フランスが年金改革反対の大規模ストで、ゆれている。マクロン大統領は財政逼迫が将来確実に起こるとし、任期の最後の大仕事と粘っている。欧州でも厚い基礎年金制度の支給開始年齢を62歳から64歳に段階的遅らせるというのが原案、そのかわり支給額は12万円から16万円に増やすという人参をぶら下げている。
すでに65歳になっている日本だったら問題なく行われるだろう。ところがフランスの労働者は総支給額が減る上に働かせられる期間が延びることに我慢がならない。日本人は定年が延びることにあまり抵抗はない。むしろ喜ぶ人の方が多いだろう。かつてパリのフランス労組を訪れた時に40年働いた後は年金で楽しく暮らすと言っていた。日本人は退職後の過ごし方に悩む、だから「今日行くところ」を求める。フランス人は仲間どうしでワインを飲みながら日向ぼっこを楽しむ。
日本語の勤労というフランス語は見当たらない。フランス語の労働はかつて苦痛とか、拷問という意味だったことから、定年延長に対する思いは日仏間では大きな違いがあるのだろう。事実、少数与党のマクロン案への修正が取り沙汰されている。年金改革を言っていた野党共和党の取り込みが必要なことから、妥協として20歳から21歳までに就職した人は63歳支給にするという案が出ている。働いた期間を重視する案だが、日本だったら問題にされないだろう。