旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

甲州道中四十四次 街道めし5 上鳥沢宿「浜田屋食堂」

2020-09-29 | 旅のアクセント

 甲州道中を歩く旅の第5日目、日本橋から二十二番目の上鳥沢一里塚はJR鳥沢駅近く。
片側1車線の狭い国道沿い、寂れた商店街の茶屋ならぬ大衆食堂で遅めのランチを食す。
上高井戸宿、府中宿に続けて3食目の "カツ丼"、東京を出たら刻み海苔が散る?
味噌汁には春菊が入ってるね。冬の短い日が沈む前に、名勝猿橋あたりまで進めたい。

2015/12


濃尾平野を縁どって 愛知環状鉄道を完乗!

2020-09-26 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 国鉄時代は岡多線と称した路線が、第三セクターの愛知環状鉄道として走っている。
東海道本線の岡崎を起点とした通称愛環線は、トヨタ本社とその工場群がひしめく三河豊田を経て、
中央本線の高蔵寺(なぜか多治見ではない)まで抜ける。環状線としては不完全なままなのだ。

整備された岡崎駅東口ロータリーに出ると、床几に腰かけた若き日の松平元康像に出会える。
家康の生地・岡崎城を訪ねるには、2つめの中岡崎駅で下車すると良い。

愛環線はほぼ高架線で踏切(岡崎駅付近に1ヶ所)もなく、複線化可能なハイスペックな路線だ。
それゆえシルバーにグリーンをひいた2両編成は、揺れも小さく軽快に疾走して行く。

 沿線の中心駅新豊田に途中下車してみた。炎天下、駅から東に20分ほど歩くと汗が吹き出してきた。
っと矢作川の向こうに4万5千人の大観衆を吞み込むTOYOTA STADIUMが見えてくる。

今宵の名古屋グランパスは、このスタジアムで鹿島アントラーズを迎え撃つ。
スタジアム周辺にはバーバリアンレッドに身を包んだサポーターが集まり始めているね。

 さらに2つ先の四郷駅でも途中下車、すでに辺りは田園風景になっている。
ここには豊田の地酒 "菊石" の蔵元がある。ちいさな蔵には是非とも寄りたい。

橙色の暖簾がおしゃれな白壁の蔵、奥にレンガの煙突がのぞく。いい雰囲気だ。
先週の国盛に続き、やはり現下の情勢で試飲はやっていない。残念。
それでも秋の到来を告げる "菊石ひやおろし" を求めて満足、ゆるりと家呑みで味わおう。 

 ふたたびシルバーの2両編成、こんどはブルーのラインできりりと男前だ。
先ほど車中酒に仕込んだ生貯蔵酒のスクリューキャップを捻る。幸い高校生は居ない。
小さな枡になみなみ注いで、檜の香りとともにくいっと飲み干す。これぞ吞み鉄の旅。

 瀬戸を過ぎて幾つかのトンネルを潜ると、右手に中央本線が寄って来た。
濃尾平野の縁を駆けて来たブルーのラインの2両編成は高蔵寺駅の1番線で旅を終える。
ホームの反対側に停車していた名古屋行きが、乗客の半分を攫って行った。

駅前の「おっ魚っ魚(おっとっと)」は地元の魚屋さんが経営している。刺身と天ぷらには期待できると評判だ。
呑み人としては、なにより15:00から飲めるのが嬉しい。

っで先ずは生ビールで人心地、アテは "ほたるいか沖漬" と "まぐろ中落ち"、実はこれには目がない。美味いね。 

天ぷらは、エビ、イカ、キス、アナゴを揚げてもらう。ふわふわのアナゴが美味い。
おとなり岐阜は下呂の酒 "奥飛騨辛口純米" を択ぶ。スッキリとキレのある軽快な飲み口が良い。

 ちょい飲みを終えたら、大曽根までゆとりーとラインに乗る。ガイドウェイバス志段味線という路線で、
ガイドレールを備えた専用軌道を走るので軌道法に基づく鉄道だ。故に吞み鉄ゲームでも潰さないといけない。

小幡緑地からは停留所は駅となり、バスは高架の専用軌道を走る。
いずれはレースを敷くのだろうか、30分毎のバス輸送だけでは設備過剰に思える。

ガイドウェイバスはナゴヤドームを擦り抜け、時刻通りに大曽根駅に到着する。
渋滞知らず、バス車両を使用した鉄道に乗って、ちょっと不思議な今回の吞み鉄旅。
足かけ3年、中京地区の路線は一通り潰して、名古屋は暫く縁遠くなるだろうか。

