太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

クアキニで混乱する

2024-04-17 08:54:50 | 日記
昨年までマンモグラフィ検査を受けていたのは、アラモアナショッピングセンターの敷地内にあるビルの中にあったのだが、そこはもうなくなってしまったのだという。
今年の2月に、前回から1年たったことを知らせる通知を受け取ったばかりだったのに、何があったのか。
駐車場はいくらでもあるし、わかりやすいし便利だったのだけれど。
そこで、主治医がいくつか病院を紹介してくれた。

「セントフランシスか、クイーンか、クアキニなら、どこがいい?」

セントフランシスは、遠い。
クイーンは、以前、友人が行ったら、治療費とは別に『施設使用料』という名目で600ドル(9万円!請求されたと聞いたばかりだったので却下。
残るはクアキニ。
クアキニは、ホノルルには違いないが家から1番近く、30分ほどで行ける。
しかし建て増しを繰り返したような建物が3つあって、駐車場からのアクセスもわかりにくく、中は迷路のようになっているので、スーパー方向音痴の私は腰が引けてしまう。
他の人もそう思うらしく、主治医の事務方の人が、見取り図を印刷してくれた。
そこには英語でこう書いてある。

『駐車場に車を停めたら、エレベーターで1階に降り、エマージェンシーの方に向かって歩いていくと、自動ドアがある。そこを通ったら、”外来診療の受付”はどこかと誰かに尋ねてください』

場所を説明するんじゃなくて、誰かに聞けと。なるほど。

予約日の前日、ドクターから電話があって、簡単な問診を受けた。
当日、迷う気満々で、かなり早めに家を出た。
無事に車を停め、エレベーターで1階に降り、エマージェンシーに向かって・・・

って、どこにエマージェンシーがあるのさ。
エレベーターを降りた目の前にあるのは、外に出る手押しのドアと、右側には建物に入るドア。
試しに建物のほうに入ってみると、そこは売店と薬局、診察室があり、エレベーターがある。
主治医にもらった紙を確認すると、私がいるのは駐車場に隣接しているメディカルプラザで、私が行くべきはメディカルセンターであるらしい。
見取り図によると、それは3つある建物の真ん中にある。
私は建物の外に出てエマージェンシーを探すが、どこにもない。

(待てよ、なにもエマージェンシーを探さなくても、真ん中の建物に入ればなんとかなるんじゃないの?)

道に迷ったとき、私の心の声はたいてい間違っているが、この時だけは正しかった。
真ん中の建物に入ると受付があり、年配の女性が座っていた。

「外来診療の受付は・・・」

と聞くと、

「もう予約してあるのね?えーと、どこに行きたいのかしら」

満面の笑顔で聞いてくる。

「レディオロジーでマンモグラフィ検査を受けるんですけど」

「オッケー!私についてきて」

女性は先に立って歩き、エレベーターのボタンを押す。

「あそこはね、地下にあるの」

地下に降りて、グネグネと廊下をいくつも曲がっていく。私は正しく元来た道を辿って帰れるのだろうか。

「なんだか私、迷っちゃいそう」

すると女性は笑って言った。

「おほほ!そうなのよ、ここはねえ、クセモノなのよ」

ラボのドアの前に来て、ドアを開けてくれた。

「はい、ここよ。それじゃあね」

「親切にありがとうございました」

ラボの受付の人達も、検査技師も、とってもフレンドリーで親切だった。アラモアナよりもずっといいじゃないか。
予約時間よりも30分以上も早くついてしまったのに、すぐにやってくれて、あっという間に終わった。

問題なのは、帰り道。
来るとき、エレベーターを降りてからずいぶん歩いたのに、ごく近くにエレベーターがあった。
大きな病院だから、何基もエレベーターがあるのだ。アホな私は、自分がいる場所が地下だということを完全に忘れていて、5階だと勘違いしていた。
5階なのは、私が停めた駐車場だ。
エレベーターには上に行くボタンしかなく、これはおかしいと思って(おかしいのは私だ)それに乗るのをやめて、来たときに乗ったエレベーターを探すことにした。

