旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

酒場探訪 浦和「酒蔵 力」

2023-09-13 | 津々浦々酒場探訪

赤い灯が揺れる酒蔵・力、夕餉の時間ともなると “焼き鳥” を求める長い列ができる。
水曜日あるいは土曜日、大きなモニターにはREDSの試合が映し出され、大きな歓声が上がる。

気の置けない仲間どうしで呑む店だから、カウンターはわずかに6席と小さい。
「力」の赤い文字が強々しいジョッキで冷たい生ビール、REDSにあやかって “まぐろブツ” が肴だ。

“豚カルビ” を焼いてもらって辛子味噌で美味しい。ジョッキはホッピーに代わっている。
お手頃な酒場では定番の “ポテサラ” を。ボクはこれがすきだ。ここのはなんだか艶かしい。

ご飯がわりに〆の “焼きそば” をいただく。ハフハフしながら、これホッピーに合うよね。
これで2,000円と少々、賑やかな店は仕事の余韻を振り払うのに丁度いい感じなのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
禁区 / 中森明菜 1983


旅の途中の酒場探訪 札幌「第三モッキリセンター」

2022-12-28 | 津々浦々酒場探訪

 札幌出張の日は大雪警報に見舞われた。確か去年もそうだった。時計台にも横殴りの雪が容赦ない。
支社のメンバーとは昨晩会食したから、今宵はひとりバスターミナル裏の「第三モッキリセンター」を訪ねる。

ガラッと引戸が思いがけず大きな音を立てる。先客の視線が一斉にこちらを射る。えっ、これ不味い雰囲気か?
身体は凍えても先ずは “生ビール”、アテに “厚揚げ焼き” ではじめる。生姜醤油でカリカリと美味しい。

赤ら顔のご常連達は最早一介の余所者には関心を寄せていない。さっきの悪い予感は杞憂に過ぎなかったのか。
横に長いコの字カウンターの中、エプロン姿の昔のお嬢さん達はこんなボクにも優しく世話を焼いてくれる。

コップ一杯の焼酎と古いアイスペールが運ばれて、ホッピーを楽しむのにかなり自由度が高い。
小さな土鍋がグツグツと “とん鍋” が登場、優しい味噌味に芯から温まる。むせたのは振りすぎた七味のせいだ。

アテは “にしんきりこみ”、これには目が無いんだよね。唯一の道産の酒 “千歳鶴” の生酒のキャップを開ける。
今日は “鮭のいずし” があるよとお姐さん。こういうお奨めには乗ったほうが良い。
沿岸部の郷土料理は、米の甘みと乳酸の酸っぱさのバランスが絶妙で、これってなかなか美味い酒の肴だ。
最後の一杯に合わせて “ザンギ”。醤油ベースの甘辛いタレに漬けこんだ鶏唐は日本酒のアテに申し分ない。

大きな荷物を抱えた親父さんがオーバーコートの襟を合わせて出ていった。夜行バスで故郷へ帰るのだろうか。
さてっボクもそろそろ。堪能した昭和な大衆酒場を出る。固まる雪を踏み締めてぶるっとくる呑み人なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
北酒場 / テレサ・テン 1982


一酒一肴 松本•今錦×馬肉たたき

2022-10-12 | 津々浦々酒場探訪

  城下町を漫ろ歩いて、今宵は駅近の酒場で地酒と郷土料理を堪能したい。
場所柄、地元の若者、観光客、出張のサラリーマン風など、ちょっと混沌とした雰囲気になってる。

酒は東に西にアルプスを見上げる天竜川沿い中川村の "今錦おたまじゃくし"、特別純米酒ひやおろしを択ぶ。
もみじを散らしたラベルには工夫があって、酒の成長をおたまじゃくしで表しているそうだ。
冬に出荷する生酒は手足なし、春の特別純米では足が出て、1年を経たひやおろしは手も生えてってね。

アテには "辛味大根おろしと馬肉たたき"、炙った赤味馬刺しに信州の辛味大根をたっぷりおろして、
ポン酢でさっぱりと美味しい。 ふくよかながらもキレのある “ひやおろし” とともにご機嫌な宵なのだ。

 
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<40年前に街で流れたJ-POP>
時代は僕らに雨を降らしてる / 長渕 剛 1982


一酒一肴 名駅•半田郷×名古屋牛かつ

2022-10-05 | 津々浦々酒場探訪

 おすすめの "名古屋牛かつ" はちょいレア、おろしポン酢でよし、たっぷりわさびでもよし、美味しい。
こんなアテに合わせる食中酒は純米系がいいね。純米吟醸 "半田郷" はしっかりした味わいで濃い料理にも合う。

