旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

細雪と住吉川の桜と櫻政宗と 六甲アイランド線を完乗!

2023-02-25 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

白亜のマンション群の中から、まえぶれもなくブルーグリーン3000系の車両が現れた。
無人運転で走る新交通システムの最前列席には子どもたちの笑顔にあふれ、なんだかほっこりした気分になる。
呑み人にとっては30年ぶり?東海道本線のJR住吉駅から人工島・六甲アイランドまで短い旅に出る。

わずかに東海道本線と並走した4両編成のブルーグリーンは、90°のカーブを描くと住吉川に沿って南下する。
海岸線までわずかな距離なのに結構な下り勾配になっている。神戸という街の地形を改めて実感する。
っと、呑み人はクロスシートが温まる間もなくひとつ目の魚住駅に途中下車する。

魚住駅から3分ほど住吉川を遡ると、文豪・谷崎潤一郎旧邸「倚松庵(いしょうあん)」がある。
氏は昭和11〜18年、この松によりかかる庵で、松子夫人と彼女の二人の妹と暮らしている。

庵を拝見する。食堂と応接間と二間つづきの洋室、そこから芝生の庭へと張り出したテラス。
なるほど「細雪」で描かれるシーンが思い起こされる。この旅には書棚の隅から上巻を引っ張り出してきた。

4両編成のブルーグリーンは海に向けてさらに住吉川沿いの傾斜を下って往く。
っが、素直に海を渡れない呑み人は、次の南魚住駅で二度目の途中下車となる。

南魚崎駅の駅名表示板には、大きな仕込み樽が描かれている。ここは灘五郷のうち魚住郷・御影郷に近い。

青空に「菊正宗」の赤いサインが映える。ここを降りて、白鶴、菊正宗、櫻政宗の蔵を巡るのも楽しい。

南魚崎駅を出た4両編成のブルーグリーンは、いよいよトラス式斜張橋・六甲大橋で海に出る。
海まで張り出すかのような六甲山系を背景に2本の赤い主塔が存在感を示しているね。

海面を見下ろす。なぜか貨物船が着船していない埠頭が並び、大型クレーンが寂しそうに佇んでいる。

ファッション美術館と2棟の4つ星ホテルがあるアイランドセンター駅に停まると車内は一気に空いてしまう。
わずかな乗客を運んで、4両編成のブルーグリーンは短い10分の旅を終え、アイランドパーク駅に終着する。

春休みに入っているのだろうか、大学のキャンパスに学生たちの姿は疎だ。
辺りはマンションに囲まれているけれど、こんな風の強い午後は、子どもを遊ばせる若いママたちの姿もない。
人の行き来が少ない近未来的な駅は、寂しさというより、強い孤独感を感じる。

さて、呑み人は南魚崎まで戻って櫻政宗記念館「櫻宴」を訪ねる。17:00にダイニングと呑処が開くのだ。
一枚板のカウンターにハイチェアを並べて、呑処「三杯屋」は案外洒落た空間に仕上がっている。

先ずやや辛の “特撰吟醸” を “さんま蒲焼き” を肴に、芳醇な “吟醸原酒” は “うにとうふ” を舐めながら愉しむ。
この呑処はその名の通り三杯までがお作法。粋に楽しんでサッと辞するのが美しいだろうか。

そういえば、南魚崎駅から櫻宴に向かう住吉川公園では、早咲きの桜がピンクの花弁を鮮やかに開いていた。
桜を愛でて、櫻を呑んで、六甲アイランド線の旅は終わる。明日は「こいさん」に倣って有馬へでも行こうか。

神戸新交通 六甲アイランド線 住吉〜マリンパーク 4.5km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
秘密の花園 / 松田聖子 1983


Go!Go!West! 5 駅そば日記・横浜「豚肉白菜そば」

2023-02-22 | 旅のアクセント

 トレイにのった丼を受け取ると柚子が香る。なるほど食欲をそそる。
先ずは汁をひと口、んっなかなかいい。そばを大掴みにしてズズっと啜る。豚肉と一緒にね。美味しい。
豚と白菜と柚子、寒い日の鍋の終わりに麺を入れたような。いや茹で蕎麦は入れないか。だいいち出汁が違う。

