旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

休日はローカル線で HIGH RAIL 1375

2018-06-28 | 日記・エッセイ・コラム

 田植えを終えた水田地帯を小海線のリゾート列車が駆けて往く。 
信州への帰省の帰り道、新幹線で1時間は味気ない。HIGH RAILで小渕沢に抜けてみる。 

 
 

数年前に北国街道を歩いた折に立ち寄った「蕎麦蔵 そば庵」を訪ねる。
近くの大塚酒造が醸す純米吟醸 "浅間嶽" 生酒を所望する。キリリと冷えて旨い。
肴はお通しの "蕗味噌" と信州の "漬物盛合せ"、懐かしい味だ。
仕上げに "辛み大根おろしそば" をズズっとやって駅へ向かう。高原列車の旅の始まりだ。

小諸駅裏手の小諸城址懐古園、今日に遺構の残る堅固な城郭にしたのは仙石秀久。
近年では島崎藤村がこの地で「千曲川スケッチ」や「破戒」を起稿した。 

小海線には美しい名称の駅がいくつか。2つ目の「乙女」もそのひとつ。
並走するしなの鉄道(旧信越本線)の電車が傍らを擦り抜けて行った。 

最初の長めの停車は中込駅。前回は近くの土屋酒造を訪れたっけ。
通に人気の "亀の海"、ANAファーストクラスで提供された "茜さす" を世に出している。 

振り返ると車窓には浅間山が望める。雪は脱いでも裾野を広げた姿が雄々しい。

 

車中の供は沿線にある軽井沢ビールのPremium Ciear、ドイツ風味の爽快な1本。
丁子庵で仕込んでおいた "おやき" がアテになる。中身は野沢菜と切干大根なのだ。 

小海線が日本一の千曲川と寄り添うのは信濃川上まで、大河もここではせせらいでいる。
鉄路は180度向きを変えて、八ヶ岳をめざしてぐんぐん高度を上げていく。 

列車が1300mまで駆け上ると一面の高原野菜畑が広がる。八ヶ岳の雄姿は雲の中、残念。

1,345m。日本一高いところにある駅が野辺山、駅名板には星が煌めいている。
国立天文台がある位だから、降るような星空なんだろう。いつか見上げてみたい。 

高原の駅にスカイブルーのリゾート列車が似合う。暫しこの駅で休息なのだ。
列車の名称になっている "1375" は鉄道最高地点の標高、この先の県境辺りになる。

終点の小渕沢の標高が887mだから、列車は3駅で490mを下る。
抑速ブレーキを効かせながら急勾配を下るディーゼルカー、上りより一層苦しそうだ。 

 

慎重に八ヶ岳の裾野を下ってきた2両編成、再び180度向きを変えて中央本線に寄り添う。
小諸なる古城のほとりから新装なった小渕沢まで、ご機嫌な「呑み鉄」の旅を愉しんだ。
とってもキュートなアテンダント嬢、裏方で汗をかいていたJRの添乗員さんに感謝。 

The Stranger / Billy Joel 1978



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