◎映画『松川事件』(1961)を鑑賞した
山本薩夫監督の映画『松川事件』を、ビデオで鑑賞した。何の先入観もなく見たが、力のある傑作だと思った。ただし、一六二分は長い。見終わるまでに数日を要した。
法廷のシーンはリアルで迫力があるが、被告人・弁護人の発言を、過度に感情的に描いているという印象も抱いた。映画は、最高裁の判決を待つところで終わる。
それにしても、キャストが豪華である。しかも皆、演技が達者である。特に、年配の弁護人を演じた千田是也〈センダ・コレヤ〉、福島地裁の裁判長を演じた鶴丸睦彦〈ツルマル・ムツヒコ〉、仙台高裁の裁判長を演じた加藤嘉〈カトウ・ヨシ〉、赤間被告の祖母を演じた五月藤江〈サツキ・フジエ〉の演技が光っていたように思う。
一九六一年(昭和三六)の映画だという。出てくる光景は実写だと思うが、いかにも古い。駅舎、街並、自動車、オートバイ等々。古いが、同時に、ひどく懐かしかった。