『100m走とスプリンターのこと 2(ルイス vs ボルト vs 桐生)』
―流すことも技術で予選、準決勝でやるが、新記録が出ることも―
カール・ルイス
19歳のときに走幅跳で幻のモスクワオリンピックの代表にも選ばれており、オリンピック代表に通算5度選ばれている。
ウサイン・ボルト
愛称は、稲妻を意味する「ライトニング・ボルト」。 天に向かって弓矢を射るような「ライトニング・ボルト」と呼ばれるポーズも、ウサイン・ボルトを象徴するポーズとして有名。
桐生祥秀
100m走の公認記録では日本人史上初の9秒台となる、9秒98を記録した。
伝説のスプリンターともいえる、カール・ルイスと現時点では、最強のウサイン・ボルトに、日本期待の桐生祥秀の3人のアスリートを比較してみました。
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カール・ルイス
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ウサイン・ボルト
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桐生 祥秀
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生年月日
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1961 7/1
現在56歳
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1986 8/31
現在31歳
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1995 12/15
現在23歳
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身長・体重
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188cm・88kg
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196cm・94kg
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175cm・70kg
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足のサイズ 右
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28.4cm
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31.0cm
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24.5cm
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左
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28.7cm
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31.0cm
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24.5cm
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自己ベスト100m
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9秒86(1991)
当時30歳
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9秒58(2009)
当時23歳
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9秒98(2017)
当時22歳
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200m
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19秒75(1983)
当時22歳
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19秒19(2009)
当時23歳
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21秒41(2012)
当時17歳
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トップスピードと
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12.05m/s
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12.27m/s
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11.65m/s
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それに達する位置
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40m附近
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60m附近
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45m附近
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平均ストライド
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232cm(43strides)
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244cm(41strides)
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211cm(47strides)
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記録達成時を再度再度下記しますが、ルイスの100ⅿベストは、円熟期・30歳の記録、桐生の200mは荒削り・17歳の記録、短距離界の記録はばらついて、不思議です。
ルイスの、100m自己ベストは30歳の記録、200mは22歳の記録。
ボルトの、100m自己ベストは23歳の記録、200mは23歳の記録。
桐生祥秀、100m自己ベストは23歳の記録、200mは17歳の記録。
桐生祥秀の記録を現時点で比較すると;
❶トップスピード達する距離、45m附近とルイスの40m附近に近く。
➋トップスピードも11.52m/s とルイスに近く、日本では歴代トップ。
❸ボルトは体躯からは、100m走よりも200m走に向いていると言われますが、ウェブで見ると、特にボルトは、ラスト10ⅿラップでスピードが落ちた例があります。 また、予選で世界新を出したことがありますのでラスト10ⅿを俗にいう『流した』可能性はあります。 このトップスピードで走る60-90m間は『流す前のチカラガ抜けた状態で走れた』好結果と見られます。
最後に、ゴール直前の『流す』と、練習の『流す』を補足のウェブ情報です。
たった1文字の違いなのですが意味がかなり異なってくるので簡単に説明しておきますね。 「流す」とは走りながらスピードを1段階ほど、力を抜くことと理解しておけばいいでしょう。 実力のある選手が試合のゴール手前で体力温存のために使うことが多いですね。
実力のある選手は試合で予選、準決勝、決勝を走ることになるのでタイムより勝ち進むことを優先します。 最後の決勝で、フルパワーで走るためにも力を温存する=「流す」といった感じです。 また練習中に「流す」人もいます。
「フォームを確認するため」、「ゴールしていきなり止まるのは危ないため」、「ラストスパートの練習がしたい」などの目的や理由であれば問題ないのですが、「最後まで一生懸命走るのがしんどいから」や「疲れずに練習を終わらしたいから」などの理由なら、大切な時間を割いて行なっている練習がもったいないです。
プラスな意味でもマイナスな意味でも使われる言葉なので「流す」時は理由と目的に気をつけましょう。
(20180517纏め、20190114追補、2020618追補 ♯♯011)