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正念場に立たされているのは自民党だけではない

2024年10月29日 05時08分00秒 | 統一教会と安倍国葬の是非を問う
 
今回の選挙は比例区・選挙区ともに共産党候補に投票しました。近年は比例区・選挙区のどちらか一方は共産党に入れても、他方は立憲民主党やれいわ新選組に入れたりしましたが、今回は久しぶりに共産党に入れる事にしました。
 
投票するまではかなり迷いました。以前は共産党一択でしたが、松竹さんの除名騒動で同党の非民主的体質を見せつけられてからは、以前ほど同党を支持する気にはなれませんでした。しかし他の立憲やれいわも、党首公選制とは名ばかりの国会議員同士の談合ぶりや、党首の山本太郎が全てを取り仕切る私党的な実態を見ると、とても積極的に支持する気にはなれません。そこで、今回はとりあえず共産党に投票する事にしました。
 
選挙が終わってみて感じるのは、共産党の党勢衰退が予想以上に進行している事です。とりあえず10月29日付け日刊ゲンダイ報道の開票速報を基に話します。かつては共産党の金城湯池で、自民党とトップを争っていた京都の各選挙区でも、今や軒並み維新の後塵を拝する結果に終わっています。(添付資料のピンクは共産、緑は維新の票数)
 
それだけではありません。大阪5区・13区ではれいわ新選組候補の後塵を拝し、兵庫6区・10区・11区では何と参政党候補の後塵を拝するまでに落ちぶれてしまっています(同じくオレンジはれいわ新選組、黄色は参政党の票数)。比例区の方でも、かつては近畿ブロックで3議席確保出来ていたのが、今回は2議席確保に止まっています。総議席もれいわ新選組は3議席から9議席に3倍増を果たしたのに対し、共産党は2議席減の8議席に終わりました。
 
自公与党が大敗し過半数割れに転落したのも、「しんぶん赤旗」の裏金追及があったからです。普通なら、立憲民主党や国民民主党よりも、共産党こそが躍進しなければならないはずです。ところが結果はご覧の通り。
 
裏金問題で自民・公明に愛想を尽かした人々が、なぜ裏金追及の真の功労者である共産党には流れず、立憲民主党や国民民主党、れいわ新選組や果ては参政党なんかに流れてしまったのは何故なのか?私は共産党の体質に問題があるからだと考えます。社会主義や共産主義のイデオロギーではなく、あくまで体質に問題があると。
 
「ソ連崩壊で社会主義・共産主義の時代は終わった。これからは資本主義の時代だ」と言われた時期がありました。でも、その資本主義も、ごく一握りの大企業が内部留保を溜め込むだけで、庶民は不安定な非正規雇用に縛り付けられ、低賃金・長時間労働や奨学金返済などに追われるようになりました。長年の乱開発や核軍拡競争のせいで、戦争が各地に飛び火し、核戦争の恐怖や原発事故、地球温暖化の脅威に怯えなければならなくなりました。資本主義も決して問題解決の処方箋たり得ない事はもはや明らかです。
 
社会主義や共産主義のイデオロギーではなく、共産党の体質にこそ問題がある。共産党はずっと民主集中制に基づく党運営を行なって来ました。党内で民主的に議論を尽くすが、一旦決まった事については全員が無条件に従い、外部に問題を持ち出さない。それが民主集中制です。
 
確かに、民主集中制が採用された背景には、やむを得ない事情がありました。昔は共産主義の考え方そのものが危険思想扱いされ、共産党は権力から過酷な弾圧を受けました。今に残る共産党アレルギーも、元を正せば、この権力による過酷な弾圧によるものです。
 
そして共産党が自主独立路線を掲げるようになってからは、日本政府やアメリカだけでなく、ソ連や中国からもスパイを送り込まれるようになりました。その魔手から党を防衛する為に考えだされたのが民主集中制です。
 
でも、幾ら党内で民主的に議論を尽くした所で、党内だけで議論している限り、やがては「井の中の蛙」になってしまいます。知らないうちに世界の進歩から取り残され、身内でしか通じない論理で党運営が行われるようになってしまいます。党内のセクハラやパワハラも、内部で揉み消されるようになってしまいます。
 
その結果、組織の新陳代謝は進まず、党内はイエスマンばかりになってしまうのです。今の自民党がまさにそうです。「政治には金が要る」という自分勝手な理屈で、裏金で私腹を肥やして来た。それに対する庶民の反発にも気付かず、遂に政権交代瀬戸際にまで追い詰められる羽目になった。
 
でも、共産党も今のままでは、この自民党と同じ運命をたどる事になってしまいます。このインターネットの時代に、いつまでも内に閉じこもっていたら、やがて組織の新陳代謝も進まなくなる。逆にそれを克服出来れば、自民党を体質の上でも凌駕出来るようになる。その正念場に、共産党は今立たされています。

(追記)

衆院選比例票の変化(前回比)

自民  1991万→1458万
     -533万
立憲  1149万→1155万
     +6万
国民  259万→616万
     +357万
公明  711万→596万
     -115万
維新  805万→509万
     -296万
れいわ 221万→380万
     +159万
共産  416万→336万
     -80万
参政  なし→187万
保守  なし→114万
社民  101万→93万
     -8万

横着して他のブログの投稿から数値を借りて来ました。開票速報の合計を足してもおそらくこの数値になるでしょう。

これを見ると、自公・維新・共産から離れた合計約952万もの離反票がほとんど立憲には行かずに、国民に約357万、参政と保守に約301万、れいわに159万と、この3党に流れた事が分かります。

それでも立憲が大勝出来たのは、小選挙区のマジックで、前回次点だった候補者が浮上したに過ぎないのです。

国民民主党が357万票も増えたのは、年収103万円の壁撤廃や減税、社会保険料削減など、子育て世代にアピールする公約を掲げたからでしょう。

私などの非正規雇用で独身の中高年者からすれば、この子育て世代すらも「結婚して子育て出来るだけまだマシ」「貧困層の少し上を行く、まだ恵まれた中産階級」に過ぎないのですが。

では、その貧困層はどうかと言えば、「その日暮らしの生活を維持するだけで精一杯で、選挙の投票に行く余裕すらない」。こういう人達にとっては、裏金問題よりは国民民主党の公約の方が、まだしも「魅力的」に写るかも知れませんね。

本当は裏金問題も、私達の税金が裏金に使われて来たと言う事であり、増税や社会保険料値上げと同じ「ピンハネ搾取」の構図なのに。搾取の仕組みには怒りが向かわず、世代間対立や外国人排斥の問題に巧妙にすり替えられている。

だから、せっかく自民・公明・維新の保守・新自由主義政党から離れた票も、それとは正反対の左派リベラル政党(共産・社民)には向かわず、同じ保守で新自由主義の国民・参政・保守に流れてしまったのです。れいわ新選組に流れた159万票以外は。

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