愛知環状鉄道 岡崎~高蔵寺 45.3km
ガイドウェイバス志段味線 小幡緑地~大曽根    6.5km 完乗 

愛はかげろう / 雅夢 1980
     


一酒一肴 札幌・せいすスタンド「ニ世古 彗星」

2020-09-24 | 津々浦々酒場探訪

 豊水すすきの駅の階段を上ったら北へ1ブロック歩くと「立ちっぱ酒 せいすスタンド」がある。 
昭和なアニメを模した日除けから覗くと、25~30名キャパのカウンターは大盛況。諦めて帰る客も多い。
カウンターの娘に、人差し指を立てると「お待ちください」の声、3分ほどでスペースを作ってくれた。
 "サッポロ赤星" で喉を潤し、地酒はニ世古酒蔵の "特別純米 彗星 青ラベル"、清涼感ある淡麗辛口の食中酒だ。
アテは人気の "さばサラ"、さば水煮缶に山盛りの玉ねぎ、ごま油のドレッシングをかけて、こっこれは美味い。
週末のラグビーワールドカップ開催を控え、盛り上がりを見せる札幌すすきのの夜だ。

2019/09

 
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The Tide Is High / Blondie 1980
     


一酒一肴 北見・たなか家「上川大雪」

2020-09-22 | 津々浦々酒場探訪

 短い夏の終わりの北見、銀座通りと山下通が交わる辺り「たなか家」に伺う。運よくカウンターが空いた。
市内端野町の名産を、"男爵芋天ぷら チーズ塩がけ" って洒落ているでしょう。これがなかななの美味。
これには白ワインの様な酒が合うね。"上川大雪" は瑞々しくやわらかな口あたりの純米吟醸酒だ。
三重県の酒蔵が上川に新設移転した上川大雪酒造、北海道産の酒造好適米と大雪山系の天然水で醸す。
6次産業化にとりくむ若い蔵の洗練された吟醸酒を味わって、北見の夜が愉しい。

2019/09

 
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One Man Woman / Sheena Easton 1980
     


蔵と運河と焼きあなご寿しと 武豊線を完乗!

2020-09-19 | 呑み鉄放浪記

 武豊線の開通は1886年、東海道本線全線開通の3年も前のこと。長い歴史がある。
なぜって、中山道鉄道(のち東海道本線に計画変更)の資材運搬を目的に敷設されたから。
亀崎駅には現役最古の駅舎、半田駅には最も古い跨線橋と歴史が刻まれているのだ。

武豊線の起点は大府、ここで東海道本線と分岐して知多半島を下る。
通勤時間帯は名古屋から直通運転されるが、デイタイムは線内を2両編成がシャトルする。

 沿線の中心駅半田で列車が交換する。ホーム屋根は低く、木製の柱は旧く細い。
ここに蒸気機関車が牽く列車が入線しても違和感はないなぁ。
最も古い跨線橋を躓きそうになりながら渡り駅舎を出る。タクシーが1台、静かな駅前だ。

 駅から東へ500m、黒壁の蔵が並ぶ半田運河に出る。
半田は古くから酢や酒などの醸造業が盛ん、ここから廻船で江戸に運ばれたそうだ。

ミツカン本社の蔵と並んで存在感があるのが中埜酒造の蔵の連なり、
その一部は「國盛 酒の文化館」として公開されている。


残念ながら現下の情勢で試飲はない。残念。
それでも、蔵元でしか購入できない "国盛しぼりたて生酒" を土産に求めて満足。
もれなく車中酒に "純米吟醸 半田郷" のボトル缶も、キャップが猪口になっている。 

 駅へ戻る途中の「豊場屋本店」は、半島名物の "焼きあなご寿し" を握ってくれる。
名物は食べておかないと。生ビールを呷りながら、親父さんの手際を眺めるも愉し。 

 酒瓶で重くなったリュックを担いであと2駅、オレンジをひいた2両編成は武豊に到着。
無人の終着駅に長居は無用、乗務員氏は短時間で作業を終え、静かに折り返して行った。
狭い駅前から潮の香りを追う、500mほどだろうか、汗が吹き出すころ水門が見えて来た。
小さなハーバーに白いボートが遊ぶ、コンビナートの先には三河湾が広がっているはずだ。

