1月23日、連合と経団連のトップ会談が春闘について行われた。毎年の行事だが今年はいつもと違い、労使の見解がほぼ同じだった。連合の芳野友子会長は、賃上げについて「これまでの延長線上での議論にとどめることなく、労使が力を合わせて、日本の未来をつくりかえるターニングポイントとすべきだ」と強調。経団連の十倉雅和会長も「物価動向を特に重視しながら、企業の社会的責務として賃金引き上げのモメンタム(勢い)の維持、強化に向けた積極的な対応を呼びかけている」と言明した。
昨年12月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比4・0%増と、41年ぶりの上昇率となり、物価の影響を考慮した「実質賃金」は同11月まで8カ月連続で前年割れが続いている。一方岸田首相は国会での施政方針演説で賃上げに言及し、「物価上昇をこえる賃上げが必要と」表明、こうした状況を踏まえると、連合の賃上げ目標「5%程度」は歯止めに近い水準だ。
かつての春闘では物価上昇率+定期昇給が妥結歯止めであったことを考えると4%+定期昇給平均2%=計6%が望ましい水準で、すでにサントリー、SUMCO、ハウステンボスは6%、日本生命7%、森精機8%、日揮10%と高水準引き上げを発表している。これも春闘以前に異例の企業対応だ。
昨年の春闘での賃上げ率2.2%からは様変わりだが、インフレを克服するには最低でも5%の賃上げが必須だ。そして重要なのは最低賃金にこれが連動することだ。欧米では5%の賃上げはごく普通のことで、欧米やシンガポール、韓国に差がつけられないように知恵を絞ることが必要。