(冒頭写真は、2024.10.18付朝日新聞記事より転載した「キムワイプ」等の写真。)
この「キムワイプ」というものが何であるかが分かる人材は、おそらく職業経歴として医学等々の科学実験にかかわっている(った)経歴の持ち主であろう。
(参考だが、この原左都子は隣の「プロワイプ」と称する商品には縁が無い。
新聞紙面によると、「プロワイプ」は2007年のブランド展開であるらしいが。その時代には私は医学分野業務を一旦終了して、教育分野の仕事に関与していた頃だ。)
それでは、2024.10.21付朝日新聞 「ぶらっとラボ」より、「測定機器フル動員 違い分析」と題する記事を以下に要約引用しよう。
研究室で長年、愛用されている紙ワイパー「キムワイプ」(日本製紙クレシア、1969年発売)と、競合品の「プロワイプ」(王子製紙、2007年ブランド展開)の性能に違いはあるのか。 電気通信大学が所有するさまざまな測定機器を使って全力で調べた動画を公開している。
キムワイプなどの紙ワイパーはティッシュと比べ頑丈で、ふいてもけばが残りにくい。 この特性を裏付けるものは何か。 組成や強度、構造などを調べた。
用いたのは、X戦を当てて返ってくる波長から組成を分析できる蛍光X線分析装置や、最大10トンの力で引っ張ることができる万能材料試験機、2千倍まで拡大可能できる高性能顕微鏡など。
学術技師は、「キムワイプには酸化亜鉛を推定させる材料が多く、プロワイプはカルシウム系が多く入っているようだ」と話す。
引張り強度の測定では、両者約2キロまで耐えた。 試験回数は1回だが、強度はほぼ互角とみられる。
繊維の密集度合いがわかる顕微鏡の倍率100倍では、キムワイプは大小のすき間が見られ、プロワイプは比較的均質だった。 繊維1本の形がわかる500倍では違いがみられず、教授は「キムワイプはザラザラで、プロワイプは少し滑らかなのは、繊維のむらによるのかと思う」と説明する。
電通大は、中小規模の組織では導入が難しい機器を外部も利用でき、技術相談にも応じる枠組みの一角を担っており、周知する狙いがある。 動画を取りまとめた特任教授は、「電通大には21種類もの装置とスーパーヒーローが待っています」とアピールする。
(以上、朝日新聞記事より 一部を引用したもの。)
上記朝日新聞記事によると。
「キムワイプ」は1969年発売のようだ。
私が医学者として世にデビューしたのは、1970年代後半期だが。
医学部学生時代には、未だこの「キムワイプ」にはお目にかかっていなかった。 医学実験中に実験用に用いた“ふき取り紙”が何であったのかの記憶が薄れているが、おそらく普通にティッシュペーパーをしようしていたのではあるまいか?? (いえいえ、ティッシュペーパーは何を拭きとるにも便利な紙であるため、その前後を通してずっと、大して実験上大事ではない場面では活躍してくれたふき取り紙ではある。)
で、「キムワイプ」を私が実験上使用し始めたのは。
医学部卒業後就職した医学企業に於いて、である。
その時には既に、「キムワイプ」は科学実験室内での“一部の風景”と化していたことであろう。
ところがその性能に関しては、未だ医学実験者間でも十分なる理解度が無い時代であり。 ある実験者は、「キムワイプはきめが粗いため、傷つけてはならない実験対象物には利用不能だ!」なる意見を述べ始めたものだ。
それに対して私は、「そうだとすれば実験上の利用範囲が狭くなり、ふき取り紙としてさほど活躍が出来なくなる。 キムワイプは少なくともティッシュと比してかなり高額なふき取り紙のため、微細な対象物をそれでふき取るに当たり傷つけることは無いのではなかろうか??」
その辺を、おそらくメーカーに問い合わせをしたかもしれない。
そして、その後はその回答(上記朝日新聞記事と同様だったが)に安心して、キムワイプを使用し始めたものだ。
それに対して、「プロワイプ」は私はそれが販売された時期には 年代的に使用したことはない。
こちらが「キムワイプ」よりかなり後で開発されているため、おそらくその辺の研究者の誤解を招かないよう 紙質を均質にしたのではなかろうか??
とにもかくにも、この種の「科学実験」をわき役として支援する高品質の紙ワイパーの登場により。
現在の科学の発展が支えられている事実を、ひしひしと実感する我が身である。😃 😊