『世界の宮殿 1(ヴェルサイユ宮殿の大噴水が凄い)』
『水道橋はローマ人に倣ったか、噴水のための運河掘削までも』
このヴェルサイユ宮殿はフランスの歴史の象徴です。 数回行ってますが、いつもフランスの偉大さに驚かされます。 フランスの歴史は、先史時代・ケルト時代・ローマの支配・フランク王国・封建社会・英仏百年戦争・絶対王政・革命と帝政・パリコンミューン・共和制とヨーロッパ大陸の中心で、激しい政治変革の多かった国です。
今回はヴェルサイユ宮殿の大噴水について調べてみました。 理由はセーヌ川を、初めて見たときに、パリ市内では、河岸堤防が水面から3~4ⅿと低く、河川敷もなく、中下流地域には堤防がありません。 今までは、洪水位が低いため自然堤防に頼っているところが多かったようです。 日本は急峻な中央分水嶺からの急流の所為で、状況が異なります。
こんな時に、ドイツ・ベルギーを中心とした欧州北部の洪水のニュースを知り、フランスも対岸の火事ではないように思いました。 このような時期には、治水とは関係ない、『ルイ14世の贅沢な、大盤振る舞い』のセーヌ川の水をポンプ揚水し、ヴェルサイユ宮殿の大噴水へ『水』を供給するということに、俄然興味がわいてきました。
ヴェルサイユ宮殿(Palais de Versailles)
1682年にフランス王ルイ14世『1638年 – 1715年、在位1643年(5歳で即位) -1715年』が建てたフランスの宮殿(建設当初は離宮)である。ヴェルサイユ城(Château de Versailles)ともいい、フランス語ではこちらの表記がよく使用されている。
パリの南西22キロメートルに位置するイヴリーヌ県ヴェルサイユにある。 バロック建築の代表作で、豪華な建物と広大な美しい庭園で有名。
1668年のヴェルサイユ宮殿
ウィキペディア情報から引用
庭園の配置図(1789年)。図の右下にヴェルサイユ宮殿、左上に大・小トリアノン宮殿、その下に大運河とアポロンの泉水を配置した。
ウィキペディア情報から引用
噴水庭園
ウィキペディア情報から引用
宮殿の建設よりも労力を費やされている噴水庭園には、宮殿建設の25,000人に対し、36,000人が投入されている。そして、その噴水にはルイ14世の三つの意図が込められている。
『水なき地に水を引く』
ヴェルサイユには近くに水を引く高地が無い。 ルイ14世は10km離れたセーヌ側の川岸にマルリーの機械と呼ばれる巨大な揚水装置を設置し、堤の上に水を上げさせた。 そして古代ローマに倣って水道橋を作って、水をヴェルサイユまで運び、巨大な貯水槽に溜め込んだ。こうして水無き地で常に水を噴き上げる噴水庭園を完成させ、自然をも変える力を周囲に示した。
『貴族を従わせる』
ルイ14世は10歳の時にフロンドの乱で、貴族たちに命を脅かされたことがある。 ルイ14世はこの体験を一生忘れず、彼は貴族をヴェルサイユに強制移住させた。
- 「ラトナの噴水」は、ギリシャ神話に登場するラトナが村人に泥を投げつけられながらも、息子の太陽神アポロンを守っている銅像と、その足元にある蛙やトカゲは神の怒りに触れて村人たちが変えられた像を、模った噴水である。ラトナとアポロンはフロンドの乱の時、彼を守ってくれた母と幼いルイ14世自身を示し、蛙やトカゲに変えられた村人は貴族たちをあらわしている。 王に反抗をする者は許さないという宣言を示している。
- 「太陽神アポロンの噴水」は、アポロンは天馬に引かれて海中から姿をあらわし、天に駆け上ろうとしているものを模った噴水である。アポロンはルイ14世自身をあらわし、彼が天空から地上の全てを従わせると示している。
「民衆の心をつかむ」
ルイ14世は民衆の誰もがヴェルサイユに入るのを許し、民衆に庭園の見方を教える「王の庭園鑑賞法」というガイドブックを発行した。 それには「ラトナの噴水の手前で一休みして、ラトナ、周りにある彫刻をみよ。 王の散歩道、アポロンの噴水、その向こうの運河を見渡そう」と書かれている。 民衆は、ガイドブックに従って庭園を鑑賞することで、貴族と自然を圧倒した王の偉大さを刷り込まれていった。 夏、ヴェルサイユでは毎晩のように祭典が催され、訪れた民衆はバレーや舞劇に酔いしれた。
噴水庭園は、遠近法を用いて修景され、宮殿からラトナの泉、タピスヴェール(Tapis Vert、緑の絨毯)に沿って、アポロの戦車の盆地へと続いている。 水面から昇る戦車は、太陽の昇りを象徴した。 鉛で鋳造された後に金メッキが施されている。 噴水の向こうには、大運河(Grand Canal)が公園の南端まで1800メートル伸びている。
ヴェルサイユ宮殿旧城
ウィキペディア情報から引用
中国の巨大な運河の方が実用的でこれは比較にならないが、秀吉の金ぴかは屋根瓦にまでメッキしたが、ルイ14世は、礼拝堂に最も金を・礼拝堂の天窓に最も費用を・離宮で狩場であった広大なヴェルサイユ宮殿の贅沢さにはかないません。 ヨーロッパ大陸の中心で、激しい政治変革の多かった国が良くわかります。
(20210725纏め #361)