歩き始めると、外を人が歩いているのが見えた。
「!!」
ここは5階じゃないのか!
そこでここが地下だったことをようやく思い出す。
でも地下なのに、なぜ外を人が歩いているのだ。
普通に考えれば、高低差のある土地に建てた建物にはよくあることなのに、私は狐につままれた気分。
とりあえず、外に出て歩いて行くと、メディカルプラザと書かれたドアが遠くに見えた。
プラザと駐車場は繋がっているはず。
これで帰れると早足で歩いていると、エマージェンシーを発見。
なんとエマージェンシーはここにあった。

なんとか駐車場に着き、エレベーターに乗って5階に行く。降りると、女性が話しかけてきた。

「このエレベーターも、同じ場所に着くの?私はいつもあっちしか使ったことがないんだけど・・・」

そのエレベーターは、来るときに乗ったものとは別のものだった。

「私もよくわからないんだけど。降りるときは向こうを使って、適当に乗ったらこっちだったので」

「混乱するわー・・・」

確かにそうだけど、私はクアキニが好きだ。
夫によると、クアキニは80年以上も昔に創られて、医者も患者も日系アメリカ人が殆どだったそうである。
今でも、日本の苗字をもつ医者が多いし、気のせいか患者も日本人顔が多い。
病院の隣りは日本の総領事館で、このあたりは日本人が多く住んでいたのかも。
クイーンのように洗練されたモダンさはないけれど、人も雰囲気も温かい感じがする。

今後も、クアキニに来よう。
何度も行くうちに、あの迷路にも少しは慣れるかもしれない。







病院のシステム

2024-04-17 07:41:36 | 日記
年に1度、血液検査とマンモグラフィ検査を受けることにしているのだが、その1年の経つのの早いことといったらない。
忘れないように誕生日月(1月)に受けていたのが、翌年は2月にずれこみ、今年は4月になってしまった。
億劫になる理由の一つは、歯医者以外はみんなホノルルにあるからなのと、もう一つはそのシステムのまどろっこしさにある。
日本だったら、いきなりマンモグラムを受ける病院に赴けばいいのだけれど、こっちはそうはいかない。

まず、主治医に予約を取って、行く。
そこで主治医が病院を紹介する。
改めて、その病院の予約を取って、行く。

主治医の専門以外の症状であっても、まずは主治医に行かねばならない。予約状況によっては、行こうと思い立ってから1か月以上も先にしか予約が取れないということが、よく起こるのだ。
緊急の場合には、エマージェンシーに飛び込みで行くことになるが、平気で6時間ぐらい待たされて、その間に具合はどんどん悪くなる。
待てない状況なら救急車を呼ぶが、あとで何万円もの請求が来る。

2月に、日本人の友人が、ある手術を受けるために休職して、一時帰国した。
自分がかかりたい病院で、手ごろな医療費で、受けたい治療を受けることができるのは当たり前だと思っていたが、今となっては夢のよう。
住民票を取って、国民健康保険に加入すれば、日本国籍であればそれが可能なのである。
ありがたいことに私は丈夫で、検診か、皮膚湿疹ぐらいしか病院にかかることがない。
けれども、この先、深刻な状況になることがあったら、私は迷わず帰国するつもりでいる。


さて、ハワイに来たばかりの頃、私は病院に「診察券」がないことに戸惑った。
日本の病院には診察券があって、行くたびにそれを出し、帰る前に精算していた。
最初の頃、予約日を書いてくれたカードがあったので、診察券の代わりにそれを出してみたら、「それはあなたが持っていていいのよ」と言われ、診察券というものは存在しないのだとわかった。
そして、その場で精算はせず、あとから郵送で請求書がくる。
でも、歯医者でたまにその場で払うこともあったので、一応、帰る前に聞く。

