旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

一酒一肴 神楽坂・カド「篠峯」

2020-04-30 | 津々浦々酒場探訪

 神楽坂通りから白銀公園方面に路地を入ると粋な立ち呑みがある。
黒塀に淡い提灯ともる小料理屋、その土間がウェイティングバー的なスペースだ。
黒い土壁にチョークで品書き、アテは "鯖へしこ"、これで2~3合いけそうだね。
酒は奈良の "篠峯 山田錦純米"、爽やかな口あたりの無濾過生酒が美味い。
小一時間愉しんだら、後からの客人に席を譲って、おとなの街神楽坂へ消えるのだ。

2019/04

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王子のホッピー酒場にて「宝泉」

2020-04-28 | 津々浦々酒場探訪

 王子北口から5分、柳田公園って昔は小学校が建っていたらしい。
公園に面して大衆酒場「宝泉」がある。地元で人気のこの酒場、生ホッピーが飲める。
コの字カウンターが2つ、まだ空いているのに、女将からきっちり座席を指定された。
どうも三々五々やってくる常連客に定位置があるようだ。余所者には辛い土地柄か。
お約束の "マグロぶつ" に "肉どうふ"、氷を入れない分 "生ホッピー" は大盛りだ。
18時を回って常連さんで席が埋まってきた。居場所がなくなる前に席を立とう。

2019/04
 
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はんなり桜と侘びの竹林と神聖と 京福・嵐山本線を完乗!

2020-04-25 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 弥勒菩薩半跏思惟像が見る人を魅了して止まない広隆寺、その楼門前を嵐電がゴトゴト走っていく。
「嵐電」と愛称される京福電気鉄道は、四条大宮から嵐山まで、市民の生活拠点と観光スポットを結んでいる。

四条大宮ロータリーの「立ち吞み庶民」は11:00に暖簾がかかる。ちょっとした有名店らしい。
開店後まもなく伺ったから難なくカウンターに立ち位置を確保。まずはキリンラガーを注文。

"造り3種盛り" は、本マグロ、サーモン、〆サバがぶ厚く切られて満足の一皿だ。
壁一面に貼られた黄ばんだ短冊を眺めると、どうやら店で一番高価なメニューらしい。

伏見は山本本家の "神聖 濃醇" が枡に溢れて、濃厚な味と綺麗な喉ごしが美味しい。本来熱燗がお奨めらしい。
出汁が利いた "湯どうふ" は、おかかとネギと昆布がのって上品に仕上がっている。〆て1,250円は恐るべし。

昼前の一杯を愉しんだら、四条大宮から嵐電に乗車する。桜の見どころを精力的に巡るつもりだ。
となりでハイボールを飲むご主人からは、蹴上インクラインの桜を勧められたが、廻り切れるだろうか。

西大路三条から蚕ノ社までは京都市内を走る唯一の路面電車区間、市電を知らない世代としては新鮮だ。
モボ100って云う1970年代の車両がモーターを唸らせてすれ違っていった。なんだかホッとするね。
ところで嵐電カラーの「京紫」は、ほんのりと赤味を帯び、華やぎと温もりをそえてくれる日本の伝統色だ。

京紫の2両編成で春の京都を揺られて約20分、斎宮神社、車折神社、鹿王院を擦り抜けて嵐山へ。
終点では京友禅の600本もの色艶やかなポールを林に見立てた「キモノフォレスト」に迎えられる。

キモノフォレストは、はんなりほっこり駅を廻り、さくらの庭・もみじの庭でシダレザクラとのコラボも美しい。

 紅がらの嵐山駅を抜けたら、ソメイヨシノが咲き乱れる塔頭子院を横目に天龍寺を訪ねる。
暦応2年(1339年)、天龍寺は足利尊氏を開基とし、後醍醐天皇の菩提を弔うため、夢窓疎石をして開かれた。
後醍醐天皇を祀る多宝殿の前に、ひときわ美しい「枝垂れ桜」が、薄い西日に照らされ、花糸を垂れていた。

