原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

65歳で4000万円赤字!?

2016年08月04日 | お金
 まさに、(“晩婚晩産一家”との意味合いで)明日は我が身か?!? なる題材を取り上げたネット情報に出くわした。


 早速、「65歳で4000万円赤字!? 晩婚晩産、一人娘 ‥…」と題する当該情報の一部を以下に要約引用しよう。

 収入が低いわけじゃないのに、気付いたら毎月赤字家計。 ボーナスを頼りにカード払いをしていたら、まさかのボーナスカット。 老後に備えた貯蓄どころじゃない──。そんな家計を改善する。
 長尾家の家計簿改善 BEFORE⇒AFTER [年収:1250万円]
 家族構成●夫(45歳・インテリアコーディネーター)、妻(46歳・システム開発会社勤務)、娘(9歳)
 年収 ●夫:630万円、妻:618万円/手取り=夫:504万円、妻:494万円  相談時の貯蓄額●180万円
 「そんなバカな!?」 ――長尾さん夫妻がそろって驚きの声を上げたのも無理はない。 45歳の夫が65歳になるまで、どれくらい世帯収入・支出があり、どれくらい貯蓄が残るかというライフプラン・シミュレーションをしたら、“家計崩壊”の現実を突き付けられたのだから。 具体的には、こうだ。夫妻がいま考えているライフプランのまま生活していくと、6年後の夫51歳時にはマイナス約40万円の負債超過になり、20年後の65歳時にはそれが約4000万円に膨れ上がるというのだ。
 キーワードとして浮かび上がってきたのは「晩婚・晩産」そして「ひとりっ子」。
 まず、長尾家のように30代前半で結婚し、30代半ばで出産するなどという話はごく普通にある。 晩婚・晩産と呼ぶのはしのびない。 だが老後資金の「貯め期」と子供の「教育費」がかかる時期が重なってしまうことを考えると、ややタイミングが遅い。 
 20代後半までに子供を出産していれば、50歳ごろには子育てが終わり、家の中には必要なものも買いそろっていて、給料もそこそこ上がっているから、50代は老後資金を貯める時期としてフル活用できる。 だが長尾さんの場合、娘が大学を卒業し独立するのは60歳目前のとき。 しかも定年延長に伴い収入が55歳からは今の8割程度、60歳からは今の6割程度にまでダウンする見込みという。
 そうなると、今から老後資金を貯めていかねばならない。 ところが長尾家の現状は、毎月2万円近い赤字家計。一時は500万円ほどあった貯金も200万円を切った。 一方、世帯年収は1250万円ほど。 本来、多少の浪費をしても毎月貯蓄にまわすお金ができていいはずだ。
 そこで話を聞いてみると、どうやら分不相応に子供にお金をかけている現状が浮かび上がってきた。 多くの場合、「ひとりっ子」家庭では子供にお金をかけすぎる。 しかも長尾家の場合、2年ほどの不妊治療の末に授かった、待望の子供であり、溺愛ぶりはさらに度を越していた。
 家計をよりよい方向へ持っていくには、夫妻の視点を変えてもらうしかない。
 その結果、まず子供の習い事はジュニア英会話、レゴ教室、ピアノ教室、体操教室とあったが、ピアノと体操はやめて、英会話はタブレット端末を使う通信式のものに変更した。 また「子供にはいいものを食べさせたい」と考え、有機野菜の宅配サービスも利用していた。ところが食べきらないうちに次の商品が届くなど無駄が多く、これを改めた。
 ほかにも生命保険を見直し大きく支出を削ったが、被服費と理美容費の高さも気になるところだった。被服費は、子供にかかる部分も少なくなかったが、どうやら妻にかかる部分も多いとのこと。しかも、その背景には「妻にはいつまでも美しくいてほしい」という夫の願いがあった。 当初、夫はこれを削ることに否定的だったが、家族会議を経て、見直すことを了承した。
 これでようやく長尾家は、毎月10万円以上の余剰金が生まれ、年間約100万円のボーナスの多くを貯蓄へ回せることになる。 今後も「消費」「浪費」「投資」を冷静に判断できれば、“家計崩壊”とはならないだろう。
 (以上、ネット情報より引用したもの。)


