◎『民法典との訣別』では、検索結果0件
一昨日のブログでは、舟橋諄一の「私の八月十五日」という文章を紹介した。その中で舟橋は、『民法典との訣別』という著書に触れ、この本は、ほとんど配給のルートに乗らなかったと述べていた。
いま、国立国会図書館サーチで「詳細検索」のページを開き、「図書」の欄にチェックを入れ、「タイトル」のところに「民法典との訣別」と入力してみる。すると、「検索結果0件」と出る。一瞬、この本は、国会図書館にも納本されなかったのかと思う。
念のため、「著者・編者」のところに「舟橋諄一」と入力して再検索すると、19件がヒットする。その中に、『民法典への訣別』が含まれている。すなわち、国立国会図書館のデータには、「民法典への訣別」という書名で登録されているのである。
今から数年前、私は、古書店でこの本を入手した記憶がある。探してみると、すぐに見つかった。
背表紙には、「民法典との訣別 舟橋諄一訳著」とあり、表紙には、「民法典との訣別/舟橋諄一訳著/福岡 大坪惇信堂 発行」とある。しかし本扉には、「九州帝国大学教授 舟橋諄一著/民法典への訣別/法政研究叢書⑴」とある。
すなわち、国立国会図書館は、本扉にある「民法典への訣別」を、同書の書名として登録していたのである。
参考までに、奥付には、次のようにある。
昭和十九年十二月五日初版印刷
昭和十九年十二月十日初版発行 (一、五〇〇部)
民法典との訣別 停 定 価 弐円七拾銭
特別行為税相当額 弐拾八銭
合 計 金弐円九拾八銭
著 者 舟 橋 諄 一【ふなばしじゆんいち】
発行者 福岡市黒金町八番地
大 坪 敏 吉
印刷所 東京都牛込区市谷加賀町一丁目十二番地
大日本印刷株式会社
印刷者 東京都牛込区市谷加賀町一丁目十二番地
(東京一)安達信雄
発行所 福岡市黒金町八番地
惇 信 堂
配給元 東京都神田区淡路町二丁目九番地
日本出版配給株式会社
奥付にも「民法典との訣別」とある。書名としては、やはり『民法典との訣別』を採るべきであろう。国立国会図書館に是正を求めたい。【この話、続く】