多宝殿から百花苑を経て北門を出ると、野宮神社から大河内山荘へと延びる「竹林の道」に出る。
空を覆う青いトンネル、差し込む木漏れ日、カコン、カコーンと竹がぶつかる音、揺れる葉音、
はんなり桜、のち、侘びの竹林、陰陽の対比も愉しい嵯峨野嵐山、小さな嵐電の旅が終わる。

京福電気鉄道・嵐山本線 四条大宮~嵐山 7.2km 完乗 

京都幕情 / 石井竜也 


旅情の小箱 いわき「カジキソースカツ丼」

2020-04-23 | 旅のアクセント

 いわき駅で "ならでは" の弁当、小名浜美食ホテルの "カジキソースカツ丼" を求めた。
ジューシーに上がったカジキカツをソースに潜らせ、ご飯の上にドンとのせている。
ご飯とソースカツの間のキャベツはオリーブオイル和え、こだわりを感じませんか。
暖流と寒流が交わる潮目の海・常磐沖は、カジキの漁揚として世界的に有名ですね。
小名浜港周辺で "美味いもの" を探したいところですが、ワンカップ片手に先を急ぎます。

2018/04

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旅情の小箱 新津「雪の舞」

2020-04-21 | 旅のアクセント

 この日の朝、新津駅は時ならぬ雪模様、白く染まった構内に貴婦人の「黒」が際立つ。
沿線の銘酒、津川の "麒麟山" は、新潟らしい淡麗辛口の酒だ 。
列車がガクンと動き出すのを待ちわびて、大吟醸のスクリューキャップを切る。
ホタテ煮、鮭ハラス焼、いくら醤油漬け、雪国まいたけ、新潟の旨いものが酒肴になる。
創業明治三十年、神尾弁当の "雪の舞" は雪国越後がギュッと詰まったひと箱なのだ。

2018/04

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夕やみを迎える桂川 阪急・嵐山線を完乗!

2020-04-18 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 「京とれいん雅洛」を桂駅で下車した。隣のホームの4両編成に乗り換えて桜花爛漫の渡月橋を訪れる。

上桂、松尾大社、嵐山、阪急・嵐山線の3駅はすべて桜並木の中。すでに車窓からお花見気分なのだ。

『くまなき月の渡るに似る』と亀山上皇が詠われてから750年、桜の渡月橋は京都を代表する景色だ。
保津川の渓谷にはぽつりぽつりと「ヤマザクラ」が点滅している。

嵯峨野に向かって延びる渡月橋、南詰の堤には「ソメイヨシノ」が今が盛りと咲き誇る。

恋人たちが語らう中ノ島公園には「シダレザクラ」が薄紅の花糸を垂らして美しい。

そして嵐山駅、マルーンの電車の窓に映る満開の桜並木。遠い日は二度と帰らない、夕やみを迎える桂川。

阪急電鉄・嵐山線 桂~嵐山 4.1km 完乗

京都慕情 / 坂本冬美


一酒一肴 ぎょうざの美和「寶剣」

2020-04-16 | 津々浦々酒場探訪

 "寶剣 純米酒" は呉の八反錦で醸した正に地酒、さらりとした旨みの酒だ。
アテは "焼き餃子" をいただく。この店、元々餃子がメインだからね。敬意を表さないと。
まるで揚げ餃子のような一品は、酒の肴にもピッタリだ。
ほろ酔ったらガタゴトと市内電車に揺られて広島駅へ、最終の新幹線は20:01だから。 

2019/03

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一酒一肴 ぎょうざの美和「雨後の月」

2020-04-14 | 津々浦々酒場探訪

 広島港(宇品)から広島駅を結ぶ5系統の宇品三丁目電停脇に「ぎょうざの美和」がある。 
店の奥まで延びている大皿料理が並ぶ長いカウンターにはすでに常連さんでいっぱいだ。
今宵は呉の酒でいく。"雨後の月 純米酒" は県産八反錦で醸した旨みのある酒だ。
そしてアテの "数の子" の塩辛さが酒をすすめる。これだけで2~3合いけそうなのだ。

2019/03

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京とれいん雅洛で黄昏の河原町 阪急・京都線を完乗!

