「息子に片思い?」 「息子に失恋??」
母親が実の息子に対してこの手の感情を抱くのだという。
原左都子にとってはピンと来ない話題だ。 なんせ残念ながら、私には息子いないからなあ……
朝日新聞5月23日付生活面特集 「息子に『失恋』 母の傷心」 なる記事に全国から共感、否定の反響が数多く届いたとのことだ。
上記特集には私も少し目を通した。 ただ、成長して親元から離れていく息子に対して一部の母親が抱く、揺れ動く心のひだ程度の一時の勘違い感情であろうと軽く受け止め、深入りしなかった。
そうしたところ、6月12日の生活欄において当該記事に反響が続々届いているとの事で、再び「『息子に失恋』あなたは?」なる特集が公開された。
これは母親の一時の勘違い感情ではなく、実の息子に対する深刻な恋愛問題なのか?? と思い直して特集を読んでみた。 以下に記事の一部を要約して紹介しよう。
まずは共感派の反響から。
息子の親離れを「失恋」のように感じる自分は普通じゃない… との記者氏の体験に対し、44歳の母親も同様の体験を語っている。 小さい頃には息子が発する「僕はずーっとママが好きだよ」等々数々の甘い言葉に酔いしれたのに、中学生になると態度が冷たくなり部屋にこもって泣いた。 夕飯後自室に直行する息子に、毎日が「失恋気分」。
58歳の母親は、息子大学生の頃自分の「思い」を伝えたそうだ。「お母さんはあなたのことが好きなの。好きで好きでたまらないの!」息子の顔から血の気が引き、しばらく目を背けられる日が続く。
53歳の母親は、スリムでマッチョの大学生息子への「片思い」を楽しんでいるらしい。 料理に対する息子の「うまっ!」には踊り出したくなるほど。
息子に対する長い「失恋」を乗り越えたのは58歳の母親。 つらい時期は息子15歳の頃から10年も続いた。 その間息子が自室にこもり口をきかなくなったが、最近結婚し家族をもって息子の顔に笑顔が戻った。今では息子の妻に感謝。
一方、否定派の反響は…。
娘と息子がいる49歳母親は、「いくら素敵な男性でもお母様が「息子に失恋(片思い)」と思うような方とは、娘に付き合って欲しくない。結婚後もいろいろ干渉されそう…。」
2歳年下の弟がいる47歳女性の場合、母親の関心が常に弟に向いていたらしい。 高校生の頃、その母親から「息子は特別、異性なのよ~」と言われ、母親の女の部分を見てショックを受けたと言う。息子溺愛もいいが、娘がいる場合はご注意を、との忠告だ。
専門家であられる心理カウンセラー氏のご意見は…。
幼少期より自立心に富み自己主張が強い男の子の場合、母親は『小さな恋人』のように思いにくい。 聞き分けがよく、親の意向にぴったりはまるような『いい子』に対し、母親は親密度が高まるのではないか。
(以上、朝日新聞6月12日生活面特集より一部を要約引用。)
原左都子の私論に入りたいところだが、やはり私には息子がいないため何とも実感が湧かない今回のエッセイテーマである。
ただ私には高校教員経験があるため、もしかしたら(あくまでも“もしかしたら”の範疇だが)上記母親達が実の息子に対して抱いた感情と類似する思いを、男子生徒に対して感じた経験はあるかもしれない。
ここで顰蹙は承知の上で、教員当時の我が男子生徒に対する感情の一例をほんの少しだけ記述させていただこう。
高校生ともなると私よりずっと高身長の体格が立派な男子も多いし、当時30代後半の私にとっても一見したところ(あくまでも生態的単純思考範囲内の話だが)「恋愛対象」となるべく男子がより取り見取りで存在した。
そんな中、私の好みは一般女子高生が好む男子(いわゆるモテ男子)とは大いに異なっていた。 それはおそらく既にある程度人生経験を積んでいた我が“母性本能”に由来していると推測するのだが、授業を受け持っているクラス内であまり目立たないタイプの“可愛い系”かつ“寡黙系”男子の存在が大いに気になったものだ。
