原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

肝炎患者のみ救済して済まない

2009年11月28日 | 時事論評
 薬害肝炎患者を救済すること自体に異議を唱えようとしている訳ではないのだが、どうも今回「肝炎対策法案」が衆院本会議で可決された“経緯”に関して、個人的に釈然としないわだかまりがあるのだ。

 全国に約350万人いるとされるウィルス性肝炎患者の医療体制の整備を盛り込んだ肝炎対策基本法案が、11月26日に衆院本会議で可決された。今後参院に送られて、今国会で成立する見込みである。
 この法案の骨子として、肝炎ウィルス感染の一部に国の責任があることや、国や地方公共団体において肝炎対策を進める責務があること、厚労相が肝炎対策の基本指針をつくること等々が盛り込まれている。 この法案成立により、肝炎患者の経済的負担を軽減したり肝炎予防策が推進されることにとなる。
 (以上、朝日新聞記事より抜粋)


 既にご存知の方も多いであろうが、この法案を成立させる目的で今回民主党衆院議員として立候補し初当選したのが、元薬害肝炎九州訴原告団代表の福田衣里子氏である。
 この人物、(あくまでも個人的な好みの範疇の話に過ぎないが)原左都子としてはどうも“いけ好かない”のだ。
 年齢未だ28歳! という若さ。 外見もまずまずと言ったところだが同性から見ても“一応いけてる”範疇であろう。 (その“一応いけてる”外見故と断言するが)例外なく小沢氏に打診されて立候補し当選した“小沢ガールズ”(“小沢チルドレン”とも言われている)の一員である福田氏が、その“ガールズ”の中で一番の「正統派」扱いでマスメディアで取り上げられているのだ。 なぜ「正統派」扱いなのか??  それは自ら薬害肝炎と闘病した過去を売り物にして、同じ薬害に苦しむ患者を代表して闘っている姿を前面に演出しての立候補だったからに他ならない。

 ここでちょっと言いにくいことをはっきり言わせていただくと、原左都子は“過去の不幸”を売り物にしてのし上がろうとする人間には、基本的に大いなる嫌悪感を抱くのだ。 それがたとえ病気であろうと容赦ない。(当ブログのバックナンバー「癌をいつまでも売り物にするな!」を参照下さい。この私だって、癌闘病を経て手術後の傷跡という置き土産を体に抱えつつ今尚力強く生き抜いているのだが、それを売り物して世にのさばろうなどという発想は毛頭ない、…とのごとくの詳細について述べております。)

 ところが、どうもこの国の国民性として“お涙ちょうだい”が未だに好まれるようなのである。 福田氏が今回の法案通過の“実績”を上げる以前より“小沢ガールズ”の中で一番注目されているのは、選挙以前より単に“お涙ちょうだい力”が大きいだけの要因なのではなかろうか。 それが証拠に福田氏のバックグラウンドを調べさせていただところ、寂しいことに国会議員に当選するべく実績が「薬害肝炎」以外に何一つないのだ。
 
 しかも私は憶えているぞ。
 福田氏は、国会議事堂初登庁時のマスメディアのインタビューに応えて「“先生”とは呼ばないで“えりちゃん”と呼んで下さい。」……  今時、国会議員を「先生」などとは国民の誰一人として奉ってもいないのに、あの若さにしてその時代錯誤のコメントに、聞いている方が恥ずかしかった思いである。 この人物はどうも「先生」と呼んで欲しい深層心理の持ち主のようで、民主党新人議員がまだ自粛段階に雑誌のグラビアに登場したりもして、いかにも自己顕示欲が強そうな若造である。
 (所詮まあ、国会議員になりたい人種とは大なり小なり自己顕示欲が強いのだろうけどねえ… )

 福田衣里子氏に関しては、今後くれぐれも国民の血税からなる多額の国会議員歳費特権を無駄にすることなきよう、議員任期中は薬害肝炎“以外の分野”の勉強にも精進なさることに期待申し上げよう。


 そんなことよりも原左都子が今回の記事で訴えたかったのは、薬害訴訟や医療過誤に苦しむ国民は「肝炎」のみに限らないということである。
 一例を挙げると、「薬害エイズ」「スモン訴訟」 その他“向精神薬”“抗てんかん剤““ステロイド剤”“各種抗生物質”“筋弛緩剤”…   今話題のワクチンに関してもインフルエンザをはじめ、三種混合ワクチン、等々…   これらの薬害により命を落としたり、重度の後遺症と闘っている国民は今尚数多い現実である。
 各種医療過誤事件も数多く発生している現状である。 それらの犠牲者の大多数が今尚“泣き寝入り”状態を強いられて生きているのだ。

 この私とて、医療過誤の経験者である。
 我が子の出産時の異常事態に関しては、当ブログのバックナンバー「医師の過失責任」において記述済である。(プライバシー保護の観点から詳述は避けますが、よろしければバックナンバーを参照下さい。)
 医療訴訟を起こしたところで出産時に我が子が受けたダメージが回復不能なことや、当時は一般庶民からの訴訟により医療機関が簡単に過誤を認める時代ではなかったこと、はたまた、我が家はある程度の経済的な余裕があったこと等が理由で、事を荒立てることは回避したいきさつがある。

 それにしても、我が子が小さい頃に発生した医療費はそれはそれは多額であると同時に、親の労力的負担も多大なものだった。
 医療機関で定期的に受ける診察費や、脳波、CT、MRI等々の検査費用は医療保険料3割負担でも1回の診療に何万も費やしたものである。 加えて私的機関での指導相談費用など年間何十万にも及んだものだ。 当時我が家が居住していた地方自治体にも「3歳児まで医療無料制度」はあったのだが、それを利用するには医療機関で証明書の発行をお願いした上で、その証明書を役所まで足労して提出するという煩雑さだった。 当時のその制度は医療機関を受診する事が稀な一般家庭のみを対象にしていたようで、育児に世間の数倍手間がかかる子どもを抱えている家庭の現状において、現実的に利用不能な制度だったのである。
 やっと子どもが中3になって以降のほんの束の間の期間のみ、「中学生まで医療無料制度」の恩恵に授かった以外、我が家ではどれ程の多額の医療費自己負担を担ってきていることやら…


 一人の20代のうら若き女性が今回の“政権交代”国政選挙をまんまと利用して(させられて?)国会議員となり、その女性が一部で人気があってマスメディアで取り上げられているという理由で、その人物が主張する法案がいとも簡単に国会を通過して成立する…
 悲しいかな、今はそれ程に軽薄な時代なのであろう。
 それにしても、国会議員に立候補し法案を成立しようと欲せずとて、助けるべく国民はちまたに大勢顕在することを肝に銘じ、その女性はじめ新政権には今後もその方面の犠牲者達の救済のために地道に精進して欲しいものである。 
      
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