旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

晴雲酒造の自然処玉井屋で "ひやおろし" を 東武東上本線を完乗!

2015-10-31 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

秩父からの帰り路、寄居から東武鉄道東上本線で池袋へ向かう。
池袋~小川町、小川町~寄居は別々の運用で後者は短い4両編成がシャトルしている。

 玉淀鉄橋をガタゴトと響かせて東上本線の4両編成が渡っていく。
鉄橋の上流は荒川が削り出した奇岩・絶景の景勝地が続き、河原では色とりどりの
カヌーが遊び、バーベキューに講じるグループが楽しそうだ。

小川町には "帝松" の松岡醸造、武蔵松酒造、晴雲酒造と3軒の造り酒屋がある。
晴雲酒造の自然処「玉井屋」は、地元農家の採りたて野菜などを食材にした食事処だ。

小川の無農薬野菜、本日の前菜冬瓜とかぼちゃをアテに "無為ひやおろし" をいただく。
自慢の "飛龍頭" は豆腐・大和芋・季節の野菜を合わせて揚げ、だし汁に絡めて美味しい。

主菜は国産豚のロースを晴雲蔵の酒粕とてまえ味噌を合わせて漬けた "豚の晴雲漬け"、
ほんのり酒粕が香って柔らかい肉が美味しい。"とろろご飯" と "粕入り味噌汁" でいただく。

小川町から先は15分毎に池袋行きの快速か急行が始発していくお馴染みの通勤路線だ。
快速は池袋までの65kmを70分で駆け抜ける。停車駅では通過駅に停まる各停に同じホームで乗換えられる。
効率的に配されたダイヤグラム、日本の鉄道会社のシステムに改めて感心したりする。
ほろ酔いでウトウトするうちに池袋のターミナルに終着、実に美味しい日曜日だった。

東武東上本線 寄居~池袋 75.0km 完乗

センチメンタル / 岩崎宏美 1975


錦繍の三峯神社と秩父そばと武甲政宗と 秩父鉄道を完乗!

2015-10-24 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

秩父鉄道は東武伊勢崎線の羽生を起点に熊谷、寄居、秩父を結んで三峰口まで走る。
急行秩父路号はずいぶん年季が入った車両だけど、クロスシートのリクライニング仕様で
大きめのテーブルが付いている。これはゆっくりと飲んでいけそうだ。

秩父鉄道は土日祝日に「秩父路遊々フリーキップ」を発売、全線乗降り自由でこれ便利。

秩父駅で途中下車したら、武甲酒造・柳田總本店を訪ねる。
宝暦3年創業と言うから220年を超え、国の有形文化財指定の重厚で素晴らしい建物だ。
車中酒の愉しみに武甲政宗 "純米生酒" と猪口を求めた。 

ランチは秩父神社裏の人気店「手打そば武蔵屋」へ、開店直後なのですんなり席に着く。
まずは "舞茸てんぷら" をアテに、お約束の生ビールで喉を鳴らす。
"しめじご飯" と、碾きたて、打ちたて、茹でたてを "ごまだれ" で美味しくいだいた。

 再び車中の人となる。秩父を出ると上り勾配が徐々にキツくなる。
三峰口まではあと20分、300mlの純米生酒を飲み干すには少々忙しい。
進行方向に甲武信の山並みが迫り、急激に谷が狭くなっていく。
秩父鉄道は羽生から70kmを駆けて三峰口に終着する。もうこれ以上は進めない。

 

三峰口はその名のとおり三峯神社の玄関口。でも今時多くはマイカーだろうし、
乗客も西武秩父でバスに乗り換えが主流なのだろう、週末というのに静かな玄関口だ。
話は飛ぶが駅頭に立つ鉄道むすめはハロウィーンのコスプレをしていた。

 三峯神社は山々の強い「気」が流れ込む関東屈指の龍穴パワースポット。
秩父の山奥にあって神仏習合時代の修検道の霊場だそうだ。

随身門(1792年再建)を潜る。もとは仁王門であったが神仏分離によって随身門となった。
何故だか自然と姿勢が正されるというか、そういった気分にさせられる。 

 

そんな気分にさせられるのは、おそらくはこの「狼」のせいだろうか。
まるで『信心無き者は去れ』とばかりに睨みつけている。
三峯神社では獅子でも狛犬でもなく、稲荷の狐とも違って「狼」が鎮座しているのだ。

 

随身門から本殿に至る途中の一対は、更に恐ろしい形相をしている。

三峯神社は、東征途上の日本武尊が三峯(雲取・白岩・妙法嶽)が美しく連なる景色に感動し、
この地に伊弉諾尊(いざなぎ)、伊弉册尊(いざなみ)を偲んで祀ったのが神社の起源と云う。