 ここで一旦、原左都子の私事及び私論に入ろう。

 上記長尾さんとやらのご夫婦(実在するのかフィクションなのかは不明なものの)、ご夫婦合算年収額:1250万円也ー は今時確かに高いのであろう。
 ただ、ご夫婦一人一人の年収を考慮するなら、失礼ながらその年齢にして平均的数値なのではなかろうか?  と言うのも、私自身が30代後半で高校教員を出産退職する時点でもっと多額の年収を得ていた。
 更には、ご夫婦相談時の預貯金額がたったの180万円とは、お二人とも晩婚の身にして独身時代に散財を続けていたとしか想像しようがない。 これに関しては、お粗末としか言いようがないかもしれない。
 その互いの散財習慣が、晩婚晩産にして続行しているものと想像出来よう。

 現在に至っては、その散財先が可愛い一人娘の幾多の習い事への出費?  
 いやいや、我が家でも可愛い一人娘に幾多の習い事を課したものだ。 ただ私に言わせてもらうならば、大した金額ではなかった記憶がある。  一番多額だったのが「クラシックバレエ」だが、これも発表会費用を含め年間50万円程度だったと記憶している。 ご夫婦の年収が1200万円を超過しているならば取るに足りない金額であり、大した問題ではないはずだ。 

 更には長尾さんご夫妻の場合、奥方のお洒落費用に出費がかさんだとの記述もある。 これなど、奥方に十分な収入があるのだから奥方の収入内で処理すれば済む話だ。 


 最後に、原左都子の私論でまとめよう。

 上記ネット情報の場合、あくまでも試算の域を超えていない事実が大いに気にかかる。
 しかも、(実在するか否かも不明だが)長尾さんご夫婦は未だ40歳代との若さ故に、今後65歳に至るまで20年の長き年月がある。 その間に、現在9歳との可愛い一人娘さんの今後の教育に関して真剣に再考し貯蓄高を増強すれば済む話だ。

 来年亭主が65歳を迎える“晩婚晩産一家”先輩家族の一員である原左都子から、一言キーポイントアドバイスをしておこう。 
 「老後資金」と「子どもの教育費」をごっちゃにしてしまう失敗は是が非でも避けるべきだ。 我が家も亭主定年退職後の娘大学入学だったが、まかり間違っても退職金を子どもの大学の学費に充てようなどと血迷ってはならない。 大した年金を貰えない現実下に於いて、必ずや「子どもの学費」は別口として確保しておくべきだ。 我が家の場合、私自身が「お抱え家庭教師」として娘を大学合格まで導いたため、特に中学以降は「塾費用」が一切発生しなかったことが功を奏した。 それにより学費別口を難なく実行出来たのが、現在の老後生活に生きている。
 更に参考だが、我が家の場合老後夫婦独立採算性を採用している。 亭主の退職金及び年金は亭主のもの、私の年金及び自分の貯蓄は当然私のものだ。
 私の場合、独身時に単身で住居を購入しローンも自力完済している。 晩婚後はその住居を賃貸物件として活用後、2年前に物件を売却した資金が私の貴重な老後資金となっている。 60歳から厚生年金と個人年金を受給中だが、微々たる金額だ。 晩婚晩産と言えども老後の蓄えは必須である。
 

 夫婦間で育った経済環境が食い違うとの事例も多かろう。 その場合でも、あくまでも夫婦の現状の経済力に基づいて家計を話し合う機会が持てたならば、必ずや合意に達するはずだ。 その合意に基づき夫婦(父母)の経済力下で子育てをする事が肝心だろう。

 更に私に言わせてもらうならば、子どもの金銭感覚教育とは幼き頃より親の背中を見せつつ開始する事こそが効果的と考える。
 その意味で、既に長尾さんご夫婦自体がその金銭教育を誤っていると捉えられる気もする。

 もしも、ご夫婦の片方でも自宅の経済情勢を次世代を生きる娘さんに伝える事が叶うならば、9歳の娘さんも今後の金銭感覚を再考出来るであろうし、ご夫婦が65歳に至った暁に4000万円の赤字を抱えずに済むと確信する。