武豊線 大府~武豊 19.3km 完乗

ハッとして!Good / 田原俊彦 1980
     


旅情の小箱 長万部「かにめし」

2020-09-17 | 旅のアクセント

 森から噴火湾岸を半周して長万部、広すぎる構内に気動車がぽつんと寂しい。
ここにもまた名物駅弁あり、倶知安行きまでは2時間、駅前の「かなや食堂」を訪ねる。
ほぐした蟹肉をふんだんに散らす "かにめし"、錦糸玉子、椎茸、梅干しが色を添える。
旅情を誘う立ち売りは居ないけど、駅前の「かなや食堂」で美味しくいただける。 
急ぐ旅でなければ、温泉と "かにめし" を堪能したい長万部なのだ。


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めまい / 石野真子 1980


旅情の小箱 森「いかめし」

2020-09-15 | 旅のアクセント

 長万部では33分の長い停車。この時間を利用して駅前の柴田商店で森名物を求める。
小ぶりのイカにもち米を詰め、醤油ベースのタレで煮込んだ "いかめし" は、
甘辛い味付けで中身はもちもち、薄く切って粋な皿に盛ったら旨い肴になりそうだ。 
雄大な駒ケ岳を後に、北の果てをめざす各駅停車の旅は、秋を迎えにまだまだ続く。

 
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セクシー・ナイト / 三原順子 1980


真鯛と松坂牛とるみ子の酒と 伊勢鉄道を完乗!

2020-09-12 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 コーナーを立ち上がるフォーミュラーカーの咆哮が風に乗って聞こえてくる徳田駅にやって来た。
関西本線と紀勢本線を短絡する伊勢鉄道の長い直線区間を、南紀へ向かうJRの特急列車が爆走して往く。

第三セクターの役割である地域の足を担う単行ディーゼルカーが河原田駅に入って来た。

伊勢鉄道の起点河原田は無人駅、列車はすべて四日市駅を始発、ここまで2駅間はJR線を走ってくる。

そろそろ色付きはじめた田圃地帯を単行ディーゼルカーが小刻みに揺れながら疾走する。

津駅の1番線は車止めで行く手が塞がれる。20キロ余の短い旅を終えホームに降り立つ乗客は僅かに10人ほど。
満員で伊勢鉄道を通過していく特急や快速に比べ、閑散とした地域の足なのだ。

 県庁所在地にしては、良く云えば落ち着いた雰囲気の津駅に降り立つ。
駅前の懐石料理店でちょっと昼吞み、伊勢志摩の贅沢を楽しむ店にもリーズナブルなランチメニューがある。

伊勢真鯛・松阪牛レアステーキ・バラちらしの「三色お重」が1,800円、いい感じでしょう。
伊賀は森喜酒造の "るみ子の酒" をいただく。注ぐ特別純米生原酒がリーデルグラスを曇らしていく。

フルーティーな酒のアテに、真鯛をごまだれにくぐらせ、白髪ねぎを添えて美味しいのだ。
レアステーキには青柚子をたっぷり絞っていただきます。

 さて、腹ごなしに2キロほど南へ彷徨うと津城跡、丑寅櫓が復元されている。
馬上の甲冑姿は、伊予今治から入城した藤堂高虎公、伊勢湾に睨みを利かしている。
"るみ子の酒" を味わった伊勢鉄道呑み潰しの旅、帰りは快速列車であっという間に走り抜けるのだ。

伊勢鉄道 河原田~津 22.3km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
酸っぱい経験 / 多岐川裕美 1980


旅するどんぶり 豊川稲荷「きしめん」

2020-09-10 | 旅のアクセント

 天竜川に寄り添って飯田線を旅した夏、豊川稲荷に立ち寄った。
参道の帰り道に生ビール、「曽我の軒」はもともと鰻屋、"鰻まぶしいなり寿司" が絶品。
ふっくらやわらか絶妙に焼き上げた鰻と、軽めに味つけた油揚げとよく合うのだ。 
いやはや、旅するどんぶり "きしめん" は脇役か?

