2016.11.7 に公開したバックナンバー「介護施設に住む義母が起こした漏水事件」 には、現在までに少なからずのアクセスとご心配を頂戴している。
特にご心配を頂戴した皆様には、遅ればせながらこの場で御礼を申し上げます。
少し日数が経過した現在、その事件の処理が如何になされたかについて報告させて頂こう。
その前に、義母が引き起こした漏水事件を再度以下に要約して紹介しよう。
11月6日午前中、義母が住む高齢者有料介護施設のケアマネジャー氏より電話が入った。
施設からわざわざ電話を頂く時とは、大抵ろくでもない事件や事故が義母の身の回りに発生していると予想出来る。
今度は何を引き起こしたのかと、恐る恐る電話口に出ると…… 義母担当のケアマネジャー氏曰く、
「昨夜、お義母様が施設の自室内で漏水事件を起こしました。 どうした事か、義母様は真夜中に洗面台にて洗濯をされたようです。(参考だが、この施設では掃除・洗濯は全面的に施設スタッフが実施してくれているが、個人の自由として小物類を自分で洗濯する事を認めているとのことだ。) その途中で水道栓を開いたままベッドで寝たようです。 何分耳が聞こえにくいお母様のこと、おそらくそのまま寝入った事でしょう。 施設の夜間勤務スタッフがその事態を察知したのは、下階に住む複数の入居者様より“上から水が垂れている”なる苦情が届いた事によります。 早速下階の入居者の部屋に駆けつけ、漏水が起こっているのは上階だと察知したところ、まさにお義母様の部屋が漏水を起こしている源と発見しました。 洗面台にて洗濯中の洗濯物が排水溝を塞ぎ、お義母様の室内は水浸し状態でした。 それに気付いたスタッフがお義母様を起こしたところビックリされ、その後は自分の犯した事件に落胆されています。 その後の処理は本日に至ってスタッフにて何とか原状復帰しました。 今回保証人様にお電話しましたのは、お義母様の認知力がこれ程までに低下しているとの事実を報告するべきと考えた故です。」
いやはや、義母の認知力が低下し始めて以降、施設内で様々な“事件・事故”を引き起こしている事態は保証人として重々承知しているが、これ程の(もしかしたら膨大な損害賠償を要する!?)事件は初めて!?と私はおののいた。
その思いを正直に電話を頂いたケアマネジャー氏に伝えた。 「私自身もマンション等の集合住宅で発生する“漏水事故”の実態に関してある程度承知しているつもりです。 今回義母が引き起こした漏水に関して、本当にケアスタッフさん達が後処理をして下さった事で済む話でしょうか? もしも今後施設設備に関して今回の漏水事故にて不都合があるようでしたら、保証人として必ずやその賠償責任を果たしますのでご連絡下さい。」
その後、義母が住む施設のケアマネジャー氏より連絡が無いのをよしとするべきか……
(以上、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより一部を引用したもの。)
さて、事故が発生した2日後に義母から我が家に電話が入った。 (亭主が電話に出たため、詳細は不明なものの…)
漏水被害に遭った下階の複数の部屋の内、一番被害が大きかった真下の居住者男性が大層ご立腹との事で、義母は施設長氏に連れられてその部屋へ謝罪に向かったらしい。 その場で当該居住者男性から厳しく叱咤を受けた義母だが、困った事には、義母は既に昨夜漏水事故を起こした記憶が曖昧な(?)様子だ。
事件発生から2日も経過せずして、義母の一番の痛手は下階の男性から突然叱咤された事実にすり替わってしまったようだ。 自分が加害者である事実が抜け去り、下階の男性が怒っていて怖いから貴方達(保証人である亭主と私)に謝りに来て欲しい、との電話の要件だったと亭主が言う。
更に亭主が話すには、「自室で洗濯をするのはやめて、スタッフさんに全部お願いした方がよい。」と義母にアドバイスしたところ、義母から「えっ? なんで?? どうして自分で洗濯しちゃいけないの?」と返されたとの事だ。 この事実から判断しても、義母の脳裏からはすっかり自身が漏水事故の加害者であるとの認知が消えたと判断出来よう。
その後我々保証人は話合い、義母の要望に沿って下階の男性に謝罪に行くことを決定していた。
ところが午後になり、またもや義母から電話が入って亭主に告げた話によれば…
義母が言うには、保証人である我々が謝罪に行くと施設長に告げたところ、施設長氏より「昨日、漏水事故に関して〇さん(義母のこと)と共に被害者の部屋へ謝罪に行った事で、この事件を一件落着させた。 それは昨日話した通りだ。 今更保証人様に謝罪に来ていただくと事件をぶり返す事になるから遠慮申し上げたい」
どうも、義母は(特に偉い立場の)男性が苦手な様子だが、はたまたこの男性施設長の“厳しい”お言葉が脅威だった様子だ。 恐る恐る義母が亭主に告げた内容とは、「施設長が貴方達は来なくていいと言うから、明日は来ないでね」……
ここからは私の推測だが、おそらく施設長氏は認知症入居者同士のトラブルに関して、既に法的責任能力を失っている加害者・被害者双方の責任を問う事を回避せんと行動・処理したものと理解した。
特に我が義母が入居している施設の場合、幸いな事に大手損保会社が経営主体のため、そのような処理はお手の物なのだろう。
あれから2週間以上経過した現在に至るまで、一向に施設側から義母が起こした漏水事件に関する「損害賠償責任」を問うべく連絡が我々保証人宛に無い事を安堵している。
それはよしとしても、認知症高齢者の保証人を担当する立場として、やはり認知力を日々低下させる義母の今後の行動(特に失態)を懸念するのは必然だ。
認知症状とは、実に不可思議でもある。
認知症高齢者を周囲が大事にしてあげるほど、根拠なく自分は大丈夫と認識出来るものなのだろうか?
