旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

街の蕎麦処で桜香る地酒を

2021-03-30 | 日記・エッセイ・コラム

 枯山水に薄桜色が枝垂れて、古刹の老桜も満開を迎えました。
時世柄、桜花の下で一献など望むべくもなく、近所の蕎麦処でささやかな花見なのです。

灰色に櫻を散らした切り絵のような美しいラベルは "三千櫻 愛山80"。
膨らみのある優しい味わいの純米無濾過原酒は、岐阜県中津川市の小さな蔵の酒。
三千櫻酒造さんは昨秋、大雪山の麓北海道東川町に移り、酒造りを繋ぎました。
さては中津川の酒をいただくのは最後の一杯?土鍋の "青海苔どうふ" に合わせます。

"牡蠣天ぷら" は、すだちをたっぷり絞って、抹茶塩をちょんちょんとつけて美味。
灘の酒 "櫻正宗" は山田錦100%の本醸造、やや辛を人肌燗で、蕎麦前を気取ります。

〆は "おろしそば"、粗めの大根おろしに茹で海老がのって、ちょっと贅沢にズズっと。 
ちょい濃いめのツユで蕎麦湯を堪能したら、猪口に半分残った櫻正宗をキュッと吞む。
いやいやどうして、粋な花見に満足な弥生のつごもりなのです。

17才 / 河合奈保子 1981


大人の休日 大天狗と名代ソースかつ丼と

2021-03-27 | 旅行記

 この日は東日本どこも雨、それならばとゆっくりスタートで10:36、やまびこ57号で郡山へGO!
手元のフリーパスを遊ばせておくのも愚かだから、福島ソースかつ丼の名店を訪ねることにする。
会津若松だとお思いでしょうが違います。郡山から1133Mに乗り換えて、今回は本宮へ。

NewDaysのリーチインで見つけた "ピルスナーウルケル" をプシュッと開ける。
4月6日から首都圏・関信越エリアで発売開始のこの缶、品薄状態だったから上々の滑り出しだろうか。

本宮駅から徒歩10分、幸い折からの雨も小止みになって、傘もささずに「柏屋食堂」を訪ねる。
田舎町の小さな食堂と思いきや、2階の大広間二間にテーブルを並べて満席状態、なるほど人気店だ。
これは着丼までかなりの時間が ・・・・・・、でも大丈夫、飲んで待つから。
初めましての "大天狗"、地元の親父さんの晩酌そのままに常温でいただく。突出しの "たこわさ" が嬉しい。

"名代ソースかつ丼" が着丼、厚切りロースが二枚、甘みある継ぎ足し秘伝ソースを絡めキャベツを従え登場。
分厚けど柔らか、サクサクと口にいれたら、ジューシーな肉が甘味とともに口いっぱいに広がって美味しい。
なるほどWebに2,000を超える口コミがあるのも頷ける上々の丼なのだ。

意外と大天狗酒造は本宮駅前に在った。左横書きの大天狗の文字、赤レンガ造りの煙突に歴史を感じる。
大粒の雨に急かされて改良工事中のプレハブ仮駅舎に飛び込む。っと程なく上り電車が入線してきた。
初めての町で絶品のソースかつ丼に巡り合って上々の休日、さてまだ時間があるから何処かで立ち飲みでも?

リトルガール / 西城秀樹 1981
     


旅先のひと皿 名古屋「わらじとんかつ」

2021-03-25 | 旅のアクセント

 実は初めての矢場とん・矢場町本店訪問。いつもはエスカ店で済ませてしまうから。
矢場町交差点に立つと、ビル4フロア大に描かれた巨大な「ぶーちゃん」が目につく。
本当は、どて煮や串かつを肴に地酒を飲もうと思ったのだけど定食に変更。
何故って、後ろに結構長い列が出来ていたからね。
で、みそかつ&ソースかつの "わらじとんかつ定食"、先ずはみそかつを肴にビールを呷る。
ソースかつには辛子をたっぷりつけて、ご飯と味噌汁で遅いランチを堪能するのだ。
昨年の名古屋城はシダレザクラが3~4分咲きだった3月末。今年の桜は咲き急ぎ過ぎだ。

2020.3.28


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町の中華屋・洋食屋 浦和「平和軒」

2021-03-23 | 日記・エッセイ・コラム

 細く曲がりくねった道は、きっと鉄道が敷かれる前からの村々を結んでいただろう。
そんな道は何時しか賑やかな商店街になり、今その大半はシャッターが降りている。
明治から戦前そして高度経済成長期を想像させるそんな一角に評判の町中華がある。
在宅勤務をすることになって初めまして、そして幾度かお昼のお腹を満たしにきた。
ケチャップを惜しげもなく使ったしっとりしたチキンライスを薄い玉子焼きで包んで、
この "オムライス" は当に昭和の家庭の味、「地下鉄に乗って」のシーンを彷彿とする。 

