原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

女子も3浪男も排除して、東京医科大学は何処へ彷徨う??

2018年08月05日 | 時事論評
 私立医科大学である東京医大が、文科省局長に対し受託収賄事件を引き起こしたニュースに関しては、我がエッセイ集 2018.07.05 公開の「文科省局長受託収賄事件、加点入学の子こそが犠牲者だ」と題するバックナンバーに於いて既に論評している。


 その後間髪を入れず、今度は東京医大による「女子受験者恣意的一律減点事件」」が発覚した。

 この事件に関する最近のネット情報の一つを、以下に要約して紹介しよう。

 不正入学問題で揺れる東京医科大学に、とんでもない疑惑が浮上した。 今年2月におこなわれた医学部医学科の一般入試において、女子受験者の得点を一律で減点、合格者数を抑えていたというのだ。 しかも、こうした女子受験者に対する恣意的な操作は2011年ごろから続いていたという。
 これは明確な女性差別によるものだが、さらに驚くのは、東京医大関係者は新聞取材に対し「いわば必要悪。暗黙の了解だった」と語っていることだ。 国家試験をパスした同大出身者の多くが系列病院に勤務するが、そこでは女性医師が敬遠されるというのである。 女性は出産や子育てのために休職したり、あるいは退職するケースがあるから雇いたくない。それが本音だとすれば、これもまた女性差別に当たるものだ。
 東京医大は「女性研究者研究活動支援事業」に採択され、総額8026万4000円の補助金を受けている。 その際、同大はHPで女性合格者を意図的に抑制しておきながら「本学医学科の女子学生は、過去10年で187名から237名と50名増加し、全体で占める割合も26.9%から32.4%と5.5%も増加しております」といい、「女性研究者が増えることから本学の女性研究者支援体制の整備は急務であると言えます」などと述べてもいる。 女性研究者の支援を謳って補助金の交付を受ける一方で、女子受験者の門戸を狭めて男子受験者にゲタを履かせていた──。これはもはや補助金詐欺と言ってもいい。 (大幅中略)
 東京医科大のような女性差別は氷山の一角とみるべきだろう。 現に、企業の採用担当者などから「優秀な学生は女性ばかり」という声はよく聞かれるが、現在、大学の就職内定率は女子がわずかに上回る程度。 フェアな評価によって採用を決めるのではなく、東京医大のように男子に下駄を履かせ、女子の採用を抑えているという企業・自治体は圧倒的に多いのが実態なのではないか。
 女性や性的マイノリティの権利を剥奪しようとする議員を引き立てる安倍政権下では、暴論がどんどん出てくるのではないか。 そう不安を覚えずにはいられない。
 (以上、ネット情報より一部を要約引用したもの。)


 一旦、私事及び私見に入ろう。

 私自身、高校教員時代に年度途中で「出産退職」し、職場に散々迷惑を掛けた身だ。
 特に学校現場とは、4月の新学期より3月の学年末までの「年度スケジュール」により業務が回転する職場である。 故に教職員が退職を志す場合、3月までにその旨申し出て次年度の教員配置に間に合えば、さほどの迷惑は無いともいえよう。

 私が「出産退職」を申し出たのは、年度途中の初夏だっただろうか?
 その後の我が職務を引き継ぐ教員を確保するのに、上部職員(校長・教頭・事務長)は大変な思いをした様子だ。 結局秋になり、やっと我が代替として2名の非常勤講師を確保することが叶ったとのいきさつだった。
 大きなお腹を抱えつつ、その2名の非常勤講師と授業内容の引継ぎを実施したことが、今となっては懐かしい。 「えっ? こんな学際的な内容の授業をしていたのですか??」などとそれに立ち会った教頭及び講師候補氏達に驚かれたものだ。 それに応えて「あくまでも私の身勝手な方針でしたし、この高校は授業内容の自由度が高いですから、今後はどうかご自由に授業をなさって下さい。」などと無責任な引継ぎをして、当該講師2人をかえって混乱させた記憶がある。
 そうこうして、私は9月末日に高校現場を去って行った……