それが虐げられた場合、認知症者は希望を失うとの事実は認識しているものの…
実力に見合わない評価をされて、それで自身の老化した脳裏がそれを受け付けるのか?
もしも、私が将来認知症に見舞われたならば、周囲から蔑まれ死に至った方がよほどマシな気もする…
例えば義母は漏水事件とのとんでもない事件を引き起こしておきながら、明日の我が娘の誕生日祝い会には是非参加したいと、ルンルン楽しみにしているのだ。
それを実行するには、保証人としてはこれまた大変な作業である。 認知症状及び耳の聞こえの悪さを兼ね備えている義母は、一人でタクシーに乗車不能の身だ。 それを施設まで迎えに行き、義母と同行せねばならない苦労の程も分かってもらえない。
それでも、義母のせめてもの楽しみに同調するべきだろう。
娘のサリバン業を既に23年間実行しその実績を積み重ね、娘の予想以上の成長と共に達成感を得ている私だ。
片や、我が最高最大に可愛い娘と、認知症に陥っている義母の扱いを所詮同列に出来ない苦しみに、いつまで耐えれば私は開放感が抱けるのだろう?
特にご心配を頂戴した皆様には、遅ればせながらこの場で御礼を申し上げます。
少し日数が経過した現在、その事件の処理が如何になされたかについて報告させて頂こう。
その前に、義母が引き起こした漏水事件を再度以下に要約して紹介しよう。
11月6日午前中、義母が住む高齢者有料介護施設のケアマネジャー氏より電話が入った。
施設からわざわざ電話を頂く時とは、大抵ろくでもない事件や事故が義母の身の回りに発生していると予想出来る。
今度は何を引き起こしたのかと、恐る恐る電話口に出ると…… 義母担当のケアマネジャー氏曰く、
「昨夜、お義母様が施設の自室内で漏水事件を起こしました。 どうした事か、義母様は真夜中に洗面台にて洗濯をされたようです。(参考だが、この施設では掃除・洗濯は全面的に施設スタッフが実施してくれているが、個人の自由として小物類を自分で洗濯する事を認めているとのことだ。) その途中で水道栓を開いたままベッドで寝たようです。 何分耳が聞こえにくいお母様のこと、おそらくそのまま寝入った事でしょう。 施設の夜間勤務スタッフがその事態を察知したのは、下階に住む複数の入居者様より“上から水が垂れている”なる苦情が届いた事によります。 早速下階の入居者の部屋に駆けつけ、漏水が起こっているのは上階だと察知したところ、まさにお義母様の部屋が漏水を起こしている源と発見しました。 洗面台にて洗濯中の洗濯物が排水溝を塞ぎ、お義母様の室内は水浸し状態でした。 それに気付いたスタッフがお義母様を起こしたところビックリされ、その後は自分の犯した事件に落胆されています。 その後の処理は本日に至ってスタッフにて何とか原状復帰しました。 今回保証人様にお電話しましたのは、お義母様の認知力がこれ程までに低下しているとの事実を報告するべきと考えた故です。」
いやはや、義母の認知力が低下し始めて以降、施設内で様々な“事件・事故”を引き起こしている事態は保証人として重々承知しているが、これ程の(もしかしたら膨大な損害賠償を要する!?)事件は初めて!?と私はおののいた。
その思いを正直に電話を頂いたケアマネジャー氏に伝えた。 「私自身もマンション等の集合住宅で発生する“漏水事故”の実態に関してある程度承知しているつもりです。 今回義母が引き起こした漏水に関して、本当にケアスタッフさん達が後処理をして下さった事で済む話でしょうか? もしも今後施設設備に関して今回の漏水事故にて不都合があるようでしたら、保証人として必ずやその賠償責任を果たしますのでご連絡下さい。」
その後、義母が住む施設のケアマネジャー氏より連絡が無いのをよしとするべきか……
(以上、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより一部を引用したもの。)