若旦那がひとつの中華鍋を振るう、だから時間が掛かるけど、これご愛敬。
"塩ラーメン" も昔ながらの優しい味わい、"餃子" はたっぷりニラに大葉?これ美味しい。  

子どもが喜びそうなやや甘の "マーボ豆腐"、片栗粉でしっかりめのとろみが付いている。
この一皿、隠し味は味の素に違いない。いやポジティブに昭和の忠実な表現と評価したい。
母の味や昭和の味が恋しくなったらご同輩、この駅に途中下車、一興かも知れませぬぞ。

     


空はあっぱれ、そばっ晴° 東海道本線(羽沢線)を完乗!

2021-03-20 | 呑み鉄放浪記

 間近に電車をみて大はしゃぎの男の子、小さな手を握りしめる若いお父さん。
休日の午前中、せがまれて電車でおでかけの親子連れ、微笑ましい風景に出くわしたのは武蔵小杉。
呑み潰したはずの東海道本線(貨物線)に新たな旅客路線が誕生したのは2019年11月30日のこと。
今回は世間一般に相鉄・JR直通線と呼ばれるうち、鶴見~羽沢横浜国大のJR区間を乗って吞む。
もっとも鶴見にホームは設置されなかったから、電車には武蔵小杉から乗ることになる。
駅間16.6kmと長くも短い旅、埼京線から直通してエメラルドグリーンの帯の10両編成がやってきた。

ガタガタと分岐器を鳴らして横須賀線と湘南新宿ラインが走る東海道本線(品鶴線)から貨物線に渡る。
10両編成が武蔵小杉を出発して直ぐのことだ。タンク貨車やコンテナ車の脇をすり抜けるのが楽しい。
10分後、今度は水色のトラス橋で東海道本線と京浜東北線を跨いで複々々々線の賑やかな線路を往く。

起点の鶴見(列車は通過するが運賃計算上の分岐駅)を過ぎると東海道本線(羽沢線)は地下へ潜る。
生見尾トンネル、港北トンネルと続く長い暗闇から解放されて広がるJR貨物・横浜羽沢駅、終点は近い。

急な下り勾配で再び地下へ潜ると、建設中の相鉄・東急直通線(日吉~新横浜~西谷)と合流して羽沢横浜国大。
約3分の長めの停車でJR→相鉄への乗務員交代の儀式を終えると、互いの敬礼を合図に10両編成は滑り出した。
まるで鏡のような打ちっ放しの天井が新設駅を実感させる。ここから先は相鉄・新横浜線ってことになる。

長いエスカレーターを上がると開放感のある明るい駅舎、でも(申し訳ないけど)安普請な感じは否めないなぁ。
びゅんびゅん車が飛ばす環状2号線を目の前に、たった一軒の商店もない駅に日中降りる人は疎らだ。

 さて今宵はどこで?羽沢横浜国大には店は無さそうだし、若い街武蔵小杉では芸が無いし。
っで東海道本線(羽沢線)が地下に消える鶴見界隈をぶらぶらして、ご機嫌な店を見つけたのは京急生麦駅前。
お肴、お蕎麦、地酒の店「そばっ晴°」はカウンターのみ10席、身を捩ってご常連の間に腰掛けさせてもらう。

この "おさしみ盛合せ" が豪華で美しく新鮮で云うことなし。この一皿を求めて縄暖簾を潜る価値あり。
地酒は定番の他に日替わりで5~6銘柄の用意がある。先ずは "作 穂乃智" ご存知鈴鹿の酒だ。
生酒のようにフレッシュでやや辛、穏やかな香りの純米酒。トップの抜擢に間違いはなかったね。美味い。

続いて "庭のうぐいす 特別純米" を択ぶ。山口酒造所には4年前の今時分に訪ねたなぁ西鉄・甘木線に乗って。
フレッシュですっきりとした味わいに、なんとなく記憶が甦るね。筑紫平野をずいぶんと歩いたっけ。
"たぬき豆腐は" 時節柄お雛様の蒲鉾がアクセント、 ポン酢をかけたさっぱり奴に揚げ玉がカリカリと楽しい。

焼き物はタレと塩一対で一人前、レバーNGな吞み人としては "つくね" と "ねぎま" を焼いてもらう。
存在感のある濃赤のラベルは "MAGMA原始乃胎動"、鶴岡の栄光富士が赤磐雄町で醸す無濾過生原酒。
華やかな香、芳醇でしっとりした味わいの酒で〆る。少々量が過ぎてほろ酔いを超えちゃった生麦の宵だ。