横浜駅のコンコースってキレイになりましたか?なんだか雰囲気が変わったような気がするなぁ。
赤レンガの壁面にぽっかりと石造り風に「濱そば」が埋め込まれていた。メニューのラインナップは
他のJR-Crossの店舗と変わらないようだけど、季節限定メニューはそれなりに美味しく楽しいのだ。

温まった身体を寒風が吹き抜けるホームに運ぶと、ちょうど上品な濃紺色のサフィールが入ってきた。
さてと、次の保土ヶ谷駅はホームに蕎麦スタンドがあるらしい。嬉しいね。
でも横須賀線の電車しか停まらないのでホームを変えないとね。それでは次回、保土ヶ谷で。

横浜駅南口コンコース「濱そば」: 豚肉白菜そば 540円

<40年前に街で流れたJ-POP>
1/2の神話 / 中森明菜 1983


しらす丼と海峡大橋と白鷺の城と 山陽電気鉄道を完乗!

2023-02-18 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 加古川橋梁のガーダーに轟音を響かせて、精悍なマスクの新鋭6000系姫路行きが迫ってくる。

久しぶりに全くプライベートの旅に出た。利用したJR東海の「ずらし旅」はなかなかお得感がある。
神戸(三ノ宮)に2泊3日、往復新幹線のぞみ号グリーン車で40,600円、さらにGoTo割引で32,480円。
関西の私鉄線を呑み鉄したい呑み人にとっては、大いに心強い企画商品なのだ。

関西圏以外の方にはおそらく馴染みのない西代駅は、阪神電鉄高速神戸線と山陽電鉄本線の境界駅だ。
黄色地に「直通特急」の種別表示幕も誇らしく、阪神大阪梅田から5000系が駆け抜けて来た。
この特急用車両、セミクロスシートになっているんだね。灘のワンカップでも買っておけば良かったなぁ。

先ずは4つ目の垂水で途中下車、明石海峡大橋を望む「垂水漁港食堂」で最初の一杯を楽しむ。

水揚げされたしらすを贅沢にたっぷりのせた「釜揚げしらす丼」に玉子を落としたら出汁醤油で円を描く。
ビールのアテにシラスの優しい旨味と甘みを味わったら、後半は玉子を割って一気に掻き込む。美味しい。

お腹を満たしたら、普通電車で2つ先の舞子公園駅へ進む。

海風に霧が流れて淡路島が見えてくる。舞子公園は真上を神戸淡路鳴門自動車道が走るビュースポットだ。

大蔵海岸辺りで東海道本線と国道2号線に並行する。右に左に描く緩やかなカーブはかつての海岸線だろうか。

っと突然、車窓右手に東経135度子午線の上に建つ明石市立天文科学館が現れて、慌ててシャッターを切る。

加古川橋梁からの風景を撮った後、高砂駅からこの日4本目の「直通特急」は姫路までのアンカーだ。
山陽電鉄のWebに掲載されている「直通特急時刻表」には、その列車が阪神・山陽どちらの運用か記してある。
乗り比べてみると、短いこの旅もさらに楽しいかもしれない。

梅田から100分、三ノ宮からは60分、緩やかな右カーブを描きながらJR山陽本線を跨ぐと「直通特急」は
山陽デパートに突き刺さるように、頭端式(櫛形)ホームとなった山陽姫路駅に終着する。

駅前から真っ直ぐに延びる大手前通りの先に、翼を左右に大きく広げて姫路城が聳えている。
5重6階の大天守が白漆喰総塗籠造りの城壁で3つの小天守とつながった姿は、なるほど「白鷺」の名が相応しい。

協和通り商店街のアーケードに紛れ込んで「播州酒場」を訪ねる。姫路は昼呑みできる店が多い。
暖簾には「センベロ ちょい呑み」とある。千円でベロベロに酔えるとは思えないが、ちょいと呑みたい。

地酒を呑む気満々でも、先ずは生ビールというのが日本の典型的な小市民の呑み方である。
っで最初のオーダーは “豆腐サラダ” を。この手の一皿は箸休めとして最後まで傍に置いておきたい。

地元オヤジの晩酌酒 “播州一献” は揖保川を遡った宍粟市の蔵、なるほど冷やでも燗でも良さそうな旨酒だ。
“姫路おでん” はしょうが醤油で食べる。ってか、この店の生姜出汁に浸かっているね。本醸造の酒とよく合う。

