東日本大震災から1年ということで、TVのニュースなども関連番組がよくありますね。先ほど「民生委員の役割の見直し」というテーマで被災地からの取材を交えた番組が放映されました。
3.11を期して新しく開設したもう一つのブログ
「認知症の早期診断、介護並びに回復と予防のシステム」で、つい最近、血管性痴呆のことを取り上げました。(N10・N11)右欄下部からも入れます。
そこで、後遺症と認知症とまぜこぜにして考えているということを書きました。
これは、先日のNHK 朝の情報番組「あさいち」放映された認知症の特集で取り上げられた血管性認知症の考え方に対して、エイジングライフ研究所の考えを明らかにする目的もあって書いたのです。
この特集では、手術で治る認知症ということで、「正常圧水等症」と「慢性硬膜下血腫」を詳しく解説していました。
解説は正確だったと思います。
問題点は一つ。このような認知症を二次性認知症といいますが、その頻度がいくらくらいあるのかという説明が、どう考えても足りなかったと思います。
多く見積もっても、数%ですよ!
世の中にある大多数の認知症は
「高齢者が、何らかのきっかけで、生きがいも趣味も交友もなく、運動もしない。つまりナイナイ尽くしの生活を続けるうちに、脳機能の老化が加速されて、だんだんボケてくる」タイプです。
それをアルツハイマー型認知症といいます。
このタイプが軽く90%は超えるのですよ!
珍しいシクラメンの実
手術で治すことができる二次性認知症と、普通のアルツハイマー型認知症とには決定的な違い、それも誰でもがわかるはっきりとした違いがあります。
それは、症状の進行の速さが全く違うという点です。
二次性認知症はいったん症状が出始めたら、誰でも病院に行きたくなるように早く進行します。この豆知識がありさえすれば、治せる認知症を見逃すことはないはずです。
手術で治せる認知症は、そのようなタイプの認知症があることを知っておきさえすればいいのす。本当の認知症の予防は繰り返し述べてきているように、「脳全体を自分らしく使う生き生きとした生活を続けていくことだということ」を理解しなくてはいけません。
さぁ話を元に戻します。
仮設住宅に暮らす車いすのご老人を訪問して、民生委員さんが
「避難するようなことが起きても、心配しなくていいんだからね」と話しかけるシーンでした。
その車いすの方は、左手を肩からつって、無表情で元気のない雰囲気で画面に映っていましたが、はっきりと涙ぐみました。
私たちの前頭葉は、もうそれだけで
「この方は、この災害で大きな痛手を負われている。それでもこの言葉を聞いてこのような反応ができるなんて・・・(きっと何でも判断できるだろう)」と判断するでしょう。
一方で、その直前、画面にその方をとらえた時には、その無表情さと元気のなさから
「あれっ。これはもしかしたら・・・(震災から1年。認知症が始まっているのかも)」と判断したはずです。
それは、左腕を肩からつって車いすに座っているということは、9分9厘、右脳の障害を意味しているからです。
右脳障害の人は、とりわけ表情が悪いという特徴があります。
さらに、右脳の後遺症の一つに「感情失禁」と言われるものがあります。特別悲しくもないのに涙を流して悲しがる。そのくせケロッと立ち直る。これは右脳障害の場合に顕著に表れるのです。
左脳障害の場合には例外的にしか現れません。左脳障害の人は、状況を判断して本当に悲観的になって涙を流すのです。
数秒間の画面上に認められた「涙」の意味が不明?
いつ右脳障害が起こったのか?
その後の暮らしは?
震災後の暮らしは?
左脳の機能障害も起きてきているのか?
(起きていれば認知症は始まっている)
前頭葉はどこまで働いているのか?
(年齢相当より大きく低下していれば、認知症は始まっている)
脳の形ではなく、脳の働きを見てあげないと、この方を理解することは困難です。
脳卒中後にしろ、認知症にしろ、脳の働きを、もう少し客観的に詳しく知ろうとする動きがなぜないのでしょうか?
よりよく見るのも、より悪く見るのも間違い。
本当の理解の先に、本当の援助が見えると思います。