原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

幼児を集団散歩させるには日本の道路危険性が高過ぎないか?

2019年05月09日 | 時事論評
 我が家は、娘が中学生になった時点で自家用車を売り払うと同時に自転車も廃棄処分して後、一家皆で「歩行者生活」を貫いている。

 その理由は亭主と私とでは大幅に異なるのだが、両人共に車の運転が苦手だったことが第一の理由だ。 
 亭主の場合、生まれ持っての極度の近視のためその矯正をしているが、どうも特に車で遠出長旅等をすると、その後大幅に体調を崩す癖があった。 やむを得ず途中で私が運転を代わる事がよくあったが、元々運転が苦手な私にとって大きなストレスとなったものだ。
 加えて車の運転が苦手な私は、今でいう“あおり被害”によく出くわした。 命に別状はない程度の被害だったが、何故単なる「移動」に際しこんなストレスを溜めねばならないか!、実に腹立たしかったものだ。

 自転車廃棄処分に関しては、我が家特有の理由がある。
 何分、若干の不具合を持って生まれてきた娘が、小3までサリバン指導の下に続けた自転車練習特訓の甲斐無く、自転車に乗る技能が身に付かなかったのだ…  こうなったら一家皆で歩こう!との方針にきっぱり切り替え、既に長い年月が経過している。
 (いえいえ、自転車以外にも娘がやり遂げられなかった課題は盛沢山だ。 例えば小学校にて6年間課せられた「水泳」も結局1メートルとて泳げず終いだった…。 参考だが、そんな事で泣いていたのではサリバン業は決して勤まらない! )
 「車の免許」に関しても本人は最初から嫌がっているが、サリバンとしての我が判断でも娘の能力では危険性が高過ぎるとみなし、免許を取らない方針を貫いている。
 とにかく、そうでなくとも娘の教育指導とは多難を極めていた。 日々最大限の努力を重ねる娘に対し本人の負担を少しでも減らすべく、最低限身に付けるべき指導事項に絞り込む事こそが重要、とサリバンの私が考えた結果である。

 そのような経緯で「歩行者生活」を長年続けている我が家の面々は、道路交通面に於ける「歩行者」との弱者の立場を熟知している。
 
 その視点から、昨日発生した「園児の列に車突っ込み2名死亡・2名重体」との何とも悲惨な交通事故を考察することとしたい。


 以下に、本日201.05.09ネット情報より当該事件に関する報道を引用しよう。

 大津市大萱(おおがや)6の滋賀県道交差点で散歩中の保育園児らが乗用車と軽乗用車の衝突事故に巻き込まれ16人が死傷した事故で、現場近くの縁石に事故による目立った傷が残っていないことが9日、分かった。 軽乗用車は右折してきた乗用車と衝突した弾みで歩道に乗り上げており、信号待ちをしていた園児らに縁石のない横断歩道部分から突っ込んだために被害が拡大した可能性がある。 県警は軽乗用車のドライブレコーダーを解析するなどして、事故状況を調べている。
 縁石は高さ約20センチで、交差点の横断歩道部分以外に整備されている。 被害に遭ったレイモンド淡海(おうみ)保育園(同市萱野浦)の園児13人と女性保育士3人は横断歩道手前に集まり信号待ちをしていた。 縁石に軽乗用車が乗り上げた傷はなく、軽乗用車はほぼ真っすぐに園児らに突っ込んだとみられる。
 一方、乗用車を運転していた容疑者(52)=自動車運転処罰法違反(過失致傷)容疑で現行犯逮捕=が県警の調べに「前をよく見ていなかった」という趣旨の供述をしていることが分かった。 容疑者の2台後ろで車を運転していた男性によると、右折待ちで停車していると突然「ドン」という音がしたという。 軽乗用車を運転していた無職女性(62)も調べに「乗用車が急に出てきて左に避けようとハンドルを切った」という趣旨の説明をしており、県警は新立容疑者が安全を十分に確認せずに突然、右折しようとした可能性があるとみて調べる。
 (以上、ネット情報より一部を引用したもの。)


 私見及び私事に入るが。

 昨日このテレビニュース報道を見て、私が一番に愕然とさせられたのは…。
 事故現場が、予想以上に交通量が多い大規模交差点だった事実だ。
 (えっ?? こんな極めて危険な場所を2歳児を含む13名もの大勢の園児たちを歩かせていたの???)と、園側の危機意識にこそ驚愕させられたものだ。
 更に夜になり再度テレビニュース報道を見ると。 園長との人物が会見会場にて机にひれ伏して泣き崩れているではないか! こんな時に厳しい見解かもしれないが、我が教員経験者としての感覚から物申すならば、2名もの園児死者を出している保育園の園長たるもの、感情的に泣いている場合ではないはずだ! 冷静に会見に臨むべきではなかろうか? これでは犠牲園児の保護者のやり処の無い現実の辛さの上塗りをするのみだろう?!?

 常に歩行者である私も、大勢の幼児を引き連れたおそらく保育園や幼稚園軍団に日常的に公道で出くわす。
 我が家の近辺は都会にして(今回の大津市の事故現場のような大規模交差点など無く)比較的交通量が少ない場所ではある。 それでも、おそらく当該事件同様に大勢の園児数に対し、園児を引き連れ統率している指導者数が少数であるのが通常だ。 当然ながら、その種の軍団に出くわすと狭い歩道上でこちらが道を譲りつつ園児軍団が通り過ぎるのを待つのだが… 
 今までのところ我が近隣では事故は発生していないようだが、高齢者運転の車がその軍団に突っ込まないとも限らないだろう。 そのような現在の交通事情を冷静に把握・分析した上で、園は園児を引き連れて公道散歩を実行していると信じたいが…


 もちろんの事、国家や自治体が「道路交通法」に基づき自動車運転者の指導強化を執り行うこそが最優先課題であることは私も承知している。

 ただ世の現実をみると、小学生の集団登校時にせよ、中高生の自転車登下校時にせよ、交通事故の死亡者が多発し過ぎている現状だ。 
 この悲劇をとりあえず打破する手立てとして、今回の園児2名死亡事件も含め、子ども達を預かる施設や学校側こそが“本気で!”子供達の安全を早急に我が事として再考するべきと私は考えるのだが。

 車にも自転車にも乗らず(いえ、もちろん公共交通機関やタクシーは頻繁に利用していますよ。)「歩行者生活」を貫いている我が一家の面々は、歩行者との“弱者”の立場を痛い程知り尽くしている。
 そんな観点からの、今回のエッセイ執筆だ。