2018/08

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一酒一肴 東幡豆・魚直「尊皇」

2020-09-08 | 津々浦々酒場探訪

 名鉄・蒲郡線で6つめの東幡豆に降り立つ、射るような夏の日にたちまち汗が噴き出る。
駅から数分、漁港の目の前の「魚直」で今日の一杯。先ずは生ビールをいただく。
刺身、フライ、煮魚、焼き魚、フルコース的な2,600円也の定食を注文する。
飲むことを告げると一品ずつサーブしてくれた。メインの煮魚は "舌平目" これが美味い。
酒は地元幡豆の "尊皇"、地元のオヤジが晩酌する本醸造を常温、二合徳利で。
柔らかな身を箸で突きながら杯が進む。
真夏の昼酒にほろ酔ったら、半分朽ちかけた東幡豆駅からさらに西へ旅を続ける。
じりじりと照りつけるプラットホームに紅い2両編成はぴったり30分に1本やってくる。 

2019/08

 
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信州の峠道「馬籠峠」にて

2020-09-05 | 日記・エッセイ・コラム

 木曽へのプチGo-To、最後の試練は中山道トレイル約8キロ、馬籠峠越えを敢行する。
コロナ禍でインバウンドが全滅、なによりこの猛暑、整備された馬籠宿に人影は無い。

今回は馬籠宿から妻籠宿へ、皇女和宮花嫁行列のルートを往く。
恵那山の雄姿に背中を押され渋々山道を登りはじめるのだ。
「なにもこんな炎天下に」っと心の声。

峠は馬籠側は急坂だが距離も短く総じて楽だと云う。
小1時間で達した馬籠峠790m、馬籠(旧山口村)が美濃に寝返って中津川市と越境合併、
2005年からこの峠が岐阜・長野県境となっている。

 峠から妻籠宿へは緩やかな下り坂が続く。途中、築250年と云う茶屋跡で小休止。

さらに中山道を少しだけ外れて男滝・女滝で涼をとる。噴き出した汗が嘘のようにひく。
小さなドライブインで詰めてもらった "栗おこわ弁当" を広げる。美味いな。
ほんの一寸だけ歩いてよかったと思った。いいや気のせいだろう。

     

石碑や道標が顔を出す石畳の坂を下るとやがて大妻籠の集落、妻籠宿まではさらに10分。
格子造りに蔀戸の家々が連なる風景は、江戸の昔に放り込まれた様な錯覚に陥るのだ。
なにはともあれ、最後の試練を終えて束の間の夏休みが終わる。幹事氏に感謝。

人生の空から / 松山千春 1980
     


昼神温泉「グランドホテル天心」にて

2020-09-03 | 旅のアクセント

 日本一の星空ツアーは回避して(発雷注意報発出のため)、ゆったり宴会となりました。
乾杯は生ビール、"お造り" は海のものと馬刺しのコラボレーション。信州だからね。

※長野県阿智村(環境省による「星が最も輝いて見える場所」第1位認定)では、
 適度な高度、澄んだ空気、山々に囲まれた環境を活かして、ロープウェイで
 標高1,400m地点への「天空の楽園ナイトツアー」を催行しています。
 昼神温泉はその前進基地といった位置付けです。

蒸しものは "おやき" そして "土瓶蒸し" は松茸でなく鶏だけど、出汁が利いて美味しい。 

"岩魚塩焼き" が出てくるタイミングで地酒にチェンジ。
数少ない南信州唯一の蔵元・喜久水酒造の "猿庫の泉"、コクありキレありの純米吟醸だ。 

焼きものは "信州牛ステーキ"、煮ものは "枝豆の団子" と "ながいも" だろうか。
四合瓶が空になったら "魔王" のロックに切り替えて、まったりと酌み交わす。
ツアーに出てたら小1時間で食べなきゃいけなかったからね。
満点の星の煌めきはまた次回、どちらかと云えば酒器のかがやきに満足なボクなのです。 

秋が燃える / 石川ひとみ 1980
     


人生のそばから 信州・木曽福島「くるまや本店」

2020-09-01 | 旅のアクセント

 二段重ねの木曽漆器のせいろで "ざるそば" が運ばれてきた。せいろは鏡の様だ。
江戸時代から続く老舗のそばは、玄そばを手打ちしたいわゆる田舎そばだね。
つゆは甘めだから、刻みネギとわさびを蕎麦猪口に容赦なく入れて、ズズっと啜る。
みずみずしいそばを香りとともに喉越しで味わう。美味い。
トロトロのそば湯を愉しんで人心地。ここ、途中下車して寄っても良いな。満足。
僕としてはこのまま温泉直行でも一向に構わないのだけれど、許してくれないだろうな。


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万里の河 / チャゲ&飛鳥 1980