礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

映画『ニュールンベルグ裁判』(1961)を観た

2017-10-23 03:41:45 | コラムと名言

◎映画『ニュールンベルグ裁判』(1961)を観た

 スタンリー・クレーマー監督の映画『ニュールンベルグ裁判』(MGM、一九六一)を観た。よかった、考えさせられた。傑作だと思った。
 この映画のことは、ずっと以前から知っていたし、ぜひ観たいとも思っていたが、なかなか観る機会がなく、今日にいたってしまった。結局、アマゾンでDVDを購入して鑑賞した。
 まだ、この映画を観ておられない方のために、いくつか情報を提供しておきたい。
 この映画は、ゲーリング、ヘス、リッベントロップなど、第三帝国の首脳が、ニュールンベルグで裁かれた「ニュールンベルグ国際裁判」を描いたものではない。その国際裁判のあとに、同じくニュールンベルグで、アメリカがおこなった「ニュールンベルグ継続裁判」を描いたものである。
 この映画で描かれるのは、その「ニュールンベルグ継続裁判」の一部、ナチ政権下、エルンスト・ヤニングら四人の法律家が関わった「ふたつの裁判」についての裁判である。この「ふたつの裁判」の是非が、あるいは、この「ふたつの裁判」に関わった裁判官の責任が、争われた裁判である。
 この映画は、実写の記録映画ではなく、また、実際の裁判を再現したものでもない。事件・人物等は、あくまでもフィクションである。ただし、全くのフィクションというわけではなく、事件あるいは人物には、モデルとなった事件、モデルとなった人物が存在していたと思われる。
 この映画は、非常に長い。編集の仕方にも依るのだろうが、私が入手したDVD(20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社)は、本編179分とあった。たしかに長いが、観ていて長さを感じさせない。これは、脚本(アビー・マンAbby Mann)が優れているからであろう。
 俳優陣がまたすばらしい。いずれ劣らぬ名優たちが、適切な役柄に配され、実に達者な演技を見せている。ダン・ヘイウッド判事にスペンサー・トレーシー、エルンスト・ヤニング元判事にバート・ランカスター、検事にリチャード・ウィドマーク、弁護人にマキシミリアン・シェル、断種法に関わる裁判の証人にモンゴメリー・クリフト、「ドイツの血とドイツの名誉の保護のための法律」に関わる裁判の証人にジュディー・ガーランド、夫がニュールンベルグ国際裁判で、すでに死刑になっているベルホルト夫人にマレーネ・ディートリッヒ、こんな感じである。
 この映画が封切られたのは、一九六一年(昭和三六)一二月一九日だという。これは偶然なのか、同年の四月一一日に、イスラエルでアドルフ・アイヒマンの裁判が始まり、同年一二月一五日、死刑という判決が下されている。【この話、続く】

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