広告大手の電通が、再び引き起こした「過労死事件」。
今年社会人新人として世に出た同じ年頃の娘を持つ親として、何とも身につまされる……
早速、冒頭より当該事件について朝日新聞2016.10.8 一面報道より内容を抜粋して以下に紹介しよう。
電通に勤務していた女性新入社員(当時24歳)が昨年末に自殺したのは、長時間の過重労働が原因だったとして労災が認められた。
電通では1991年に入社2年目の男子社員が長時間労働が原因で自殺し、最高裁が会社側の責任を認定。 過労自殺で会社の責任を認める司法判断の流れをつくった。 その電通で、またもや過労自殺が繰り返された。
亡くなったのは入社1年目だったTさん。 Tさんは東大文学部を卒業後、昨年4月に電通に入社。 インターネット広告を担当する部署に配属された。 代理人弁護士によると10月以降に業務が大幅に増え、労基署が認定したTさんの1ヶ月の時間外労働は約105時間に上った。
Tさんは昨年12月に都内の電通の女子寮で自殺。 その前からSNSで「死にたい」などのメッセージを同僚・友人らに送っていた。
電通は、先月インターネット広告業務で不正な取引があり、広告主に代金の過大請求を繰り返していたと発表した。 担当部署が恒常的な人手不足に陥っていたと説明し、「現場を理解して人員配置するべきだった」として経営に責任があるとしていた。
その電通は、「社員の自殺については厳粛に受け止めている。労災認定については内容を把握していないのでコメントは差し控える」としている。
引き続き同日の朝日新聞34面内記事より、当該「労災自殺認定事件」に関す記述を要約引用する。
Tさんが電通内で配属されたのは、自動車保険のインターネット広告等を担当する部署。 クライアント企業の広告データ集計・分析などが主な業務だったという。
業務が大幅に増えたのは、試用期間が終わり本採用になった昨年10月以降。 部署の人数が14人から6人に減った上、担当する企業が増えた。 月100時間を超える時間外労働をこなしていた。
電通では、社内の飲み会の準備をする幹事業務も新入社員に任せている。 飲み会の後に「反省会」が開かれ、深夜まで先輩社員から細かい指導を受けていた。 上司から「君の残業時間は会社にとって無駄」などと注意もされていたという。
Tさんは自殺した12月25日朝、母に「今までありがとう」とのメールを出した。 母が電話で「死んではだめ」と呼びかけると、Tさんは「うん」と応えた。 それが最後のやりとりとなった。
(以上、朝日新聞記事より引用したもの。)
ここから原左都子の私事及び私論に入ろう。
この事件に関して言いたい事が山程あるが、その論点を分類しつつ以下に私論を記していこう。
まず、Tさんご本人は、何故「ブラック企業」と結論付けられそうな劣悪企業に敢えて入社したのか? との課題に関して。
1991年に既に過労死者を出している電通とは、「ブラック企業」と位置付けて異論無いものと心得る。
いや、私も知ってるよ。 バブル経済の前頃だろうか、テレビ全盛期時代に電通、博報堂と聞けば、それはもう若き世代がそこへ就職したいと活気付いた記憶が鮮明だ。 まったく異分野で活躍していた私にとっては一生縁の無い世界ではあるとは心得ていたものの、そういう分野の経験を一度位ならしてみたいものだと一時心が揺さぶられた時代がこの私にもあった。
ところで、Tさんとは東大卒とは言えども「文学部」ご出身との事。 おそらく他大学の学生であるならば、失礼ながら就職先に難儀したことであろう。 そんな中、Tさんは兼ね備えている美貌をも武器にして、電通より内定を取ったものと推測する。
ただ、入社後の配属先がネットにての自動車保険会社の広告データ集計・分析とは、どう考慮してもお粗末だ。(再びの失礼をお詫びするが。)
6か月間の試用期間が終了し残業が月100時間を超えた時点で、何故退社を視野に入れなかったのだろうか? それを考慮する時間すら取れず過重労働で脳が朦朧とする中、もはや「自殺」しか思考できない程に心身が衰弱していたのか??