さて、事故が発生した2日後に義母から我が家に電話が入った。 (亭主が電話に出たため、詳細は不明なものの…)
漏水被害に遭った下階の複数の部屋の内、一番被害が大きかった真下の居住者男性が大層ご立腹との事で、義母は施設長氏に連れられてその部屋へ謝罪に向かったらしい。 その場で当該居住者男性から厳しく叱咤を受けた義母だが、困った事には、義母は既に昨夜漏水事故を起こした記憶が曖昧な(?)様子だ。
事件発生から2日も経過せずして、義母の一番の痛手は下階の男性から突然叱咤された事実にすり替わってしまったようだ。 自分が加害者である事実が抜け去り、下階の男性が怒っていて怖いから貴方達(保証人である亭主と私)に謝りに来て欲しい、との電話の要件だったと亭主が言う。
更に亭主が話すには、「自室で洗濯をするのはやめて、スタッフさんに全部お願いした方がよい。」と義母にアドバイスしたところ、義母から「えっ? なんで?? どうして自分で洗濯しちゃいけないの?」と返されたとの事だ。 この事実から判断しても、義母の脳裏からはすっかり自身が漏水事故の加害者であるとの認知が消えたと判断出来よう。
その後我々保証人は話合い、義母の要望に沿って下階の男性に謝罪に行くことを決定していた。
ところが午後になり、またもや義母から電話が入って亭主に告げた話によれば…
義母が言うには、保証人である我々が謝罪に行くと施設長に告げたところ、施設長氏より「昨日、漏水事故に関して〇さん(義母のこと)と共に被害者の部屋へ謝罪に行った事で、この事件を一件落着させた。 それは昨日話した通りだ。 今更保証人様に謝罪に来ていただくと事件をぶり返す事になるから遠慮申し上げたい」
どうも、義母は(特に偉い立場の)男性が苦手な様子だが、はたまたこの男性施設長の“厳しい”お言葉が脅威だった様子だ。 恐る恐る義母が亭主に告げた内容とは、「施設長が貴方達は来なくていいと言うから、明日は来ないでね」……
ここからは私の推測だが、おそらく施設長氏は認知症入居者同士のトラブルに関して、既に法的責任能力を失っている加害者・被害者双方の責任を問う事を回避せんと行動・処理したものと理解した。
特に我が義母が入居している施設の場合、幸いな事に大手損保会社が経営主体のため、そのような処理はお手の物なのだろう。
あれから2週間以上経過した現在に至るまで、一向に施設側から義母が起こした漏水事件に関する「損害賠償責任」を問うべく連絡が我々保証人宛に無い事を安堵している。
それはよしとしても、認知症高齢者の保証人を担当する立場として、やはり認知力を日々低下させる義母の今後の行動(特に失態)を懸念するのは必然だ。
認知症状とは、実に不可思議でもある。
認知症高齢者を周囲が大事にしてあげるほど、根拠なく自分は大丈夫と認識出来るものなのだろうか?
それが虐げられた場合、認知症者は希望を失うとの事実は認識しているものの…
実力に見合わない評価をされて、それで自身の老化した脳裏がそれを受け付けるのか?
もしも、私が将来認知症に見舞われたならば、周囲から蔑まれ死に至った方がよほどマシな気もする…
例えば義母は漏水事件とのとんでもない事件を引き起こしておきながら、明日の我が娘の誕生日祝い会には是非参加したいと、ルンルン楽しみにしているのだ。
それを実行するには、保証人としてはこれまた大変な作業である。 認知症状及び耳の聞こえの悪さを兼ね備えている義母は、一人でタクシーに乗車不能の身だ。 それを施設まで迎えに行き、義母と同行せねばならない苦労の程も分かってもらえない。
それでも、義母のせめてもの楽しみに同調するべきだろう。
娘のサリバン業を既に23年間実行しその実績を積み重ね、娘の予想以上の成長と共に達成感を得ている私だ。
片や、我が最高最大に可愛い娘と、認知症に陥っている義母の扱いを所詮同列に出来ない苦しみに、いつまで耐えれば私は開放感が抱けるのだろう?