礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

スペンサー・トレーシーとバート・ランカスター

2017-10-24 05:54:41 | コラムと名言

◎スペンサー・トレーシーとバート・ランカスター

 昨日の続きである。映画『ニュールンベルグ裁判』(一九六一)については、いろいろ述べたいことがあるが、本日は、そのキャストについて述べてみたいと思う。
 まず、主役であるダン・ヘイウッド判事を演じたスペンサー・トレーシー。この人が出た映画は、これまで、ずいぶん観てきたが、最近、観たものとしては『東京上空三十秒』(MGM、一九四四)がある。この映画で、スペンサー・トレーシーは、いわゆる「ドーリットル空襲」を立案し、指揮したドーリットル陸軍中佐を演じている。出番は多くないが、短く印象的な演説をおこなう場面などで、存在感を示している。
『東京上空三十秒』でドーリットル中佐を演じたときのスペンサー・トレーシーは、四四歳。『ニュールンベルグ裁判』でヘイウッド判事を演じたときの彼は、六一歳である。後者について言えば、役作りということもあるのだろうが、実年齢よりもかなり老けて見える。なお、彼は、一九六七年に六七歳で死んでいる。死因は心臓発作である。
 次に、被告で元判事のエルンスト・ヤニングを演じたバート・ランカスター。この人が出た映画も、これまで、数えきれないほど観た。最も印象に残っているのは、ジョン・フランケンハイマー監督の『終身犯』(ユナイテッド・アーティスツ、一九六二)である。ここで、バート・ランカスターは、主役の終身犯ロバート・ストラウドを演じている。さらに、彼は、フィル・アルデン・ロビンソン監督の『フィールド・オブ・ドリーム』(ユニバーサル・ピクチャーズ、一九八九)にも、老医師の役で登場していた。一九九四年に、八〇歳で死亡。死因は心臓麻痺。
 映画『ニュールンベルグ裁判』は、スペンサー・トレーシーとバート・ランカスターのふたりが主役である。そして、このふたりが、片やヘイウッド判事、片やヤニング被告として、法廷で対峙する。判事は、この被告に敬意を払い、一方、被告は、自己の罪を認めることによって、裁判の流れを変える。
 ストーリーの上では、必ずしも、判事と被告とが「対決」するわけではない。しかし、演技の上では、明らかに、にスペンサー・トレーシーとバート・ランカスターという両名優が、「対決」している。その対決を存分に味わえるのが、この『ニュールンベルグ裁判』という映画である。なお、映画のラストは、このふたりが短い会話を交わす場面である。【この話、さらに続く】

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