名古屋圏を呑み潰した夏、青春18きっぷだから、東京に帰るには17:00の新快速に乗らないといけない。
15:00に赤ちょうちんが灯るちょいのみ酒場「せんて」を探し当てて、まだ日の高い名駅での一杯なのだ。


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<40年前に街で流れたJ-POP>
待ちぼうけ / 堀ちえみ 1982


一酒一肴 津•るみ子の酒×松坂牛レアステーキ

2022-09-21 | 津々浦々酒場探訪

 伊勢鉄道の短い旅を終えて、県庁所在地にしては良く云えば落ち着いた雰囲気の津駅前。
ほど近い懐石料理店の暖簾をくぐる。伊勢志摩の贅沢を楽しむ店にリーズナブルなランチメニューがあった。

"るみ子の酒" は、伊賀は森喜酒造の酒、注ぐ特別純米生原酒がリーデルグラスを曇らしていく。
紅が鮮やかな肉に青い刻みネギを散らして “松坂牛レアステーキ” が美しい。サッと青柚子を絞って準備万端。
松坂牛の旨みに青柚子の酸味がちょっぴりきいて美味しい。追いかける純米酒のすっきりした味わいが合う。

さて、腹ごなしに2キロほど南へ彷徨うと津城跡、丑寅櫓が復元されている。
馬上の甲冑姿は藤堂高虎公、主家を転々とした後徳川に与し、伊予今治から入城して伊勢藩主となった。
伊勢の酒肴と歴史にちょっぴり齧って、夏の終わりの伊勢鉄道の旅なのだ。


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<40年前に街で流れたJ-POP>
すみれ September Love / 一風堂 1982


旅の途中の酒場探訪 高田「すりみ屋」

2022-05-04 | 津々浦々酒場探訪

 約4,000本の桜が咲く誇る高田城址公園、ぼんぼりの灯に浮かび上がるソメイヨシノが美しい。

実は直江津で一軒、高田で二軒、当たりをつけていた店に席はなかった。
予約で一杯か、この時期一見さんは警戒されるのか、ちょっと寂しい。っと仲町通りに見慣れぬ店を発見。
「すりみ屋」は老舗蒲鉾店が手掛けるおでん屋さん、この店あったかなぁ、覚えがない。

地酒を飲みたいけど先ずは生ビール、キンキンに冷やしたジョッキーにきめ細かな泡。好感度高まるね。
品書きで気になった “帆立貝浅漬け”、マリネでは食べるけど浅漬けもいいね。箸休めに抜群だと思う。

一杯目は柿崎の “吟田川(ちびたがわ)”、籠から好きな猪口を択んで、けっこう濃厚なコクがある特別純米だ。
こんな酒は揚げ物に合うかなっと “メギスフライ”、そう上越ではフライで食べる。結構な名物になっている。
サクサクで中ふわふわ、レモンを絞って濃厚なソースをかけて美味しい、この酒との相性もいい。

ところでこの店、外観も店内も縁日みたいで楽しそう。客層もオヤジの一人呑みから、サラリーマン連れ
カップルもいちゃつけば、女子飲みも居て、細長いコの字カウンターは賑やかなのだ。

そろそろ店の主役おでんに切り替えて、最初の皿には厚揚げ、コンニャク、ジャガイモ、大根が盛られた。
短冊の “6点盛り” がお得でお奨め。二杯目は高田の酒 “スキー正宗 入魂”、なめらかな飲み口の特別本醸造、
上越(上越後の意味)の酒は、いわゆる新潟淡麗とは趣が違い、少々甘めの酒が多い。

器も凝っているふた皿目、イワシつみれ、ホタテのすり身団子に味しみ玉子、おまけでシャウエッセン。
海岸に近い大潟の酒は “かたふね” の特別本醸造、IWCのトロフィー賞を受賞しているね。
やはりやや甘口の軽快な喉越しの酒、冷でよし燗でなおよしの晩酌酒がおでんに合わない筈はない。

もう少し食べたい肴もあったけど、明日は出勤だからそろそろ勘定を。はくたかに乗れば東京までは2時間、
上越新幹線に加えて北陸新幹線が延伸して、にいがたの酒肴を味わうのも訳がない大人の休日なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
誘惑 / 中島みゆき 1982