いえいえ、彼らには絶対手出しなどしませんよ。 えこ贔屓も絶対にしませんでした。それは事実だ。(何故ならば、当時独身の私には年齢相応の彼氏が途絶える事など皆無だったもので……) それでも、我が好みの男子(あちこちの教室に複数存在した)が所属するクラスへ授業に出向きその姿を見るのは、教員として一時の心のオアシスだったものだ。(やっぱり顰蹙話題かなあ…)
おそらく、母親が実の息子に抱く「恋愛感情」と、私が教員経験時代に抱いた一部の好み男子生徒への感情とはまったく異質のものと考察する。
母親の場合、実の息子との共同生活期間が長年に及んでいる。 子どもである息子の生育歴や人格をすべて知り抜いた上での「恋愛感情」なのであろう。
だからこそ、やはり息子を持った経験のない私には分析しにくいテーマである。
それを承知の上で、娘を持つ母親としての私論を最後に述べよう。
上記専門家心理カウンセラー氏のご意見の信憑性の程が多少気になる原左都子だ。
氏は、「幼少期より自立心に富み自己主張が強い男の子の場合、母親は『小さな恋人』のように思いにくい。 聞き分けがよく親の意向にぴったりはまるような『いい子』に対し、母親は親密度が高まるのではないか。」と結論付けられている。
男児を含めて子ども達とはそれ程“ステレオタイプ”に育つ存在であろうか??
原左都子はそうではないと結論付けたい。
誤解を怖れず結論を述べると、実の息子に対して“本気で”「恋愛感情」を抱いてしまう母親とは、先天的にその素質(早い話が異常なまでの「男好き」資質)を持って生まれて来ているのではなかろうか?
息子が持って生まれた資質や親の育て方の如何にかかわらず、その種のDNAを生来持っている母親こそが、息子への「恋愛感情」を抱いてしまうのかとも推測する。
ただ上記朝日新聞特集に寄せられた反響の場合、一見「恋愛感情」と錯覚した母親達の息子に対する愛情に何らの偏りや歪みはなく、すべてが実の息子に対する親としての「常識」範囲内での愛情表現であると私は結論付ける。
母親が実の息子に対してこの手の感情を抱くのだという。
原左都子にとってはピンと来ない話題だ。 なんせ残念ながら、私には息子いないからなあ……
朝日新聞5月23日付生活面特集 「息子に『失恋』 母の傷心」 なる記事に全国から共感、否定の反響が数多く届いたとのことだ。
上記特集には私も少し目を通した。 ただ、成長して親元から離れていく息子に対して一部の母親が抱く、揺れ動く心のひだ程度の一時の勘違い感情であろうと軽く受け止め、深入りしなかった。
そうしたところ、6月12日の生活欄において当該記事に反響が続々届いているとの事で、再び「『息子に失恋』あなたは?」なる特集が公開された。
これは母親の一時の勘違い感情ではなく、実の息子に対する深刻な恋愛問題なのか?? と思い直して特集を読んでみた。 以下に記事の一部を要約して紹介しよう。
まずは共感派の反響から。
息子の親離れを「失恋」のように感じる自分は普通じゃない… との記者氏の体験に対し、44歳の母親も同様の体験を語っている。 小さい頃には息子が発する「僕はずーっとママが好きだよ」等々数々の甘い言葉に酔いしれたのに、中学生になると態度が冷たくなり部屋にこもって泣いた。 夕飯後自室に直行する息子に、毎日が「失恋気分」。
58歳の母親は、息子大学生の頃自分の「思い」を伝えたそうだ。「お母さんはあなたのことが好きなの。好きで好きでたまらないの!」息子の顔から血の気が引き、しばらく目を背けられる日が続く。
53歳の母親は、スリムでマッチョの大学生息子への「片思い」を楽しんでいるらしい。 料理に対する息子の「うまっ!」には踊り出したくなるほど。
息子に対する長い「失恋」を乗り越えたのは58歳の母親。 つらい時期は息子15歳の頃から10年も続いた。 その間息子が自室にこもり口をきかなくなったが、最近結婚し家族をもって息子の顔に笑顔が戻った。今では息子の妻に感謝。
一方、否定派の反響は…。