時間外労働が月100時間ということは、月23日稼働にして毎日4時間以上残業させられるとの事実だ。 18時終業とした場合毎晩午後10時過ぎまで働き、翌朝また同じ職場へ通いパソコンの前で同様の仕事に明け暮れる日々…。 これが3ヶ月も続けば誰とて鬱症状を発症し、生きていく意味を喪失して当然だろう。
次に、Tさんのお母様に関して。
Tさんが電通の寮に入っていたとの事実は、お母様とは別居状態だったと推測できよう。
で、12月25日にTさんから最後のメールが届くまで、お母様は未だ若き娘さんであるTさんの危機に気付いていなかったのであろうか? そんな事はないと信じたいが…
いえいえ、決してお母様を責めるつもりは毛頭ない。 ただ、社会人となってまもない未熟な娘など、原左都子にとっては未だサリバン先生対応対象と入社前より捉えていた。 毎晩仕事より帰宅後娘と会話の時間を設け、何らかの問題が発生していないか確認の日々だ。 案の上、我が娘も入社直後に社内でとある問題を引き起こして(引き起こされたと言うべきか)いる。(これに関しては当該エッセイ集5月頃のバックナンバーでも公開しているが)、それにサリバンとして最大限のアドバイスを娘にしたものだ。
ただ何と言っても、我が娘の就職先が(電通程の)大規模でない事に救われる思いだ。 経営者や上司との距離が近く、たかが新人と言えどもその存在を気遣い尊重してくれる体制に親として安堵している。 就活時点より我がサリバン指導に従い、規模は小さくとも自分の特質に相応しい体質の企業を探し求める事に邁進した娘の努力が実ったものと、今は捉えている。
最後に、過労死者を世紀を超えて2名も出してしまったブラック企業「電通」に対して。
確かに、今や世はネット時代へと変遷してしまっている。
そんな世を操るには、ネットにろくでもない宣伝を執拗に掲載し続けねば成り立たない広告企業の実態なのだろう。
その業務を担当させるのが「新人社員」だって??? 勘弁してやってよ。 真面目な若者ほどそのドツボにはまり苦しむよ。
しかも、社員の飲み会を新入社員に担当させているって? しかもしかも、それをショボれば反省会で深夜まで先輩が説教するんだと?? 何だか、4、50年程前の体育会系のノリでしかないね……。 そんな悪習など、幹部自らがとっとと廃止に向けて動くべきだ。
電通の経営陣が自分が受けたその「体育会系のノリ」経営体制に恨みつらみを今更抱き、新人相手に逆襲しているのかどうかは私の知った事ではない。
が、いつまでも力無き若者社員をいたぶって成り立つ経営方針を貫くのではなく、ここは経営陣をすべて入れ替え、近代化した諸企業のごとく経営体制を刷新しては如何だろうか?
今年社会人新人として世に出た同じ年頃の娘を持つ親として、何とも身につまされる……
早速、冒頭より当該事件について朝日新聞2016.10.8 一面報道より内容を抜粋して以下に紹介しよう。
電通に勤務していた女性新入社員(当時24歳)が昨年末に自殺したのは、長時間の過重労働が原因だったとして労災が認められた。
電通では1991年に入社2年目の男子社員が長時間労働が原因で自殺し、最高裁が会社側の責任を認定。 過労自殺で会社の責任を認める司法判断の流れをつくった。 その電通で、またもや過労自殺が繰り返された。
亡くなったのは入社1年目だったTさん。 Tさんは東大文学部を卒業後、昨年4月に電通に入社。 インターネット広告を担当する部署に配属された。 代理人弁護士によると10月以降に業務が大幅に増え、労基署が認定したTさんの1ヶ月の時間外労働は約105時間に上った。
Tさんは昨年12月に都内の電通の女子寮で自殺。 その前からSNSで「死にたい」などのメッセージを同僚・友人らに送っていた。
電通は、先月インターネット広告業務で不正な取引があり、広告主に代金の過大請求を繰り返していたと発表した。 担当部署が恒常的な人手不足に陥っていたと説明し、「現場を理解して人員配置するべきだった」として経営に責任があるとしていた。
その電通は、「社員の自殺については厳粛に受け止めている。労災認定については内容を把握していないのでコメントは差し控える」としている。
引き続き同日の朝日新聞34面内記事より、当該「労災自殺認定事件」に関す記述を要約引用する。
Tさんが電通内で配属されたのは、自動車保険のインターネット広告等を担当する部署。 クライアント企業の広告データ集計・分析などが主な業務だったという。
業務が大幅に増えたのは、試用期間が終わり本採用になった昨年10月以降。 部署の人数が14人から6人に減った上、担当する企業が増えた。 月100時間を超える時間外労働をこなしていた。
