原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

アインシュタインの脳が切断ブロック状態で散逸していた!

2018年08月02日 | 学問・研究
 去る2018.07.29にNHK総合テレビにて放映された、NHKスペシャル「アインシュタインの脳を追え! 死後摘出された世界に散逸した240片 見えてきた天才の秘密」を放送前より楽しみにしていた私だ。


 世界中に「天才」と呼ばれる歴史的人物は数多いが、物理学者アルベルト・アインシュタインを超越する天才は後にも先にもこの世に存在しないのではないか、と私は考えている。
 
 そんな私は、本エッセイ集バックナンバー内でアインシュタインを幾度も取り上げた。
 最近では、6月に公開した「“天才”は一日にして成らず。」
 2013年9月に公開した「『超弦理論』はパラドックスを超えて神の数式となるか?」 等々。

 上記「『超弦理論』はパラドックスを超えて……」と題するエッセイ内で、私は恐れ多くも以下の記述をしている。
 30代にして再び学問の道に入り、当時自分が目指す専門ではない哲学の一分野である「量子力学的実在論」の世界に魅了された。 
 大学の授業「科学哲学」の恩師である非常勤講師先生に「量子力学」の入門書とも言える ゲーリー・ズーカフ著「踊る物理学者たち」の紹介を受け、早速購入して多忙な日々の中時間を見つけてはむさぼるように読んだものだ。
 そして、私はまるで子どもの様に考えた。 (私がこの世に生まれ出たのはアインシュタイン没後、ほぼ半年後。 実はこの私こそがアインシュタインの生まれ変わりであり、今後一生哲学や量子力学的実在論分野の研究に勤しめるならば、何とミラクル人生なのだろう。) 
 ただ、世の中そんなに甘い訳がない。
 結局ただの凡人の私にとってのアインシュタインの存在とは、今後も我が一趣味の範囲で人生の合間にインパクトを与えてもらい楽しむ存在という事だ。
 (以上、我がエッセイ集バックナンバーより一部を引用したもの。)


 まず、ネット上で公開されているNHK当該番組に関する説明文を以下に要約引用しよう。

 放送前の予告
 天才物理学者アルバート・アインシュタイン。 その類いまれな知性はどのようにして生まれたのか、最新の脳科学からその一端が見えてきた。
 アインシュタインの脳は、1955年の死後密かに解剖されたが、今どこに存在しているのか、詳しいことは分かっていない。 今回番組では、新たに発見した手がかりをもとに、日本、アメリカ、カナダ、アルゼンチンなど世界各地を取材。 辿りついたのは、切断された100以上もの脳片を持つ人物、解剖時に撮影された数百枚の写真、 そして、アインシュタインの脳を手にしたことで数奇な人生を辿ることになった研究者たちの姿だった。
 番組では、研究者たちの協力を得て、アインシュタインの脳を初めて3DCG化、さらに、相対性理論などを生み出した20代の頃の脳を再現することに成功した。 アインシュタインの脳を世界に探し求めるロードムービーと最新の脳科学で、知られざる天才脳の秘密に迫る。

 放送後のポイント解説
 なぜアインシュタインの脳が散逸してしまったのか?
 1955年にアインシュタインが死亡した際に、病理解剖を担当したトーマス・ハーベイ氏は脳科学の研究の目的で遺族の了解をとって密かに脳を摘出していた。 その脳は240のブロックに切断され、ナンバーリングされた切断図も残っていた。
 しかし、これと言った研究成果もないまま、トーマス・ハーベイ氏は2007年に亡くなっている。 彼が亡くなる前に、アインシュタインの脳片は医師X氏に託されたそうだが、X氏が保有している脳片は240ブロックのうちの127ブロックだけ。 おそらく、ハーベイ氏は医師X氏意外にも様々な科学者と接触し、脳片を託していたのではないかと考えられる。
 番組では、散逸された脳片の行方を追跡するために、ハーベイ氏の接触していた科学者に接触し、数名の科学者に辿り着いた。 その科学者の中には、研究に失敗して責任を感じている研究者や天才脳を独占したいという気持が芽生えた科学者などがいることがわかった。 しかし、今回の取材を受け、彼らも散逸した脳を集める動きに賛同するようになる。 しかし、未だ92ブロックの行方はわかっていない。
 アインシュタインの脳の解明
 一方で、ハーベイ氏が300枚の脳の写真を残していたことから、この写真から脳を再現したところ、知性をつかさどる頭頂葉や前頭葉が通常の脳よりも大きいことがわかった。 特に、頭頂葉が左右で大きな違いが見られたことや前頭葉が異常に発達していることが特徴的だった。 頭頂葉や前頭葉は、ひらめきや発想が生まれる時に大きくかかわっている部位だと考えられている。
 また、ハーベイが残していたスライドから、グリア細胞が通常より73%も多いことがわかってきた。
 ただし、写真やスライドから解明できることには限界がある。 内部の構造などは写真からは読み取れないからだ。
 (以上、ネット情報より引用したもの。)


