒」で攻める。
先ずは "明鏡止水 甕口生原酒" を択ぶ。フレッシュ且つガツんとした呑み応えの酒だ。

蔵元の大澤酒造は信州・茂田井、中山道の間の宿、2012年秋、中山道を歩いて訪ねた。
茂田井の集落は水路を巡らせ、静粛な町並が江戸の風情を感じさせる。

今宵は好物の "平目の昆布締め" があって幸せ、"鰹" の赤が美しいでしょう。
"しめ鯖" はガリを大葉で包んで一緒に海苔で巻く、甘味と酸味が調和して、これ絶品。

二杯目は "大入ひっぱりだこ"、ファンキーなラベルはキレのよい辛口酒の限定生酒。
鈴鹿山系の伏流水と美味しい近江米に恵まれてた旧東海道筋の北島酒造は、2018年秋、
草津線を呑み鉄した折に訪ねている。これまた嬉しい再会なのだ。

"ハマグリの酒蒸し" は岩塩で食して美味しい。
希少なマグロの脳天 "ハチの身" をねぎま(葱鮪)で焼いて、やわらかな身にかぼすを絞る。
揚げ物は "とうもろこし" と "鱧"、これって夏の始めのハーモニーってところか。
択んだ酒がいずれも訪ねた蔵元で、妙に嬉しい握りまでたどりつかない鮨処の宵なのだ。  

 

ジェニーはご機嫌ななめ / Juicy Fruits 1980


旅の酒場にて 札幌「直営 千歳鶴」

2020-06-09 | 津々浦々酒場探訪

 

 先ずは "なまら超辛"、日本酒度+15だけど意外と爽やかですっきりした飲み口。
こんな超辛口には "にしん切り込み"、米麹と塩で漬け込み熟成した肴で酒がすすむ。

今宵は南5西3の「直営 千歳鶴」で一杯、蔵元直営だからってなんの捻りもない屋号だ。
とは言え、酒はもちろん肴もなかなかどうして割烹レベルのクオリティと評価したい。

フレンチの様なひと皿、道産の "アスパラバター焼き" にはレモンをたっぷり絞って、
酒は淡麗で爽快な飲み口の "吟醸 蔵" を合わせる。芳醇な香りの吟醸酒が美味しい。 
〆は "ウニ雑炊" をいただく。せっかくの北海道だからね。甘い香りが漂ってくる。
最後はふくよかな香りの "純米 千歳鶴" を択んで、久しぶりの札幌の夜が愉しい。 

ロックンロールウィドウ / 山口百恵 1980


PANAM

2020-06-06 | 日記・エッセイ・コラム

 麗しい女性たちの出で立ちは、パンアメリカン航空のスチュアーデス。
数年前のハリウッドでのスナップですから、時期的にTVドラマ「パンナム」のプロモーションでしょうか。
1960年代の航空会社を舞台にした、華やかな恋愛や仕事の裏側を描いたドラマですね。

1960年代と云えば、日本人の渡航自由化は東京オリンピックを間近に控えた1964年4月のこと。
当時の日本航空やJTBのツアーを今の物価に換算すると、ハワイが400万円、ヨーロッパは700万円だとか。
一般的に海外旅行は高嶺の花、誰もが一生に一度はと憧れたのではないでしょうか。

子どもの頃に観ていた「兼高かおる世界の旅」の協賛は、確かパンアメリカン航空でした。
優勝商品は海外旅行、目録の代わりにPANAMのバックを首にかけてくれるクイズ番組もあった気がします。
憧れの海外旅行の象徴は、パンナムの青いマークだったかも知れません。

さて、半世紀の時が流れて、2度目の東京オリンピックを控えて、やはり渡航不自由な近頃です。
世界への窓が開いて、気軽に空の旅を楽しめるのは何時ごろでしょうか。少し時間がかかりそうですね。

Sailing / Christopher Cross 1980
     


人生のそばから 武蔵嵐山「増田屋」

2020-06-04 | 旅のアクセント

 秩父で美味い蕎麦を食べようと思ったけれど、ことごとく「本日休業」の札。
しからば東松山で "みそだれやきとり" を求めて帰ることに。
帰路の武蔵嵐山あたりのR254沿いに蕎麦処を発見、すかさずウインカーを点滅させる。
僕らの他には3人連れの親父たち、焼酎お湯割りやら燗酒やら昼吞みを愉しんでいる。
経営のこと、経済のこと、昨今の感染症のこと、高校野球のこと、話しのレベルは高い。
只の飲兵衛じゃないな、こんな仲間が近くにいたら楽しいだろう。
っで、 "大もりそば" をずるっと、素朴だけど香り高く美味い蕎麦だ。
シェアするつもりのサイドメニュー "玉子丼" が思わず本格的で持て余したのはご愛敬だ。
地元に根ざした蕎麦処は、決して味で裏切ることは無い。改めて確認したR254なのだ。


file-029

ホールドミータイト / 渡辺真知子 1980


Biz-Lunch 浦和「旬菜料理でんご」

2020-06-02 | Biz-Lunch60分1本勝負

 裏門通りの「旬菜料理でんご」へ、この店もランチは初めての訪問。
創作和食を謳った店だから、豊富な定番メニューも少しずつ捻っている感じかな。
っで、わたくしは "ネギトロユッケ丼" をいただく。たっぷりの中落ちにご飯が見えない。
万能ネギで土手をつくったら形のよい黄身を落として、刻み海苔で覆ってしまおう。
わさび醤油はかけない、当然に絶品の特製たれがかかっている。これだよこれ!
がまんがまんの近頃だけど、意外と新しい発見が多い Biz Lunch なのだ。


file-012

順子 / 長渕剛 1980