「Good to go?(行ってもいい?)」

「Sure !(もちろん!)」

かかってから、半年ほどたって請求書が来ることもある。
アメリカの医療システムがどうなっているのか、永久にわかる気がしない。







目にはみえなくても

2024-04-16 08:07:27 | 日記
朝、起きたときと、仕事から帰宅して、玄関に入る前に家の前の花のチェックをするのが習慣になっている。
私はサボテンも枯らす植物キラーだったのだが、気にかけて育てることが大事なのだと聞いてから、毎日声をかけたり、花がらを摘んだり、重そうな茎を切ったり、言葉どおり気にかけているのだ。
そうしていると、ひとつひとつの植物がかわいくなってくるから不思議。
玄関まわりにあるのは、名前を知らないピンクの小さな花、ゼラニウム2鉢、アンスリウム4鉢、ランタナ3鉢、ビンカ、ソングオブウインディア、ブルージンジャーたくさん。
このゼラニウムはしばらく花が咲かなかったのが、手入れをしていたらこんなに花が咲いた。
ゼラニウムは水が多すぎると根が弱ってしまうようで、そうなると蕾のままでしおれてしまう。
だから雨が降っているときは、寝ていても飛び起きて、玄関の屋根の下に鉢を移す。


ビンカは、こぶりの鉢で買ってきたものが、いまや特大サイズに成長。
ドライブウェイの端のほうからも、ピンクが鮮やかに見えて「おかえりー」と言っているみたいだ。これは水が大好きで、毎日たっぷり水遣りをする。

先日、家に入る前に花チェックをしていた。
ブルージンジャーの茎の先がこちらに向かっているのに気付かずに、アンスリウムの古い葉を取ろうとして勢いよく前かがみになったら、その茎の先が鼻の脇に思い切り当たった。
ブルージンジャーの茎は、竹のように節があって、まさに細い竹みたいに固い。その先っぽで強打したのだから、そりゃあ痛かった。

流血しているのではと鏡を見たら、ただ茎の形に赤くなっているだけ。
しかし、その場所は、目頭から1センチも離れていない。
もし、あの勢いで目に刺さったら大変なことになっていた(怖・・・)

助けられたと確信し、感謝した。
人は、都合の悪いことが起きれば何かのせいで、都合のいいことは、ただ運がよかったと思いがち。
このブログ内に、「天使に出会った実話」のカテゴリーがあるが、そんなふうに目にはみえなくとも、私たちはいつも助けられているのだ。
私の後ろの人達か、亡くなった両親か、はたまた花達か。


「ここに茎が当たったんだよぅー」

夫に報告。

「赤くなってるけどたいしたことないね。なんだか嬉しそうだけど、なんで?」

あれから数日、青アザになるのではと思ったが、そうはならず、赤い色が少しずつさめてきている。
またもや助けられている。







あの時私が見たもの

2024-04-15 06:40:45 | 不思議なはなし
突然、何十年もずっと、忘れていた古い記憶がよみがえることがある。

子供の頃、家の向かいに山田さん一家が住んでいた。
山田さんちは、おばあさんと、その息子夫婦、3人の男の子という家族構成で、
男の子は上が10歳ぐらい、末っ子が4歳ぐらいだったろうか。


私が、6歳か7歳の頃だったと思う。
うちで新しい冷蔵庫を買って、それが入っていた大きな段ボールが、家の前に置いてあった。
家は玄関と門の間に、車1台ぐらいのスペースがあった。
門はキャスターがついた金網で、内側から外が良く見えた。
これが、家と門の間に立って撮った写真。(ピン止めしているのが私)
たぶん、この写真と同じころの話。


夜、夕飯を食べたあと、私はその段ボールに入ってみた。
説明するまでもないが、私はちょっと変わった子供だった。
私は段ボールの隙間から、外を眺めた。
季節は初夏で、段ボールの中にいても暑くも寒くもなく、見慣れた風景も、四角い隙間のこちらから見ると、どこか違って見えておもしろかった。
家の前の道は舗装されていない砂利道で、近所の誰かが砂利を踏む音や、どこかの家からお風呂をつかっている音が聞こえた。
街灯のたよりない明かりが照らしているのは、ほんの限られた範囲だけで、昔の夜は今から想像できないほど暗かった。

