本エッセイは、前回公開した「ある不登校少女の旅立ちの春」と題するエッセイの続編の形となる。
昨年春頃からほぼ1年間に渡り、知人のT氏より依頼され、T氏の姪御さんに当たる現在中3の不登校少女の教育・進路相談を継続実施した内容を記し公開したのが上記のエッセイだ。
差し当たり幸運な事に、姪御さんである少女は某東京都立単位制高校(“チャレンジスクール”とも称されているようだが)受験に合格し、4月からの進路が決定している。
高校教諭経験がある私だが、何分学校現場にての教職から退いて後、既に25年程の年月が流れている。
その間に全国各地の公立学校統廃合が急激に進むと共に、様々な事情を抱える生徒達に対応可能な体制を作るべく学校制度も変貌を遂げている様子だ。
そのような現在置かれている学校制度や現在実存する学校の実体を十分に認識せずして、1年間相談に乗ってしまった事実を反省している。
更には今後も続行するであろうT氏よりの姪御さんに関する相談に的確に応じられるべく、我が学校に関する知識をブラッシュアップせんとするのが今回のエッセイ記載の目的である。
それでは早速ウィキペディア情報より、某都立単位制高校をピックアップして以下に要約引用しよう。
<教育課程>
定時制課程 総合学科
生徒は、生活・福祉系列、製作・技術系列、創作・表現系列の3系列に所属する。
ただし、これらの系列は科目を大きく分類する時の呼称であって、生徒がいずれかの系列に属したり、系列ごとに最低履修単位数が定められているわけではない。 どの系列の科目も選択履修することが可能である。
<概要>
都立高校再編の一環として某高校(三部制・定時制)・某工業高校(全日制)・某高校(定時制)の3校を統合し開校。
総合学科で、午前・午後・夜間の三部制のチャレンジスクール。 3年から4年かけて74単位を取得し卒業する。 在籍可能年限は6年間。 私服校である。 体育着、および工業系科目での作業着は指定。ただし作業着は安全面等の基準を満たしていると認められれば指定のものでなくともよい。
チャレンジスクールの本旨により、中学まで不登校傾向であったり高校を中退した生徒なども想定し、入学時の学習水準では「過去は問わない」としている。 そのため、主要科目においては高校の指導要領レベルではなく、中学レベルから学べる科目も開講されている。
<入学試験>
入学試験は志願申告書も点数化するが、主に作文と面接で行われている。 学科試験は行っていない。
前期試験と後期試験があり、前期試験は例年2倍ほどの倍率。 後期試験の倍率は3倍を超えることが多い。 午前・午後・夜間で試験は同じ。 合格しても必ず希望の時間帯に入れる訳ではない。
<学校生活>
午前、午後、夜間の区分はⅠ部、Ⅱ部、Ⅲ部と呼称し、それぞれⅠ部生、Ⅱ部生、Ⅲ部生と呼ばれる。
クラスは1学年6クラスあり、A、BがⅠ部、C、DがⅡ部、E、FがⅢ部。例えばクラス名が3Cならば、3年次Ⅱ部のクラス。 3年間で卒業要件を満たし卒業する生徒もいるため、4年次は人数が少ない。
ただし単位制のため、一部の例外を除き、履修登録時の選択によって生徒一人ひとりの時間割が異なるため、クラスとして集まる機会は多くはない。
通常授業時は、1~4限(Ⅰ部授業時間帯)、昼休み、5~8限(Ⅱ部授業時間帯)、夕休み、9・10限・給食・11・12限(Ⅲ部授業時間帯)。 Ⅰ部生は5~8限、Ⅱ部生は3・4限および9・10限、Ⅲ部生は5~8限に開講されている科目を履修することも出来る。 授業は一部の科目を除き、休憩を挟んで2限続きで行われる。
各考査は評価期間と呼ばれ、試験はその科目の通常の時間割と同じ時間内に行われる。 実技科目では製作物提出や実演、工業科目ではレポートがペーパーテストの代わりに課されることが多い。
