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転載:メディアとイスラエルの共犯―罠にはまっている私たち

2009年01月21日 18時31分39秒 | その他の国際問題
 
※画像解説:
 ガザの国連施設を空爆するイスラエル。(出典:時事通信)
 ここで使われているのは「白燐弾」では無いのか?


<メディアとイスラエルの共犯―罠にはまっている私たち>

●メディアの偏った報道―視聴者から見るはなはだしい不公正
11日、日曜日午後6時のNHK「海外ネット」のパレスチナ報道をみた。
一見、ガザ市民の無差別な被害を憂えるトーンではあった。
しかし報道時間の7割はイスラエル政府報道官の攻撃理由の説明に費やされ、ハマース側の停戦破棄と反撃の理由にはインタビューさえもない。
使われた映像も、ガザ現地からのものは無く(ジャーナリストが締め出されているのだから已む無いとしても)、いつ取材したか分からないイスラエルの垂れ流した覆面ハマースの訓練場面を繰り返し映し出す手法。
あたかもハマースが「テロリスト」の代表であるかのように。

これと同じ場面を、かつても観たことがある。
9・11直後のアフガニスタン侵攻のときのアルカイダ、そしてイラク戦開始時のフセイン「幻の大量破壊兵器」のときである。
アメリカもイスラエルも、「敵」を徹底的に悪の象徴として喧伝する手法は、インターネット時代の今日、ナチのゲッベルスを百万倍も凌いで全世界を覆う。
NHKと大新聞は(そして民放も)、イスラエルの与えたフレームにすっぽり嵌っている。
紛争や戦争を憂えるふりをして、その原因は「敵=テロリスト」にあるという報道の構図は一貫している。

●イスラエル・プロパガンダの三点セット・フレーム
1、ハマース(あるいはヒズボラ)やパレスチナ民衆の攻撃からイスラエルは「自国を防衛する」権利がある。
2、停戦を破棄しカッサムロケット弾でイスラエル民間人を攻撃しているハマースが悪い。
3、「国際テロリスト」ハマース、ヒズボラ、イランはイスラエル国家を認めず「地図上から抹殺すべし」と言っている。

BBC、CNN、NHKのビッグTV局、大手新聞など世界の巨大メディアは、この三点セットの枠組み(フレーム)の中でガザ空爆やパレスチナ問題を報道・放映している。


●前提の大嘘
この三点セットを批判する前に、二つの大嘘をメディアは触れようとせず暴こうともしない。

第一は、ハマースもパレスチナもイスラエルと「対等の国家」ではない!
したがってハマースにもパレスチナにも「国家」や「国防軍」のようなものは存在せず軍事的能力はほとんど無い!
片や世界第4位の核軍事力を擁し、クラスターから劣化ウラン弾、白リン弾、バンカーバスターまであらゆる新兵器の実験場をつくっている戦争犯罪国家である。

これに抵抗するパレスチナ人は、まず投石や銃、砂糖などを燃料にした手製カッサムロケット砲。

このまったくの非対称な軍事力の差をメディアは対比せず、あたかも「両者対等」であるかのように描き出す。

第二の大嘘は、すべての元凶である「軍事占領」しているという冷厳な事実に触れないことである。

パレスチナ人の基本は、全生活を不自由にしている不当な軍事占領に抵抗し戦っているという積年の事実を、すべてのメディアは触れようとしないか掘り下げようとしない!
それは欧米が、「国際社会」がそれを認めているからだ。
この元凶を隠蔽し続けるかのように全メディアは、これらのことを暴いたり関連付けたりせずに、「過激派ハマースの脅威」を針小棒大に描き出し目先の現象に人々を縛り付けておく。

こうした欧米中心の「国際社会」の大嘘と闘いつづけているのが、この60年のパレスチナ人なのだ!

●イスラエル・プロパガンダ三点セットへの批判
1、パレスチナ人は、60年間もイスラエルの侵略と攻撃から土地と民族を防衛するために戦ってきたのだ!
 イスラエルの日常の攻撃、略奪、暗殺、破壊、そして全パレスチナ人への抑圧と弾圧を放映・報道することなしに、イスラエルの「防衛権利」ばかりを誇大に垂れ流すメディア。
 まるでガザのパレスチナ人に生活防衛の権利などないかのように!