どのぐらいそうしていただろうか。
山田さんちの屋根から、何かが夜空に向かってのぼっていくのが見えた。
はっきりとした形はなく、煙のようにも、湯気のようにもみえた。
それはゆっくりと1度まわってから、吸い込まれるようにして空に溶けていった。

「山田さんのおばさん、昨日亡くなったんだよ」

翌朝、母が言った。
私がそのとき何をどう思ったかは覚えていない。
私が見たもののことも、誰にも話さなかったように思う。
山田さんのおばさんが病気であることを、子供の私は知らなかった。身近で誰かが亡くなったという経験はなかったが、私よりも小さい子が、もうおかあさんに会えないのだということはわかっていて、子供心に何かを感じたのは間違いない。
おじさんは、そのあともとうとう後添いを迎えることなく、おばあさんが3人の孫を育てた。


私はこのことを、今になって思い出した。
小さな子供を3人残していかねばならなかった、おばさんの悲しみはいかばかりだったろう。
私があの時みたものは、おばさんの名残惜しくてたまらぬ思いだったと思う。

山田さんのおばあさんは、孫たちを立派に育て上げ、役目を果たしたかのように亡くなった。
そのあと、山田さんは家を売って引っ越していき、あとにはきれいな3階建ての家が建ち、幼い子供たちを連れた若い夫婦が越してきた。
その子供たちも巣立ち、広すぎる家を持て余した夫婦は、その家を売り、新たな家族が住んでいる。


私は30代だったろう山田さんの年齢も、母の年齢もとっくに超えた。もしかしたら、山田さんのおばあさんは今の私とたいして変わらなかったのではないか。
山田さんの家は、壁が羽目板で、窓は上下に開くクラシックな木造住宅だった。
今でも目を閉じれば、あの窓に灯っていた部屋の明かりや、屋根から立ち去りがたく登っていくおばさんの思いが、思い出されるのである。







衝動買いのたのしみ

2024-04-12 07:26:36 | 日記
近所のギャラリーに作品補充したあと、ショーに出す作品も仕上がって気持ちも軽く、ちょっとターゲットにでも行ってみるかと思う。
1年ほど前に近くにターゲットができて、村人たちは喜んでいる。
以前、1番近いターゲットはハラバという、ここからは遠い地域まで行かねばなかった。
6年ほど前にカイルアにできて、たった15分で行けるようになり、我が村のシアーズが閉店したあとに、ついにターゲットがきたのだ。

ターゲットは日本にもあるのかどうかわからないが、
食品も電化製品も化粧品も洋服も家具もある、いわゆるデパート。
洋服や生活用品など、まあまあの品質で、デパートより値段は安い。
ハワイはビジネスをする側にとっては地代、家賃もバカ高く、好きだったキッチン用品の専門店や、家庭用品のお店などがどんどん撤退して、なくなってしまう。
だから、欲しいものが具体的にあるときは、島中を探すよりも、座ったままネットで買うほうがずっといい。

それでも、たまに衝動買いしたくなるときがある。
実際のものを見て、触って、試して、買う。
それが、ホノルルまで行かなくてもできるのが、ターゲットというわけ。

ふらりと行ったターゲット。
デパートといったって、2階建て。
洋服類は、ちょっとユニクロぽい。私はここで、部屋着にするTシャツやキャミソールなどを買ったりする。
15分ぐらい見て、買ったもの。

麻のプレイスマット。3ドル!
ユーカリプタスとミントの入浴剤。6ドル!
サンダル。37ドル!


ここはほんとにハワイか?と思うぐらい、安い。
プレイスマットなんて、自作しようと布を買っただけで3ドル以上する。
これ、いいな。あそこに置いて、こう使ったらいいかもな。
そんな想像をしながらの買い物は、楽しい。