<設備>
緑が多く都内高校でも有数の広い敷地内には、校舎の他多くの施設・設備がある。
車椅子等にも対応している。 校舎内にエレベーターが1基あるが、障害者および備品移動専用。
製作・技術系列の科目で使用される設備は主に工場棟内の、機械加工実習室、塑性加工実習室、、木工実習室、原動機実習室、CAD室などがあり、実習室では機械(旋盤、フライス盤、ボール盤、溶接機など)も頻繁に使用される。 パソコン関連の部屋も多い。 また、製図室、メカトロ室などがある。
図書室には司書が常駐しており、バーコードリーダーでの貸し借りが行われている。 食堂は、昼休みには給食が出ないものの午前・午後の生徒にも開放されている。 夜間の生徒には給食がある。
<部活動>
多くの部活が精力的に活動をしており、中には全国大会に出場する部もあるなど、数々の大会で入賞している。 入部・退部・兼部は年間いつでも自由(保護者・担任・顧問の許可は必要)。 部活動のための時間は特段設けられていないため、部員同士の授業の空き時間や、土日を利用して活動している。
活動部の事例 : サッカー部、柔道部、卓球部、ダンス部、テニス部、トレーニング部、軟式野球部、バスケットボール部、バドミントン部、男子バレーボール部、女子バレーボール部、陸上競技部、ビリヤード同好会、剣道部。
イラスト部、映画研究部、園芸部、音楽部、茶道部、写真部、自動車部、手芸部、書道部、中国語部、陶芸部、美術部、ボランティア部、ロボット部、和太鼓部、演劇同好会、文芸同好会、囲碁同好会。
最後に、元高校教諭の原左都子の私論でまとめよう。
この“チャレンジスクール”の合格競争率が2倍~3倍と高倍率の事実に、ひとまず驚かされた。
通常の公立高校の場合、98%は合格するだろうに。
要するに私の“勘”通り、この少女は元々“人受け”する資質がある子だったということだろう。
これ、下手な公立進学校や偏差値優先の私立高校へ行くよりも、この単位制高校へ行った方がよほど先々の未来が開けそうな感覚すら抱かされる。
もしも私が高校進学時にこのチャレンジスクールが実在していて、私に未来判断力が備わっていたのならば、迷わずにチャレンジスクール進学を目指しただろう。
ただ残念ながら、高校進学時わずか15歳だった私にはそのような選択肢は一切なかった。 単に偏差値(当時は中学校の成績のみ)で進学高校を割り振られ、中学校で高成績を上げていた私は望みもしないのに過疎県にして有数の名門校へ通うはめとなった。
この高校が私にとっては、つまらないったらありゃしない。
我が人生に於いて最高にして最大の失策があの名門高校へ通った事と、今でも反省材料であり汚点でもある。 (だからこそ、卒業間近時点で制服をスケバンスタイルに大改造し、それを卒業式の翌日捨て去った事実を当エッセイ集バックナンバーにて幾度も公開しているのだが。)
あの高校時代の失敗をリベンジするがため、その後どれ程苦悩し“私らしさ”を取り戻すために自己再生したことか! ただ、そのリベンジ過程こそが、その後の我が人生を作り上げているとも言えるのだが…。
話題が我が身の過去の大失敗の横道に、大幅にずれてしまったようだ。
今回、都立単位制高校(チャレンジスクール)をレポートした事により、学校制度も(あくまでも制度上は)進化している感を抱く。
T氏の姪御さんである少女が“ビジュアル系”でありニコニコ笑顔が得意な様子を鑑みつつ。 学校側からの“私服登校”や部活動等々、自由度が高いと共に生徒個々がチャレンジ可能な分野の提供も数多く、生徒側の選択肢が豊富である事実を鑑みるに。
相談少女は当該単位制高校(チャレンジスクール)で立派に生き残り、彼女なりの未来像を描けるものと期待したい。