今こそ変えよう!家族法―婚外子差別・選択的夫婦別姓を考える | |
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・違憲判断出たのに… 婚外子規定の削除 自民保守派が抵抗(東京新聞)
自民党の保守系有志議員が二十四日、結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を、法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分とする民法規定を違憲とした最高裁決定に関する勉強会を国会内で開いた。違憲判断を受けた法改正について、拙速な党内手続きに反対する方針を決め、来週にも家族制度の在り方を考える議員連盟を設立することも確認した。政府が目指す今国会中の民法改正は波乱含みとなっている。
勉強会には、西川京子文部科学副大臣や木原稔防衛政務官ら約二十人が出席した。民法改正に関し「家族制度が壊れる」「正妻の子と愛人の子を同じ扱いにしていいのか」との異論が噴出した。
自民党は、憲法改正草案に「家族の尊重」を明記した経緯があり、勉強会に参加した若手議員は「保守政党として家族を重視する姿勢を打ち出すべきだ」と強調した。
一方、自民党の高市早苗政調会長は二十四日夜のBS11番組で「日本の家族観に合った規定だと思っていたので、ものすごく悔しいが、最高裁で違憲判断が出た以上、政府は民法を改正する責務がある」と述べ、早期改正が必要との認識を示した。
自民党は二十五日に法務部会を開催し、民法改正案を議論する。部会幹部は「了承を取り付ける時期はまだ決められない」としている。
最高裁大法廷は九月、民法規定を「法の下の平等を定めた憲法に反する」と判断した。政府はこの規定を削除する法改正を急いでいる。
早期改正を求める公明党幹部は自民党内の議論について「時代遅れだ。生まれた時点で不平等な扱いを受けるのはおかしい」と指摘した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013102502000127.html
・「わたし個人も、生まれたときは非嫡出子」自民・野田氏(朝日新聞)
野田聖子・自民党総務会長
最高裁で裁判官全員が(結婚していない男女間に生まれた「婚外子」の遺産相続分に格差を設けた民法の規定を違憲と)判断した。立法府としてちゃんと尊重しなければならない。わたし個人も、生まれたときは非嫡出(ちゃくしゅつ)子(婚外子)です。ただ、わたしの場合は父と母が(後に)法律婚をしたことで、それがなくなっただけ。わたし個人も一時期、そうだったことで、なぜそういうことになるのかなという素朴な疑問を持っている一人だ。子どもは何ら責めを負う必要はない。婚姻と子どもと、(問題を)きちんと分離して、子どもの人権について今回そういうこと(違憲判決)を言われているんだという議論をなすべきだ。婚姻は大人の世界ですから。(記者会見で)
http://www.asahi.com/articles/TKY201311010431.html
山本太郎の天皇直訴事件と前後して、上記のニュースがネットに流れました。最高裁が、遺産相続上での婚外子と嫡出子との間の差別について違憲判断を下した事に対して、自民党内の保守派が強硬に反対しているというニュースです。
その反対理由を読んで呆れました。「家族制度が壊れる」「正妻の子と愛人の子を同じ扱いにしていいのか」というのがその理由なのだそうですが、そもそも「正妻の子」であろうが「愛人の子」であろうが同じ人間には変わりはありません。同じ人間としてみな平等です。差別があって良い筈はないでしょう。憲法14条において「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とある通りです。既に他の先進国ではこんな差別なぞとっくに撤廃され、今や日本だけが国連人権委員会から是正勧告を食らうまでになってしまったと言うのに。
ネットでの反対論にもざっと目を通しましたが、「正式な子供(嫡出子)が、親を必死で介護して来て、親の死後ようやく遺産が手に入れられると思ったら、どこの馬の骨とも分からない私生児(婚外子)がいきなり出て来て、俺にも遺産を均等に寄こせって、それはないよな」というのが、その反対理由だそうですが、アホかと思いますね。別に最初から別居している婚外子ばかりではないでしょう。同じ屋根の下で家族同然に暮らしていたとしても、実は兄弟の一人だけは婚外子だったという場合だってあるのですから。その場合に、婚外子だからという理由だけで、何故、他の家族の前で公然と差別されなければならないのでしょうか。「それはないよな」とか言うのは、あくまで嫡出子からの一方的な見方にしか過ぎません。自分がもし婚外子だったとしても、果たしてそんな差別を受け入れる事ができるのでしょうか。
確かに嫡出子としては、今回の違憲判断には感情的に納得いかない部分もあるでしょうが、それも恨むなら「愛人の子」を産んだ親こそ恨むべきなのに、親には何も言えずに、何の罪もない子供(婚外子)に八つ当たりするのは筋違いというものです。婚外子を産んだ結果に責任を取らず、そのくせ「金は絶対に渡さない」と言うのも、東電や和民その他のブラック企業経営者の姿勢と全く同じ。
「家族制度が壊れる」という理由に至っては、もはや論外です。そんな遺産相続の骨肉の争いで壊れるような修羅の家族なぞ、別に今の制度のままでもとっくに壊れています。昨今、幼児虐待や育児放棄の事件が新聞の三面記事やテレビのワイドショーで良く取り上げられますが、その手の事件も、家族制度が今や崩壊しつつある事の証でしょう。正社員がリストラされてどんどん非正規雇用に置き換えられ、結婚したくてもできない、結婚しても自分たちだけでは家賃も払えず、実家から援助してもらってようやく暮らしていけてたけど、その実家の親もやがて年老いて亡くなり、自分たちも気が付けば高齢者の仲間入り。そんな中で、病んだ親が幼児虐待や育児放棄に走るようになる。その原因を作ったのはそもそも一体誰ですか。自民党政府や財界じゃないですか。その家族崩壊の一番の元凶には何も言えず、女性をセックスの対象としてしか見ず「愛人」や「妾」を平気で作る親の「モラル」や「道徳」も問えずに、婚外子の「モラル」や「道徳」だけを声高に言い立て「それはないよな」とほざく。そんな欺瞞的、偽善的な物言いに比べたら、私はハッキリ言って嫌いだけど、自民党の野田聖子の方がまだよっぽど誠実だと思います。
天皇の政治利用はダメだが「家族」とか「絆」とか「愛国心」だとかの政治利用はOKなのでしょうか?そもそも自民党が国民に守らせようとする種々の「制度」「モラル」は、国民の人権を保障し幸福にする為のものか?それとも、ただ国民を抑えつけ国や会社に従わせる為だけのものなのか?