原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

都心と過疎地の不動産価値格差に今更ながら驚愕!

2016年10月03日 | 時事論評
 今回、私が不動産物件を売却するのは何件目だろう??

 住居買替のため亭主と共有名義物件を2件、賃貸運営していた自己単独所有物件を1件、そして今度は郷里の実母所有物件の売却だ。

 既に手慣れた不動産売却だが、ネットの発展により少し前よりその “売り方” が大幅に変化している。

 
 ここで2年前に売却した、我が単独所有賃貸物件の“売却劇”を思い起こさせていただこう。
(まさに、“売却劇”と表現するにふさわしい不動産会社間での争奪戦が繰り広げられたのだ。 あれには実にびっくりポン!だった。)

 当時既に、“ネット入札方式”とでも表現すればよいのだろうか、要するにネットで売却不動産に関する詳細情報を登録すると、その売買を仲介したいと申し出る複数の不動産会社と売り手側個人が詳細を直接交渉出来る制度が存在した。
 2年前の6月下旬の朝、(もちろん売却したい意思があった)私としては「ためしに登録してみようか」程度の軽い気持ちでそのネットサイトに我が所有物件の詳細を登録した。

 そうしたところ、その5分後から我が家の固定電話と私の携帯電話が鳴りっぱなしになるではないか!
 電話主は、有名・無名・その中間程度の不動産会社数社だ。 
 そして、各社が異口同音に告げる。 「査定値が出ました!〇〇〇円です。 是非とも我が社に売却依頼をお願いします!」
 まさに唖然とした私が、「他社からも同様の電話を数多く頂いておりますので、少し検討する時間を下さい。」  電話はその後も絶え間なく続く。 「では他社の査定額は幾らでしたか? 我が社はそれより高額で仲介しますのでお伝え下さい。」  それに正直に「一番高額査定をした会社は〇〇〇円です。」と言うなり「それでは査定値を引き上げます!」と、これまた各社が続く……
 (参考だが、この査定値が大幅に食い違った。 それには事情がある。 我が売却物件が「オーナーチェンジ物件」であったからに他ならない。 オーナーチェンジにての売却の場合、下手をすると通常売却より5割低下する事実を私は既に周知していた。)

 そんなこんなでその日の午前中は、不動産ネット売却の電話にての商談を繰り広げるはめと相成った。
 その時、その中の一社が、「午後にご自宅へ直接伺い商談をしたいのですが。」と申し出る。
 「えーーー! 今日直ぐに来るのですか!」と慌てる私に、「是非とも伺いたい!」との熱意の程が尋常ではない。 その熱意にほだされた私は、午後にはその不動産会社担当者を自宅に招いた。
 既に午前中に物件現地に行って見て来たとの担当者氏曰く、「都心部にしてあれ程立地条件に恵まれている物件はまたとはないのですよ。 それ故に多くの企業から売買仲介申し入れがあった事でしょう。 で、オーナーチェンジ物件である事を承知の上で一番高値を付けた企業の査定額をお聞きしたい。 それよりも上乗せして我が社は是非共この物件を仲介します!」 
 私も負けてはいない。「そうおっしゃいますが、売却時期がいつになるのかも大きな課題です。 査定額が高くとて何時売却出来るのか不明の企業に任せる訳にはいきません。」
 担当者氏応えて曰く、「実は既にリノベーション物件として買い入れたいとの業者が存在します。 もしも原様が本日我が社と専任売却契約を申し出て下されば、明日にでも売買契約に持ち込みます!」

 それが実行され、我が売却物件はネット公開後わずか2日にして売買契約が成立した。 いやはや、何とも驚くべく“売却劇”だった。 (参考ながら、買い手と直に会っての実際の売買契約及び司法書士による登記簿書換えはその後に至るのは当然だが。)


 その記憶が未だ新しいまま、私は先だって過疎地郷里に住む実母の現在の住まいを、ネットにて売りに出した。 
 (参考だが、この度実母の高齢者有料介護施設入居が決定し、実母自身が自宅の早期売却を私に告げた故である。 確かに実母が認知症状を示し始めて後に私単独の意思で売却するより、本人の脳がある程度しっかり機能している内に自らが売りたいと申し出てくれる方が、娘の立場としてはずっと嬉しい。)

 そして、2年前に自己所有物件の売買時に実行した “ネット入札システム” に、実母所有物件を登録したのだが…
 なんと、その後3日間“なしのつぶて”…… 
 やっとこさ先週金曜日になって、郷里の某不動産業者より売却にかかわりたい旨の連絡が東京の我が家にあった。  ところが、それも本人ではなく娘の私よりの依頼となると反応が鈍い。

 その間に、実は郷里の母自らが自宅を売りに出そうと積極的に動いていた!
 これには娘として拍手ものだ。
 しかも、水面下で娘の私なりに郷里の売却物件の相場を調査していた金額よりも高額にての買い取り申し出の様子だ。
 「それで売却を決定しましょ!」と電話で告げる私に、実母も喜ぶ。
 何だか、私が勧めた「高齢者施設入居」を実行せんとそこまで無理にでも志している実母を不憫にも思え、複雑な心境に陥ってしまう……

 
 最後に、表題に掲げたテーマに本題を戻そう。

 それにしても、都心部と田舎過疎地の不動産価値の格差たるや壮絶なものがあり、今更ながら驚愕させられる。
 この格差を如何なる方策で国家や自治体は縮めるのか??
 我が郷里では国家省庁の一つの移転招致をするとの懸案も、既に計画倒れに終わっている……

 今回実母が高齢者施設に入居の意思を固めてくれたお陰で、私としてはその命の終焉を見届けたならば、我が郷里との縁が完全に途絶える。
 この事実は40年近く前に郷里を捨て去り上京した私にとって願うべき初心だったのだが、さて、あの過疎地郷里がその後如何に彷徨うのか、少しは気がかりでもある……