辛口の純米を呑みたいと “奥播磨” を択ぶ。さっきの酒とは山一つ隔てた安富の蔵になる。
店の人気メニューは “穴子ぶっかけ玉子焼き”、その昔やまほど捕れた穴子は姫路の郷土食材という事らしい。
ふんわり玉子焼きに甘いタレを絡めた穴子が絶妙に美味い。辛口の純米酒とこれまた絶妙に相乗するのだ。

播州の酒肴にほろ酔いな呑み人ではあるが、網干線に乗っていない事を思い出した。旅は終わっていない。
飾磨駅まで戻る。っと2番ホームにはなんだか優しい顔をした古参の3000系電車が待っているのだ。

まさにローカル私鉄的な単線をゴトゴトと15分、座席を埋めていた高校生が降り尽くすと終点の山陽網干駅。
埠頭へと歩き始めたけど寒さと寂しさで断念。化学メーカーの工場夜景に萌えて山陽電鉄の旅を終えるのだ。

山陽電気鉄道 本線  西代〜山陽姫路 54.7km 完乗
山陽電気鉄道 網干線 飾磨〜山陽網干   8.5km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
う、ふ、ふ、ふ、/ EPO 1983


水曜日は家呑み派 「新政 Ecru エクリュ 生成 2019」

2023-02-15 | 日記・エッセイ・コラム

 ワインや日本酒の香りをフルーツに喩えたりするけれど、呑み人にはよく分からない。
葡萄はブドウ、米はコメでしょう。っと自分の感性の乏しさを棚に上げて、冗談混じりに嘯くのだ。
でもこの生酛純米酒、木桶の香りとともに、どなたかが書いたストーリを読んでから口に含むと、
白桃いやバナナ?なんだか甘やかな香りを感じるのだから面白い。酒米は “あきた酒こまち” だ。

盆の小皿に並べた肴は “柔らか豚の山椒ソースクランベリー添え”、“姫たけのこの和さらだ”、
“牡蠣の南蛮仕立て” それに “海鮮と大葉の包み揚げ黒胡椒風味” と、今宵はデパ地下で求めたラインナップ。

ところで盆の上の藍の小皿3種は、どれもビール会社のキャンペーンで揃えたもの。でもセンス良いでしょう。
毎年初夏からお盆にかけて、大好きな一番搾りは飲ませてもらえない。また「金麦生活」の季節がやって来る。

(呑み人の場合、旅のひとり酒は別モノですが)流行病の関係で、外で飲む機会はめっきり減りましたね。
酒と肴を選り好みして、まったりと、家呑みもまた楽しからずやです。

<40年前に街で流れたfusion>
Looking Up / CASIOPEA 1983


香春連峰と水炊きと九州菊と 伊田線・田川線を完乗!

2023-02-11 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 16:31、勾金駅、画家ミヤザキ ケンスケ氏が描いた下絵に、地元の子どもたちが彩色した車両とすれ違う。
こんな車両がふるさとを走っていたら、なんだか元気をもらえそうな気がするね。

福岡での仕事を終えた金曜日の夕方から、筑豊地方を走る路線に乗って呑んできた。たった1日と少しの時間で
潰せるのだから、嘗てこ地方に網の目のように通っていた鉄路のいかに多くが廃線となったのかが実感される。

昼過ぎの直方駅に戻って来た。チンチン電車を降りた筑豊直方駅からは800mほど離れている。
ふるまち通り〜明治町商店街と2つのアーケードを歩いたけれど、やはりその殆どがシャッターを降ろしていた。
駅へと向かう女子高生たちのお喋りの声が、なんとなく感じる寂しい気持ちを紛らわしてくれる。

土曜の午後、平成筑豊鉄道の伊田線と田川線を乗り通して周防灘に抜けると、この旅の仕上げになる。
キャラクターの「ちくまる」をヘッドマーク代わりに、12:42、2225Dの400形「なのはな号」が出発。

日本各地のローカル鉄道で見かけるこの気動車は全長18.5m、旧国鉄のディーゼルカーより少々短い。
この可愛らしい気動車が只1両でコトコト走っていく情景が、現代のローカル線の代表的な風景かもしれない。