2020-04-12 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 和モダンなデザインの「京とれいん 雅洛」で、桜咲く京都へと向かう。
この豪華列車は特別料金なし、京都の町家で寛ぐ雰囲気で40分、梅田から京都へと誘ってくれる。
「ご乗車されたときから京都気分」が阪急電鉄が追及したコンセプトだ。

大阪梅田駅は新阪急ホテルのビルの中。
10面9線の広々とした頭端式ホームがならぶ様は、さながらヨーロッパのターミナル駅を思わせる。
キオスクでワインとチーズとバケットを買って客車のコンパートメントへ、って感じだろうか。

09:32発の快速特急が3号線に入線してきた。(阪急では○番線とは云わない様だ)
京染の暖簾、畳調のシート、京町家風の坪庭、まさに京町家の様な空間だ。んっいいね。
窓向きのシートにはカウンターテーブルがあって、缶ビールくらい買ってくれば良かったな。

6両編成は其々、春、夏、秋、冬、早春、初秋をテーマに仕上げられている。
3号車は春、桜散らしの柄を使用して、はんなりとした京都の春を感じる車両になっている。

折しも車窓には満開の桜がスライドの様に流れて行く。
週が明けたらきっと花吹雪が舞い始めるだろう。

 途中、桂で下車して嵐山線に乗り換え、桜満開の嵐山・渡月橋に遊んだ。
再び最後の「京とれいん 雅洛」に乗って、16:15、京都河原町着。
所要43分、も少し乗っていたい電車だ。

地上へ這い出ると「黄昏の河原町」、あの人の姿が懐かしい街をあてもなく彷徨う。
円山公園、祇園白川。京都に来ると立ち寄るお気に入りの店は、5時に暖簾が懸かるはずだ。

「あの人の言葉 想い出す 夕焼けの高瀬川」を、蛸薬師通り西入ルと目的の店。
3年ぶりかな、ご無沙汰です。

旬の京のおばんざいを日本酒と一緒に愉しめる小料理屋、肴はおまかせにすると良い。先ずは生ビールか。
お造りは、"シビマグロ"、"シマアジ"、"マダイ" それに "ゆば"。山葵しょうゆに付けたゆばが舌で蕩ける。

京の酒一杯目、佐々木酒造の "まるたけえびす" はやや辛口の本醸造酒、冷やして酸味を楽しめる酒だ。
二品目は待ってました "たけのこ炊いたん"、京の春の味は、甘くて柔らかくて美味しい。

三品目の "鮭幽庵焼き" を箸でつつきながら、二杯目は宮津・ハクレイ酒造の "佳風(カーフ)" をいただく。
酒蔵とタイアップしたオリジナルの酒は、爽快な香りとなめらかなのど越しの食中酒だ。

伏見の "城陽" は、五百万石100%を醸した、ふくよかな旨味と酸味が心地よい酒だ。
肴は "京野菜包み高野豆腐煮"、口に含むと旨みがジュワーっと広がって美味しい。 

〆に店の名物、お揚げたっぷりの餡かけ "たぬきご飯" を味わったら、ちょっと早いけれど烏丸口へ。
実は初めての日帰り京都旅、20:00の新幹線には乗ろうと思う。緊急事態宣言が出そうな勢いだしね。
語らう恋人たちも、なんだか少なめな夕闇迫る鴨川端なのだ。

阪急電鉄・京都線 十三~京都河原町 45.3km 完乗

     京都慕情 / 渚ゆう子 


桜花爛漫 喜多方・日中線しだれ桜並木

2020-04-11 | 日記・エッセイ・コラム

 喜多方駅前から線路沿いに市道を西へ歩くこと500m、緩やかに右カーブする遊歩道の入口が現れる。
んっ、これは廃線跡の匂いがぷんぷんする。
果たせるかな、遊歩道は薄紅の花糸を垂らした「しだれ桜並木」となって、さらに先へと延びている。