一酒一肴 生麦・そばっ晴°で庭のうぐいす

2022-04-06 | 津々浦々酒場探訪

東海道本線(羽沢線)が地下に消える生麦辺りで見つけたご機嫌な店、お肴・お蕎麦・地酒の店「そばっ晴°」だ。
カウンター10席だけの「袖振り合う」限られた空間に身を捩ってご常連の間に腰掛けさせてもらった。

この店の "おさしみ盛合せ" は豪華で美しく新鮮で云うことなし。この一皿を求めて縄暖簾を潜る価値がある。
地酒は定番の他に日替わりで5~6銘柄の用意がある。今宵の呑み人は "庭のうぐいす 特別純米" を択んだ。

山口酒造所を訪ねたのは5年前の春、西鉄甘木線では「くらの細道きっぷ」って粋なイベントを実施していた。
フレッシュですっきりとした味わいに、なんとなく記憶が甦るね。筑紫平野をずいぶんと歩いたっけ。

美味い刺身を肴に、訪ねた蔵の酒との思いがけない再会、なんだかほっこりしてしまう生麦の夜です。


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Midnight Rendezvous / Casiopea 1982
     


一酒一肴 川崎・かつお酒盗と日高見と

2022-03-30 | 津々浦々酒場探訪

 今宵の「酒道場 陣屋」は川崎駅からは足速に歩いて20分、数多の客引きや風俗店の煌めきを越えてきた。
赤提灯に縄暖簾を潜ると、コの字カウンターと桜材の四人掛けが並ぶ昭和感たっぷりの空間が広がる。

ラインナップされた東北の蔵々の中から、二杯目は石巻の “日高見 超辛口純米酒” を択ぶ。
ひとめぼれを醸したコクと旨みの有る酒のアテは “かつお酒盗” がいいな。おまけに “スルメイカ肝和え” も。
酒盗を箸先で少量つまみながら、酒は舐めるように、訳知りの常連さんの振りをして愉しむ。

google mapだと、あと5分も歩くと運河と工場群に突き当たる。駅もさっき訪ねた浜川崎の方が近そうだ。
仕事が退けたサラリーマンが連れ立って縄のれんを潜ってくる。外はいい具合に暮れてきた。

 
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Take Me / Casiopea 1982
     

 


一酒一肴 茅ヶ崎・カジキマグロのコートレッタ×千峰天青

2022-03-09 | 津々浦々酒場探訪

 湘南唯一の蔵、熊澤酒造のトラットリア「MOKICHI TRATTORIA」はこの日も30分待ちの盛況だ。
ランチの主菜 "カジキマグロのコートレッタ" のきつね色が夏野菜の素揚げを添えて美しい。
柔らかでジューシーなコートレッタを数種類のマスタードでかわるがわる比べながら美味しくいただく。
カジキマグロに合わせるチョイスは "千峰天青 生酒"、華やかな香りでフルーティーな純米吟醸が良い。

     

「MOKICHI TRATTORIA」の最寄りの香川駅から相模線に乗車すると終点までは余すところ2駅。
ホームに「希望の轍」が流れる茅ヶ崎駅を降りたら、クロマツの林を抜けて海岸まで足を延ばしたい。
正面には烏帽子岩、カラフルなセイルの群れが江の島を遮って疾走していく。


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<40年前に街で流れたJ-POP>
潮風の少女 / 堀ちえみ 1982
     


ウイスキーがお好きでしょ 札幌「BARやまざき」

2021-12-29 | 津々浦々酒場探訪

 大通公園のイルミネーションをやり過ごしてすすきの交差点へ。今宵「Barやまざき」を訪ねたい。
先代のオリジナル “クローバー・フォー” はジンベースにアクアビット、それにカンパリを少々。
薄いオレンジがカクテルグラスを曇らせたらコアントローチェリーをそっと沈める。ちょっとほろ苦い。

バーテンダー氏、カクテルを注ぐ前に “ペルノ” というリキュールでグラスをリンスしていた。
この澄んだグリーンイエローのひと手間で味わいと香りを付けるのだそうだ。

今宵のウイスキーロックはニッカの “余市蒸溜所限定ブレンデッド”、ゴールドのポットスチルがいかしている。
掌でアイスボールを溶かしつつ時折りカランと鳴らしてみたり、老舗の重厚なカウンターで時間を愉しんでいる。

Arthur's Theme / Christopher Cross / 1981
     


ウイスキーがお好きでしょ 福岡「COOPER」

2021-12-11 | 津々浦々酒場探訪

 小雨降るロンドンの裏町にでも紛れ込んだ気にさせる佇まいが博多川の端に在る。
オーセンティックではないにせよ、落ち着いた雰囲気のカウンターは老舗バーそのものだ。

淡緑色がカクテルグラスに注がれてライムの香りが広がる。すでに “ギムレット” には早過ぎる時間ではない。
生ハムを巻いたクリームチーズをつまむ。軽く焼いてあるバケットもいい感じなのだ。

