ピストルを持ったまま引き金を引けずに震えている少年。「殺せ！」という叫びが聞こえる。
少年がどういう状況にいるのかわからないまま、ものすごい緊張感を強いられるプロローグ。
その少年が語りかけてくるビデオ画面と、その少年とはまるで関係のない人物の、手に汗握る過去の一場面が提示される。
これはパズルを解くためのピース。
リオデジャネイロ郊外のゴミ処理場で働き、ゴミのような扱いを受けている少年。
その中の1人が、ゴミの山からサイフを拾ったことから物語は転がり始める。
サイフに“何か”が隠されていることを悟った少年と仲間の3人は、命を危険にさらされながら走り出す。
きっかけは「儲けてやろう」だとしても、やりとげようとしたのは謎を読み解くのが「正しい」と信じたから。
こうして謎に挑む少年たちを追いながら、観客も抱えた謎に挑むことになる。
ドキドキハラハラのサスペンスと謎解きミステリーといった印象。
W杯に沸きながら抗議デモが絶えないブラジルの社会悪をえぐる面がある一方、ストーリーや人物描写にはイマイチ感も。
何より少年たち3人の魅力。
実際にスラム育ちの少年たちが身につけている生き抜くための知恵やタフネス、ものすごい身体能力に意外なあどけなさ、すべてが映画にエネルギーを与え、疾走する。
胸のすくような希望の輝きは、年の初めに味わうのにもってこい。