原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

2013参院選投票に際し、国民が考えるべき事

2013年07月09日 | 時事論評
 (写真は、朝日新聞6月27日付 「アベノミクス果実どこ」 と題する記事内の挿絵「『アベノ滴』はどこまで落ちる?」を転載したもの)


 「原左都子エッセイ集」5月24日記事「イージー・マネーで世を撹乱した“イージー・アベノミクス」に於いて、私はアベノミクスに対する批判的私論を展開した。
 その結論部分の一部を、今一度以下に要約して反復させていただこう。

 5月下旬の東証株式市場暴落を受けて、5月24日付朝日新聞朝刊一面に編集委員 原真人氏の署名にて「アベノミクス 危うさ露呈」との論評記事が載せられた。  この原氏の論評がまさに原左都子の私論と一致するため、以下に要約して紹介させていただく事としよう。
 「アベノミクス」の本質は、人々をその気にさせようとの「心理学」だ。 金融と財政を通じて思い切りカネをばら撒く。その勢いで多くの人が「景気がよくなる」と信じ込む。こうなれば本当に景気がよくなる…  そんなシナリオである。  だから崩れる時はもろい。最初からその恐れはあった。 ひずみは早くも表面化した。日銀が押さえ込むはずだった長期金利が急騰。 頼みの綱の株価も13年ぶりの暴落。 アベノミクス政策以来の株価上昇を景気好転と勘違いするべきではなかった。これは日銀による人為的な市場操作で上がるべくして上がったものだ。 日銀は国民に「その気を育てるタネ」として年間50兆円超のカネを国債や市場に流し込もうとして、投資家達がそれに誘われたが故に短期的に株価が上がるのは当然だった…。 (以上は朝日新聞5月24日一面記事より一部を引用。)
 表題に戻って、「イージー・マネー」とは日本語にすると「楽に儲かるカネ」、あるいは「不正に儲けたカネ」「悪銭」「あぶく銭」「泡銭」等々…の意味合いもあるようだ…。  日銀黒田総裁は今回の金融緩和政策は「決して“バブル経済”の再来ではない!」と言い切っているが、私に言わせてもらうと「イージー・マネー」を最前線に呼び込む経済政策など“バブル”でしかあり得えない。 これこそが今後の「アベノミクス」経済政策の限界を示す指標であり、安倍政権とは「アベノミクス」の名の下に日本国内に於けるほんの一部の富裕層(これとて所詮庶民の範疇であり大してリッチでない層と私は捉えるが)を煽る事による“階級制度”を末端社会で築きたいのか??
 今後益々多くの国民を更に貧困層に落とし入れ不幸にしないためにも、「イージー・マネー政策」は即刻辞めにするべきであるし、バブル銭にしか頼れない財務・経済政策など、原左都子に言わせてもらうと「イージー・アベノミクス」としか表現できないよ。
 (以上、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより一部を引用)


 冒頭で転載させていただいた写真、朝日新聞記事の挿絵に話を移そう。
 この挿絵、安倍政権経済政策「アベノミクス」の全容を端的に表現していて経済素人国民にも大変分かり易い“秀作”と、私は唸った。

 さしずめ原左都子一家など、ワイングラスピラミッドの一番底辺「年金生活者」あるいは「多くの家庭」に位置するのは歴然だ。
 身内が現役世代だった1年少し前までならば“ボーナス増”の恩恵に与れる「大企業の社員」に位置したのであろう。 ところが今となってはその残影すら陰も形もなく、死ぬまでワイングラスピラミッドの底辺を這いずりつつ彷徨う運命にある。
 安倍首相が上位の目線からトクトクと注ぐ「円安・減税」「株高」のワインの一滴とて届かないどころか、そのうち消費税増税を負荷されるわ、頼みの微々たる年金までをも減額されてワイングラスがひび割れ、上位の一時の“バブルに湧く”富裕層を支えきれずにピラミッドが崩壊するのが落ちだ。
 まさに「アベノミクス」の果実がどこに実ると言いたいのか、社会の底辺に位置する私など、安倍政権下で先が見えない不確実感と不条理感しか抱けず困惑させられるばかりである。

 そうしたところやはり、「アベノミクス」に関して私と同じ思いの国民が増殖している様子だ。
 朝日新聞7月1日付の参院選に関する世論調査結果によると、これまで自民党内閣支持率を押し上げてきた要因とみられる「アベノミクス」に対する支持に陰りが見えているとの事だ。 5月時点での「アベノミクス」への支持率は63%だったらしいが、現在は50%。 「アベノミクス」が賃金や雇用の増加に結びつくと「思う」かどうかの設問に対しては「思わない」が48%と上昇しているとの報道である。


 私が気になるのは、その他の政策分野では相変わらず自民党支持派の国民が多いとの世論調査結果である。
 もちろん、自民党政策とご自身のポリシーが偶然一致する国民の皆さんもいらっしゃる事ではあろう。
 ただ私が大いに懸念する自民党政策の一例を挙げると、「憲法改正」「原発再稼働」「消費税増税」「中韓をはじめとする外交政策」「TPP議論」「沖縄基地問題」…、今後日本が世界の一国家として生き延びるべく根源を揺さぶる程の物凄く“どデカいテーマ”ばかりである。
 これらの自民党政策すべてに国民の皆さんは、本当に本心から党に同意すると言うのであろうか???

 この期に及んで何故、私が今回の参院選に対する国民感情に懸念を抱いているかに関して説明しよう。
 国民の大多数の皆さんは、3年程前の衆院選に於いて「民主党」に投票して歴史的政権交代をもたらしたばかりである。(参考のため、原左都子は決して当時から「民主党」支持派ではなかったし、民主党政権に移行した後も「民主党政権」のふがいなさに対してバッシングを怠っていない。) 
 ところが昨年末の衆院選段階で、国民の皆さんの票が「自民党」に翻った。 これ、なんでなの??  と言いたい私の思いも理解して欲しいものだ。 「自民党」の何が良くて投票したのかに関して、投票国民には説明責任があるはずだ。

 作家の橋本治氏も、朝日新聞6月29日付「オピニオン」ページで私論と同様の思いを詳細に述べておられるようだ。 (今回は字数の都合で割愛させていただき、機会があれば橋本氏のご見解を改めて紹介することにしよう。)

 
 最後に、(参考のためあくまでも「無党派層」である)原左都子の私論でまとめよう。

 国民に参政権がある事は憲法でも保障されている。 その権利を国民皆が十分に履行してこそ今後国家が繁栄を果すということであろう。
 ただ、選挙に行く前に少し考えて欲しいのだ。 とある政権は国民に「カネを配る」と言うからその恩恵に被れる立場の国民はそれにつられて一票入れるのか?  はたまた他の政権は「景気が良くなって国民の暮らしが楽になるぞ」と公言するから、それを信じて選挙に出かけるのだろうか??
 もしそうだとしたら、あなた達は「政党」側の“票だけ欲しい”との“悪しき魂胆”に操られているだけの存在でしかない。
 もちろん、それを操っている「政党」こそが“諸悪の根源”ではある。

 そうだとして国民の皆さん、ここはご自身の支持政党が何を“たくらんでいる”のかを少しでも勉強しよう。 それと同時に支持政党政権公約の「実行力」の程も見極められるならばそれに越した事はない。

 その段階を経た後に投票所へ向かい、貴重な一票を投じようではありませんか。