 そんな我が経験からも、職業女性の待遇とは何処の職場に於いても周囲こそが“困惑させられる”事態であろうことは重々想像が付く。

 「働く女性の職場環境の充実こそを!」などとの“いっぱしの見解”を安倍政権下の女性閣僚も述べているようだが、事はそう簡単ではないことは、私自身の経験からも熟知している。


 話題を大きく変えよう。

 本日ネット上で発見したニュースの中に、更に驚かされる東京医大に関する情報を発見した。
 以下に、その内容を要約引用しよう。

  題目 : 背景に低い医師国家試験の合格率…3浪男子抑制
 女子受験生の合格者数を抑制していた東京医科大医学科の一般入試で、3浪以上の男子受験生の合格者数も恣意的に抑えられていたことが、同大の内部調査で新たに判明した。 背景には、浪人生の医師国家試験の合格率が低いことから、優秀な現役生を増やして合格率を上げ、大学のブランド力を高める思惑があったとされる。 「受験に失敗して何度も浪人を重ねた生徒は、大学に入った後も成績が伸び悩む傾向がある」。同大関係者はそう明かす。
 関係者によると、同大は、2011年度までの数年間に入学した学生の入学後の状況を調査。 その結果、現役で合格した学生の94・6%が留年せずに卒業し、その全員が医師国家試験に一発合格していた。 これに対し、留年せずに卒業した浪人生は81・8%にとどまり、そのうち数%は医師国家試験に一発合格しなかった。
 (以上、再び東京医大関連ニュースを要約引用したもの。)


 再び、私事に入ろう。

 私はそもそも過疎地国立大学医学部(私自身の専攻はパラメディカル分野だったが)出身であるため、医師進学過程の学生達と接する機会も多かった。
 その中で3浪はおろか、6浪、10浪なる医師を目指す学生氏とも出会っている。

 おそらく3浪程度の学生とは、当初より本気で医師を目指し、浪人してでも過疎地でもよいから「医師」になることを志しあの大学の医学部入学を目指したのだろう。

 そんな中、私は「10浪」(もしかしたら9浪だったかもしれないし11浪だったかもしれない…)の医師を目指す学生氏と懇親にした時期がある。 
 その男性の印象とは、明らかに他の医学部生とは異なっていた。 とにかく“しっかりしている”というのか、ご自身が目指す方向性が明確だった。  医学部生になって浮かれている(失礼な表現をお詫びするが)他の若き学生達とは存在を異にしていた。
 
 参考情報だが、当時(今から40数年前の話だが、たかが過疎地の恐らく偏差値が低いであろう国立医学部にして)医学部生とは「医学部」に所属している事それのみで女性にもてた様子だ。 それを良きこととして有頂天になっている学生達を私も散々見てきている。

 ところが、上記「10浪」社会経験のある既に30代の医学部生の目指す方向は絶対的に異なったのだ!(あくまでも我が私見に過ぎないが。) 目指すべく“医師像”が他の“チャラチャラ学生”とはまるで異次元だった。


 最後に、私論でまとめよう。

 上記10浪のような人生経験ある人物こそが、医学界が欲する「医師像」ではあるまいか?!?
 
 東京医大の場合、まさか「10浪」医師を受け入れる基盤も無いのであろう。
 あくまでも新卒の医師志望者を受け入れ、まずは自分らが成し得る「指導力範囲内」での「医師国家試験合格率」を確保したい。 それぞ、本音ではあるまいか?!?

 そんな“せせこましい”ばかりの条件にいつまでもこだわりつつ、私立医科大学の存続を目指すから故に生じる齟齬が、今現在浮き彫りになってしまっているのではなかろうか??

 ここはどうか、東京医大も医学の原点に立ち戻って物事を捉えるべく出直しては如何だろうか??