拝殿は花鳥や竹林七賢人など極彩色の彫刻が美しい。左右の御神木は推定樹齢800年、
拝殿参拝後、深呼吸して御神木に手を付けお祈りすると「気」がいただけると言う。

遥拝殿からは妙法嶽山頂の奥宮を遥拝できる。
ここからは下界を一望し、早朝には朝日を受けて美しく輝く雲海を観ることができるそうだ。

杉の巨木に囲まれた境内から抜け出すと緊張が溶けるような気がする。
ってことで "みそおでん" とビールで一息、急行バスの発車までもう少し時間があるから。

秩父鉄道 羽生~三峰口 71.7km 完乗

<40年前に街で流れたPOPS>
Sky High / Jigsaw 1975


だいじょうぶだァ饅頭と武蔵野うどんとトトロの森と 西武国分寺線・西武園線を完乗! 

2015-10-17 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

今日の呑み鉄散歩も西武線。JR線と旧国鉄線の “呑み潰し” を目標に始めた大人の遊び、
いつの間にか私鉄線にも手を出してハードルを上げてしまった。
西武国分寺線は国分寺から東村山へ延び、JR線と新宿線を連絡している。

西武園競輪開催日の日中、国分寺線は終点の東村山から西武園線に直通している。
と云うことで西武園行きに乗車、国分寺線は東村山まで僅かに4駅10~12分の旅だ。

 

東村山駅西口はランドマーク的な高層マンションが建ち、駅前広場はずいぶん整っていた。
和菓子処・餅萬に “だいじょうぶだァ饅頭” の看板、そう東村山は志村けん氏の出身地。

新宿線に国分寺線そして西武園線がX字に交わる東村山駅は電車が頻繁に発着、
競輪開催日の今日は国分寺からの電車がここから西武園線に入線する。

西武園線は閑静な住宅地や都立八国山緑地と北山公園の緑の中を抜けて行く。
北山公園は親水公園、稲架(はさ)掛けがあったり鷺が遊んでいたり癒しの空間だ。

 

東村山と競輪場・遊園地・ゴルフ場が広がる終着駅の西武園までは乗車時間は僅かに3分。
車止めの先はもう都県境、500mも行けば多摩湖が広がっているはずだ。

 

まるで一般の住宅のような野口製麺所は宅地と農地が混在する一角に在る。
讃岐うどんに魅せられたご主人、150軒を食べ歩き研究し、脱サラで店を開いたそうだ。

 

産みたて卵や天ぷらなど結構トッピングアイテムも揃って楽しい。なぜか「おでん」が
煮えていて美味しそうな香りが漂う、こんな店が近所にあったら結構通ってしまうかも。
とりあえず屋外のテーブルで生ビールを呷って、釜揚げのうどんを待つ時間が楽しい。

 

「武蔵野うどん」は、多摩から埼玉西部へと広がる武蔵野台地に普及した郷土料理。
なかでも東村山は「肉汁うどん」の発祥地とされる。美味しい一杯をいただいた。

 お腹を満たしたところで八国山緑地を散策、「となりのトトロ」の舞台モデルとされ、
映画の中では “七国山” としてお母さんが療養する病院が所在する設定でした。
コナラやクヌギの雑木林が広がり、江戸時代の地形や道筋がそのまま残っているそうです。
野鳥の声を聞きながらの森林浴、リフレッシュできた気がします。

西武国分寺線 国分寺~東村山 7.8km
西武西武園線 東村山~西武園 2.4km 完乗

木綿のハンカチーフ / 太田裕美 1975


レッドアローと時の鐘と鏡山秋あがりと 西武・新宿線を完乗!

2015-10-10 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

西武新宿駅からレッドアロー “小江戸号” に乗車する。
特急とは云え多くの電車が走る新宿線だから、決して快適に飛ばしていく訳ではない。
それでもリクライニングを倒し、缶ビールのリングを引くと遠くへ旅に出た気分になる。

先週に続いて西武線で呑み鉄散歩。西武新宿線に乗って「小江戸」川越を訪ねた。
蔵造りの町並みは来週に迫った “川越まつり” を前に、そわそわした雰囲気が漂う。

実は10代最後の年にこの沿線に住んでいたので、車窓を流れる景色がなんとも懐かしい。
環八の踏切が無くなったのと、田無の商業ビルを除くと、あまり変わってない気がする。
すれ違う電車の何本かは黄色の4つ扉、当時は最新車両だった。本川越までは45分の旅。

