たとえがちょっと不謹慎ですが、テレビの競馬の中継を見るとはなしに見ていたら、実況がとても面白いことに気付きました。
バシャッとゲートが開いて各馬一斉にスタートしたその瞬間の実況は、レース後半から終盤にかけてのまくし立てるような興奮口調とは違い、実に静かなんですね。
押し殺したようなといいますか、或いは一人静かに詩でも諳んじるような、そんな呟き口調でレースの始まりを伝える。
教室に入ってくる生徒たちを連想しました。
或る子はドアを開けるなり元気いっぱい「こんにちはあっ」といって挨拶してから自分のブースに入る。
またある子は、恥ずかしそうな、はにかんだような様子で入ってきて、小さな声で「こんにちは」と呟いて自分の席につく。
はじめのうち、私は各自に「元気いっぱい声を出して入ってこーい!」というのが常でしたが、今は少し変わりました。
基本的に挨拶の言葉を交わすのはウチのルールではありますが、生徒には生徒なりに個性があって、全ての子が一様に元気を前面に出せるわけではないのですね。
中にはゲートが開いた瞬間、ごくごく静かにこれを実況するのが相応しいような子も居るのだと最近思うようになりました。
たとえが不謹慎ですみません。
ちなみに私は競馬を含め、賭け事は一切やりません。