シングルモルトは “GLENLIVET” の12年、ほんのりバニラの香り、初級者にはこんなところからか?
空いた小腹に辛みのある “サラミピザ” を口に放り込むと人心地つく。
ときおりボールアイスをカランと鳴らしながら博多の夜は更けていくのだ。

酒場の騒めきがなんとなく億劫な気分の夜、たまにはこんなバーカウンターもいい。

Say Goodbye To Hollywood / Billy Joel 1981 
     


旅の途中の酒場探訪 札幌「いぶしかもし酒場Choi」

2021-11-13 | 津々浦々酒場探訪

 狸小路8丁目に面白い酒場を見つけました。
自家製の燻製と発酵おつまみが楽しめる酒場は「いぶしかもし酒場」って、そのまんまですね。

リーチインには日本中から集めた旨い酒が集まっているけど、当然にボクは道産酒でいくのです。
栗山町は小林酒造の “北斗随想” は道産の酒造好適米で醸した純米吟醸、特約店だけに卸される希少な酒。
肴は燻製と醗酵つまみの6点盛合わせ、これだけで何杯も飲めそうですね。
フルーティーな香りの純米吟醸はワイングラスで、“冷やしトマトのバジル塩麹” がピッタリきます。

明るい店内にはテーブル席もあって、女子ひとり飲み、カップルにも支持されそうな店です。
っで、おっさんの一人呑みは6席ばかりあるカウンターで、2杯目は “二世古「彗星」赤ラベル” を。
これまたフルーティな香りとフレッシュな酸味が楽しめる食中酒ですね、あさり、明太子の燻製が合う。

燻た鶏肉にニンニクや醤油で下味をつけて “ザンギ” が揚がる。実はこれ大好きなのです。
お膝元は札幌の “十一州”、ほのかな吟醸香で旨味が広がる純米吟醸酒で濃ぉい肴を迎えにいきます。
札幌出張の初日は燻し醸し酒場で軽く一杯、この後ラーメンでも啜ってホテルに戻ろうと思います。

Physical / Olivia Newton-John 1981
     


旅の途中の酒場探訪 富山「囲炉裏 醸家」

2021-11-10 | 津々浦々酒場探訪

 高山本線の旅を終えて富山駅に降り立ちます。路面電車が北へ南へ走りなかなか活気のある駅前広場です。
呑み人は簡単には新幹線に乗り換えません。富山のきときとと地酒を味わうことなく帰るのは勿体ないでしょ。

あらかじめ地魚が食べられて越中の地酒が呑める店を数軒ピックアップしておいたから、電車通りを渡って
桜町を駅近から潰していきます。何しろ手元の指定券の “かがやき” までは1時間と少々しかないから。
幸い二軒目でカウンターに席を見つけて、早速っと生ビールを呷ります。独り「はんばきぬぎ」ですね。

“勝駒” は高岡の清都酒造場の酒、創業明治39年、前年に講和した日露戦争の戦勝を記念して命名したそうだ。
ラベルのロゴは芸術家 池田満寿夫氏の作品、呑み人の出身高校の先輩だから、単純に親しみが湧きます。
刺身盛り合わせは北の海らしく “甘エビ” と “ブリ” が登場、他に “くじら” と “ホタテ昆布〆” が美味しい。
やさしい香りとさらっとした飲み口の純米酒がきときとを引き立てますね。

奥深い富山湾で揚がる “ゲンゲ” は唐揚げでいただきます。新潟では幻魚(げんぎょ)と云ったかな。
柔らかくフワフワしたゼラチン質は、さっと揚げると絶品の酒肴になりますね。塩でいただきました。
二杯目の “羽根屋” は富山市内の富美菊酒造の酒、“純吟 煌火 生原酒” は優しい口当たりの酒、
富山の山海の幸に合わない訳ありませんね。
そして “呉羽梨豚肉巻き” が絶品、梨のみずみずしさそのままに甘辛く煮た豚肉で包んで美味しい。
これっワインにも合うだろうな。富山の西隣り呉羽町は梨の名産地って隣のカップルが教えてくれました。

