アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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私から片山さつき参院議員に送ったメール全文

2012年05月31日 20時59分37秒 | 一人も自殺者の出ない世の中を
 初めまして。突然のメールにて失礼します。例の河本母子の生活保護受給の件で、先生に何点かお尋ねしたい点がございまして、メール差し上げた次第です。
 その第一点は、「そもそも河本母子は世論の指弾を浴びる程悪い事をしたのか」という点です。かつて子が低収入だった時期に母が生活保護を受けるようになったが、子の増収による仕送りで生活保護受給額が減らされ、最終的に保護辞退に至った。その仕送り額や受給減額の程度、辞退のタイミングについては色々議論があるでしょうが、その都度福祉事務所とは相談しながらやってきた事については、何ら違法性はありません。後は道義的な部分で議論があるに過ぎない。謂わば「収入の何割を仕送りに回すか」という話で、「出来れば多いにこした事はない」し、「余りにも少なすぎるのは如何なものか」という議論はある。しかし、それは人それぞれであり、当事者が話し合えば良い話であって、第三者の政治家が道徳を振りかざして民事介入すべき事ではありません。若しそんな理屈が通ってしまうなら、戦時中の「贅沢は敵だ」みたいに、国民は自由におしゃれも出来なくなります。
 第二点は、上記と関連して「生活保護上の家族の扶養義務の捉え方が余りにも狭量過ぎはしないか」という点です。確かに生活保護法第77条には、「家族の扶養義務が公的扶助に優先する」との規定があります。しかし、それはあくまでも優先規定にしか過ぎず、生活保護適用の絶対要件ではない筈です。幾ら形式上は扶養義務者がいても、実際はDVや離縁などで援助なんて求められない人も決して少なくありません。そんな人に杓子定規にこの規定を適用しても、行政による古傷暴きやセカンドレイプにしかならず、DV被害者に至っては身元が割れて再び被害に遭う可能性すらあります。現に、ここ数年、北九州や札幌などで生活保護門前払いの「水際作戦」による餓死者が続出しているのも、行政がこの規定を杓子定規に適用したからではありませんか。
 第三点は、「不正受給だけが生活保護の問題点なのか」という点です。
 ①「生活保護受給者が200万人を超え史上最高記録を更新中」ですが、そもそも受給者と同等かそれ以下の相対的貧困層(年収200万円以下のワーキングプア)が全労働人口の約16%、1千万人は確実にいると言われる中で、実際の受給者が200万人しかおらず、残りは放置されている漏給(受給漏れ)の現状の方がよっぽど大問題ではないでしょうか。
 ②生活保護激増の背景には、年金も最低賃金も失業保険も先進国中最下位の給付水準に甘んじる中で、「生活保護ぐらいしかまともに機能しているセーフティネットがない」という面もあります。受給者を食い物にする「貧困ビジネス」にしても、安価な公営住宅を用意できない役所が彼らを必要悪として見逃し泳がせてきた面がある。問題は、寧ろそういった低年金や住宅難などの低福祉にあるのであって、そこを正さない限り生活保護だけを叩いても意味はないと思いますが、その点については如何お考えですか。
 ③かつては生活保護受給額もパンツ1着買えないほどの低給付でした。それを1950年代に故・朝日茂さんが「人間裁判」を闘う中で、「憲法25条の生存権保障は国民の基本的人権であって、単なる選挙公約などではない。それを予算の都合などで放棄する事は許されない」という認識が国民全体に広まったからこそ、今の給付水準にまで到達したのです。昨今、低年金や低賃金と比べて生活保護の「厚遇」ぶりがマスコミなどで取り上げられています。私は、そんな議論こそ「下見て暮らせ傘の下」の卑屈な発想に基づくものであり、朝日茂さんの意志を踏みにじり、歴史の歯車を昔に戻す「反動」思想でしかないと思いますが、その点については如何お考えですか。
 ④そもそも、何故そんな状況に立ち至ったのか。生活保護受給者が激増したのも、自殺者が毎年三万人を超えるようになったのも、ブラック企業がのさばり労働災害が増加の一途を辿るようになったのも、90年代後半以降の大企業による正社員リストラや、3%から5%への消費税増税、労基法・派遣法の相次ぐ改悪による偽装請負などの違法行為の横行が原因ではないですか。リーマンショックなんてその最たるものでしょう。その根本原因を作った悪政を糺さずに、生活保護受給件数の僅か0.3%しかない不正受給だけを言い募るのは、「弱者叩き」による鬱憤晴らし以外の何物でもないと思いますが、その点については如何お考えですか。
 第四点は、今回の事件の社会的影響についてです。先生は世耕弘成議員とともに自民党の生活保護見直しプロジェクトチームの一員であると聞き及んでいます。今回の件で小宮山厚労相が早速、生活保護受給額の1割削減を言い出しています。先生にとっては正に「してやったり」という所でしょうが、私は、そんな事をしても不正受給は減らないし、寧ろ生活保護の申請にブレーキがかかり今以上に餓死者が増えるだけだと危惧していますが、その点については如何お考えでしょうか。

 私にとっても生活保護見直し問題は決して他人事ではありません。今はどうにか生活保護のお世話にならずに済んでいますが、低賃金で何の保障もない非正規職で食べていくのがやっとこそさの状況で、持病の腰痛も次第に悪化してくる中で、いつ何時私も生活保護のお世話にならざるを得ないとも限りません。しかし、生活保護受給がまるで何か悪い事のように言われる昨今の風潮の中では、それもままなりません。世間の心無い人たちは生活保護受給者を「ゴネ得」と謗ったりしますが、寧ろ世間のそういった差別こそが、生活保護受給者を自暴自棄に追いやり、パチンコ依存症などにさせているのだと思います。
 また、私はつい最近、高齢の母親を病気で亡くしましたが、母は私も含めて家族があれだけやかましく言っても、最後まで医者にかかりませんでした。そして最後の最後になって救急搬送され病院で亡くなりました。自民党の伊吹元大臣が、かつて国民に対して「人権を優遇され過ぎている」という意味で「人権メタボ」と揶揄された事がありましたが、寧ろ私は逆ではないかと思います。戦前生まれで我慢する事しか知らず、医療を受けるという当然の権利すら、何か世間に迷惑をかけるように思っていた母こそが、「人権飢餓」の犠牲者ではないかと思っています。
 もうこんな悲劇は二度と繰り返したくありません。世論の喚起を促すためには、本メールのウェブ公開も辞さない覚悟です。以上の諸点について、先生のお考えを是非拝聴したく、不躾は承知の上で敢えてメールした次第です。お返事もメールにて返信いただければ幸甚に存じます。
コメント (2)
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