原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

身体の味方であるはずの免疫細胞が体内で癌細胞を増やしていた!?!

2023年02月14日 | 医学・医療・介護
 (冒頭写真は、2023.02.13付朝日新聞夕刊記事“プラットラボ” 「免疫細胞『思わぬ裏切り者』より転載したもの。)



 原左都子が医学部出身の医学関係者として社会で活躍していた時期があることについては、本エッセイ集バックナンバー内で幾度も公開して来ている。

 「医学」と言えどもその職種や専門分野は幅広いが。
 私が医学者として世に出た一番最初の時期に担当したのが、「細胞性免疫」分野であった。

 それ故に、今回の朝日新聞記事は大変興味深いものがあった。

 当時 当該医学企業の「教育課」にも所属する機会があり。
 その際に医学が専門ではない間接部門の社員を対象として“分かり易く臨床検査を解説する本”(社内限定の非売品。全2,200部発刊)を作成するとの使命があり。 ありがたくも、その著者としてこの私が任命を受けた。

 教育課の他の業務もこなしながら、空いた時間にその著作に励んだものだ。
 結果として、当初の予定通り200ページに及んで「臨床検査全般」を解説する著書を仕上げ、出版に至った。 

 その我が著書の、「細胞性免疫」に関するページの一部を以下に転載させていただこう。
         
 (このページは、私の当時の専門の「細胞性免疫」検査の原理等を図解にて説明したもの。)

 参考だが、この著書の特徴は、あくまでも“医学未経験者”を対象として著作・出版するものだったため。 “素人でも分かり易く”が一番のモットーだった。
 その“分かり易さ”の一手段として、本文の右欄に“索引コーナー”を設け、医学専門用語をすぐに検索できるように工夫したものだ。 (それでも、医学とは元々未経験者には難解であり、“分かり易さ”とは程遠い内容だったかもしれない…)




 前置きが長くなったが、表題写真の朝日新聞記事に戻り記事内容を要約引用しよう。

 日本人の死因第1位である「がん」。 その中でも死亡数が多い肺がんを体の味方であるはずの免疫細胞が増やしていることを、大阪大などの研究チームがマウス実験で明らかにした。
 同大教授によると、「思わぬ裏切り者」だと判明したのは肺胞マクロファージという免疫細胞。 肺にだけ存在し、普段は外気から体内に侵入してきた細菌やウィルスを食べて排除している。
 通常、免疫細胞はがん細胞を攻撃することでがん化を抑えていると考えられている。 そのため教授らは「肺胞マクロファージも、肺がんを抑制する働きをしているだろう」と想定していた。 (中略)
 ところが、この免疫細胞があるマウスよりもそれをなくしたマウスの方が、肺がんが小さくなることが分かった。
 教授は、「マクロファージががんを排除できないどころか、増やすというショッキングな結果になり、当初のストーリーが崩れた」と振り返る。
 なぜ免疫細胞が無い方が、がん細胞が増殖しないのか。 さらに遺伝子の変化を解析すると、肺胞マクロファージは肺がん細胞があると、アクチビンAと言うたんぱく質を出す状態になっていた。 このアクチビンAが、肺がんを増やすことがわかった。(中略)
 一方で、アクチビンAを検出できれば、肺がんの早期発見につながる技術が期待でき、アクチビンAを作れないようにすれば、肺がんの増殖を抑えられる可能性があるという。 教授は「がんが育ちやすい環境を制御する治療法につながるかもしれない」と話す。

 (以上、朝日新聞記事より一部を引用したもの。)




 最後に、感想を書かせていただこう。

 この原左都子が医学関係の職務から離れて以降、20年近い年月が流れている。
 中でも、私の医学業務の原点であった「免疫細胞」関連業務に関しては、その場を去ってから30年以上の年月が経過している。

 それでも私の医学の原点はまさに「免疫細胞」であり、来る日も来る日も顕微鏡でそれらの細胞を眺めていた時代が実に懐かしく思い起される。
 
 本日、その「免疫細胞」(今回の場合は“マクロファージ”だったが)に朝日新聞紙上で再び巡り会えたこの“偶然”が実に懐かく嬉しい。

 思わず我が著書である古びた書物を書棚から取り出して。
 一時その一部を読み直してみたら、(自画自賛で恐縮だが)実によくできた医学著書として仕上がっていて安心した。😜 😖 😷 


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