本川越についたらエスカレーターを上って2階の改札を抜けるといい。
吹き抜けに面した観光案内所で散策マップをGET。これがなかなか重宝するのだ。

蔵造りの町並みへは本川越駅前の中央通りを北へ真っ直ぐ一本道。ほどなく左手に
呑龍さまの蓮馨寺、1594年創建の浄土宗の寺では毎月8日には縁日が開かれている。

仲町交差点辺りから、左右に蔵造りの家々が並んでいる。
明治時代半ばの町並みは、行き交う車がなければタイムスリップしたかのようだ。

町並みのメインに亀屋栄泉さん。江戸時代には栗よりうまいと言われた川越名産の
さつまいもを原料に、甘藷煎餅、甘藷納豆、芋羊羹などの芋菓子を世に出している。

川越のランドマークは「時の鐘」、寛永年間に藩主・酒井忠勝によって建てられた。
現在の鐘楼は明治の大火の後、再建されたものだそうだ。

 小江戸蔵里は明治時代に創業した旧鏡山酒造の酒造蔵を利用した3つの蔵からなる。
なぜ「旧」かと言うと明治時代に創業した鏡山酒造は2000年に廃業してしまった。
現在の小江戸鏡山酒造は2007年、地元の若者が川越唯一の酒蔵を復活させたものだ。

この「鏡山」は、まかない処(大正蔵)のレストラン八州亭で楽しむことができる。
壁面のセラーに実に美味しそうに冷えている秋限定の “純米原酒秋あがり” をいただく。
紅芋御膳は名産のさつまいもがテーマで、薩摩芋豚包揚げ、薩摩芋白和えが膳にのる。
まずは白和えを肴に純米酒を愉しんで、ちょっと贅沢な休日のひとりランチなのだ。

西武新宿線 西武新宿~本川越 47.5km 完乗

いつか街で会ったなら / 中村雅俊 1975


都心でふるさとを味わう まるごと高知「はちきん地鶏の親子丼」

2015-10-07 | Biz-Lunch60分1本勝負

 高知の食材を使った料理を2階の「TOSA DINING おきゃく」で楽しむ。
三点盛りの刺身御膳は "ヒメダイ・ハマチ・海援鯛!" だって。

銀座インズの向かい側、首都高が直角にカーブする辺りに「まるごと高知」がある。
入口には誰もが知る維新のヒーロー、高知は何かとこの人に頼りすぎではないだろうか。
エントランスには籠に入った大玉の柑橘「水晶文旦」が並んでいる。贈答用にお奨めの
高級果実でザボンとかボンタンとかと同じものらしい。

 

1階のショップで幅をきかしているのは、当然のことながら「かつお」の加工品。
そして、ジュース、ジャム、ポン酢、ドレッシングと、この壁面はすべて「ゆず」もの。
地下の「とさ蔵」には、"酔鯨" をはじめとして土佐酒が並ぶ。"ひやおろし" が美味しそう。

タマゴがとろ~り "はちきん地鶏の親子丼" をいただく。ちょっと高めのランチだけど、
週の半ばに美味しいアクセントなのだ。アンテナショップ探訪はこれで7軒(9県)目だ。


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<40年前に街で流れたJ-POP>
無縁坂 / グレープ 1975


休日はローカル線で レッドアローと天覧山と豚みそ丼と

2015-10-03 | 日記・エッセイ・コラム

飯能から乗る秩父線の車両はなんとセミクロスシート、吞む旅にはもってこいだ。
ところがだ、向かいの席に発車間際に駆け込んできた若いお嬢さんに座られてしまった。
本来鼻の下を伸ばすところなんだけど、こっこれは呑みづらいなぁ。

この日、まずはレッドアロー "特急むさし号" に乗車する。秩父まで行かないこの特急はガラガラだ。
吞み人はというと、まず旨い酒を求めて飯能で途中下車するので丁度良い。

飯能を降りたら、入間川と成木川の合流地点、加治橋のたもとに"天覧山" の五十嵐酒造を訪ねる。
流れは澄み、河原にはコスモスが咲いていた。

蔵元で秋季限定の "純米ひやおろし" を求める。
夏を越すことで円熟の味わいになるそうで、柔らかいコクのあるタイプだ。

上品なワンピースに身を包んだお嬢さんがが菓子パンを頬張り始めた。
それでは遠慮なく "純米ひやおろし" を開ける。つまみは "しゃぶりするめ" なのだ。
生酒は冷たいうちに楽しむ。高麗川の流れを車窓に眺めながら、秩父までは45分の旅だ。

終点手前の横瀬駅を出ると、4両編成は大きく不自然なS字を描いて秩父駅に終着する。
後を追うようにレッドアローも到着して、行楽シーズンの西武秩父駅は賑わいをみせる。

駅から5分、人気の豚みそ丼本舗「野さか」の開店前、すでに5~60が列をなす。
店外に流れ出す香りに飢えさせられて待つこと90分、やっと目の前に "豚みそ丼" が着丼。
備長炭で焼いた豚肉に自慢の醤油ダレ、さらに大盛りネギがのって香ばしいね。
美味い。ジューシーな豚みそ焼きを口いっぱいに頬張って、ご満悦な秋の日曜日なのだ。

となりの町のお嬢さん / 吉田拓郎 1975