2、2ヶ月前から停戦を破っているのは、イスラエルだ!
 昨年11月、12月と幾度も停戦期間中にガザを空爆していたのは、イスラエルだ。
 停戦期間中にハマースが約束を履行していたことは、イスラエル高官でさえ認めている。
 ハマースが攻撃を再開したのは、イスラエルが攻撃したあとだ。
 しかも停戦期間中、イスラエルはインシュリンなどの医薬品から医療備品、食料、電力が途絶えるまでラファやエレツの封鎖を強化してきたのは、ハマースのロケット弾攻撃を阻止するためなのか!
 ハマース以外の市民を攻撃しないというイスラエルがなぜ、モスクや病院、医師、救急車、救急隊員、国連の学校や職員・輸送車、漁船や女子寮を爆撃しなければならないのか?

3、だれもイスラエルを「抹殺」とは言っていない!
 ハマースはずーっと前から、「軍事占領しているイスラエルは認めない。せめて67年国境線(グリーンライン)まで撤退したなら、交渉に応ずる」と言ってきた。
 ハマース指導者が交渉に手を指しのばすと、ミサイルのピンポイント爆撃で爆殺してきたのはイスラエルだ。
 イランのアフマディネジャドも「地図上から抹殺」と言ったのではなくホメイニ発言を引用して「エルサレムを占領している現在のイスラエル政府は歴史から消え去らねばならない」と述べたのである。
 メディアは好んでこの「抹殺」を繰り返し、「テロリスト」のイメージ作りを増幅させている。

この三点セット情報を全世界10億の民に流すと、あらゆる虐殺に正当性が与えられイスラエルは大威張りで「テロリストと戦っている」と強弁できるのである。

●ハマースを殲滅することは、150万人ガザ市民を殲滅すること
「イスラーム抵抗運動」というハマースは、周知のように民生部門で全ガザ住民の生活・教育・福祉を支えている。
ヨーロッパをはじめ歴史的な各地のレジスタンス運動と同様、民衆に深く根ざしたハマースをあの人口密集地で殲滅するということは、いま現下で無慈悲に行われているように大虐殺にならざるを得ないことは火を見るよりも明らかだ。
ハマースは民間人を盾に使っている…?
手で運べる移動式カッサムが市街地にあれば、全民衆が虐殺対象となる。
ハマースはガザを実効支配している…?
ガザの領空・領海・領土を支配しているのは、イスラエルだ!

●民主主義の二枚舌―欧米は、民主主義を抹殺するのか?
ハマースは「まったく模範的で民主的な選挙」(カーター元大統領)で選ばれた正当な政権である。
それをはじめから経済封鎖し自治政府を分裂させ政権から追い落としてきたのは、イスラエルだけではなくアメリカ、EU、ロシア、中国、日本だ。
「国際社会」の二枚舌こそ民主主義をはてしなく形骸化させている。
メディアは一貫してこのダブルスタンダードを当然のように扱い、あまつさえファタハとの「内紛」のせいにしてほうかむりしている当の「国際社会」を裁こうとはしない。
そして私たちは、この二枚舌の傘の下で無関心を装うことができるのだ。

●ハマースを口実に、全パレスチナ人を攻撃しているイスラエル
今回のガザ侵攻は、けっしてハマースとイスラエルの「紛争」ではない。
西岸では、延命をはかるアッバスのもとで自治政府警察やファタハが民衆のガザ連帯デモを鎮圧しイスラエル占領軍のエルサレムやチェックポイントでの警備・抑圧が強化され若者の犠牲者が急増している。
じつはイスラエルは、パレスチナの「抵抗運動」そのものを殲滅したいのである。
西岸や450万難民、すべてのパレスチナ人への攻撃だということは、すこし歴史をさかのぼれば分かることだ。
しかしこれを語っているメディアはすくない。

パレスチナ人がもはや組織的に抵抗できないように、西岸地区を三つのバンツースタンに閉じ込め、イスラエル占領軍の巨大な検問所が出入り口をコントロールしアメリカの武器をもつ自治政府警察に鎮圧させている。
全長700キロ高さ8メートルの分離壁も「自爆テロ」からイスラエルを守るためではなく、入植地を守るためだけでもなく、なによりもパレスチナ人が占領に抵抗できないように閉じ込めておくために建設されている。

占領に抵抗するハマースの戦いは、全パレスチナ人の戦いだ。
西岸でも売国奴アッバスからは勿論ファタハからもつぎつぎと離れ、底辺からハマース支持がひろがっている。
どんな虐殺があっても、パレスチナ存在の大義は失われることがない。
それは彼らの生存理由だからだ。60年の歴史がそれを証明している。