娘と息子がいる49歳母親は、「いくら素敵な男性でもお母様が「息子に失恋(片思い)」と思うような方とは、娘に付き合って欲しくない。結婚後もいろいろ干渉されそう…。」
2歳年下の弟がいる47歳女性の場合、母親の関心が常に弟に向いていたらしい。 高校生の頃、その母親から「息子は特別、異性なのよ~」と言われ、母親の女の部分を見てショックを受けたと言う。息子溺愛もいいが、娘がいる場合はご注意を、との忠告だ。
専門家であられる心理カウンセラー氏のご意見は…。
幼少期より自立心に富み自己主張が強い男の子の場合、母親は『小さな恋人』のように思いにくい。 聞き分けがよく、親の意向にぴったりはまるような『いい子』に対し、母親は親密度が高まるのではないか。
(以上、朝日新聞6月12日生活面特集より一部を要約引用。)
原左都子の私論に入りたいところだが、やはり私には息子がいないため何とも実感が湧かない今回のエッセイテーマである。
ただ私には高校教員経験があるため、もしかしたら(あくまでも“もしかしたら”の範疇だが)上記母親達が実の息子に対して抱いた感情と類似する思いを、男子生徒に対して感じた経験はあるかもしれない。
ここで顰蹙は承知の上で、教員当時の我が男子生徒に対する感情の一例をほんの少しだけ記述させていただこう。
高校生ともなると私よりずっと高身長の体格が立派な男子も多いし、当時30代後半の私にとっても一見したところ(あくまでも生態的単純思考範囲内の話だが)「恋愛対象」となるべく男子がより取り見取りで存在した。
そんな中、私の好みは一般女子高生が好む男子(いわゆるモテ男子)とは大いに異なっていた。 それはおそらく既にある程度人生経験を積んでいた我が“母性本能”に由来していると推測するのだが、授業を受け持っているクラス内であまり目立たないタイプの“可愛い系”かつ“寡黙系”男子の存在が大いに気になったものだ。
いえいえ、彼らには絶対手出しなどしませんよ。 えこ贔屓も絶対にしませんでした。それは事実だ。(何故ならば、当時独身の私には年齢相応の彼氏が途絶える事など皆無だったもので……) それでも、我が好みの男子(あちこちの教室に複数存在した)が所属するクラスへ授業に出向きその姿を見るのは、教員として一時の心のオアシスだったものだ。(やっぱり顰蹙話題かなあ…)
おそらく、母親が実の息子に抱く「恋愛感情」と、私が教員経験時代に抱いた一部の好み男子生徒への感情とはまったく異質のものと考察する。
母親の場合、実の息子との共同生活期間が長年に及んでいる。 子どもである息子の生育歴や人格をすべて知り抜いた上での「恋愛感情」なのであろう。
だからこそ、やはり息子を持った経験のない私には分析しにくいテーマである。
それを承知の上で、娘を持つ母親としての私論を最後に述べよう。
上記専門家心理カウンセラー氏のご意見の信憑性の程が多少気になる原左都子だ。
氏は、「幼少期より自立心に富み自己主張が強い男の子の場合、母親は『小さな恋人』のように思いにくい。 聞き分けがよく親の意向にぴったりはまるような『いい子』に対し、母親は親密度が高まるのではないか。」と結論付けられている。
男児を含めて子ども達とはそれ程“ステレオタイプ”に育つ存在であろうか??
原左都子はそうではないと結論付けたい。
誤解を怖れず結論を述べると、実の息子に対して“本気で”「恋愛感情」を抱いてしまう母親とは、先天的にその素質(早い話が異常なまでの「男好き」資質)を持って生まれて来ているのではなかろうか?
息子が持って生まれた資質や親の育て方の如何にかかわらず、その種のDNAを生来持っている母親こそが、息子への「恋愛感情」を抱いてしまうのかとも推測する。
ただ上記朝日新聞特集に寄せられた反響の場合、一見「恋愛感情」と錯覚した母親達の息子に対する愛情に何らの偏りや歪みはなく、すべてが実の息子に対する親としての「常識」範囲内での愛情表現であると私は結論付ける。