行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

電通過労死事件、労働組合にも責任がある

2016-10-15 22:46:18 | Weblog
朝日の報道によると、自殺した新入社員高橋まつりさんの時間外労働は月100時間を超え130時間くらいで、寝る間もなかった日もあったようだ。加えて電通では、社内の飲み会の準備をする幹事業務も新入社員に担当させており、「接待やプレゼンテーションの企画・立案・実行を実践する重要な訓練の場」と位置づけている。飲み会の後には「反省会」が開かれ、深夜まで先輩社員から細かい指導を受けていた。上司から「君の残業時間は会社にとって無駄」「髪がボサボサ、目が充血したまま出勤するな」「女子力がない」などと注意もされていたという。この下線部分はセクハラ、パワハラで、彼女が東大出の優秀な新入社員としても、最悪の職場環境で心身ともに疲弊し、社会に対する絶望感をいだかざるを得なかっただろう。
 
電通は過去に、1991年に「電通事件」をおこし、最高裁が過労自殺で使用者である会社の責任を認めた画期的判決として過労死問題の発端になった。この事件は今回と類似している。1990年4月に入社したAさんが長時間にわたり残業を行う状態を一年余り継続した後にうつ病にりなり、翌年の1991年8月に自宅で自殺した事件だ。
 
これだけの事件を起こしながら,15年間労使はどういう対策を打ってきたのか?普通の労使なら、36協定の中できちんと残業時間を決め、過労死が起きないチェック機能を設け、併せて苦情処理窓口を会社と組合の中に別々に設け、特にパワハラ、セクハラ防止策を徹底させる。報道のなかでは、労働組合のチェック機能に触れたものは一切無く、労働組合の存在すらわからない状況だ。労働組合は組合員の安全衛生を確保することが一丁目一番地だ。過労死問題という不名誉な事件を起こした以上、労働組合は毎日残業のチェックをし、労組の同意がなければ残業はできない仕組みにするのが通常だ。会社側の責任だけでなく、労働組合の責任も厳しく問われる。
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