東海道本線(羽沢線) 鶴見~羽沢横浜国大 8.8km 完乗

ヨコハマ・チーク / 近藤真彦 1981
     


一酒一肴 河原町・たけのこ炊いたん×まるたけえびす

2021-03-18 | 津々浦々酒場探訪

「あの人の言葉 想い出す 夕焼けの高瀬川」を、蛸薬師通り西入ルと3年ぶりの店。
洛中は佐々木酒造の "まるたけえびす" をいただく。やや辛の本醸造は酸味を楽しめる酒。
見た目も麗しい "たけのこ炊いたん"、京の春の味は、甘くて柔らかくて美味しい。
桜花が高瀬川に枝垂れて、なんだか人恋しい河原町の宵。

2020.03


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一酒一肴 四条大宮・三種盛り×神聖

2021-03-16 | 津々浦々酒場探訪

 

 四条大宮ロータリーの「立ち吞み庶民」は11:00に暖簾がかかる。
桜花爛漫の京都に遠征したら、まずは人気店のカウンターに立ち位置を確保してみる。
伏見は山本本家の "神聖 濃醇" が枡に溢れて、濃厚な味と綺麗な喉ごしが美味しい。
"造り三種盛り" は、本マグロ、サーモン、〆サバがぶ厚く切られて満足の一皿でした。
昼前の一杯を愉しんだら嵐電に揺られて桜の名所を巡ろう「花は御室か嵐山♪」ってね。

2020.03

 
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美わしの Color Girl

2021-03-13 | 日記・エッセイ・コラム

 特急「踊り子号」の車両として親しまれたJR東日本の185系電車が定期運行を終えました。
JR線、伊豆急線、駿豆線の沿線では多くのファンや地元の方がラストランを見送ったそうです。
昨晩は各局がヘッドラインで取り上げていました。その反響の大きさにはちょっとびっくり。
吞み人は中山道を歩く旅で「ムーンライトながら号」に、上州の湯を訪ねて「草津号」に
乗った覚えがあります。唸りを上げるモーター音が独特ですね。
国鉄時代から40年を走った185系、たくさんの人々の人生の場面に映り込んでいることでしょう。
画像フォルダに伊東線での一枚があったのでエールを送ります。ほんとにお疲れさまでした。

君は天然色 / 大瀧詠一 1981
     


一酒一肴 磐城・海鮮丼と廣戸川と

2021-03-11 | 津々浦々酒場探訪

 東北地方太平洋沖地震から9年の歳月を経て、常磐線全線が復旧しました。祝。
翌週、梅の香に誘われたときわ路各駅停車の旅、いわき駅で途中下車です。
築150年、卯建が上がる古民家居酒屋のランチタイム、日は高いけれど飲んじゃいます。
天栄村は松崎酒造の "廣戸川" は、福島県産の酒造好適米・夢の香で醸した純米酒です。
ふんわり優しいバナナのような香り、すっきりした飲み口は食中酒に最適ですね。
海鮮丼の新鮮な刺身をアテにゆっくりと愉しんだら、さらにいわき路の旅は続きます。

 
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人生のそばから 小鹿野「観音茶屋」

2021-03-09 | 旅のアクセント

 切妻屋根の風情ある茶屋から煙突が付き出して、薪を焚く匂いが流れてくる。
和同鉱泉から秩父神社へ詣で、武甲酒造で寒造りの新酒を仕込んで、さて昼食は?
考えあぐねて結局ここに来てしまった。秩父市街からは30分のドライブだ。

ここの蕎麦は手打ちでやや太目、婆ちゃんが打ってくれたような懐かしい田舎そばだ。
吞み人が択ぶのは "観音そば なめこおろし"。野沢菜炒め?と煮大根の小鉢が付いて、
本来ならば蕎麦前を愉しみたいところだけど今日は運転手、昨夜も堪能したからね。
蕎麦猪口にたっぷりなめこおろしを入れて香り高いそばをズズッと啜る。美味い。

観音茶屋と云うのは秩父札所三十一番「鷲窟山観音院」参詣の道すがらに在るから。
石造り仁王像が立つ山門を潜ってから聖観音像を祀る本堂までは石段を上ること296段、
秩父三十四霊場のなかでもっとも険しい難所に建つ寺院と云われる。
美味しくそばをいただくには、この観音様を詣でてお腹を空かせるのがご作法のようだ。