●「暴力の応酬」「報復の連鎖」という隠蔽言説
とくに9・11後、この言葉が常套句となった。
すべてのメディア、多くの「平和活動家」たちでさえこのフレームの上で「平和」を語ってきた。
あたかも憐れみとヒューマニティをもつ「われわれ」こそ「平和愛好者」であり「中立者」であり、まるで「双方」が自分たちの平穏をかき乱したのだといわんばかりである。世界中に不当な支配と闘っている人々がいるのに、
日本では皆がみな戦わなくとも「平和」でありうると思いこんで、「紛争」はいけないと目をひそめる。

「あんなロケットなんか飛ばさなきゃいいのにね。
そしたらこんな被害も起きないのに…」とある人がため息混じりに言った。
またある人は「どっちもどっちだね」と。
こういう受け止め方を許していることが、イスラエル=「国際社会」=メディアたちの共犯の「成果」なのだ。
「どっちもどっち」「暴力の応酬」「報復の連鎖」と言っているあいだ、「国際社会」の躊躇に促されて虐殺はつづいていく…。

●犯罪国家イスラエルに制裁を!戦争指導者を国際法廷に!そしてボイコットを!
イスラエルはテロで不法に占領した60年前の「建国」以来、軍事的膨張主義で領土を侵略拡大してきた。
今回のような抵抗に対する「集団懲罰」は、イスラエルのお家芸だ。
それはとりもなおさず、パレスチナ人の血の犠牲の上になされてきたことである。
イスラエル発の「反テロ戦争」は「国際社会」の常識と化した時点で、大量無差別虐殺という正体を白日の下にさらした。
そして、このガザ虐殺を90%の国民が支持するという、
悪魔の国と化したイスラエルはナチの再来を髣髴とさせる。
60年間の歴史のすべてが、違法・不法・犯罪のデパートのようなこの国家を許容してきたのは「欧米国際社会」である。

650万イスラエル国民のためにも、来るべき国際正義のためにも、世界民衆の未来のためにも、いまこそイスラエルの野蛮を糺し虐殺中止の世界中の声をひとつにしなければならない。
戦争指導者を国際法廷に引きずり出し、経済制裁を、ボイコットを実現すべき時だ。
あらゆる人間のいのちと尊厳、正義のために。そのときメディアの役割は甚大だ。

                  2009年1月13日
                  パレスチナ連帯・札幌  松元保昭
**************************
(転載終了)

 以上、転載・転送歓迎という事なので、AMLから、当ブログにも転載しておきます(但し、読みやすくする為に、必要最小限度の改行を施しました)。

 90年代の湾岸戦争以降、ともすれば、米軍やイスラエルの側からの従軍報道ばかりが、メディアの中でやたら幅を利かせる様になりました。そんな中にあって、ややもすれば私たちも、知らず知らずのうちに、加害者も加害者も十把一絡げに「どっちもどっち」と捉えてしまう愚を冒しているのではないか、という想いがあります。
 上記の「『暴力の応酬』『報復の連鎖』という隠蔽言説」の項を読み、とりわけ、その事を強く感じました。パレスチナとイスラエルの戦いが、前者に対する後者の一方的簒奪にしか他ならないのに、それを恰も両者が対等な戦いであるかの様に、看做してこなかったか。まずは、それに対する自戒の意味も込めて、こちらに転載しました。

 その一方で、上記論評には、やはり100%賛成は出来ないのも、また事実です。確かに、今のイスラエル国内では、右翼のリクードのみならず、「中道」のカディマや「左派」の労働党までもが、ガザ侵略を容認するに至っています。しかし、だからといって、イスラエル全体を「悪魔の国」と決めつける立場には、賛成致しかねます。それでは、ブッシュによる「悪の枢軸」論の、裏返しでしかありません。
 ハマスも、反侵略・レジスタンスを言うのなら、シオニストに包囲されながらも、しぶとく反戦運動を展開している、イスラエル国内の左派・アラブ系市民との連帯を、何故模索しないのか? 国際連帯の視点を欠いたレジスタンスでは、ただの排外主義にしか為らないのでは。その言う事も含めて、考える上での素材として、上記論評の転載に踏み切った、というのもあります。

 本当は、もっと早めに、もっと本格的に、この問題を掘り下げるつもりでしたが、実はこの間風邪を引いてしまい、そこまで出来ませんでした。このガザ・パレスチナ紛争については、また後日にでも、別途取り上げてみたいと思っています。
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