 上記ネット情報と重複する部分も多いが、次に、私が実際にNHKテレビ放送を視聴しつつメモ書きした当番組の内容を以下に再現しよう。
 (あくまでも私の聞き取りメモ書きのため、学術的誤りや不十分な部分が多いであろうことをお断りしておく。)

 アインシュタインの脳を切断細分化し、世界中の科学者達がブロック保存していたものを集め立体モデル化してみると、その形状から大きな特徴が判明した。
 特に上頭小葉に於いて左脳右脳で大きさが異なる事実、及び前頭葉の発達度が高いとの特徴がある事実が分かった。
 (上記ネット情報内にある)ハーベイ氏よりアインシュタインの脳切片の大半を受け取った人物“Xと名乗る医師”は2000年頃にそれらの中から特殊樹脂コーティング加工した127ブロックを引き継いだと言う。
 この事実により、アインシュタイン知性の謎に迫る研究は、後5~10年経過すれば可能だそうだ。

 アインシュタインの脳の前頭葉・頭頂葉部分を受け取った人物の中の一人、ハワイ在住のチャールズ・ボイド博士は、左前頭葉のひとつを持っていた。 博士はその切片からDNA抽出を試みたところ、残念ながら保存状態が悪く失敗に終わったとのことだ。
 ただ最新の技術によれば、壊れたサンプルのDNA解析が可能とのことだ!

 ブエノスアイレス在住のジョージ・コロンボ博士(現在79歳)も、アインシュタインの頭頂葉と後頭葉の脳ブロックを保持していた。
 博士が保持していた脳ブロックを現在分析して判明したのは、アインシュタインの“全盛期(20代頃)の脳” に溝の隙間がない事だった。 おそらくアインシュタイン幼き頃から、独自の思考があったことが伺える。 (この辺、我がメモ書きが不十分であることをお詫びする。)

 (以下は、おそらくアインシュタインの脳から離れ、NHK独自の番組構成によるものだろうが。)
 人がぼんやりと安静にしている状態の脳とは、右脳前頭葉・頭頂葉が活性化いている。 その際に“特殊な創造力”である「デフォルド・モード・ネットワーク」が脳内に形成されると、デービッド・バン・エッセン博士が唱えているとのことだ。

 今後、アインシュタインの脳のスライド標本をデジタル化するとの動きもあるらしい。
 それを成すためには、アインシュタインの脳を一カ所で保存する必要があり、とりあえずドクターX氏がその大本の役割を果たすとのことだ。 
 ただしアインシュタイン死後63年が経過し、高齢化したドクターX氏も今後の保管が重荷だと語っている。
 故に、今後のアインシュタインの脳の保管を信頼出来る他者に譲りたい、とのX氏の意向であるとの場面で、この番組は終焉した。
 (以上、原左都子のテレビ視聴メモ書きによるため、誤りがある場合お詫びしたい思いを再度記載させて頂く。)


 最後に、原左都子の私論で締めくくろう。

 いやはや科学の脅威に触れるとともに、今後の科学発展に依存しつつ、我が尊敬する世紀の天才・アインシュタイン博士の脳解析が未来に及び更に進化を遂げようとしている事実に驚愕・感動させられる。

 それにしても、人格的に信頼に値するドクターX氏が、アインシュタインの脳ブロックの数多くを保存していた事実に助けられる思いだ。 
 これがもしも、営利目的の組織等が入手していたならば、とっくの昔に“オークション”にでもかけられ、今後の更なる貴重な脳分析の可能性が途絶えた事だろう。

 アインシュタイン氏ご本人にとっては、ご自身の脳が切り刻まれた事実を受け入れ難いかもしれないが、今後の脳科学発展の基盤を築き上げるとの面目にかけて、どうがお許しいただきたくもある。