この細く小さな輸送需要に対してまったく不釣り合いなのが伊田線(直方〜田川伊田)の複線だ。
炭鉱全盛の時代には、蒸気機関車が黒煙を吐きながら、長大な貨物列車を牽いて行き来したことだろう。

「壮大なロマンに触れるふたつの鉄道旅」って1日フリーきっぷを握りしめての鈍行列車の旅。
文庫本の一冊、地酒のワンカップでもあれば、こんな旅もまた楽しい。

途中糸田線に寄り道して、金田から乗車した2番手2229Dはマルーン地に金字模様の「へいちく浪漫号」だ。
内装外装をレトロ調にまとめた車両、座席は転換クロスシートで木目調の大型テーブルを備えている。
この快適な車両で行橋まで乗り通したいけれど、ワンカップを1本楽しんだ頃合いに田川伊田で下車しよう。

『香春岳は異様な山である。けっして高い山ではないが、そのあたえる印象が異様なのだ。』
思春期に読んだ五木寛之の小説、冒頭の一節の情景がそこにあった。この風景を見るために旅に出た気がする。

香春岳を背景に屹立する赤煉瓦の煙突が2本、真っ赤に聳えるイギリス様式のバックステイ形竪坑櫓、
炭鉱住宅(復元)など、旧三井田川鉱業所の遺構は田川伊田駅裏の石炭記念公園に見ることができる。

駅前から延びるアーケードの伊田商店街を歩いた。すでに訪ねた後藤寺や直方と同様ここもシャッター通り、
3つの商店街ともに、なぜか共通して呉服屋さんが営業を続けているのは少子高齢化の証左だろうか。

緩いカーブを車体を揺らしてやって来た2231Dは目にも眩しいForest Green、なるほどLINEのラッピングね。

16:24、Forest Greenの行橋行きが田川伊田駅を発つ。すぐに彦山川橋梁を渡って田川線の旅が始まる。
ひとつ目の上伊田駅までは小倉へと抜けるJR日田彦山線と線路を共有している。

のんびり鈍行列車の旅にはどうしても欲しい1本。樽が香るちょっと贅沢なレモンサワーが美味しい。

小さなピークを越えたForest Greenは、夕日を浴びながら、周防灘へ注ぐ今川に沿って激しく車体を揺らす。
旧国鉄田川線もまた、筑豊炭を苅田港などへ運搬するために敷設された歴史を持っている。

冬の弱々しく柔らかな陽が町並みの向こうに沈むころ、Forest Greenの2231Dは行橋駅5番に終着した。
向かい側のホームからは大分へと急ぐ白い特急電車が滑り出す。こうして筑豊の鉄路を呑み潰す旅が終わる。

昔ながらの大衆酒場「百万石」は、地元の方にとても愛されているお店の様だ。
細長いコの字カウンターの長い一辺に一番乗りしたけど、10分も経たないうちに15席のカウンターが埋まる。

鯛、ブリ、ハマチ、タコと平皿にのせて “刺身盛り合わせ”、九州特有の濃口醤油でいただく。美味いね。
そういえば福岡でも食べなかったなぁと思い出して “水炊き” を。ゴロッと大きな鶏肉が柔らかい。
白菜、豆腐、キノコと一緒にポン酢に潜らせていただく、ちょっぴりレモンも絞って美味しく温まる。
さすれば日本酒っと “九州菊”、 沿線はみやこ町、林龍平酒造場の酒、地元オヤジの定番晩酌酒を楽しむ。

この店の名物は “鶏唐揚げ(骨付きの半身揚げ)” みたいだ。お尋ねの際にはぜひ試していただきたい。
賑わいを後に駅に向かう。最終の新幹線に収まるには19:25の小倉行きに乗らないといけない。
炭鉱の栄枯必衰を鉄道と町並みに感じながらの筑豊の旅、その情景と旨い酒肴に触れた週末なのだ。

平成筑豊鉄道・伊田線 直方〜田川伊田 16.1km 完乗
平成筑豊鉄道・田川線 田川伊田〜行橋 26.3km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
想い出がいっぱい 1983


Biz-Lunch 広小路「山本屋本店」

2023-02-08 | Biz-Lunch60分1本勝負

 ぐつぐつと音を立てて伊賀焼の土鍋が運ばれてきた。おしぼりで蓋をはぐると八丁味噌の甘い香りが広がる。

こんな凍える日のランチは、温かいもの、いや寧ろ熱々のものが食べたい。
っで名古屋支社の女性に奨められるままに、広小路通りを納屋橋を渡って「山本屋本店」にやって来た。