電通では、社内の飲み会の準備をする幹事業務も新入社員に任せている。 飲み会の後に「反省会」が開かれ、深夜まで先輩社員から細かい指導を受けていた。 上司から「君の残業時間は会社にとって無駄」などと注意もされていたという。
Tさんは自殺した12月25日朝、母に「今までありがとう」とのメールを出した。 母が電話で「死んではだめ」と呼びかけると、Tさんは「うん」と応えた。 それが最後のやりとりとなった。
(以上、朝日新聞記事より引用したもの。)
ここから原左都子の私事及び私論に入ろう。
この事件に関して言いたい事が山程あるが、その論点を分類しつつ以下に私論を記していこう。
まず、Tさんご本人は、何故「ブラック企業」と結論付けられそうな劣悪企業に敢えて入社したのか? との課題に関して。
1991年に既に過労死者を出している電通とは、「ブラック企業」と位置付けて異論無いものと心得る。
いや、私も知ってるよ。 バブル経済の前頃だろうか、テレビ全盛期時代に電通、博報堂と聞けば、それはもう若き世代がそこへ就職したいと活気付いた記憶が鮮明だ。 まったく異分野で活躍していた私にとっては一生縁の無い世界ではあるとは心得ていたものの、そういう分野の経験を一度位ならしてみたいものだと一時心が揺さぶられた時代がこの私にもあった。
ところで、Tさんとは東大卒とは言えども「文学部」ご出身との事。 おそらく他大学の学生であるならば、失礼ながら就職先に難儀したことであろう。 そんな中、Tさんは兼ね備えている美貌をも武器にして、電通より内定を取ったものと推測する。
ただ、入社後の配属先がネットにての自動車保険会社の広告データ集計・分析とは、どう考慮してもお粗末だ。(再びの失礼をお詫びするが。)
6か月間の試用期間が終了し残業が月100時間を超えた時点で、何故退社を視野に入れなかったのだろうか? それを考慮する時間すら取れず過重労働で脳が朦朧とする中、もはや「自殺」しか思考できない程に心身が衰弱していたのか??
時間外労働が月100時間ということは、月23日稼働にして毎日4時間以上残業させられるとの事実だ。 18時終業とした場合毎晩午後10時過ぎまで働き、翌朝また同じ職場へ通いパソコンの前で同様の仕事に明け暮れる日々…。 これが3ヶ月も続けば誰とて鬱症状を発症し、生きていく意味を喪失して当然だろう。
次に、Tさんのお母様に関して。
Tさんが電通の寮に入っていたとの事実は、お母様とは別居状態だったと推測できよう。
で、12月25日にTさんから最後のメールが届くまで、お母様は未だ若き娘さんであるTさんの危機に気付いていなかったのであろうか? そんな事はないと信じたいが…
いえいえ、決してお母様を責めるつもりは毛頭ない。 ただ、社会人となってまもない未熟な娘など、原左都子にとっては未だサリバン先生対応対象と入社前より捉えていた。 毎晩仕事より帰宅後娘と会話の時間を設け、何らかの問題が発生していないか確認の日々だ。 案の上、我が娘も入社直後に社内でとある問題を引き起こして(引き起こされたと言うべきか)いる。(これに関しては当該エッセイ集5月頃のバックナンバーでも公開しているが)、それにサリバンとして最大限のアドバイスを娘にしたものだ。
ただ何と言っても、我が娘の就職先が(電通程の)大規模でない事に救われる思いだ。 経営者や上司との距離が近く、たかが新人と言えどもその存在を気遣い尊重してくれる体制に親として安堵している。 就活時点より我がサリバン指導に従い、規模は小さくとも自分の特質に相応しい体質の企業を探し求める事に邁進した娘の努力が実ったものと、今は捉えている。
最後に、過労死者を世紀を超えて2名も出してしまったブラック企業「電通」に対して。
確かに、今や世はネット時代へと変遷してしまっている。
そんな世を操るには、ネットにろくでもない宣伝を執拗に掲載し続けねば成り立たない広告企業の実態なのだろう。
その業務を担当させるのが「新人社員」だって??? 勘弁してやってよ。 真面目な若者ほどそのドツボにはまり苦しむよ。
しかも、社員の飲み会を新入社員に担当させているって? しかもしかも、それをショボれば反省会で深夜まで先輩が説教するんだと?? 何だか、4、50年程前の体育会系のノリでしかないね……。 そんな悪習など、幹部自らがとっとと廃止に向けて動くべきだ。
電通の経営陣が自分が受けたその「体育会系のノリ」経営体制に恨みつらみを今更抱き、新人相手に逆襲しているのかどうかは私の知った事ではない。
が、いつまでも力無き若者社員をいたぶって成り立つ経営方針を貫くのではなく、ここは経営陣をすべて入れ替え、近代化した諸企業のごとく経営体制を刷新しては如何だろうか?