行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

5%賃上げへの確率は高まった

2024-01-09 16:48:03 | 労働
本日発表された11月の家計調査では、勤労者世帯の収入は名目で1.6%減、実質で4.7%減、消費支出は名目で2.1%減、実質で5.2%減と慎ましい結果となっている。これでは政府の「デフレからの脱却」はかけ声倒れだ。否が応でも春闘での賃金引き上げが最低でも5%は必要となる。最近の5%賃上げへの環境は以下のごとく良好だ。

経団連の十倉雅和会長ら経済団体トップは報道各社のインタビューなどで、2024年への抱負を語った。十倉氏は賃上げについて「23、24年だけでは終わらない」と述べ、継続が必要と訴えた。経済同友会の新浪剛史代表幹事は賃上げを「社会通念にしていくことが重要」と語った。

十倉氏はインタビューで、24年の賃上げ率について「一過性で終わらせてはならない。前年以上の熱量で臨む」と改めて強調した。23年の大手企業の実績である3.99%を超えることに意欲を示した。物価上昇の家計への影響を和らげるには、基本給を底上げするベースアップ(ベア)が重要とした。
新浪氏もインタビューで「賃上げを人への投資として、ノルム(社会通念)にしなければならない。ノルムに反する企業は評価されない環境づくりが大切になる」と強調した。最低賃金については理想としながら「3年くらいで2000円まで引き上げるというのがめざすべき像だ」と述べた。

昨年末に日経新聞が行った主要企業「社長100人アンケート」でも「5%台」の賃金引き上げが最多だった。

政府も積極賃上げには補助金を出す。中堅企業の賃上げ重点支援策として、最低賃金の伸び率を上回る賃上げを実施する計画を立てた企業を対象に、大規模な設備投資を支援する補助金を今春までに新設する。対象企業は従業員2000人以下の企業で、投資額が10億円以上の場合、投資額の3分の1を補助する。

また、従来から有る「賃上げ促進税制」を見直し、従業員300人以下の中小企業が給与を増やしたら、企業の法人税負担を軽くする税優遇を受けやすくする仕組みをとりいれる。

春闘史上これほど、政財が賃上げに熱を入れたことは無い。労働組合の出番が無い事態になりかねない。3月中旬の集中回答が注目される。

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