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薬師の湯宿で秩父の地酒を

2021-03-06 | 日記・エッセイ・コラム

 蛇紋石を敷きつめた湯舟にゆったりと浸かる。至福だ。
部屋に戻ったら、噴き出る汗をビールで宥めて、食事処でははなから地酒でいこう。
こんな時勢だから比較的近いところで戦士の休息。
マイカーで動いているし、心ある受け入れ施設はできうる対策に努めている。
大切なことは節度をもって行動することで、縮こまることではないと思う。個人的には。
平日の温泉行は、都心へ向かう通勤電車でひしめき合うより格段にリスクは低い。
っと理屈をならべたのは、温泉に浸かって浴衣で飲むという誘惑には抗えないから。

最近は吟醸モノより普通酒がマイブーム、地元の親父の晩酌の酒、まさに地酒がいい。
先ずは "秩父錦"、コクとキレのある淡麗辛口を一合徳利で2本、冷やでいただく。 
盆には "なまこ酢" の先付、前菜、"本鮪" やら "湯引き鯛" やらの刺身盛りが収まる。
なかでも "鰯梅煮" が美味い。街の立ち飲みカウンターなら、アテはこれだけで十分だな。

強肴は "牛しゃぶ野菜豆乳だれ"、むしろすき焼き肉のようなロースだけどね。
"きじのしゃぶしゃぶ" を一人前だけ追加、淡白な肉がポン酢ともみじおろしで美味。

椀物は "鶏餅清し汁仕立て"、蓋をとると三つ葉と柚子の香りが広がる。 
凌ぎは、織部の器に "鰻 海老 椎茸あんかけ"、これ初めての味かな、楽しい。

"武甲正宗" も本醸造をいただく、すっきりした喉越しのやや辛をやはり徳利2本。
焼物は "甘鯛白子焼き"、菜の花を添える。揚物は "わかさぎ"、たらの芽と蕗のとうが
脇を固めて梅塩で美味い。其々脇役が春を感じさせる。その苦味に酒がすすむ。

なんだか二軒めで飲み直している感じのラインナップを愉しんでいる。
竹の子、湯葉豆腐、わらびを添えた "津軽鶏治部煮" が煮物、趣向を凝らした酢物で〆る。
もうこれ以上は入らない。心づくしの料理をアテに秩父の地酒を堪能した湯宿の夜だ。

夜明けとともに布団を這い出て露天風呂を独占するのは何時ものこと。
小鳥のさえずりと横瀬川のせせらぎを聴きながら、ついつい長湯になってしまう。

思わず朝ビールを飲みたくなるような朝食を済ませて部屋に戻る。
今更ながらベランダの露天風呂を思い出し、檜の香りに包まれて樽の中にまどろむ。

決して洗練された湯宿ではないけれど、お宿の方の細々とした気遣い、心づくしの料理、
なめらかで優しい湯、秩父の酒、どれをとっても満足な滞在なのだ。
カタログ的になってしまった投稿に反省しつつも、再訪・推推奨意向大の宿なのです。

もしもピアノが弾けたなら / 西田敏行 1981


浜松町・大門界隈でBiz-Lunch「蕎麦酒房 本枯」

2021-03-04 | Biz-Lunch60分1本勝負

 久しぶりに浜松町でBiz-Lunch。行き帰りに20分を消化してしまうから結構忙しい。
狙っていたとんかつ屋は寒空に10人ほどの列、然らば予定変更、近くの蕎麦酒房へ。
小さな丼セットは "せいろ" 二枚に "炙り明太子丼"、それに小鉢がついて1,150円也。
若人にはちょっと物足りないかもしれないけど、世のオヤジ達には丁度よい量ですね。
本格手打そばと上品な小どんぶりを味わって満足な浜松町遠征ランチでした。
ちなみに「本枯」とは二年以上乾燥と熟成を重ね旨味を凝縮させた鰹節のこと。
店名は "そばつゆ" へのこだわりを表しているってことでしょう。

     
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一酒一肴 岐阜・かつおたたき×御代櫻

2021-03-02 | 津々浦々酒場探訪

 

 岐阜駅前でモ510形という名鉄の岐阜市内電車に出会った。
大正ロマン香る「丸窓電車」は、空襲を乗り越え2005年まで走っていたと云う。
この日、足掛け6年、名古屋鉄道全線444.2kmの呑み潰しを終えた。
名鉄岐阜駅周辺には昼から飲める店が点在していて、なんなく一軒の暖簾をくぐる。
地酒は美濃太田の "御代櫻"、冷でよし燗でなおよし、キレ味の鋭い辛口の純米酒。
アテは "かつおたたき"、解凍モノだろうけど、レモンを絞って美味しい肴になる。
ひとり打上げを終え、これから延々7時間かけて東京へ帰る。青春18きっぷだからね。

2020/03

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