択んだのは “天ぷら入り味噌煮込うどん”、名古屋だからね。海老の尻尾が土鍋の蓋から覗いていたよ。
コシのある麺を口に運んだら、熱っと唇がびっくり。はふはふ言いながら、額にうっすらと汗が滲む。

香り高い出汁と濃厚なあじ味噌を堪能したら、後半は箸で玉子を割ってマイルドに楽しむ。
忙しい日程にちょっぴり美味しいアクセントを添える「名古屋めし」の Biz-Lunch なのだ。


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<40年前に街で流れたJ-POP>
春風の誘惑 / 小泉今日子 1983


ことこと列車と準急ひかりと炭鉱栄華の跡と 糸田線を完乗!

2023-02-04 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 13:37、1番線に田川後藤寺行きの1321Dが到着、糸田線が分岐する金田駅では8分と長めの停車をする。
経営が厳しい第三セクター鉄道では、企業広告フルラッピングは珍しくない。企業カラーのレッドが眩しい。

跨線橋で3番線に渡ると国鉄時代の「のりかえ案内板」が残っている。
糸田線の生い立ちはセメント輸送の鉄道と石炭輸送の鉄道、両社が合併した上で、国鉄に戦時買収されている。

この駅には平成筑豊鉄道の金田車両基地を併設している。0キロポストはこれから乗る糸田線のものだ。
深紅に輝くメタリックの車両は「ことこと列車」で、見るからに水戸岡鋭治氏のデザイン。
幾何学模様の寄木を敷き、伝統工芸の「大川組子」を使用し、ステンドグラスを組み込んだレストランカーだ。

一方、留萠鉄道→茨城交通(現ひたちなか海浜鉄道)→平成筑豊鉄道と渡ってきた古いキハが停まっている。
かつて九州を走った「準急ひかり」カラーを纏ったキハは今でも走るのだろうか。錆びついた車体が悲しい。

13:45、400形マクセル号が出発、およそ1キロを伊田線と並走する。線路の滑らかな曲線は美しい。

この糸田線はわずかに7キロ、下り列車は14分の旅。カップ酒を1本舐めるのにちょうど良い時間だろうか。

やがて赤い陸橋が見えると、後藤寺線、伊田線、日田彦山線を束ねて、本日2度目の田川後藤寺駅に到着。
400形マクセル号は日田彦山線を小倉まで走るキハ40系と並んで、往時の乗換駅の賑わいを想像させている。

後藤寺はかつて三井田川炭鉱で栄えた筑豊最大の炭都・田川の一方の市街地だ。
日田彦山線の線路に並行して、田川ごとうじ銀天街〜上本町商店街へと400mのアーケードが通っている。
炭鉱の栄華を伝えるアーケードは端からシャッターが下りて、真っ赤な大提灯だけが燃えていたのだ。

平成筑豊鉄道・糸田線 金田〜田川後藤寺 6.8km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
初恋 / 村下孝蔵 1983


Go!Go!West! 4 駅そば日記・川崎「舞茸と長芋かき揚げそば」

2023-02-01 | 旅のアクセント

凍えた手に丼の温もりを感じて汁を一口、割り箸で大掴みしてズズッと啜る。なんだかホッとする。
季節メニューの “舞茸と長芋かき揚げそば” を択ぶ。舞茸の香りと長芋の食感が楽しい。
実際、かき揚げの出来栄えは申し分ない。サクサクを一口、徐々に出し汁が滲みたのがまた美味しいのだ。

東海道本線を進めて3駅目の川崎、3面6線を有するにホーム上にそばスタンドはない。
エキナカにある「いろり庵きらく」は、今ではJR東日本管内にあって一大勢力になっている。
清潔でカラフルな店内はチェーンのコーヒーショップを思わせる。すでに所謂「駅そば」とは別物か。
手前勝手に駅そばに旅情を求めている呑み人、この先西に進めたら、そんな蕎麦スタンドに会えるだろうか。

川崎駅中央南改札内「いろり庵きらく」: 舞茸と長芋かき揚げそば 560円

<40年前に街で流れたJ-POP>
さよならの物語 / 堀ちえみ 1983