喜多方から熱塩まで結んでいた国鉄日中線は昭和59年、国鉄再建法により全線廃線になった。
廃線跡は遊歩道として整備され、約3キロにわたって約1000本のシダレザクラが咲き誇る名所となっている。

日照量の違いだろうか、並木の片方は五分咲き、もう片方は蕾から三分咲きってところだ。
それでも所々に満開となった早熟な枝垂れが、訪れた者の目を愉しませてくれる。

もう1週間もすれば、満開となった薄紅のトンネルをくぐって漫ろ歩きできるだろうか。
「しだれ桜並木」の中間地点には、往時混合列車を牽いていたC11型機関車が佇んでいた。

春待気流 / 長渕剛 1980
     


桜花爛漫 京都・天龍寺

2020-04-10 | 日記・エッセイ・コラム

 後醍醐天皇の尊像を祀る多宝殿前の「しだれ桜」が満開です。(4月4日現在)
桜色の花糸を低く垂らし、風に揺れている様は、なんとも優雅でうっとりしてしまいます。

     

天龍寺境内では、シダレザクラ、ソメイヨシノ、ヤマザクラ約200本が咲き乱れます。
出会いも別れも有耶無耶になってしまった春ですが、それでも桜は静かに咲いて心和ませてくれます。


ご当地B級グルメ 富士・つけナポリタン「アドニス」

2020-04-09 | 旅のアクセント

 吉原本町は旧東海道の宿場町、レトロなアーケードの吉原商店街が西へと延びる。
地元B級グルメ "つけナポリタン" の元祖「喫茶アドニス」を訪ねてみた。
"つけ富士リタン" には、特注のもっちり麺に駿河湾の桜エビがのっている。
つけだれのトマトと鶏ガラのスープには、たっぷりチーズが入って濃厚な旨みがある。
よくスープにつけて、チーズを絡めて食べるべし、半分食べたらレモンを麺にかけるべし。

2017/04

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桜花爛漫 京都・円山公園

2020-04-08 | 日記・エッセイ・コラム

 夕日に照らされた西楼門を潜って、祇園さん(八坂神社)にやってきました。
ご存知、素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祀る、全国に約2,300の神社の総本社ですね。

八坂神社に続く円山公園、ソメイヨシノや山桜が咲き誇る中、ひときわ目立つのが「祇園しだれ桜」です。
すでに盛を過ぎ、散り始めてはいましたが、孤高なその美しい姿は見る人の目を惹きつけます。

600本とも700本とも云われるソメイヨシノや山桜に見惚れて、いつのまにか公園の最奥部へ。
意外と山並みが近いんですね。東山の山懐に抱かれて、もうしばらく桜花を楽しめそうな円山公園です。

昴 / 谷村新司 1980


人生のそばから 麻布十番「更科堀井」

2020-04-07 | 旅のアクセント

 麻布十番の「総本家 更科堀井」は寛政元年(1789年)創業の老舗、人気の蕎麦処だ。
店が択んだ季節の酒、広島の "天寶一 華風車" は穏やかな香りと優しい旨味の純米吟醸。
ご自慢の "玉子焼き" を肴に一杯愉しんだら、"太打ち" をズズッと啜る。
そばの実を殻ごと引いた粉で打つ "田舎風そば" が、香りとともに美味しい。 

2019/04

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桜花爛漫 京都・祇園白川

2020-04-06 | 日記・エッセイ・コラム

 芸妓さん舞妓さんが手を合わせると云う「辰巳大明神」のソメイヨシノが満開です。

巽橋の下を穏やかに流れる白川に、枝垂れる桜がはんなり美しいでしょう。

石畳の道に建ち並ぶお茶屋の紅い雪洞が灯ると、桜は妖艶に見えてきます。
花街らしい京情緒を感じて、祇園白川を漫ろ歩く夕暮れです。

京都慕情 / 渚ゆう子