そして〆は “氷見うどん” を。つるつるでコシのある手延べに大根おろし、万能ねぎ、刻み海苔を散らして、
喉越しが良くズズッと啜ると高山本線呑み鉄旅もお仕舞い。富山の美味い酒肴に巡り会って有終の美です。
っと時計を見るとすでに8時半、大きく予定をオーバーして1時間後の “はくたか” に飛び乗ります。
シートに身を沈めるとほろ酔いでぐっすり、ひとつの停車駅も覚えがなくてノンストップも同然なのです。

シルエットロマンス / 大橋純子 1981
     


旅の途中の酒場探訪 岐阜「ニュータマミヤ」

2021-11-03 | 津々浦々酒場探訪

 駅前のホテルから眼下を見下ろすと、まるで廃墟のような繊維問屋街が暗く広がっている。
でもその先の岐阜横丁やら玉宮界脇がキラキラと煌めいている。そうか、柳ヶ瀬まで行かなくても呑めるんだ。
っで、ボクは紅い大きな提灯に誘われて、ニュータマミヤにフラフラっと。古くからある居酒屋らしい。

先ずは生ビールと基本の “ポテサラ” で始める。入り込み時なのかサーブまで時間がかかる。
“豚角煮” が届くまでには結構時間がかかった。でもこの濃ぉいスープにとろとろの甘辛煮が絶品。
これは生ビールかハイボールが合うな。でもすでに日本酒を啜っている。地元は各務原の “百十郎” だ。
赤面(あかずら)の大辛口純米吟醸は日本酒度+12、香り控えめの旨い酒。いやいやこれ濃い味の料理にあう。

カウンターの中はご夫婦だろうか、手際良くテキパキとした動きが気持ちがいい。
ホールの可愛らしいお嬢さんは、小柄な背丈も同じぐらいのふたり。まるでWink(古い?)みたい。
清潔感があって、見目麗しく、でも媚びることのないサービスには好感度が高い。
雑然として昭和感たっぷりな店だけど、客層もいいなぁ。意外とカップルが多い。気持ち良く呑める店だ。

これはお隣の名古屋風?甘辛い味噌だれをつけていただく “おでん” が美味しい。
二杯目もこれまた各務原の酒 “長良川” を。スッキリ爽快な飲み口の辛口が楽しい。
お腹いっぱいほろ酔いの小一時間、これで2,400円ほど。近くにあれば通っちゃうパフォーマンスだね。
名古屋、岐阜とご機嫌な酒場に巡り会って、明日は高山本線を呑み潰して富山に抜けます。

二人歩記 / 長渕剛 1981
     


旅の途中の酒場探訪 名古屋「魚河岸割烹 鮮」

2021-10-30 | 津々浦々酒場探訪

 200万都市の駅前の一等地に市場があるっていうのがちょっとした驚きだ。
広さ約4,000坪、約300の店舗が並ぶまさに名古屋の台所が「柳橋中央市場」なのだ。
一般的に早い午後には閉まってしまう市場だけど、ここは夕方になっても人の出入りがある。
市場の中に屋台よろしく何軒かの酒場が提灯を灯すからだ。っと呑み人もふらふらと誘われてみる。

それこそ一見のオッサンが二人カウンターに座るもんだから、無口な大将はますます無愛想だ。
突き出しは “ほうれん草とにんじんの白あえ”、んつこれはなかなか上品な、それなりの料理屋の味だぞ。
僭越ながらこれは褒めずにはいられない。それでもニコリともしない大将、黙々と柳刃を操っている。

その柳刃から繰り出された刺身が重厚な器で登場、蕩けるような大トロと甘いブリが美味しい。
白身は酢橘をちょっと絞るといい。この酢橘に水を向けると一瞬大将の表情がくずれた。
どうもタネが多いこの酢橘、大将が趣味で自家栽培しているらしい。

手元は諏訪の酒 “真澄” に代わっている。すっきりとしたでも柔さも感じる辛口生一本がいい。
十銘柄ほどの地酒ラインナップは、料理に合わせた大将のこだわりだろうか、次はこの話で口説こう。

カラッと上品に揚げた天ぷらが、大将の菜箸でカウンターの黒い平皿に手際良く盛り付けられる。
海鮮の店らしく、大振りの海老とホタテ貝柱がいい、カボチャもホクホクで美味かったなぁ。
二杯目は白山の “手取川”、純米酒nijiは滑らかな口当たりで料理に寄り添う食中酒だ。
ところで隣に座る先輩はと云うと、焼酎水割りに大将の酢橘を所望して、おっお見事です。
どうやらカウンターで飲むことを受け入れられた私たち、次の名古屋出張でも再訪必至なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
悪女 / 中島みゆき 1981