ロシアの美術館というと、巨大な権力を持ったエカテリーナ女帝が蒐集したエルミタージュ美術館が思い出されるので、プーシキン美術館もロマノフ王朝がらみかと思って尋ねたが見事にはずれた。モスコア大学の先生が言い出しっぺでモスコア大学の授業に活用しようとして民間の有志に呼びかけて設立された。主に当時の2人(シチューキン&モロゾフ)の財界人がフランス絵画を熱心に蒐集しプーシキン美術館に展示した。ロシア版松方コレクションといった印象を持った。当然革命で国家によって没収され、貢献者は国外に亡命せざるを得なかった。
今回の日本における公開は数が少ないが、フランスの巨匠の代表作が展示されていて、それだけでも価値があるが、パリの風景画でパリの歴史を知り、知らなかった風景画の画家(ユベール・ロベール、ニコラ・ラングレー、ルイジ・ロワール等)を知り得た。ロシアの松方に感謝、感謝
解説も秀逸で、印象派の画家達がアトリエから出て、パリ郊外で制作出来たのは絵の具がチューブに入って便利になったおかげと教えてもらった。それまでの風景画はデッサンをしてアトリエで描いたとは気がつかなかった。従って近代風景画の源流の作品はアトリエでの画家の創造力で描かれたものが多い。
代表作品 クロードモネの草上の昼食、ピカソの庭の家、ゴーギャンのマタモエ、セザンヌのサント・ヴィクトワール山
マチスのブローニュの森